ECサイト構築・運用に活用出来る全9種の補助金制度を徹底解説

 

企業のデジタル化支援の一環で、ECサイトを構築・運用するための補助金制度が増えてきている。企業としては、ECサイトを構築・運用する際には、このような補助金制度は可能な限り活用していきたいと考えるのが当たり前だろう。しかし、それらの補助金は条件や申請方法なども複雑で分かりにくい部分も多い。そこで今回は、ECサイトを構築・運用するための補助金について、活用することが可能な9つの補助金制度を紹介し、その特徴や注意点を解説していく。

 

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ECサイト構築に利用できる代表的な補助金

 

ECサイトを新たに構築する場合を含んだ、IT導入で利用出来る代表的な補助金は「事業再構築補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」「各自治体によるIT補助金」の4つだ。

 

 

「事業再構築補助金」

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響で需要や売り上げの回復が難しいなか、経済社会の変化に対応するため新分野展開・業態転換・事業&業種転換、事業再編成またはこれらの取り組みを通じた規模拡大を目指す中小企業の支援を目的として、国が一部費用を負担してくれる補助金だ。ただし、全面的にECサイト構築を支援している制度ではないことには注意が必要である。例えば、単純な販路拡大目的でのサイト構築はNGとなっているが、toCからtoBにターゲットを変えて新たに事業を展開する場合には認められ、補助対象として扱われる。

・補助対象者:日本国内に本社を有する中小企業者等及び中堅企業等

・補助金の設置枠

  • 成長枠
    成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業等を支援するもの。
  • グリーン成長枠
    研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計 画」14 分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援するもの。
  • 卒業促進枠
    成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援するもの。
  • 大規模賃金引上促進枠
    成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援するもの。
  • 産業構造転換枠
    国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援するもの。
  • サプライチェーン強靱化枠
    海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う中堅・中小企業者等に対する支援するもの。
  • 最低賃金枠
    最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援するもの。
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠
    業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援するもの。

・補助率:最大3/4

・対象要件:それぞれ設置されている枠ごとに詳細は異なるが、一部を除いた大半に共通して示される要件は、事業再構築指針に示される「事業再構築」の定義に該当していること(事業再構築要件)・事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること(認定支援機関要件)・補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 4.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること(付加価値額要件)の3つだ。今回の要項では異なるが、第9回公募では「コロナ禍以前と比較して売り上げが減少していること」が全ての枠に共通する必須要件になっていた。新たな公募が開始される度に要件の詳細が変更になる可能性が高いため、申請の際は注意が必要だ。

・申請方法:電子申請システムのみ

・応募期間:第10回、令和5年3月30日~令和5年6月30日まで

・補助金額:最大1億円、最小100万円

・採択率:40~50%

冒頭に挙げた4つの補助金の中で、支給額が最大1億円と金額が大きいのが特徴だが、申請が可能になる条件が他の補助金と比較して多く、敷居が高いことがわかる。また、申し込み数に対して補助金を受け取ることの出来る数を表す採択率も、年々上昇の傾向にあるものの現在4~5割程度にとどまっており、他の補助金と比較して低い傾向にある。コロナウイルス感染症の影響を受けて、経営に打撃があり、事業転換等を余儀なくされている中小企業者の場合はリスクが大きくなってしまう可能性もあるだろう。

 

 

「IT導入補助金」

IT導入補助金は通常枠/セキュリティ対策推進枠/デジタル化基盤導入枠の3つに設置枠が分かれており、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化やデジタル化の推進を目的としてITツール導入を支援する補助金だ。

・補助対象者:日本国内に本社を有する中小企業者

・補助金の設置枠

  • 通常枠(A・B類型)
    中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするもの。
  • セキュリティ対策推進枠
    中小企業・小規模事業者等がサイバーインシデントが原因で事業継続が困難となる事態を回避するとともに、サイバー攻撃被害が供給制約・価格高騰を潜在的に引き起こすリスクや生産性向上を阻害するリスクを低減することを目的とするもの。
  • デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
    中小企業・小規模事業者等が導入する会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費の一部を補助することで、インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進することを目的とするもの。

