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大規模ECシステムのニューノーマルへの対応の鍵は、フロントは柔軟に、バックは堅牢に

大規模ECシステムのニューノーマルへの対応の鍵は、フロントは柔軟に、バックは堅牢に

トレンド
2020/04/22

大規模ECシステムのニューノーマルへの対応の鍵は、フロントは柔軟に、バックは堅牢に

 

テクノロジーの進化、そしてユーザーへのECサイトの浸透に伴い、大規模ECシステムも以前とは異なるニーズが現場、そして消費者から出るようになってきている。そんな中で発生した、世界の常識を大きく変えたコロナ禍により、我々の価値観も大きく変わりつつある。それに伴い、大規模ECシステムに求められるものも再定義が必要になってきている。そこで今回は、これからのニューノーマル時代に大規模ECシステムに求められる要件として、「フロントは柔軟に、バックは堅牢に」をテーマに考えていく。

 

※この記事は、Salesforce Commerce Cloudなどのデジタルマーケティング・コマース基盤構築を行っているTISインテックグループ社から情報提供を受け、大規模ECサイト構築のポイントを紹介した記事である。大規模ECシステムを構築するために必要なポイントをまとめて確認できる「30のチェックポイント」はこちらからダウンロード下さい。

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ニューノーマル時代の消費者行動の変化と大企業側の変化の必要性

 

コロナ禍は、世界の常識を大きく、そして一気に変えたと言って良いだろう。その中でも消費者行動は予想もしない規模で一気に変わっていった。例えば、リアル店舗へ行く場合は必要最低限となり、不必要に来店する習慣は減っている。また、その結果、店頭からではなく、オンラインからの情報をより重視するようになったという変化もある。また、外での贅沢をしにくくなった替わりに、オンラインでの贅沢を楽しむようになったという声もある。

このように見ていくと、今回のコロナ禍によって、消費者のオンラインシフトは一気に行われたことが分かる。そして、店頭の従来の役割は大きく変わっていくだろう。そんな中で、大企業は今までの延長線上でECサイトを考えていていいのだろうか。店頭を補完する形で後付け的にECサイトを展開してきた企業は多かったが、今後はそのような位置付けからは変わっていく必要がありそうだ。

 

 

ユーザーはニューノーマル時代のECサイトにどのようなことを期待しているのか

 

サイトから全ての情報にアクセスすることを重要視

GMOペイメントゲートウェイの調査によると、利用するECサイトを選ぶ際には、サイトの使い勝手の良さが54%で2位にランクインされ、リピートしたいと思うサイトについても使いやすいサイトが49%で2位になるなど、コロナ禍以前からサイトが使いやすいことが重要視されていることが分かる。また、今回のコロナ禍によって、今までオンラインをあまり活用していなかった高年齢層のユーザーの利用が増えており、ますます使いやすさは重要となってくる。その上で、店頭に足繁く通わなくなった多くの消費者はサイトから全ての情報にアクセス出来ることを当然のように望んでくることになるだろう。

 

サイトが安全に利用できること

同じ調査で、利用するECサイトを選ぶ際にセキュリティ対策がしっかりしてあることが51%で3位に、リピートしたいと思うサイトについては信頼できるサイトであることが54%でトップになるなど、サイトが安全に利用できることも非常に重要な要素となっている。またこの要素は前項と同じく今までオンラインを敬遠していたユーザーにとって、サイト上での安全性は非常に重要なポイントとなる。

 

スマートフォンによるアクセスを優先

ここ数年ECサイトは多くのユーザーの利用が進んでおり、PCだけでなくスマホやアプリでの利用も進んでいる。MMD研究所の調査によると、ECサイトを利用する際の利用デバイスはスマートフォンが74.7%で、PCが38.6%となっており、多くのユーザーが(購入はしないにせよ)スマートフォンでのアクセスを行っている状況だ。

 

最新も含め多くの決済手段に対応すること

Paidyの調査によると、ECサイトで希望する決済方法が選べない場合、7割のユーザーが離脱するという結果が出ており、例えば、数年前に登場したAmazon Payや、最近のトレンドのスマホ決済サービスの登場など、新しい決済手段への対応はECサイトにとって欠かせないものとなっている。また今後のニューノーマル時代において、店舗とオンラインの垣根がなくなり、より一層決済手段の多様化は進んでいくだろう。

