【EC業界スペシャリスト対談】BtoB ECの大いなるポテンシャルと存在意義
eコマースにおける注目の業界のスペシャリストを招いた「スペシャリスト対談」。今回は、EC業界の中でも市場規模が非常に大きく、注目が集まっている「BtoB EC業界」の最前線で活躍されている4名のスペシャリストにお集まり頂き、BtoB EC業界の大いなるポテンシャルと存在意義について語って頂いた。
今回ご参加頂いたBtoB EC業界のスペシャリストは、BtoB EC・Web受発注システム「アラジンEC」を提供している株式会社アイルの江原智規氏、BtoB EC向けの決済サービス「クロネコ掛け払い」を提供しているヤマトクレジットファイナンス株式会社の岡本創氏、BtoB EC向けにも活用されているEC構築パッケージ「Sell-Side Solution」を提供している株式会社コマースニジュウイチの小山守弘氏、BtoBの受発注業務をEC化するクラウドサービス「Bカート」を提供している株式会社Daiの鵜飼智史氏の4名。
いずれもBtoB EC業界で名の通ったスペシャリストだけにどのようなお話を伺えるのか始まる前から非常に興味深かった。それでは、今のBtoB EC業界の最新トレンドと未来が分かる対談を2回に分けて見ていきたい。(後編はこちらから)
※今回参加された各社のサービス紹介資料と、導入事例はこちらからダウンロード出来ます。
BtoB ECの市場規模はBtoCの40倍
経済産業省が発表した2018年のEC市場規模を見ると、BtoCは18兆円、EC化率は6.22%となっています。一方でBtoBは344兆円で、EC化率はついに30%を超えて30.2%となりました。単純計算でBtoB EC市場はBtoC EC市場の19倍、EC化率は5倍程度で、それだけでも非常にポテンシャルの高い市場だと分かりますが、実際にはもっと大きな差、可能性がBtoB EC市場にはあるようですね。
BtoCの市場18兆円の中で、楽天トラベルなどの役務サービスを除く物販ECは9.2兆円です。その9.2兆円の中に、ZOZOTOWNやAmazon、楽天市場のようなモールが入っていて、自社ECの市場自体はおそらく3〜4兆円ぐらいではないでしょうか。配送や決済などヤマトグループで提供させていただいておりますので、そこから見えることとして、BtoCの自社ECは以前に比べると成長が鈍化しているように見えます。3年前くらいから、toCの消費市場はオムニチャネルに向かっていて、決済業界もEC(オンライン)だけの決済代行ではなく、LINE PayやPayPay、メルペイなど、リアルとECの両方にまたがるサービスが増えてきました。BtoCは、もはやマルチチャネル対応できないと厳しく、より体力のある会社でないと勝てなくなってきているのではないでしょうか。
一方、BtoBのEC化率は30%と非常に高く、市場も大きいです。これまでBtoBのEC化を牽引していたのは年商100億以上の大企業同士のEDIが中心で、EDIに投資しようと思うと多額の投資が必要となります。しかし日本国内、とくにヤマトグループの主なお客様は年商100億以下の中小規模の企業です。そこでは、80~90%の商流がアナログチャネル(電話・FAX・メール)である感覚です。こういった背景から、「BtoCのECを実施後、次のステップとして、BtoBのEC化に取り組みたい」という潜在的なニーズがだんだん顕在化しているという認識でいます。
アメリカは先んじて2015年くらいからBtoCのオムニチャネルの成長・成熟が始まっていて、すでにBtoBのECの方にトレンドが移ってしまっています。そういった流れが遅れて3年後ぐらいに日本に来ると思いますが、東南アジアにおけるBtoBは、日本のようにアナログの受発注を通らず、いきなりEC化する流れになっていっています。もしかしたら、BtoBのEC化において日本はむしろ遅れをとっている状況ではないでしょうか。
▲ヤマトクレジットファイナンス株式会社 物流金融事業部 Fintech,パートナーアライアンス担当 BtoB-ECコンサルタント 岡本創 氏
この数値の中で、EDIは実際どのぐらいを占めているんですか?