・補助率:最大3/4

・申請方法:オンライン申請

・応募期間:令和5年3月20日~最長6月2日まで

・補助金額:最大450万円、最小5万円

・採択率:6割程度

ECサイトを新規で構築する場合、非常に合致した補助金といえる。業種にもよるが、採択率が6割以上の場合が多く、申請すれば高い割合で補助を受けられる点で、中小企業者が選択しやすい補助金である。特に、補助金が中小企業者を支援する目的が、事業再構築補助金とは異なって生産性の向上や販路の拡大及び業務効率化であるため、事業転換や事業開拓などの新規に行う事業以外でも補助対象となる点が大きな特徴である。さらに、通常枠又はセキュリティ対策推進枠であればソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費が、加えてキュリティ対策推進枠はこれにハードウェア購入費が対象となる点も、ECサイトの構築のみならず、企業のIT導入障壁を取り除くものと言える。

 

 

「小規模事業者持続化補助金」

小規模事業者持続化補助金は小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更等に対応するために、取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とするもの。また、補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組や、その取組と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するもの。

・補助対象者:小規模事業者及び条件を満たした場合のみ特定非営利活動法人

・補助金の設置枠

  • 通常枠
  • 賃金引き上げ枠
    最低賃金の引き上げが行われる中、それに加えて更なる賃上げを行い、従業員に成長の果実を分配する意欲的な小規模事業者に対し政策支援をするため、補助事業実施期間に事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者に対して支援するもの。
  • 卒業枠
    事業規模拡大に意欲的な小規模事業者に対し政策支援をするため、補助事業実施期間中に常時使用する従業員を増やし、小規模事業者として定義する従業員の枠を超え事業規模を拡大する事業者に対して支援するもの。
  • 後継者支援枠
    将来的に事業承継を行う予定があり、新たな取組を行う後継者候補として、「アトツギ甲子園」のファイナリスト等になった事業者を対象に政策支援をするため、以下の要件を満たす事業者に対して支援するもの。
  • 創業枠
    創業した事業者を重点的に政策支援するため、産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受け、かつ、過去3か年の間に開業した事業者に対して支援するもの。

・補助対象となる経費の内容:1.機械装置等費、2.広報費、3.ウェブサイト関連費、4.展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、5.旅費、6.開発費、7.資料購入費、8.雑役務費、9.借料、10.設備処分費、11.委託・外注費

・補助率:最大2/3

・対象要件:補助対象になる事業の条件は、策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓等のための取組であること又は販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること・商工会や商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること・条件にそぐわない事業を目的としていないことの3つだ。条件にそぐわない事業の項目の中には、「1年以内に売上につながることが見込まれない事業」とあることから、確実に成果の出せる事業を行う際に申請するべきであり、注意が必要だ。

・申請方法:郵送又はオンライン申請

・応募期間:令和5年3月10日~令和5年6月1日まで

・補助金額:最大200万円、最小50万円

・採択率:5~6割程度

補助対象となる経費の内容としては、3点目のウェブサイト関連費に該当するが、ECサイト構築にかかる金額は、最安値で100万円程度、相場は200~500万円であることから、IT導入補助金と比較すると予算に制限がつく、又は自己負担額が大きくなってしまう可能性がある。ただし、採択率はIT導入補助金と同程度の5~6割のため、必要な額に応じて選択するのが望ましい補助金だ。また、小売業等の場合は、広告費・設備処分費などの申請も可能であるため、その点において比較的申請しやすい補助金と言える。

 

 

「各自治体によるIT補助金」

 

補助金の詳細は各自治体によって異なるが、その多くが中小企業・個人事業主の販路拡大等の取り組みにかかる費用を補助・支援するために設けられている。国が実施している補助金と比較すると、採択件数や補助額は少ない場合が多いが、その分申請要件が少ないなど敷居が低くなっている場合が多い。

 

 

ECサイト運用のための設備投資に利用できる補助金

 

企業がECサイトを運用する際には、周辺機器や設備を整える必要がある。そのため、ここでは直接的にECサイトを構築する支援ではないものの、設備投資に関連した補助金をいくつか紹介する。

 

 

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援するもの。

・補助対象者:中小企業者及び特定事業者の一部

・補助金の設置枠

  • 通常枠
    革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援するもの
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠
    業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者(※)が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援するもの
  • デジタル枠
    DXに資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援するもの
  • グリーン枠
    温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援するもの
  • グローバル市場開拓枠
    海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援するもの

・補助対象となる経費の内容:1.機械装置・システム構築費2.技術導入費3.専門家経費4.運搬費5.クラウドサービス利用費6.原材料費7.外注費8.知的財産権等関連経費

(以下グローバル市場開拓枠の場合のみ適用可能:9.海外旅費10.通訳・翻訳費11.広告宣伝・販売促進費)

