IABの調査によると、広告主はAIを活用した発見型広告への支出を増やし、適応を進めているものの、こうした新たな顧客体験を測定する能力は追いついていない。


AIは、人々が商品を見つける場所や、購入に至るまでのプロセスを変化させている。問題は、広告主の測定システムがそれほど急速には変化していないことだ。

IAB(米国のオンライン広告標準化団体)のレポート「2026 Outlook Study: September Update(2026年見通し調査:9月版)」によると、これはメディア投資において大きな悩みの種となっている。米国のブランド企業や広告代理店で広告投資の意思決定を行う211名を対象としたこの調査では、44%が、AIを活用した検索など、変化する消費者行動への適応をメディア投資における最大の課題の一つとして挙げている。

また、そうした判断にかかる資金の規模も拡大している。IABは、今年の米国の広告支出の伸び率に関する予測を、1月時点の9.5%から9月には12.3%へと引き上げた。つまり、広告主が支出を増やしている一方で、AIの台頭により、商品発見や購買行動への影響要因を把握することがより困難になっているのだ。

 

マーケターの適応スピードは、効果測定のスピードを上回っている

AI主導の発見(ディスカバリーの台頭により、広告主の取り組みはすでに変化している。マーケターの76%が「AIが生成する回答に合わせてコンテンツを最適化すること」を最優先事項に挙げ、次いで72%が「AIのLLM(大規模言語モデル)への対応」を挙げている。一方で、メディアキャンペーンにおける生成AIの活用への注力度は、1月の78%から9月には69%へと低下した。

出典:IAB「2026 Outlook Study: September Update」


問題は、それらが実際に効果を上げているかどうかを見極めることである。購入者の45%が、「AIを活用したカスタマージャーニーと従来のカスタマージャーニーを比較すること」を、対話型AIやAIエージェントに関連する測定上の最大の課題の一つに挙げている。また、35%はAIツールにおけるブランドの認知度や言及に関する一貫したデータの取得に苦慮しており、30%はAI経由のリファラル(参照)データが欠落している、あるいは信頼性に欠ける点を挙げている。

広告主は、誰かが測定に関する課題を解決してくれるのを待っているわけではない。86%が、AIやエージェントの登場を受けて「メディア・パフォーマンスの測定方法を変更済みである」、あるいは「今後12ヶ月以内に変更する予定である」と回答している。

出典:IAB「2026 Outlook Study: September Update」


当面の間は、さまざまなシグナルを組み合わせて対応することになる。48%がAIツール上でのブランドの認知度や言及を測定指標としており、44%はブランド名での検索や直接流入を代替指標として活用している。また、40%はサードパーティ製のAI関連の発見・分析ツールを利用している。さらに、30%がインクリメンタリティ・テスト(増分効果測定)の利用を拡大しており、同率の30%がモデルベースの測定手法を取り入れている。

一方で、従来の指標がなくなるわけではない。Webサイトへのトラフィックを重視しなくなったマーケターは、わずか26%にとどまる。つまり、AIは既存の測定システムを置き換えるのではなく、その上に重ね合わせて活用できる新たな指標やツールをマーケターに提供しているのだ。

 

AIは資金の行き先も変えつつある

リテールメディアは、たとえ測定技術の進化が追いついていない状況であっても、広告費がいかに急速にシフトし得るかを示す好例だ。IABは、今年のコマースメディアへの支出が13.6%増加すると予測しており、これは1月時点の予測値である12.1%を上回る数字である。同レポートによると、AIが商品発見から購入に至るまでの距離を短縮することで、この成長を後押ししているという。

さらに別の課題もある。マーケターは、自社のコンテンツに接触しているのが誰(あるいは何)なのかを把握しなければならない。27%の購入者は、Webトラフィックにおいて人間よりもボットやエージェントの数が多いという点をメディア投資を行う際の懸念事項として挙げている。また、測定の面では、28%が「人間と正規のエージェントを区別すること」に苦慮しており、33%が「正規のエージェントとボットや不正アクセスとを判別すること」に困難を感じている。

出典:IAB「2026 Outlook Study: September Update」


その結果、広告主は、AIの影響を受ける消費者の購買行動を追いかけつつ、それぞれのやり取りが人間によるものなのか、人間に代わって動くエージェントによるものなのか、それとも単なるボットによるものなのかを見極める必要に迫られている。

レポートの全文はこちらからダウンロードできる。(要登録)


※当記事は米国メディア「Martech」の9/11公開の記事を翻訳・補足したものです。