経済産業省は、国内のEコマース市場規模などをまとめたレポートを今年も発表した。「平成29年度我が国におけるデータ駆働型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する調査)」の調査を実施し、国内ECの実態のほか日米中3ヵ国間の越境ECの市場動向について取り纏め、結果を発表した。
調査の結果、国内EC市場はBtoC、BtoB、CtoCそれぞれが拡大傾向にあり、スマートフォン経由の市場規模の拡大がみられた。また、日・米・中3ヵ国間における越境EC市場規模はいずれの国も拡大し、中国人消費者の越境EC購入額の増加が目立った。
国内のEC市場はBtoC、BtoBともに拡大傾向に
日本国内のBtoCのEC市場規模は、16.5兆円(前年15.1兆円、前年比9.1%増)に拡大。EC化率は5.79%(前年比0.36%増)と増加傾向にあり、EC化が引き続き進展している。
BtoCのEC市場における構成比率をみると、物販分野が最も大きく、8兆6,008億円(伸び率7.5%)次いでサービス分野が5兆9,568億円(伸び率11.3%)、デジタル系分野が1兆9,478億円(伸び率9.5%)であった。各分野の商品/サービスごとに市場規模をみると、物販分野では「雑貨、家具、インテリア」と「事務用品、文房具」の伸び率が高く、サービス系分野では、飲食サービスや理美容サービス、デジタル分野では、電子出版と有料動画配信の伸び率が高かった。
さらに、物販分野におけるスマートフォン経由の市場規模は3兆90億円(前年比17.7%増)と同分野の35.0%はスマホ経由である事が判明した。スマートフォン経由の市場規模の直近3年間の推移からは、スマホ経由市場規模の順調な伸びをみることができる。
また、BtoBのEC市場規模は317兆2,110億円(前年比9.0%)であり、EC化率は前年から1.3ポイント増加した29.6%であった。なお、昨年よりも市場規模が拡大した業種は上位順に「産業関連機器・精密機器」「鉄・非鉄金属」「御売」「輸送用機器」だ。
米国eBayのネットオークションの総流通額は国内のネットオークションの8倍以上
2017年における国内のネットオークションの市場規模を推計したところ11,200億円で、その内CtoCによる市場規模は3,569億円となった。また、国内フリマアプリの市場規模は4,835憶円という推計結果が出ており、前年比約1.58倍であった。
なお、米国のeBayのネットオークションに関する流通総額は2017年に884億ドル(約9兆3,700億円)となっており、10年間で約2倍に流通総額が拡大した。eBay単体だけでも国内のネットオークションの8倍以上の市場規模だ。
中国消費者による越境EC購入額が大きく増加
2017年の世界の越境EC市場規模は5,300億ドルと、日本円にして約57.9兆円(1ドル=109円として算出)であり、対前年比成長率は32.5%の伸びがみられた。
なお、各国間の越境EC市場規模の推計結果から、中国消費者による日本および米国の事業者からの購入額は大きく増加しており、中国消費者が日本事業者から購入する日本製品は化粧品、日用品、食品の順に多いことがバイドゥ株式会社の調査で示された。
なお、2021年までに、日本は約1.20倍、米国は約1.67倍、中国は約2.2倍の規模になることが予想されている。
2017年の世界のBtoCのEC市場規模2兆3,000億ドルと対前年比成長率は24.8%の伸びがあり、2021年までに対前年比2桁成長が見込まれている。国内におけるEC利用率はますます増加しており、ネットで商品を購入することに人々が慣れ始めている。今後は、日本の消費者による越境EC利用の拡大が期待される。