・補助率:最大2/3

・対象要件:補助対象となる事業の要件は、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること・事業場内最低賃金を毎年地域別最低賃金+30円以上の水準とすること・事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加することの3点を守ったうえで、3~5年の事業計画を策定することが求められている。

・申請方法:電子申請システム

・応募期間:令和5年4月19日まで

・補助金額:最大4000万円、最小100万円

・採択率:6割程度

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、その目的に掲げられているように中小企業者が新たな事業や現行の事業の生産性を向上させるのに適した補助金といえる。特に、補助額が最大4000万円・補助率が最大2/3と他の補助金より比較的大きい額が設定されているのに対し、枠や補助対象となる経費の内容が細かく示されている点から、各々希望する事業内容に沿って申請しやすいのではないか。また、採択率も安定して6割程度であることから、大きい金額の補助金が必要な事業を行いたいという場合にも適している。ただし、かつては経費の対象であったECサイト新構築について、現在は対象とする枠がないため、周辺機器や設備を整える場合に利用するのが良いだろう。さらに、ECサイト周辺だけでなく、海外出店に必要な工程や、原材料費が対象となっていることから、小売業等の場合も用途に合わせて使いやすい補助金だ。

 

 

「業務改善助成金」

業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するもの。

・助成対象者:中小企業・小規模事業者

・助成金の設置枠:特になし(助成対象者であれば、それぞれ人数や最低賃金の上げ幅によって助成金が適用される形をとる)

・補助対象となる経費の内容:生産性向上に資する設備投資など。例えば、店舗改装による配膳時間の短縮や、POSレジシステム導入による在庫管理の短縮など。ただし、賃金要件/生産量要件/物価高騰等要件のいずれかに当てはまる事業者の場合は助成上限額の拡大や助成対象経費の拡大が適用される。その場合、新規に購入するPC等の周辺機器購入や広告宣伝費等が助成対象経費として扱われることとなる。

・助成率:最大9/10

・対象要件:事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内であること・解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないことの2点が挙げられている。

・申請方法:郵送

・応募期間:令和6年1月31日

・助成金額:最大600万円、最小30万円

・採択率:情報なし

業務改善助成金は、事業場内最低賃金を引き上げるための制度であるため、労働者がいない場合は助成対象とならないので注意が必要である。

 

 

「新市場開拓支援事業費補助金(フロンティア補助金)」

新市場開拓支援事業費補助金は、酒類事業者が直面する国内需要の減少、酒類事業従事者の高齢化といった構造的課題や、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により顕在化した課題への解決に向けて、国内外の新市場を開拓するなどの意欲的な取組を支援することにより、酒類業のポストコロナに向けた経営改革・構造転換を促すことを目的とするもの。

・補助対象者:酒類の製造免許若しくは酒類の販売業免許を受けている者(当該免許を受けている者で構成される酒類業組合等を含む)又は酒類事業者を少なくとも1者以上含むグループが対象。

・補助金の設置枠

  • 商品の差別化による新たなニーズ獲得事業
    マーケットインの考えを踏まえ、消費者のニーズを掘り起こすとともに、既存商品と差別化された酒類を開発することを目的とするもの
  • 販売手法の多様化による新たなニーズ獲得事業
    販売の場面における新たな訴求力の創出を通じ、消費者の多様なニーズに応えるサービスを提供することを目的とするもの
  • ICT技術の活用による製造・流通の高度化・効率化事業
    これまで専門家の経験等に依拠していた作業にICT技術を活用することによって専門家の技能とICT技術との相乗効果を創出する等、製造・流通の高度化・効率化を図るもの
  • 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により顕在化した課題への対応のための事業

・補助対象となる経費の内容:1.機械装置・システム構築費2.施設整備費3.借損料4.設計・デザイン費5.原材料等費6.マーケティング調査費7.通信運搬費8.会議費9.産業財産権等取得等費10.雑役務費11.謝金12.旅費13.広報費14.委託費

・補助率:最大2/3

・対象要件: 3~5年の事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる事業計画を策定していることが全てに共通する要件として掲げられている。さらに、補助上限額が400万円の場合は、直近2期の決算期において連続して売上が減少していること又は、2020 年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高又は合計課税移出数量が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月から3月)の同3か月の合計売上高又は合計課税移出数量と比較して減少していることのいずれかに該当する必要が求められる。また、補助上限額が500万円の場合は、共通の要件に加えて3~5年の事業計画期間において、売上額又は付加価値額を年率平均3%以上増加させる事業計画を策定していることが求められる。