市場自体を大きく①ラージBtoラージB、②BtoBtoBと呼ばれる仲卸・問屋のような方々、③toスモールbに分けると、②BtoBtoBの卸の領域が半分で50%です。ここから先は仮説ですが、残りの50%のうち①toラージBが40%で③toスモールbが10%という仮説にすると、おそらくEC化率自体が一番高いのは①toラージBの部分、具体的にはトヨタ様やホンダ様に代表される大企業が部品の調達の際に使うEDIですね。製造業系の部品は型番が決まっており、反復調達が非常に多いので、おそらくここのEC化率は、50%をゆうに超えるのではないでしょうか。一方で、100億以下のいわゆる中小の企業ではEDIに投資するのが難しいです。要は、通常買い手側が売り手の提供するEDIの仕組みに寄っていかないといけないのですが、特にスモールbの場合、自社の基幹システムに手を入れることが非常に難儀なケースが多いです。その結果、③toスモールbはいまだに電話やFAXで受発注していたり、メールに見積書を付けるケースが数多く残っており、EC化率は平均で5~10%くらいではないかと考えています。
BtoB ECが直面している「認知度が低い」という課題の本質
非常に大きな市場規模となっているBtoB EC市場ですが、その認知度はそれほど高くないケースもあるようです。どのようなことが原因と考えられるのでしょうか。
BtoB ECは企業間取引をWeb上で行うことを指していますが、BtoB ECという言葉自体が一般的かと言われるとまだまだ確立されていない気がします。ECというキーワードは、日本ではどうしても個人向けのネットショッピングという意味合いでこれまで使われてきてしまって、最近になってBtoBという枕詞をECの前につけるようになりました。例えばオムニチャネルという言葉が流行ったのは、メディアも含めてオムニチャネルという言葉がいろいろなところで言われるようになり、それもあってグッと行きましたよね。BtoB ECはまだその段階までいっていないので、言葉自体が確立されていないのではないでしょうか。弊社はもともと業務システムからスタートしているということもあり、これまでWeb受発注システム、Webオーダー、企業間取引のWeb化など、いろいろな言葉を使ってやってきました。認知度とはまた違いますが、中小中堅企業は経営層が40代〜60代が大半を占めるので、そういった方々がデジタルを使って何かをやるということ自体がどうしても優先順位が低いのだと思います。
▲株式会社アイル BtoB EC推進統括本部 江原智規 氏
確かにBtoB ECというキーワードは後付けでできたようなところがありますし、弊社のメディアで見ていてもBtoB ECのニーズを持って来訪されるユーザーのキーワードはばらけていて、この業界自体を表す言葉が、特定のキーワードに統一されていない感じがします。
BtoB ECというキーワードで検索したら、トップに出てくるのがeccLabさんでその次がアイルさん。よく考えると、BtoC ECも最初から言葉として流行ったわけではありませんよね。楽天市場とAmazonが流行り、それが体系化されてBtoC ECという言葉になった。逆に言うと、BtoB ECではまだ、そういうプレイヤーが確立していないのではないでしょうか。BtoB ECと言うと一般的にはモノタロウやアスクルのようなBtoBモールを想像しがちですが、モールだけでなく、自社ECを表すようなワードとプレイヤーが出てくるとまた違ってくるのではないかと思います。
それはすごく思いますよね。
そうやって追いかける企業が出てきたらもう少し分かりやすくなってくるのかもしれません。モノタロウやアスクル、それからミスミもBtoB ECですが、販売する先を法人や事業者としていても直販的な要素が強いと思います。一方で直販ではなく卸売りをECサイト上でおこなうケースも数多くあるので、まだまだ整理されていないというのが今の状況なのかなと。例えば、楽天から注文を受けたEC事業者がメーカーに発注して、メーカーが購入者へ直送するというドロップシッピングが多い商材もあります。特定の業界の話にはなってしまいますが、インテリア業界はBtoB ECを始めるメーカー様が多いように感じます。背景としては、ネットショップが在庫を持たずに販売するという行為が浸透していたことや、「通販素材.com」という追いかける存在があったことも大きいように思います。
▲株式会社Dai 取締役 B2BソリューションDiv. マネージャー 鵜飼智史 氏
Bカートでは中小企業との接点が多いと思いますが、中小企業独特のBtoB ECの認知が上がらない原因は何が考えられますか?
