日本郵便はECの配送サービスの主役になれるのか - ゆうパケット、EC-CUBEとのID連携、通販ワンストップサービス | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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2014/08/15

日本郵便はECの配送サービスの主役になれるのか - ゆうパケット、EC-CUBEとのID連携、通販ワンストップサービス

日本郵便はECの配送サービスの主役になれるのか

 

ヤマト運輸、佐川急便が相次いで宅配料金の値上げを進めるなど、EC業界では物流に関わる話題を各方面でよく聞くようになってきている。そんな中、日本郵便がEC業界に積極的な動きを見せている。ゆうパケット、EC-CUBEとのID連携、通販ワンストップサービスなど、ここ最近の動きをピックアップしていく。

 

<参考>

ECサイト運営を支える配送事業者 - 佐川急便・ヤマト運輸・日本郵便の価格とサービスレベルの狭間での奮闘

 

 

可能性を秘めるゆうパケット

 

6月1日から取り扱いが開始されたゆうパケットは、指定のサイズに該当する荷物であれば、自宅等の郵便受箱に投函されるサービスで、追跡サービスの提供および日曜・祝日の配達も行われる。さらに、当日配達や配達日指定等の付加サービスも提供されている。

 

 

荷物の条件としては、大きさ・厚さ3辺の合計が60cm以下、長辺34cm以下、厚さ3cm以下、重量1kg以下 である必要がある。また、日本郵便株式会社Webサイトから郵便追跡サービスを利用することも可能だ。差出日のおおむね翌日~翌々日に配達される。集荷や運賃については個別に相談の上、設定されるため、詳細は問い合わせ・調整が必要となる。

「宅配便の最小サイズにすると料金が高いし、メール便だと厚みが2cmを超えてしまう」そんな比較的小さな商品や、折り畳めば入るようなTシャツ等のアパレル商品を配送することも可能なこのサービスは、宅配便よりも低コストでご利用でき、サービスレベルも遜色無く、事業者に取ってはかなり魅力的なサービスで、新しいECの配送のスタンダードになる可能性が十分あり得るだろう。

 

 

EC-CUBEとのID連携

 

3月28日にロックオンと日本郵便はオープンソースプラットフォーム「EC-CUBE」の店舗で買い物をする際、サイト上で改めて会員登録することなく、日本郵便が運営するサイト「ゆうびんポータル」のIDである「ゆうびんID」を利用してログイン・商品購入することができるオープンID機能を提供することを発表した。

 

 

日本郵便の思惑としては、ECモールとの連携はID(ゆうびんIDと)が競合してしまうため、IDが競合しない独自店舗にアプローチしたかったことと、大口顧客というより、中小規模のECショップに向け、積極的に物流等サービス展開をしたかったという点が挙げられる。

方やEC-CUBEの思いとしては、独自店舗の永遠の悩みである集客を、ゆうびんIDユーザを集客することで解決したかったという点と、物流サービスの充実を図りたかったという点が挙げられ、まさに両社にとっての利害が一致したことがこの取り組みを開始した理由になっているようだ。その他、オープンソースの「EC-CUBE」ならでは、日本全国の技術者に今回の連携をサポートしてもらえるという点も、取り組みの大きな支えになっているようだ。

「ゆうびんID」を保持するユーザーとは、多くの人が最近はあまりやっていない「切手を購入し手紙を送る」「積極的に年賀状を送ったりする」という会員層が中心であり、その会員層が多くのECサイトで登録済みのゆうびんIDを使ってログインできるということは、これまでのEC利用者とは重複していない可能性が高く、新たにECの世界に取り込める可能性がある上、今後のECの発展に欠かせない、リアルとの連携の可能性も含んでいると言える。

 

 

EC向けワンストップサービスを提供開始

 

5月14日から行われていた通販ソリューション展にて日本郵便はこの秋からワンストップ通販ソリューションの提供を開始することを発表した。

 

 

EC事業者からの荷受けを拡大させるため、通販の顧客対応からバックヤード業務までを一括して請け負う仕組みを構築している。既にEC事業者からの荷物を預かる倉庫と、倉庫管理システムは用意し、物流代行サービスを開始している模様で今秋には、受注や在庫管理も含めた、一括代行業務を受託するサービスを始める予定だ。JPロジサービスJPメディアダイレクトといったグループ企業でそれぞれを担う形となるようだが、EC業者にとって切っても切れないサービスを取り揃えていて、これら全てを一括で委託できることは大変魅力的である。

 

ターゲットアプローチ支援

JPメディアダイレクトが提携するリストから属性を絞ったり、マス媒体やエリアを絞ったダイレクトメールや、全国2万局に及ぶ郵便局の各種メディアを媒体としたターゲットアプローチの支援を行う。

 

受注・決済支援

郵便、電話、メール、FAX、Eコーマスなどからの注文を受け、受注データを管理するサービスや、クレジット、銀行振込、代引きなどあらゆる決済手段に対応し、決済を代行するするサービスも提供する。

 

ロジスティクス支援

日本郵便提供の倉庫にて、入荷・ピッキング・伝票出力・梱包・仕分・出荷・配達確認・在庫管理などロジスティクス全般業務を支援するサービスまたは事業者が現在利用しているシステムと連動し、伝票出力・引き取り・出荷配達確認などを実現する。

 

配送サービス

ゆうパック、ゆうパケット、ゆうメール、EMSなど、従来から日本郵便が提供する配送のサービスを提供する。エリアによっては、即日配送サービスにも対応する。

 

通販マーケティング支援

利用客の購買履歴データを管理・分析し、マーケティングに活用させるサービスや、顧客分析データから、新規顧客開拓、既存顧客アプローチなど次期販売計画の立案を支援するサービス。

 

コールセンター運営

コールセンターの開設、運営サービス。消費者はもちろん、企業内部からの問い合わせなど、全てのプロセスで発生する問い合わせ対応やデータ管理などの事務局運営の代行サービス。

 

もちろん、上記すべての一括導入が必須ではなく、倉庫だけ利用したり、受注管理システムだけを利用することも可能だ。従来、通販事業者向けワンストップソリューションは、大手企業をターゲットにしたものばかりだったが、今回日本郵便が提供するサービスは中小企業がターゲットでこの時点ですでに競合企業とは差別化を図っているため、多くのEC事業者から求められるサービスになる可能性がありそうだ。今秋にはシステムの全体像が明らかになるとのことで、是非、今後の動きに注目していきたい。

 

 

日本郵便はECの配送サービスの主役になれるのか

 

このように、日本郵便はEC事業・通販事業の支援業務に対するサービスに本気で乗り出してきている。佐川急便やヤマト運輸も、こういったサービスはこれまでに既に提供してきているので日本郵便がどこまで新たに顧客を獲得していけるのかは分からないが、後発だからこそできる柔軟で質の高いサービス、そして長い年月地元に根差した強みを活かした展開を期待したい。

EC事業者は、売上を上げることと、コストを削減するという、両輪を同時に進めていく必要があるが、日本郵便やヤマト運輸、佐川急便がひしめき合うこの分野は、明らかにコスト削減に繋がる部分だからこそ「料金」と「サービスの質」と「将来性」を考慮した上で、自分たちの事業において委託できるサービスをどこに依頼するかをよく検討していく必要がある。

日本郵便のこの分野でのサービス展開は、混沌とするEC業界の物流サービスの救世主となっていけるのか?引き続き、注意深くウォッチしていく必要がありそうだ。