米国の中小企業では、デジタルマーケティングの業務負担を軽減する新たな方法を模索する経営者が増える中、AIの導入率は2023年の26%から2026年は87%へと上昇した。

米国に本社を置きデジタルおよびメールマーケティングプラットフォームを提供するConstant Contactの2026年第2四半期の調査によると、世界的に見ても、顧客が新たなビジネスを知るきっかけとしてSNSは大きな役割を担うようになっている。消費者の49%が新しい中小企業を見つける際にSNSを利用しているのに対し、検索エンジンを使用する人は40%だった。

同調査は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの中小企業3,340社と消費者2,255人から得た回答を分析したものである。

Constant Contactで中小企業の成功支援部門を統括するDave Charest氏は、中小企業がコンテンツ作成にとどまらず、データ分析やマーケティング上の意思決定にAIを活用し始めていると述べた。

AI利用者の半数は、主なメリットとして「時間の節約」を挙げている。

Constant Contactの中小企業成功支援担当ディレクターDave Charest氏


「これは大きな転換だ。と言うのも、かつては専任の分析チームを持つ企業にしかできなかった意思決定を、ごく小規模な企業でもできるようになるからだ」とCharest氏は語った。

Constant Contactによると、世界中の中小企業経営者の約半数(47%)が、自社のビジネス用SNSを自ら運用している。

AIや自動化は、こうした負担に対する一つの解決策となっている。世界中の中小企業の40%は、コスト効率の向上や業務負担の軽減のためにAIや自動化といった技術を導入しており、42%がメールやSNSの投稿を含むコンテンツ制作にAIを活用している。

Constant Contactの調査では、主に中小企業からの買い物を好む消費者の割合は、2021年の10%から2026年には27%に増加していることが分かった。同時に、49%が「インフレの影響で、中小企業への支出を減らしたり、大幅に削減したりせざるを得なかった」と回答している。

 

新規顧客発見のためのSNS、関係維持にはメール

EC業者にとって、ソーシャルメディアは新規顧客を呼び込む手段となる一方、メールはその関係を維持するための直接的なチャネルとなる。

「SNSは新たなビジネス発見の入り口となった。我々の調査では、現在、消費者が新しい中小企業を発見する手段として今や最も多いのがSNSだという結果が出ている」とCharest氏は述べた。「しかし、発見は始まりに過ぎない」。

Charest氏は、まずSNSで顧客に発見してもらい、それからメールマガジンへの登録を促すことを推奨している。これにより、企業はソーシャルプラットフォームやそのアルゴリズムに全面的に依存することなく、顧客に直接アプローチできるようになる。

 

ビジネス上の課題を解決するAIを選ぶ

中小企業のAI活用が広がる中、経営者は「導入する価値があるツールはどれなのか」という現実的な問題に直面している。Charest氏は、データ分析へのアクセスが容易になったことで、小規模EC業者が大手小売業者と競争しやすくなる、と指摘した。

従来、大手小売企業は、高度な分析ツールや専任のマーケティングチームをより活用しやすい立場にあった。AIを活用することで、中小企業は大手と同等の人的リソースや技術リソースを持たなくても、顧客行動の分析やアプローチ方法のパーソナライズといった機能の一部を実現できる。

「AIによって、企業は単に規模だけではなく、顧客との関連性や顧客体験で競争できるようになる。AIを導入しても効率性や顧客との関係性を改善できないのであれば、そのツールは役に立つというより、話題先行の可能性が高いだろう」とCharest氏は語った。

AI導入は透明性への期待ももたらしている。Constant Contactによると、世界中の消費者の46%が企業に「AI生成のコンテンツであることをラベル表示してほしい」と考えており、一方で「AIの利用を完全に開示している」と回答した中小企業は37%だった。

米国商工会議所(U.S. Chamber of Commerce)が2026年4月に発表した報告書では、AIのより広範な活用を妨げる要因として、データインフラの不足、社内の専門知識の欠如、従業員の研修不足が挙げられたほか、コスト、投資効果の不確実性、コンプライアンス上のリスクに関する懸念も指摘された。

同商工会議所は中小企業に対し、AIを広範に導入するよりも、まずは日々の業務における具体的な課題から取り組むとともに、精度の確認や信頼の維持のため、人が関与し続けることも推奨している。

 

競争が激しいデジタル市場で頭角を現すには

Charest氏は、コンテンツの量を増やすだけでは、中小企業が他社と差別化を図ることはできないと主張した。コンテンツは、顧客がその企業と関わりたいと思う理由を提供しなければならない。

中小企業経営者はインフルエンサーのように振舞う必要はない、と同氏は言う。その代わりに、コンテンツを使って自社商品を説明したり、事業の背景にあるストーリーを伝えたり、顧客を教育したりするべきだ。

「目標は単に投稿を増やすことではない。あなたの企業ならではの強みを反映したコンテンツを作成することだ」とも同氏は述べている。

Charest氏は、中小企業が顧客との直接的な関係を構築することに注力するよう推奨している。

「SNSを使って顧客に自社を知ってもらうのは良い。ただし、それで終わってはいけない。メールリストを構築し、継続的にコミュニケーションを取り、マーケティングをより効率的に、顧客との関連性をより高めるためにAIを活用するべきだ」と語った。


※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の9/3公開の記事を翻訳・補足したものです。