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アメリカの最先端スタートアップに見る、日本の今後3年のEコマース市場のゆくえ

アメリカの最先端スタートアップに見る、日本の今後3年のEコマース市場のゆくえ

トレンド
2015/04/09

アメリカの最先端スタートアップに見る、日本の今後3年のEコマース市場のゆくえ

 

日本市場より3年ほど先を行っていると言われるアメリカのスタートアップ市場。この市場を分析することが近未来の日本の市場を予想できうるといわれている。今回は近未来の日本市場を予測する方法の一つとしてアメリカでも最も著名なアーリーステージへの投資会社であるYcombinatortechstarsAngelPadLaunchpad LAMucker CapitalのEコマース関連の投資先の傾向から日本にも来るであろうEコマースでのホットなトレンドを探る。

一つの大きなトレンドとしては人による選定を経て、こだわりを感じさせるEコマースマーケットプレイスがある。また他の業界でも流行っているシェアリングエコノミーやモバイル化などの傾向も見えた。

 

 

スキルを持った人が複数の商品をパッケージで提供するキュレーションコマース

 

Memebox

 

MemeboxはYcombinatorから2014年の冬に資金を調達したばかりのスタートアップ。

 

 

韓国の美容小売でサブスクリプション型“でない”タイプの美容ボックスを販売する。それぞれのボックスには韓国から直接来た様々な種類の商品や、豪華なサンプルが詰まっている。

 

 

特徴的なのはそれぞれの商品は社内に非常にレベルの高いキュレーターから、韓国のトレンドに沿ったものを選別されたものであるということだ。それぞれのボックスはキュレーターがこだわりを持って選定をし、一つのパッケージにする。実際にそのキュレーターが中身の商品を使っている写真が載っていたり、選んだ理由やその商品に対するコメントが添えられたりしている。動画でキュレーターがボックスに関して話しているところや、使用方法・使用状況に関してコメントしたりもする。顧客はそれぞれのキュレーターを信頼し、ファン化しているのでレビューもほぼ5つ星になっているが驚きだ。オンラインショッピングにおけるデメリットとして、実際の商品とオンライン上の商品にギャップが存在したであったり、商品の種類が多すぎて選ぶのに時間がかかってしまったりということがある。このMemeboxではこれらのデメリットを解消し、顧客は信頼できるキュレーターからの生の推薦の声や動画、画像を見ることで安心して商品を買うことができる。

 

 

Trunk Club

 

Trunk Clubはシカゴ発のスタートアップで日本でも以前何回か話題になったが、2009年に創業し、Mucker Capitalから2011年に資金調達し、2014年にNordstormが3.5億ドルで買収されたスタートアップだ。

 

 

サービスとしては男性に対してデザイナーが選んだ、パーソナライズされた衣服を定期的に配達するサービスで、オンラインでショッピングする手間を省く。男性は好みのスタイルやサイズ、着心地などを選択すると、実際に服を選んでくれるスタイリストに会うことができスタイリストはその人に合った衣服を選んでくれる。また服を送る前に事前にオンラインで衣服を確認することができ、その後すぐに顧客の家に直接商品が届く。

 

 

さらに試着期間が10日間ありその間に全て試すことができ、その中から好きな服だけをキープし残りは無料で送り返すことが可能だ。まさに忙しいシカゴのビジネスパーソンにとって至れり尽くせりなサービス。以前まではアメリカではデートの時においてもカジュアルなジーンズまたはスーツでかっちりと済ますことが多くわかりやすかったが、最近はカジュアルの中にもオシャレを入れ込むというトレンドが来ている。このトレンドによりTrunk Clubのようなサービスの需要が、ビジネスの町シカゴで特に増えたこともあり、成功したといえるだろう。

 

<参考>

キュレーションコマースへの進化の道程(前編)~藤巻百貨店からhatch、SumallyそしてSTYLESEEKへ

キュレーションコマースへの進化の道程(後編)~藤巻百貨店からhatch、SumallyそしてSTYLESEEKへ

 

 

「人」によるこだわりを感じさせる商品のラインナップで勝負するECサービス

 

Goods of Records

 

techstarsから7~10%の株との交換で118,000ドルを2015年に調達したばかりのGoods of Records

 

 

商品を作る側の作り手のこだわり、どのような想いを持って商品を制作しているか、ということを前面に押し出している。ホーム画面からシンプルな白のバックグラウンドにそれぞれの商品が一つ一つ「作品」のようにディスプレイされていて、ECサイトを見ているのに美術館や展覧会で作品をみているような感覚だ。

 

 