・申請方法:メール又は郵送

・応募期間:令和5年4月28日

・補助金額:最大400又は500万円、最小50万円

・採択率:約45%

補助対象者が酒類事業従事者と制限がかかっているため、その他飲食店や小売業等には適応できないのが難点であるが、その分申請数も少なく、各自治体による補助金と同様、比較的敷居が低くなっている点が魅力である。また、給与支給総額を増加させる等の要件は掲げられているが、補助金額も比較的高く、補助対象となる経費の内容も充実しているため、販路の拡大や業務の効率化を目的として今後の事業を行う酒類事業者には最適な補助金と言える。

 

 

その他の補助金及び援助制度

 

ECサイトの構築や運用とは少し異なるが、企業が新たな取り組みを行う際にそれを支援する制度が国から提供されている。以下に活用の可能性が高そうなものを2つ紹介する。

 

 

「成長型中小企業等研究開発支援事業」

成長型中小企業等研究開発支援事業は中小企業者等が、ものづくり基盤技術及びサービスの高度化に向けて、大学・公設試等と連携して行う研究開発等を支援対象とするもの。

・補助対象者: 中小企業者を中心とする共同体

・補助金の設置枠

  • 通常枠
    中小企業者等が大学・公設試等と連携し、高度化指針を踏まえて行う研究開発等を支援するもの
  • 出資獲得枠
    高度化指針を踏まえて研究開発等を行う中小企業者等であって、補助事業開始から補助事業終了後1年までの間に、当該研究開発プロジェクトに関し、ファンド等の出資者からの出資を受けることが見込まれる事業者を支援するもの。

・補助対象となる経費の内容:1.物品費2.人件費・謝金3.旅費4.その他(外注費・運搬費・クラウドサービス利用費など)5.委託費6.間接経費

・補助率:最大2/3

・対象要件:本事業に要する補助金の配分は、中小企業者等が受け取る補助金額が、共同体全体の補助金額の「2/3以上」であること・研究開発を伴わない販路開拓のみの事業等でないこと・高度化指針に記載された内容に関する研究開発等の事業であることの3点が掲げられている。

・申請方法:電子申請システム

・応募期間:令和5年4月20日まで

・補助金額:最大3億円(3年度の場合)

・採択率:約10%以下

成長型中小企業等研究開発支援事業は、企業が大学等と連携して研究を伴う事業を行う際にそれを支援する仕組みであることから、他の補助金のように単なる販路拡大等に利用することは難しい。ただし、学術機関等と連携することによって、事業のデータ分析やマーケティングのために用途を見いだすことも可能だと考えここで紹介した。

 

 

「地域デジタルイノベーション促進事業」

地域デジタルイノベーション促進事業は地域の特性や強みとデジタル技術をかけあわせ、新たなビジネスモデルの構築に向けて地域企業等が行う実証事業(試作品製作、事業性評価等)に要する費用を補助し、地域発のデジタルイノベーションの先進事例の創出・普及を目指すもので、市場調査や、構築したビジネスモデルを他地域に普及する活動を行うことが出来る。よって、店舗のみで商品を販売していた企業が、オンライン販売や広告を出す、新たな地域での販売を可能にするなど、様々な用途に合わせて申請するべき支援制度と言える。

 

 

当記事で紹介した全補助金の各種詳細データ(エクセル版)はこちらからダウンロードできます。

※ログインして頂くとデータをダウンロードすることが出来ます。
※アカウント作成する方は、作成後再度このページへアクセスしてダウンロードしてください。

 

 

ECサイト補助金を活用し、運営構築をすすめるには

 

補助金は基本的に対象となる事業を行い、その後に申請をすることで給付される仕組みだ。そのため、事業にかかる諸経費は一度企業側が負担する必要があるため、注意が必要だ。さらに、補助金を申請するにあたって必要な書類は必ず複数あり、申請不備や申請漏れによって審査に落ちてしまう場合もあるので、細心の注意を払って書類の作成に臨むことが求められる。加えて、事業再構築補助金・IT導入補助金を中心として、多くの補助金制度には企業側が補助金を受け取った後に、事業の報告が必須となっている。その際に、申請時に提出した事業計画書と乖離していると、受け取った補助金を一部又は場合によって全額返金となるリスクがあるため、補助金を受け取ったあともケアすることが求められる。

 

ここで紹介した補助金制度の中で、活用の可能性のあるものを把握し、是非ECサイトの構築・運用の資金的な手助けになってもらえたら幸いだ。