弊社がターゲットにしているのは中堅中小企業なのですが、実際には大企業のユーザーもおられます。比較的規模の大きな会社の方が、BtoBの受発注業務のEC化を経営課題として課題感をもって取り組まれているように感じます。中小の企業様にもいろいろあるとは思いますが、目の前のことに追われてしまって未来に対してどう投資していくべきかというところまで手が回っておられない。また、そういった情報が届いていないという部分もあると思います。
BtoCのECを担当されている方々は、競合やモールのこと、webマーケティングなど、最新技術を学ぶことを習慣づけていることが多いと感じます。一方、とくに中小企業のBtoBを担当される方々は、社外から情報を得る時間やEC・webマーケティングなどの学習時間をとれていないケースが多いと感じます。BtoBの業務は固定化された社内オペレーションに没頭・忙殺されてしまうケースが多く、例えば業務時間中にネットをみていると「業務時間中に何をやっているんだ」と怒られてしまうこともあるのではないでしょうか。組織内で過去の風習を打開するのが難しいケースが多いのかもしれません。
確かにBtoBの会社の方は、自社の業務のことはよくご存知ですが、社外のことはまったく知らなかったりします。少し軸をずらして他業種の事例をお話しすると、そんな話は聞いたこともないということになる。いかに接点がなく、情報に触れていないかということを感じます。
BtoCに比べて現場の方の意識が外に向いていないのかもしれませんね。
BtoCは不特定多数のお客様をターゲットに新規の獲得を目指し、かつリピーターも大事ですからその両面を意識しています。一方、BtoBをメインにした卸業やメーカーは、毎月何かしらの取引が発生する既存のお得意先様を抱えているので、その対応に精一杯になる。そのようにビジネスが成り立ってきた10年前、20年前と比べて時代は緩やかに変わっているのに、緩やかに変わってきているからこそずっと同じやり方をしてしまっているのかもしれません。デジタルを使ってマーケティングをやろうという観点がとても薄いと感じます。
弊社の場合は、大きな企業様や業種業態などで特殊な課題をお持ちの企業様からお声がけいただくことが多いので、システムの導入検討時にはRFP(提案依頼書)をいただきますが、BtoBの場合、RFPのタイトルはこれまでほとんどが“受発注システム”でした。ただ最近は徐々に、EC+受発注というテーマのものが出てきています。
▲株式会社コマースニジュウイチ ECインテグレーション事業部 シニアディレクター 小山守弘 氏
今後BtoBの現場で、さらにECを活用してもらうために、どのような取り組みをしていくと良いと思いますか?
