ユーザーの半数は、Facebookの個人データがどこでどのように利用されているか、ある程度は自身でコントロールできていると信じているようだ。

Cambridge Analyticaの個人情報不正流用スキャンダルは、批判的な報道にも拘わらず、Facebook利用状況に重大な影響を与えていないようだ。5月6日に発表されたReuters(ロイター通信)と調査会社Ipsosの行った調査によると、広告主はFacebookへの支出を削減しておらず、ほとんどのユーザーは引き続きFacebookを利用しているという。

 

2018年4月末、2,000人強のソーシャルメディアユーザーを対象に実施された今回のアンケート調査。対象には1,000人以上のTwitterユーザーとInstagramユーザーも含まれている。中でも重要な質問だったのが「最近Facebookの使用頻度に変化はあったか?」というものだった。

 

これに対し約74%が、少なくとも1日に1回Facebookを使用していると回答。「1回以上使用する(26%)」、もしくは、「使用頻度は変わらない(49%)」と答えた回答者とほぼ同じ割合だ。

 

およそ23%が最近Facebookの使用頻度が減ったと回答。23%のうち18%が「使用頻度が下がった」、4%が「使用を中止したが、アカウントは保持している」、そして1%が、「アカウントを削除した」と答えた。2%の回答者が、はFacebookアカウントを持っていないと答えた。

 

Facebookは直近の決算報告でデイリーアクティブユーザー数が前年比13%増の14億5000万人と報告した。マンスリーアクティブユーザー数も13%増加し22億人に達した。これらは、全世界での統計である。しかし、カナダと米国においては、横ばいの成長だった。Facebookはデイリーユーザーを1億8,500万人と発表しているが、本質的には昨年と変わらない数字である。

 

ReutersとIpsosの行ったこの調査の回答者は、「現在の自分のFacebookアカウントのプライバシー設定がどのようなものか把握しているか?」という質問に以下のように回答した。

 

  • 把握している:74%
  • 把握していない:16%
  • わからない:10%

 

Facebookのプライバシー設定の変更方法を知っていると答えたのは約78%。「いいえ」または「知らない」と答えたのは22%。また、44%が「最近プライバシー設定を変更した」と回答した。残りの56%のうち、53%が「変更しなかった」、3%が「変更方法を知らなかった」と答えている。

 

「Facebookに登録した個人情報が、どこで利用されるかについてどれくらいコントロールできていると考えているか?」と質問には、以下のように回答。

 

  • 全てをコントロールしている:23%
  • ある程度コントロールしている:49%
  • コントロールしていない:20%
  • わからない:9%

 

ソーシャルメディアのプライバシーに関する調査結果は、一般的にはベルカーブ(正規分布)となる。ユーザーの一部はプライバシーを非常に懸念しているが、一部は全く気にしていない。そして、中間に位置する残りの回答者は、懸念はしつつも実際に利用方法を変更したり、利用をやめたりする訳ではない。

 

Reuters/Ipsosの調査でも、同様の結果が示されている。データのプライバシーに関して、ある程度のコントロールをしたいと考えるが、完全にコントロールすることは難しいと諦めるユーザーが多数存在する。おそらく、無料でFacebookにアクセスする対価として、自分のデータをFacebookに渡しているというのが、ユーザーの暗黙の了解であろう。報道によると、Facebookは、広告を表示しないサブスクリプションモデル(有料版)を検討しているという。

 

2018年3月に最初に世間を賑わせたCambridge Analyticaスキャンダルによって、「#deletefacebookムーブメント(「フェイスブックからアカウントを削除せよ」というボイコット運動)」が起こったが、ふたを開けてみれば、約1%のユーザーしかアカウントを削除しなかったということになる。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の5/7公開の記事を翻訳・補足したものです。