 

適切なタイミングでリマインドがあること

ユーザーの多くはECサイトで商品を見て、購入を即決するわけではない。そのため、一斉メールではなく、個別に適切なタイミングでリマインドをもらえると嬉しいものだ。ナビプラス社の調査によると、一斉メールでの売上効果はほとんど無いものの、個別のニーズを踏まえたリマインドメール(この調査ではカゴ落ちメール)では多くの売上を記録する事がわかっており、ユーザーには適切なタイミングで、適切なコミュニケーション手段でのアプローチをすることが求められている。特に今後は店舗での行動も含めた行動履歴をもとにしたアクションをスムーズに行っていくことが重要になっていくだろう。

 

このように、いずれもニューノーマルにおける、店舗とECサイトの役割の再定義や、利用するユーザー層の拡大と共に、必要な内容が変化していくものが多く、ECサイトと言うのは常に進化と変化が求められているものなのであることが分かる。

 

 

大規模ECシステムが抱えてきた課題

 

そのようなトレンドの中で、今の大規模ECシステムはどのような課題を抱えているのだろうか。

現存する多くの大規模ECシステムは、各事業社のオリジナルかつユニークな業務要件をシステムに反映させている。そのため、ECシステムだけでなく、関連する基幹系システムなども含めて、多くのカスタマイズが入っているのが一般的だ。多くのカスタマイズが入っているから結果的に大規模になっているともいえる。

しかし、今回のコロナ禍をはじめ、世の中のテクノロジーの進展や、ユーザートレンドの変化は早く、構築時には想定もしていない要件の追加や変更が発生するケースがECシステムでは非常に多い。そもそも、このような大規模ECシステムの構築方法は、社内システムのような長く要件に変更が発生しない領域ではFITするものの、ユーザーとの接点を持ち、常に最新のトレンドを追う必要があるようなECシステムには向いていないとも言える。

そのため、時代の流れに継続的に対応していくためには、ECシステムだけでなく、ECシステムと連携している各システムへの改修も必要になってくるため、改修だけでも大規模な投資が必要となるという問題がある。その結果、多くの要件への対応を費用対効果の観点から見送るケースが増えてくるため、フロント側が時代のニーズから取り残されるケースが多くなってきている。そもそもUXやブランディングなどは成果が数値化しにくいこともあり、費用対効果の議論では常に勝ち目は少ないのだ。

そのようなサイクルが、多くの大規模ECシステムの周辺で発生しているため、大規模ECシステムは柔軟性がない→簡単にアップデートが出来ない→高いコストがかかる→時代に取り残される、という悪いサイクルに陥るのだ。

 

 

様々なプラットフォーム形態の登場

 

一方で無視できないトレンドとして、プラットフォームの形態の選択肢が増えてきたこともあげられる。従来の基幹系のシステムなど、多くの大規模システムは歴史的に社内やデータセンター等の固有の物理サーバー上に置かれることが多く、セキュリティの観点からのそれが理想的だと言われていた。その流れでECシステムを構築する際にも、そのような前提での構築が行われることが多く、また基幹系システムとの連携においてもその方が都合が良いケースも多かったため、多くの大規模ECシステムは、各社の物理サーバー内で稼働していた。

しかし、ここのところ、大規模システムとは言え、クラウド化が進み、SaaS、Paas、IaaSなどの形態でのシステム提供が大規模システムでも可能となってきている。そのため、そもそもECシステムとはどのような形態での提供が理想的か、という議論が進んできている。

 

 

ニューノーマル時代の大規模ECシステムに求められるもの

 

このような背景から、ニューノーマル時代の大規模ECシステムには大きく3つのポイントが求められると考えられる。

 

全システムの中でのハブ的機能

ECシステムは、今やありとあらゆる情報との連携が必要となっている。例えば、フロント側はリアル店舗と連携した顧客対応やマーケティング戦略・オムニチャネル戦略が求められており、バック側では在庫管理や物流連携、場合によっては生産プロセス連携なども必要になってきており、多くのシステムとの連携が必須となっている。

また、デジタルだけではない企業戦略にも対応する必要があり、即時にニーズに対応することと、それを低コストで対応しつづけることも重要となっている。また、各種業務を効率的に推進できること、各業務の担当組織が細分化されていても業務が遅滞なく回ることが必要となっている。

