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続々登場するECサイト向けWeb接客サービス - 主要13サービスまとめと今後

続々登場するECサイト向けWeb接客サービス - 主要13サービスまとめと今後

マーケティング
2016/03/23

続々登場するECサイト向けWeb接客サービス - 主要13サービスまとめと今後

 

サイトに訪問したユーザーに対してクーポンなどを表示してコンバージョン率を高める“Web接客サービス”。ここ1~2年の間に始まった流れだが、各社が続々とサービスの提供を開始している。今回はその中でも個性的なサービスを見ていき、主要13サービスのまとめと今後について考えていきたい。

 

<参考>

人工知能(AI)でECサイトのマーケティングオートメーションはどのように変わっていくのか

ECサイトのコンバージョン率アップの切り札となるのか - Web接客サービスの究極の「おもてなし」

オンライン上の接客は顧客から個客へ - ECサイト運営もビッグデータの恩恵を受けよ

 

 

Web接客サービスとは

 

Web接客サービスとは、サイト上でのユーザーの行動履歴や購買履歴からユーザー一人ひとりに合わせた最適な接客を行うサービスだ。これによって、実店舗に近い“おもてなし”をオンライン上で実現しその結果コンバージョン率が向上することが期待される。

実店舗と異なりface to faceのコミュニケーションのできないWeb上では、これまで「接客」という概念はほとんどなく、あったとしても全ての顧客に同一の対応をするものだった。しかし、ユーザーがオンラインでの購入に慣れてきて、購入先の選択肢が増加し、事業者側にとっては売上の大幅な向上が難しくなっているのが現状だ。そういった事情もあり、コンバージョン率を向上させるアプローチがEC業界で今注目を浴びている。そのアプローチの一つとして挙げられるのがWeb接客サービスなのだ。

それでは、その中でも個性的なWeb接客サービスを5つ見ていこう。

 

 

テモナ「ヒキアゲール」

 

テモナが運営する「ヒキアゲール」は、リピート通販に特化したコンバージョン率アップを目的とした自動販促ツールだ。

Webサイト上のユーザーの行動履歴や購買履歴、国や住所、年齢、性別、嗜好などのビッグデータを元に、最適なページをパーソナライズして自動的に表示するというサービス。通販サイトに専用タグを設置することで、専門知識不要で運用から成果確認まで簡単に使用できる。「CPOを1,000円下げることの実現」、「コンバージョン率のアップ」がテモナが掲げている目標だ。このサービスの強みは、2ステップ引き上げを代表とする「ステップクリエイティブ機能」だろう。この機能によって、すでにお試し商品を購入している顧客に同じお試し商品の案内をするなどの無駄を省くとができ、効率的にリピート顧客を引き上げることができるのだ。またテモナが提供しているたまごリピートでは800を超える導入実績があり、健康食品などのジャンルで豊富なデータの蓄積があるため、個人個人に合わせて100種類以上の実施メニューを提供することを可能としている。

またテモナは、小規模なECサイトでも有効なプロモーションを行えるようにと、この2月8日から無期限無料プランの提供に取り組んでいる。これは通常リリースしているものとは別で、ある程度機能が制限されている。

 

 

空色「OK SKY」

 

空色がこの2月26日に提供を開始した「OK SKY」は、チャットを主軸としたリアルタイムなWeb接客を実現するソリューションだ。

このサービスは、パソコン・スマホを問わず、サイトを訪れた個々のユーザーをチャットでサポートするというもの。この接客の主軸となるチャットでは、人が介在して行われるため機械的な案内や提案ではなく顧客のニーズを正しく反映した柔軟な対応が可能である。チャットの対応は、実店舗での接客経験のある熟練スタッフが行う。このように、サイト内のコミュニケーションにチャットを用いることで、電話や対面と同等のリアルタイム性を担保。チャットに適したバックエンドシステムにより来訪者のニーズ把握と提案すべきサービス・商品をスムーズに選択することが可能となる。

Webサービスでのコンバージョン率をアップさせるだけでなく、エンドユーザーである来訪者の利用率向上や実店舗への送客も実現されるだろう。さらに、接客から商品提案までチャット内で完結しているため、商品選定に悩んでいる顧客に対して、提案から購入検討まで一貫してサポートすることが可能である点も特徴的だ。また、Webサービスでのコンシェルジュ・アプリケーションによってコンシェルジュによる接客を受けながら、商品を実店舗でピックアップするという、Webサービスの良さと実店舗の良さを掛け合せた体験を顧客に提供する点においても、まさに実店舗以上の接客が実現されている。

 

 

ショーケース・ティービー「サイト・パーソナライザ」

 

ショーケース・ティービーが提供する「サイト・パーソナライザ」は、見込み顧客に自動で接客するOne to Oneマーケテイングツールだ。

Webサイト上のユーザーの購買履歴や閲覧履歴からユーザー属性を自動で記録し、各々のユーザーの嗜好に合った接客をする。その際特徴的なのは、バナーを自動生成してファーストビューへ配置するという「トラッキングバナー」機能だ。この機能は、顧客の閲覧履歴から商品をピックアップして、商品リストバナーを自動生成するものであり、自動収集・自動生成なのでバナーを準備・設定する手間なしで実行できる。また、タグを貼るだけで導入できる手軽さも特徴だ。このサービスでは、見込み顧客をマークして商品の自動提示により購入促進を実行することで顧客の購入サイクルを徹底フォローする。そして、サイト・パーソナライザの最大の特徴は、データベースに含まれている情報とはシステム的に連携しない点と言えるだろう。企業が保有するデータベースの連携を必要としない点において、「新規性」および「進歩性」が認められるとして、ショーケース・ティービーは特許を取得している。これによって、企業はシステム開発や個人情報漏えいのリスク対策を別途設ける必要がなくなるのだ。