例えば情報システム部門の方であれば、システムを新しくしたい、変えたいという場合には、まずSIer(エスアイヤー。主に大規模システム導入を行う企業の総称)に相談されるケースも多いと思います。その場合EDIで作るかそれともスクラッチで作るかという選択肢は出てきても、ECが選択肢に入ることはあまりありません。実際には基幹連携も含めBtoBの受発注を適えるシステムをECで作れますし、UIなど考えても馴染みやすいのですが、BtoBの市場ではまだ広く認知されていないように思います。
我々もBtoB ECの認知度向上のためにかなり注力していますが、BtoBの方は事例を出したがらないんですよね。BtoCはマーケティングの側面から事例が出ていることが多く、比較的協力的な方が多い。それに比べてBtoBの方々は意識が社内に向いていることもあるせいか基本的にクローズドだったりします。ここにきてそういった先進的な取組みを対外的にアピールする企業も増え始めているように感じます。
例えば、Mac愛用者にはMacを使っているというプライドがあると思うんです。同じように、BtoBの受発注業務をEC化しているということが、していない人に対して自慢できるような状態になればもっと広がるのではないでしょうか。中にはBカートからお願いしていないのにも関わらず、「いいサービスがあるよ」と、広めてくださる利用者の方もいて、経営者仲間で集まると興味を持たれると教えてくれます。
現場でなかなか重要性を理解してもらえないときには、EC化率の話をするようにしています。BtoB物販でのEC化率は平均で38%ですが、まだEC未着手で(電話・FAXなどの)アナログチャネルしかない場合、「御社は残りの62%側にいますよ」というと、危機感を持っていただけることが多いです。
認知度が低い理由と今後それをどうやって上げていくという面では、BtoCにはない課題が出てきますね。
ECのシステム導入だけ考えていて、その先のマーケティングや基幹システムとの連携まで考えられていないケースもあります。先日、BtoBでECを始めたいという年商1兆円ほどある製造メーカー様にお伺いしました。BtoCでのECの経験から、ECサイトのためのカートなどの仕組みはすでに下調べ済でしたが、サイトを作るだけでなく、サイトに集客するためにはSEOやリスティングなどデジタルマーケティング予算を投下する必要があります。しかし現状では、そういった意識が高くないように感じました。例えば広告予算が売上比1%ぐらいあっても、使っているのはイベントとDMとコマーシャル。旧来からあるアナログな集客手段が中心で、セールスフォースなどのマーケティングオートメーションの説明を受けても、理解できないから採用しないということも多いようです。先ほど江原さんがおっしゃったように、一部のプロセスの改善のために機能要望を出してしまって、見積もり部分だけ受発注システムに変えたいという部分最適だけのケースも多いです。大事なのは全体として、ECシステムがどう組み込まれ、デジタルマーケも含めて事業の商流や構造をどうデザインできるかなんですが、これができる方は大企業でも稀有ですよね。いきなりは描けないにしても、事例を通して全体のアーキテクチャーや事業構造がどう変わっていくのかが伝えられれば、少しは変わってくるのではないかと思います。
BtoB ECの意義は販路拡大だけではなく「働き方改革」と「業務効率化」
BtoB業務のEC化には多くの意義があると思いますが、その中でも最も重要な意義はどのような点でしょうか?。
個人的には意義は2つあって「業務効率化」と「販売促進」だと思います。BtoBの場合、日本は既存取引先とのアナログ業務が多いことも影響してか、G7の中でも生産性はずっと最下位です。デジタル化していないので仕事のやり方 がとても非効率で、業務効率化という点でBtoB ECが確実に改善の1役は担うと思います。もう1つ、BtoCと同様に、BtoB ECは既存のお客様ばかりでなく新たな販売チャネルにもなります。卸業やメーカーは、今の時代に新規開拓の営業人員を増やすことはそれほどできないでしょうし、デジタルマーケティングも苦手なので、せっかくECの仕組みを導入したのなら、既存顧客だけでなく顔を見たこともない既存の営業エリア以外の新しい法人客を対象に、新たな取引に繋げたいというニーズはあると感じます。業務効率化と販売チャネルの新規獲得という2点が意義としてありますし、イコールそれが可能性だと思っているので、もっとBtoB ECはやるべきという流れになったらいいなと思います。
今後労働人口が減少していく中で、業務効率化においてBtoB ECの重要度が上がっていくと思いますが、そういった視点から見てBtoB ECの意義というのはいかがでしょうか。BtoB ECは業務効率化や働き方改革というキーワードと非常に親和性が高いもののように感じます。
業務効率におけるBtoB ECの価値はあると思います。今まで電話やFAXで注文を受けていたところをECにすることで、入力のし直しなど二重三重の手間をかけず、お客様にとってもスマホやタブレットからも注文できる環境を整えられるのでは大きいと思います。
ただシステム化するということであればERPと変わらないと思いますが、BtoB ECの可能性で言えば、最近はライフインフラとしてECを使うことやLINEなどのコミュニケーションツールが使われることも増えてきているので、今後B to Bにおいてもこれらの利便性を求めるニーズは高まってくるのではないでしょうか。
BtoBの分野においても、今はスマホやタブレットから商品を注文するような流れになってきていますからね。飲食店なんかは特にそうですよね。
そうですね。そのあたりは以前ではまったく考えられませんでしたから。
鵜飼さんはBtoB ECを推進する中で、アナログ業務によって疲弊している現場の声を聞くようなことはありませんか?
