チャットボットを使ってオンラインショッピングをした消費者の約81%が、AIの助言をもとに購入を見送っている。


Semrush(デジタルマーケティングプラットフォームを提供する米国企業)の最新の調査によると、AIを利用する消費者の半数以上が、チャットボットから得た情報をもとに購入を見送ったことがあるという。オンラインショッピングでチャットボットを利用する人の場合、その割合は約81%に達する。

マーケターにとって、これは「AIの回答に自社商品を登場させる」という課題を超える、より深刻な問題を生み出している。ユーザーにブランドを知ってもらうきっかけになるはずのチャットボット。しかし、Semrushが米国の成人2,338人を対象に実施した新たな調査によると、ユーザーの購入候補からそのブランドを外す理由を与えてしまうこともあり得るというのだ。


AIの推奨には両面性がある

AIは、どちらの方向にもかなりの説得力を持つ。AIユーザーの約58%がチャットボットのおすすめ商品を購入した経験がある一方で、同じ割合のユーザーがチャットボットの情報をもとに購入を見送っている。週に複数回AIを利用する人は、80%以上がAIのおすすめ商品を購入したと回答している。

レビューは、こうしたマイナスの面を特に深刻なものにする可能性がある。全消費者の74%以上が、チャットボットから賛否が分かれたレビューや否定的なレビューを提示された場合、「その商品を購入する可能性が少なくとも多少は低くなる」と回答。AIユーザーに限ると、その割合は85%以上に跳ね上がる。 一方で、AI利用者の約59%がチャットボットの推奨を通じて新しいブランドや商品を発見しており、約71%が「チャットボットは最適なブランドや商品を推奨できる」と考えている。つまり、AIは貴社商品を買い物リストに載せることもできれば、それをリストから外す理由を与えることもあるということだ。


AIは、一部の検索行動を担いつつも、Googleに取って代わっているわけではない

これは、消費者がGoogleをやめてChatGPTに移行しているという話ではない。全消費者のうち、商品調査にAIチャットボットを利用しているのはわずか29%にすぎない。週に1回以上AIを利用する人に限ると、その割合は55%に上昇する。この層では、商品調査におけるチャットボットの利用率はすでに、「友人や家族」、「ソーシャルメディア」、「小売サイト」、「YouTube」を上回っている。ただし、「検索エンジン」や「レビュー」の利用は、依然としてチャットボットより上位に位置している。

また、AIユーザーの65%が「商品に関するGoogle検索の少なくとも一部がチャットボットに置き換えられた」と回答した。一方で、半数近くは、購入調査におけるGoogleの利用全体について、「過去1年間で変化していない」と回答している。

つまり、マーケターが目にしているのは、あるチャネルが別のチャネルに取って代わるという現象ではない。むしろ、新たなチャネルが既存の選択肢に加わっているのだ。買い物客は、購入決定の過程で、Google、レビュー、Webサイト、AIの間を行き来することがある。つまり、ブランドにとっては、検討対象に入る機会が増えると同時に、候補外となる可能性も生まれているということだ。

 

広告で露出を増やしても、問題は解決しない

分かりやすい対策としては、チャットボット内に広告を出すことが考えらえるかもしれない。確かに、そうすれば消費者に見てもらうことはできる。ただし、5分後に誰かが「この商品はいいか?」と尋ねたときに、チャットボットが何と答えるかまではコントロールできない。

また、信頼性の問題もある。消費者の約42%はチャットボットの広告を「嫌い」と回答したのに対し、「好き」は20%、「どちらともいえない」は38%だった。広告を嫌う人のうち、66%は「広告があると、AIの回答の信頼性に疑問を抱く」と答えている。



これこそが、マーケターにとって難しいところである。お金を払えば、消費者の目にブランドを触れさせることはできる。しかし、消費者が「競合他社製品と比べてどうか」「顧客からトラブルの報告はあるか」「その価格に見合う価値があるか」と尋ねたときに、彼らが受け取る回答まで買うことはできないのだ。

消費者は、AIに「何を買えばいいのか」だけを聞いているわけではない。 「そもそも、あなたの会社から買うべきか」を聞いているということなのだ。


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※当記事は米国メディア「MarTech」の9/18公開の記事を翻訳・補足したものです。