Storiesというカテゴリの中には商品を作っている一人一人の作り手、職人といえる人々が原材料からどのように加工し、どのような想いをもって制作しているかをインタビューページのような構成でみることができる。各ページには動画もついていて、職人がどのような人柄で雰囲気であるかもよりリアルに想像することができる。トップページの半分も使ってStoriesというカテゴリを示していることからもわかるようにGoods of Recordsが作り手自身の「想い」にこだわっていることが強く伝わる。

 

 

Parachute

 

ParachuteはLuanchpad LAから2013年に資金調達を行っており、最高レベルの品質の寝具を購入可能な値段で提供することをサービスとしている。

 

 

ベッドの上での生活を最高の状態にするために、ややこしいマーケティングは行わず、シンプルでモダンな寝具を購入可能な値段で提供する。

 

 

製品はベニスでデザインされ、イタリアの家族経営の製造元から直接出荷するなどがこだわりだ。またこれらを一貫して行うことにより、仲介料などがかかることがないので、最高レベルの寝具をリーゾナブルな値段で提供できる。女性CEOであるAriel Kayeは自身のイタリア滞在時に、すばらしい寝具に出会ったことをきっかけにして、最高の寝具を探しもとめた。しかし最高の寝具が見つからず、それならばと自身で作ってしまうという結論に至ったのがこのParachuteのはじまりであった。Seeing is Believing(=百聞は一見にしかず)の金言にかけて、Feeling is Believingをうたっており、人の一生の3分の1を構成する夜の睡眠を楽しめる、ベストなものになるようにということをビジョンにしている。

 

 

他業界で見られる傾向をEコマースに適応したサービス

 

Storefront

 

StorefrontはAngelPadから2012年に160万ドルを調達したあと、2014年春に730万ドルを調達した急成長中のスタートアップだ。

 

 

サービスの概要としてはリアルな店舗でのショップを開店させたい人が、Storefrontのサイト上でベストなスペースを探すことができるもので、最近流行のシェアリングエコノミー×コマースと言えるだろう。日本のサービスだとietty軒先.jpが類似サービスといえる。またレンタルスペースを探すということだけでなく、支払いや保険に対しての一連のサービスも提供するので数百万の店舗オーナーが店舗開店をするのにStorefrontを利用している。オンライン上でもeコマースを展開させるためのサービスを提供したり、プロモーションの助けになることも提供する。

 

 

Buyou

 

BuyouはAngelPadから2012年秋に資金調達したタブレットアプリ。たくさんの小売店の商品を一つのタブレットアプリから購入する事ができるものだ。

 

 

他の似たようなショッピングサイトやアプリと違い、Buyouは直接小売店と働きかけ、その小売店の方法で広告宣伝をしていくのが特徴だ。またBuyouで商品を買えば買うほど顧客の事を学習していくので、ストアオーナーも行動ベースで顧客にターゲティングを行っていくことができる。モバイルショッピングを念頭においているので、モバイルでの購買経験を最も簡潔に、ベストに行えるような仕組みを提供する。

 

 

日本の今後3年のEコマース市場のゆくえ

 

3年後の日本のEコマース市場はどのようになっているのだろうか。いくらアメリカが3年先に行っているとはいえ、ここで紹介したサービスと同様のものが全て日本に流入して同じようにトレンドになるとは限らない。今回紹介したサービスがどのように日本市場にフィットしていくかを考えてみる。

キュレーションコマースに関していえばすでに日本でも潮流となりつつある。キュレーションの場合はいかにキュレーターが信頼できるかというポイントが重要となる。MemeboxやGoods of Recordsのような「人」のこだわりを見せるというアプローチはおそらく日本市場にはフィットしやすいだろう。Goods of Recordsのようなサービスは日本の伝統工芸品を扱っている職人や、それ以外でもきめ細やかな配慮をなすことができる日本ならではのアプローチがとれるのではないだろうか。おもてなしの精神は日本が世界に誇れるものである。キュレーションでその分野での強みを見せ、「人のこだわり」にフォーカスしたものが出てくる可能性は高い。

また以前はオンラインでモノを買うことに対しての抵抗感があったこともあり、あまり高価なものを買う傾向にはなかった。しかしオンラインショッピングが多くのユーザーに浸透していき、同時に以前はPCで買うことが多かったものもスマートフォン上で買うユーザーも増えてきている。オンラインでの情報の信用性や情報量は増していっており、Eコマース市場は今後薄利多売でロングテールを狙うモデルから、より高価格・高品質の商品も扱っていくようになるのではないだろうか。

はたして3年後の日本のEC市場はどのようになっているだろうか。今から楽しみである。

 

 

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文責: eコマースコンバージョンラボ編集部 Kenji Oda
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