大企業、中小企業関わらず同じ問題を抱えていると感じます。規模が大きい小さい、意識の高い低いはあると思いますが、現場の声としては同じですね。例えば、BtoCで商品を購入したいと思ったら、サイトを見れば取り扱いの有無や在庫については分かるじゃないですか。でもBtoBの場合は確認できるサイトがないので、とにかく在庫問い合わせの電話がかかってくる。そんなことを1日中やっているわけですが、じゃあ在庫を管理していないかというとそうではない。ただ社外から見える状態になっていないという問題があります。それをECサイト上で在庫情報を見えるようにするだけで、1日中鳴り止まなかった在庫確認の問い合わせが1日数本にまで減る。BtoCでは当たり前に行われていることがBtoBではまだまだ浸透していないと感じます。
ECを活用することで商品や在庫の確認ができるのは、企業側にもお客様側にも効率が良いですよね。今までなら急に電話がかかってきて「明日までに前に頼んだ商品を現場に送ってほしい」と言われるような状況だと、台帳を見直して商品を確認して、在庫を確認して、配送確認して、お客様にまた連絡して、とさまざまな手間が発生していたところがECなら画面ですぐに確認できる。システムを活用するメリットだと思います。
BtoBの領域は昔からIT化はされていますが、クラウドではありませんでした。オフラインで情報処理という名のIT化を進めてきたのですが、クラウドの恩恵を受けてこなかったというのがこれまでの状況かなと。ただBtoBの領域にも、ECだけでなく業務プロセス単位でクラウドサービスはたくさん登場してきています。HRの領域などもまさにそうですが、BtoBの業務がこれから少しずつクラウド化されていって、大企業だけでなく中小企業もその恩恵を受けるようになっていくと思います。
システム化という意味では、ERPの前からホストコンピューターを未だに使っているところもあります。データ反映に1日かかったりリアルタイムで情報を見れなかったり、使い勝手が悪いことは多いようですが、まだ需要もあるようです。でも今後はそれらをクラウド的に……というのは、非常にしっくり来ますね。
決済やファイナンスの観点からは、BtoB ECの意義というのは何かありますか?
これまで売り上げ拡大、業務効率化、コスト、という3つの話をされましたが、4つ目にBtoCと比較した時に利益率をどうやって高めるかという話があると思っています。弊社は決済の会社なので、BtoCとBtoBで請求単価がどのぐらい違うのかある程度わかるのですが、BtoBはBtoCの3〜4倍の請求単価があります。この単価に占める原価、とくに注文と請求のコストを下げることで、粗利を高めることができます。先ほど鵜飼さんがおっしゃったように電話やFAXで注文を受けていると、1つの注文に対して人件費が500円から700円ぐらいかかってしまいます。BtoCは注文単価こそ少ないですが、ECの場合、注文にかかる社内コストは微小です。要はBtoBでは電話とFAXの受注に必要となる人件費を下げられると利益率を上げられるんですよね。
BtoC ECの領域ではデジタル化が進んできて、事業者側でのこれ以上の業務のスリム化も難しいケースが増えてきています。一方、BtoBはまだアナログな部分が多いのでEC化や請求アウトソースで、利益率を上げられる余地が多いと考えます。例えばカタログを年1回出してFAX注文という場合、新商品を後から都度カタログに載せるということができないので、商品カタログを先にしっかり作っておく必要があります。カタログは手に取って見やすい反面、決まった商品の繰り返し注文が多く、1顧客あたりの注文単価がなかなか上がらないという傾向があります。それがECになると、常に最新の商品を掲載できるので、1顧客あたりの単価を上げられます。1顧客あたりの粗利をどう上げていくかを考えた時に、BtoBにはまだまだ改善の余地があって、そういったこともこの市場が拡大しつつある背景の4つ目にあるのではないでしょうか。こんなに売り上げ対比の人件費が高いのは日本ぐらいです。注文や請求をデジタル化して人件費率を下げることで、競争力そのものを上げることが、非常に大きいポイントだと思います。
