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ドン・キホーテがWeChat Pay導入、日系企業のWeChat Pay導入が加速

ドン・キホーテがWeChat Pay導入、日系企業のWeChat Pay導入が加速

越境EC
2017/07/05

9.4億人のユーザーを持つ中国最大のSNS「微信(WeChat)」を運営する中国の大手IT企業テンセントは、7月3日、都内で開かれたWeChat Pay海外発表会において、日系企業の店舗へのWeChat Pay導入の手続きをオンライン化するとともに、サービスを拡充すると発表した。

これにより、多くの日系企業が中国人観光客の集客に向けてWeChat Payを導入しやすくなる。WeChat新サービス発表に合わせて、ドン・キホーテは渋谷本店を含む主要3店舗を、世界で100店舗目となるWeChat Pay旗艦店にすると発表。WeChat Payの導入が世界的に加速する中、多くの訪日観光客を顧客に持つドン・キホーテも時流に乗った格好だ。

 

WeChat Payは「決済+会員化」で販促から決済までをトータルサポート

今回のWeChat Pay海外オープンプラットフォームのリリースに際して、まずWeChatチームは日本の加盟店およびアクワイアラーがオンライン上で導入申請をできるようにし、その導入手続きを簡略化した。全面的に日本の加盟店のWeChat導入を受け入れる見通しだ。

そして、WeChat Payは日系企業のために各分野でアップグレードされた新たなサービス「We Plan」を発表。今後はプロダクト、販促グッズ、マーケティング、テクニカルサポートなど、あらゆる面で日系企業の中国人観光客へのアプローチをサポートする。

具体的なサービスとしては、まずWeChatアプリ内のモーメンツ(タイムライン)広告やクーポンなどのマーケティングツールを用いて、効果的な来店促進を図る。日本に旅行中の中国人にはモーメンツ広告が出るようになっており、プロモーションページから店舗クーポンの受け取りができるのだ。実際にユーザーが店舗に来店すると、WeChat Payを利用した決済をすることで、ユーザーは自動的にその店舗の公式アカウントをフォローする仕組みとなっている。これは店舗とユーザーの繋がりを構築し、定期的なお知らせやクーポンの配布などを通じてセカンドマーケティングを可能にする。

 

▲ドン・キホーテとWeChat Payチームの共同会見

 

ドン・キホーテがWeChat Payを導入、主要3店が旗艦店に

また、この会見ではドン・キホーテがWeChat Payを本格的に導入し、中国人観光客へのアプローチを高めていくことも発表された。いち早く訪日外国人観光客をターゲットにしたマーケティングを展開してきたドン・キホーテは、6月29日に中国人観光客の訪問率が高い全国37店舗でWeChat Payを導入。中でも、インバウンドの売上が最も高い3店舗(渋谷本店、新宿東口店、道頓堀御堂筋店)を旗艦店とし、7月〜9月の3ヶ月間でWeChat Payを起点とした集客、顧客管理を集中的に活用し、インバウンド売上の向上を目指すとしている。

ドン・キホーテ東日本営業本部の竹内三善本部長は、「中国内で普及しているWeChat Payによるスマートフォン決済を店舗内で使えるようになれば、訪日客の会計時の利便性の向上につながり、さらなるおもてなしを提供できる」と述べ、約9.4億人のアクティブユーザーを持つWeChat Payによる売上向上に期待を寄せた。

また、ドン・キホーテへの来店客がWeChat Payで支払いをすると、自動的にドン・キホーテのWeChat公式アカウントのフォロワーとなる。これは越境ECサイトである「Donki Global」の会員を増やすことにつながり、商品案内や店舗の最新情報に関する記事配信を効果的に行える。訪日客が帰国後も継続して情報を受信できるようにすることで、リピート客の増大や、口コミによるリーチ拡大で新規顧客の獲得を狙っている。

▲ドン・キホーテの越境ECサイト「Donki Global」

 

WeChat Payは海外でも急速に普及、日本企業も次々と導入

現在、WeChat Payは中国人観光客の訪問率が高い13以上の国と地域で提供を開始しており、10以上の通貨による決済が可能になっている。香港のある有名チェーンがWeChat Payと公式アカウントを導入した結果、中国人観光客のWeChat Pay使用率は45%にものぼり、その平均決済額も25%上昇するなど、ビジネスチャンスとしてWeChat Payを導入している海外企業は増えている。

日本においても、WeChat Payの6月決済数は今年の1月に比べて16倍に上昇。WeChat Pay導入店舗数も6倍以上に達するなど、WeChat Payの急速な普及が進んでいる。例えば、羽田空港の免税店では、WeChatの導入率は75%にもなる。「キャッシュレス」が進む中、日本企業もWeChat Payを導入することによって、増加する中国人観光客の決済のハードルを下げ、さらなる消費を呼び込むことができると期待されている。

 

2016年の訪日中国人観光客は637万人を超えており、訪日外国人の観光客の約4分の1を占める。中国のスマホユーザーの間で最も人気のある決済方法であるWeChat Payを導入することによって、日系企業は中国人の購買を促すことができると予測される。「決済」と「会員化」によって、プレセールス、インストア、ポストセールスのあらゆる段階のマーケティングをサポートするWeChat Payの新サービスは、WeChat Payを導入する日系企業の数をますます増加させる。訪日中国人観光客を大事なターゲットとするドン・キホーテのWeChat Pay導入は、その先駆けとなる。

 

<参考>

日本の5万を超える小売実店舗でWechatペイでの支払いが可能に

【中国】モバイルペイメント市場、2018年Tenpay(財付通)はAlipayを超える見込み