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【米国】ホリデーシーズンに向けオンラインでの消費財の衝動買いも増加の見込み

【米国】ホリデーシーズンに向けオンラインでの消費財の衝動買いも増加の見込み

トレンド
2017/11/15

「オンラインで購入して欲しいのであれば、企業は簡単な購入方法を提供すべき」とSmartCommerceのCEO、Jennifer Silverberg氏は述べている。

ブラックフライデー目前の今から、既にほとんどのオンライン小売業者はホリデーシーズン戦略を講じ、年末までのEコマース売上の最大限の増加を狙っている。ホリデーシーズンのショッピングは、おもちゃや電子機器、洋服などのギフトアイテムが中心となるが、CPG(消費財。Consumer packaged goods)企業もこの時期のEコマース売上のシェア獲得を目指している。

 

<参考>

【米国】デロイト、今ホリデーシーズンのEコマース消費が店舗消費を上回ると予測

 

食料品店で購入されるCPGは、大抵ホリデーシーズンの「お買い物リスト」作成時に最初に思い浮かぶような商品ではない。しかしこうしたCPG市場の購入トレンドは変化してきている。

クリック&コレクトオプション(オンライン購入した商品を実店舗で受け取るオプション)を提供する小売事業者や、Amazonでの販売を始めたCPG企業が増えるにつれ、オンラインでのショッピングリストにCPG商品を追加する消費者も増えているのだ。

米国調査会社1010dataが2017年3月に発表した「オンラインCPG業界レポート」によると、CPGのオンライン売上高は2015年から2016年にかけて36%増加し、104億ドルに達したという。

同レポートによると、2016年には上位3つのCPGカテゴリーである「サプリメント(健康補助食品)」「ペットケア用品」「化粧品」が、それぞれ10億ドル以上の売上を記録。2016年のCPG売上高は同年のEコマース総売上高の2倍のスピードで増加しているのだ。

「多くの消費者がCPGをオンラインで購入するようになったが、買い物の仕方は実店舗でのそれとは異なっている」と、SmartCommerceのCEOであるJennifer Silverberg氏は述べている。Silverberg氏がかつてEコマース支援企業Channel IntelligenceのCMOを務めていた2013年に、Googleが同社を買収した。同社の技術を用いてGoogle Shopping Ads(ショッピング広告)の強化を図るためであった。Silverberg氏と彼の同僚は、Channel Intelligenceのプラットフォームに使用している技術をCPG企業のオンラインでのビジネスチャンスをサポートするために応用できると考えた。

その結果、CPG企業用に改良されたEコマースプラットフォームであるSmartCommerceが開発された。SmartCommerceのCEOであるSilverberg氏によると、SmartCommerceの開発は、実店舗と同様に買い物客にオンラインでも“衝動買い”させることを目標としたという。

「買い物客が、簡単に商品をカートに入れられることが重要だ。カートに商品を入れるために、4、5ステップも必要であれば、買い物客は途中で購入をやめてしまう」とSilverberg氏。「特にホリデーシーズン中は、他のどの時期よりも買い物客を逃す可能性が高いだろう」Silverberg氏によると、CPG市場の特徴の一つとして“衝動的に買い物が行われるカテゴリである”ということが挙げられるという。SmartCommerceは、「デジタル環境でも実店舗と同様に衝動買いを再現したい」というCPG企業の要望に応えることが可能だ。

CPG企業を顧客とする同氏は「CPGのカテゴリに分類される商品で言うと、“もともと(量り売りなどではなく)パッケージ化されている商品分野”から、Eコマースへの移行が進んでいる」と指摘。「いわゆる衝動買いをする対象の商品(例えばスナック菓子やキャンディーといった、通常は食料品の買い物リストに載せないような商品。もしくは、実店舗で見つけ『そうだ、これを買うべきだ』という商品)こそ、オンラインでの売上を伸ばす方法を解明する必要がある」とSilverberg氏は語った。

同氏によると、SmartCommerceを使用することにより、企業は店舗で商品を購入する際と同様に、消費者に衝動買いさせることが可能になるという。

「オンラインで商品を購入して欲しいのであれば、なぜ、簡単に購入できる方法を提供しないのか」と、Silverberg氏。同氏は、今年のホリデーシーズンには、顧客であるCPG企業が、独自にSmartCommerceの技術を活用する方法を見つけていると述べている。

ある企業はPinterest上で、キャンディクラフト(飴細工)商品の「バーチャルバンドル」企画を行なっている。バーチャルバンドルとは、買い物客がキャンディーの入った瓶や瓶のデコレーションに使用しているリボン、中のキャンディーなどのすべてを、ワンクリックでカートに入れることができるというもの。

もう一つの興味深いSmartCommerceの技術の活用例は、3つの別会社による共同プロモーション。さや豆のキャセロール(煮込み料理)の全ての食材を一緒にオンラインカートに入れることができるというものだ。

「食品メーカーDel Monte Foodsが、スープ缶のCampbell’s Soupと料理レシピサイトFrench’s(現McCormick)と提携した企画で、全くの別会社の3つのメーカーによるクリスマス共同プロジェクトだ」と、Silverberg氏。

実店舗では、3つのブランドの商品を一緒に訴求する厚紙のスタンドを野菜やスープの缶詰が陳列された通路に設置し、同様の企画が実施されている。SmartCommerceは、実店舗と同じ共同プロモーションを、バーチャルショッピングで体験できるようにし、消費者がすべての食材を一度にカートに入れることを可能にした。

Silverberg氏は、SmartCommerceを利用する企業について、次のように述べている。「企業はますます創造的なっており、観察するのはとても興味深い」

1010dataの業界レポートの発表リリースにおいて、同社のシニアマーケティングバイスプレジデント、Jed Alpert氏は、CPG企業にとってEコマースはもはや補足的な存在ではないと強調。

「すべてのCPG企業は、自社の商品カテゴリーにおいて消費者がどのようにショッピングしているかを理解し、Eコマースにおいてより良いショッピング体験を提供することで実店舗の売上を補完する方法を検討する必要がある」と語った。

業界の専門家は、今年のホリデーシーズンの記録的なEコマースの売上を予測している。CPG企業のオンライン戦略をサポートするSmartCommerceのようなEコマーステクノロジープラットフォームによって、さらに売上は伸びるだろう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の11/1公開の記事を翻訳・補足したものです。