弊社の事例として紹介させていただいているサントリーマーケティング&コマース様は、FAXでの受注コストとECの受注コストを正確に算出されていますが、それを見ると8割も削減されていることが分かります。皆さんが何か物を買う時に、FAXを使って購入するかということを、個人に置き換えて考えてみたら良いと思います。
そうですね。BtoBをEC化した時にどういったメリットがあるかというイメージが付いていないというのが最大の問題点なのではないでしょうか。
BtoB ECには大きなポテンシャルしかない、というお話を、数々の生々しい事例とともに沢山伺うことが出来た前半だった。次回、後編は、BtoB ECは現場のどのような課題を解決して未来を作っていくのかについて更に深いお話を伺っていく。
※今回参加された各社のサービス導入事例はこちらからダウンロード出来ます。
BtoB EC向けサービス紹介
今回対談にご参加頂いた各企業の提供しているサービスについて紹介していく。
アラジンEC
株式会社アイル
アラジンECは、アイル社が28年間5,000社以上のBtoBのノウハウをベースに構築した、BtoB専用ECパッケージ(Web受発注)システムだ。
企業ごとの商習慣に合わせてカスタマイズ対応が可能なBtoB専用ECパッケージシステム「アラジンEC」は、注文・問い合わせ業務の負荷削減だけではなく、売上アップ・他社差別化のための営業販促ツール、本部と店舗間の出荷指示ツールとしても利用することが可能。非常に特殊な商習慣が根強く残るBtoBの取り引きの細かなニーズへのきめ細やかな対応が可能なシステムだ。
アラジンECの資料をダウンロード
クロネコ掛け払い
ヤマトクレジットファイナンス株式会社
クロネコ掛け払いは、ヤマトクレジットファイナンス社が提供するBtoB決済における業務負荷とリスクを一気に解消する決済サービスだ。
与信から請求書発行、集金、入金管理、督促まで代行するので、決済に関わる業務効率化を一気に実現することが出来る。また、ニーズの多い、初回取引からの売掛対応が可能であったり、最短5分での与信判定などが強みとなっている。
クロネコ掛け払いの資料をダウンロード
Sell-Side Solution
株式会社コマースニジュウイチ
コマースニジュウイチ社が提供するECパッケージCommerce21 Sell-Side Solution(コマース21セルサイドソリューション)は、柔軟で拡張性の高いシステムを提供。ECサイト上の物販のみならず、あらゆるチャネルのオーダー受付ハブとなるデジタルコマースプラットフォームとして活用できるCommerce21 Sell-Side Solutionでは、BtoBに必要な法人管理や掛け売り設定をはじめ、販売製品制御、基幹システムとのリアルタイム連携、またBtoC ECサイトと合わせたサイト運営など、クライアントのビジネスや業種業態に合わせたカスタマイズでの機能開発が特長。また、ソースコードの開示により内製化支援も行っているので、運用保守を自社内や既存ベンダーで行うことも可能だ。
Sell-Side-Solutionの資料をダウンロード
Bカート
株式会社Dai
株式会社Daiが運営するBカートは、BtoB取引を前提として開発された、BtoBのためのECサイト構築サービスのため、BtoC向けのショッピングカートシステムでは対応が難しい複雑な取引条件やシステム要件にも対応し、システムのスクラッチ開発・カスタマイズではネックとなる開発コストや納期といったリスクも、ASPサービスだから最小に抑えることが強みだ。導入社数は500を超えており、BtoB向けでは運営実績NO1を誇る。 Bカートの資料をダウンロード