このような中で、ECシステムは、ECシステムだけでなく、関連する業務システム全体を俯瞰して効率的に連携する必要が今まで以上に求められているのだ。そのため、どのようにECシステムを位置付け、他のシステムとどのような連携を取って行くべきかをしっかり考えてシステムを構成していく必要がある。このように、それらのシステムを効率的に有機的に連携させるハブ的機能が求められるのだ。

 

理想的なECシステムの分離・連携

柔軟にユーザーのニーズに対応を行い、投資対効果を高めるためには、ECシステムは分離・連携をしっかり考え抜かれたプラットフォームである必要がある。ユーザーとの接点となるフロント側と、業務システム連携が重要なバック側を上手に分離し、それぞれに適切な役割分担を持たせることが重要となってくる。

フロント側では、PC向けだけでなくスマートフォン向け、モバイルアプリ向け等のマルチデバイスに対応しつつ、それぞれの特性に応じた、新しい決済手段への対応や、キャンペーンやクーポン・ポイント施策等のマーケティング戦略とオムニチャネル対応を行うことで、各種のニーズに迅速に対応していきたい。

バック側では、店舗を含めた各種フロントからの情報を集約し、受注・在庫管理などのバックオフィス業務の効率化を図ることで、コスト削減など運用面での効果を高めたい。

そして、この分離したフロント側とバック側を疎結合化、すなわち、ニーズに迅速に対応するフロントと、業務に特化したバックを、APIを介して連携させることで双方の特性を吸収しつつ、改修時の影響範囲を極所化していく必要があるのだ。

 

インフラ基盤の投資対効果の最大化

インフラ基盤は業務量・受注量・アクセス量のピーク時に合わせて用意するのではなく、クラウドサービスを活用してボリュームに応じた必要リソースを都度確保するようにしていきたい。これによって、インフラ基盤の投資対応効果を最大化することが可能になる。

 

 

事例

 

富士フイルムのPrints & Giftsサイトでは、2018年7月に大規模なリニューアルを行い、今後十数年を見据えたECシステムに再構築を行った。(事例詳細

 

従来、FUJIFILMのイメージング事業の一環として、提供されていた同サイトは、スマホ最適化が遅れており、またレコメンド機能などの顧客1人1人によって情報を出しわけるなどのマーケティング機能が脆弱と言う課題を抱えていた。

そこで、適切なシステムの分離を行い、基幹システムとの連携を実現。

その結果、注文の処理状況を一元的に把握できるワークフローが構築され、ユーザー個別のバナーやリンクメニューをレコメンドする仕組みも実現。これにより、バナーをクリックした人の成約率を、以前の2~3%から7%に引き上げることに成功した。ユーザーの属性、購入履歴、閲覧したページ情報などすべてをミックスして自動解析し、最適な商材やキャンペーンを表示するため、学習データを用意する必要がないこともあり、昨対比で125%の売上アップを記録するなど、順調に成果を上げている。

 

 

フロントは柔軟に、バックは堅牢に、のその先に向かって

 

ECシステムに関わる環境は今後も変わり続けていくだろう。多くの新しいテクノロジーが勃興し、そもそもECサイトと言う概念すら不要となる日も近いと言われている。そのような中で、大規模ECシステムは、目先の業務にとらわれ過ぎずに、しっかりと未来を見据えた形でシステム構成を検討していく必要があるのではないだろうか。

 

 

大規模ECサイトをトータルで支援するTISのコマースソリューションとは

 

TISインテックグループが提供するコマースソリューションは、Salesforce Commerce Cloudを中心に、フロントエンド、バックエンド、基幹システム、POSなどの店舗系システムそれぞれのデータを繋ぎ合わせることで、継続的に収益を増加させていくための仕組み作りを実現することができる総合プラットフォームの導入をワンストップで提供する。

▲Salesforce Commerce Cloudを中心としたECシステム連携イメージ(例)

TISインテックグループがこれまで15年以上に渡り培ってきた、国内有数規模の大規模ECサイトの構築・運用ノウハウを取り込むことで、スムーズにシステムを構築する事ができるだけではなく、数多あるデータをどのように収集し、分析し、施策を実行するかというマーケティングのサポートも可能。素早くPDCAを回すことで業務全体を効率化しすることができる。

 

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