 

 

Ve Japan「Ve Contact, Prompt, Assist, Ads」

 

Ve Japanが提供する「Ve Contact」「Ve Prompt」「Ve Assist」「Ve Ads」はサイトからの離脱防止にフォーカスすることでコンバージョン率を改善するサービスだ。

Veでは、サイトを離脱しようとしているユーザーへ、チャットやレコメンド機能を持ったポップアップを表示したり、離脱してしまったユーザーにはメールを配信することで、サイトへの再来訪を促すなど、トータルでの機能提供を行っている。

「Ve Contact」は、購入完了または登録完了ページまで至っていないユーザーを対象に、手続き完了を促すメールを適切なタイミングと回数で自動配信するというリマーケティングメールのサービス。「Ve Prompt」は、ユーザーのサイト離脱時にサービスの特徴・キャンペーンの告知・割引クーポンコードなどのポップアップを表示するサービス。「Ve Assisit」は、ユーザーの行動履歴から探していた商品をレコメンドするサービス。「Ve Ads」は、サイトでユーザーが閲覧していた商品を、他サイトへ行った際にも広告として掲載しサイトへの再来訪を促すサービスである。Ve Japanは、これらに代表される複数の効果的なアプリケーションを1種類のタグコードで利用できるという独自の技術をもつ。1行のコードをサイトに設定するだけというシンプルな導入スタイルも特徴の一つだ。初期費用、月額利用料ともに無料で、完全成果報酬型というわかりやすい料金体系となっている。Ve Japanは今や世界中43か国、10,000以上ものクライアントをかかえているという実績あるテクノロジー企業となっている。

 

 

Sprocket

 

Sprocketは離脱防止を前面に掲げたサイトのコンバージョン率改善のためのサービスだ。

 

Sprocketはユーザーが離脱する際の心理に着目しサービスを設計。ユーザーの不安や疑問を先回りして解決することで離脱を防いでいくことで成果を上げていく。またチュートリアル型の接客施策が可能で、クーポンを使わない形での施策も豊富にあり、ECサイト以外での活用も多くなっている。またより高度な利用を想定したSprocket Advanceでは、ゲーミフィケーション要素を盛り込んだ施策パッケージの「ギア」や、それを自動稼動させる「ルールエンジン」の提供も行っている。またサービスのサポートを行うデータサイエンスチームによる分析や接客シナリオの設計支援を行ってもらえる点も心強い。

 

 

主要13サービスまとめと今後

 

今回取り上げた5つのサービスだけでなく、当サイトでこれまでに取り上げた13サービス(zopimflipdeskKARTELiveCallBeMattchSPIKEオートメーションZenClerkB⇒DashヒキアゲールOK SKYサイト・パーソナライザVeSprocket)をここでまとめてみよう。

まず接客機能のリリース時期を見てみると、2014年5月のzopimを皮切りに、わずか1年9ヶ月の間に13サービスが立て続けにリリースされている。確かにコンバージョン率アップはECサイトの至上命題であり、これらの接客サービス以外に分かりやすいソリューションがない現状ではあるが、さすがに提供過剰の印象が否めない。

それぞれのサービスにおいて提供されている機能としては、ユーザーをおもてなしするためのチャットと販促クーポン機能がメインとなる。そして販促クーポン機能の部分について、AI(人工知能)やABテストと言ったトレンドに対応しているかどうかで色付けが変わってくる。さらに、サービスの守備範囲を拡大する上で重要なのが顧客情報の管理とメール配信だ。一部のサービスが顧客情報との連携をしない点を導入による煩雑さが少ないという利点に挙げているように、ここまで守備範囲を広げることはサービス提供側からすると非常に重要な舵取りとなる上に、煩雑さも増す諸刃の剣の要素も含まれる。しかし、Web接客サービスの最大の弱点である「サイトに来訪していないユーザーに対しては手も足も出せない」という問題は守備範囲を広げないことには解決しない。

また、接客を人工知能などを用いた自動で行うか、人間がしっかり対応するかによってもサービスの特徴は大きく変わってくる。必然的にチャット機能を提供するサービスは手動の色合いが濃くなり、人工知能を活用するサービスは自動の色合いが濃くなる。

 

 

近年、「マーケティングオートメーション」「One to Oneマーケティング」 という言葉が急速に注目を集めている。その背景にはビッグデータなどを活用した、マーケティング分野における“個”客対応への意識が高まっていることが影響している。リアル店舗での接客に近い「おもてなし」が既存顧客の維持と顧客のファン化にもつながり、最終的にコンバージョン率・リピート率アップに直結していく構図だ。

人工知能(AI)などに代表されるような技術の進歩とともに、接客においても自動化を求める流れが存在する一方で、先月から提供を開始した新サービス「OK SKY」からもわかるように、人だからこそできる柔軟な対応へのニーズも確かにあると言えるだろう。どこに”機会領域”(さらなるコンバージョン率アップを望める領域、伸びしろ)があるかは各EC事業者が扱っているモノのジャンルや規模によって異なってくる。最終的には運営戦略をしっかり考え、各ECサイトと“個”客との理想的な関係を定義し、それを実現することが出来るサービスを導入していきたい。論点は既に、どのサービスを導入するかではなく、サービスをどのように活用し、各ECサイトの特徴を活かした販促活動を行っていくかに移っているのではないだろうか。

 

<参考>

ECサイトでも使えるマーケティングオートメーションサービスを4つのセグメントで整理してみた