2025年時点最新【2024年EC流通総額ランキング】国内14・海外26のECモール・カート・アプリの流通総額から見る市場トレンド
毎年2月~7月にかけて、世界中のEC業界の各主力プレイヤーが前年の流通総額や売上高を公開している。また、アリババグループやAmazonに代表される主要モールだけでなく、新たにリリースされてから急拡大を続けるTikTok Shopなど正確な流通総額は公表していないモールも市場に追加され、モール全体の動向を把握することはますます困難になりつつある。そんな環境下ではあるものの、eccLabでは、世界の大手ECモール・カート・アプリなどの2024年の流通総額の数値データを推測も含めて紹介していく。今回も国内外の各主力プレイヤーの値を中心に紹介していき、それぞれの市場のトレンドを見ていく。今回は昨年と比較して、これまで推測可能であった3サービスについてを対象から外した。
当記事で使用した全データ(エクセル版、及び高解像度グラフ画像)はこちらからダウンロードできます。ご利用に際してデータ出典元を明記頂いた上で、ご自由にお使いください。
※ログインして頂くとデータをダウンロードすることが出来ます。
※アカウント作成する方は、作成後再度このページへアクセスしてダウンロードしてください。
※資料ダウンロードURLをメールにて送信するため、モバイル端末からでもダウンロード出来ます。
2023年版 EC流通総額ランキング:国内16・海外27掲載
目次
▼国内14サービスの流通総額ランキング ▼海外26サービスの流通総額ランキング ▼国内14・海外26サービスの全流通総額ランキング ▼世界のマーケットプレイス(C2C)14サービスの流通総額ランキング ▼世界のECモール19サービスの流通総額ランキング ▼世界のカート・PKG7サービスの流通総額ランキング |
国内14のECモール・カート・アプリの流通総額ランキング
まずは、国内の14の主力モール・カートサービス及びパッケージ、フリマアプリなどの2024年(1月~12月)の流通総額を見ていく。
※ダウンロードファイルに高解像度の上記グラフ画像も含まれます。
2024年国内14のEC流通総額ランキングから見るトレンド
2024年における国内各社の流通総額は昨年同様に調査対象の4割近くのサービスがマイナス成長となり、国内市場全体の停滞は依然続いているようだ。しかし、昨年マイナス成長となっていたYahoo!ショッピングやカラーミーショップは2024年では立て直しに成功し、加えて市場全体の流通総額は増加を維持していることから、勢いは収まりつつも国内電子商取引の拡大は継続しているといえるだろう。また、2桁成長を実現したのは、Amazon、Qoo10、BASEの3サービスとなり、Qoo10やBASEは昨年に引き続き高い成長率を維持している。
国内の流通総額上位のモールについて見ると、楽天市場がecclabでの調査を開始した2014年以来初めてのマイナス成長を発表したことで最大手であるAmazonの流通総額に大きく差をつけられる結果となった。流通総額で見てみるとAmazonが右肩上がりの成長率を維持し8兆円を突破した一方、楽天市場は6兆円を下回ったことで2兆円以上の差が生じることとなった。また、国内主要モールとしてAmazonや楽天市場と肩を並べると思われたYahoo!ショッピングは、2024年流通総額はプラス成長を発表したものの上位2モールとの差は埋まらず、昨年に引き続き下位のサービスの足音が間近に迫ってきている状況だ。
C2Cサービスでは昨年首位交代を果たしたメルカリが成長を続け、Yahoo!オークションはマイナス成長により1兆円の壁がさらに遠ざかることとなった。
それでは、国内の主力プレーヤーの流通総額をそれぞれ見ていこう。公表されているサービスも多いが、残念ながら公表されていないサービスもある。ここでは公表データだけでなく、eccLabによる推測値も掲載し、流通総額が多い順に紹介していく。
Amazon 流通総額:8兆1,703億円(推測)
米Amazon.comが公開している年次報告書の67ページによると、2024年の日本国内における総売上高は274億100万ドルで、2024年の平均為替レートを150.58円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降、米ドルに対しては全てこの値を使用)、日本円にして4兆1,260億円となった。前年2023年は260億200万ドルだったため、売上高は米ドルベースで前年比5.4%増となっている。
Amazonの売上高については、日本国内でAmazonが売主となるものと、第三者が売主になるもの(マーケットプレイス)の手数料10%程度が合計された値となっており、その割合は未公表だ。eccLabでは2024年のマーケットプレイス割合を55%と推定。このことから、2024年の流通総額は8兆1,703億円、前年比13.7%増と推測する。
楽天市場 流通総額:5兆9550億円(トラベル等含む)
楽天の投資家向け発表によると、国内EC事業の2024年の流通総額は前年比1.6%減の5兆9550億円となった。この値は楽天市場だけでなく、トラベルなどの宿泊流通、ブックス、ブックスネットワーク、Kobo(国内)、ゴルフ、ファッション、ドリームビジネス、ビューティ、Rakuten24などの日用品直販、Car、ラクマ、Rebates、楽天マート、楽天チケット、クロスボーダートレーディングなどの値を含んだものとなっている。
Yahoo!ショッピング 流通総額:1兆7,387億円(LINEショッピング等含む)
Yahoo!JAPANを経営するLINEヤフー株式会社の決算説明会資料によると、2024年のYahoo!ショッピング関連事業の国内流通総額は前年比6.4%増の1兆7,387億円となった。この流通総額には、Yahoo!ショッピング以外にも、「ZOZOTOWN」、「LOHACO」、「チャーム」、「LINEショッピング」、「LINE FRIENDS」、「LINEギフト」、「MySmartStore」、「Yahoo!マートby ASKUL」、「LIVEBUY」が含まれている。2024年8月13日から開始された「Yahoo!クイックマート」が2024年のQ2以降ショッピング事業の対象サービスに含まれ、また2024年のQ3では「MySmartStore」、「Yahoo!マートby ASKUL」、「LIVEBUY」が国内ショッピング事業対象サービスから除外されている。なお、eccLabの集計は2023年1月~12月の値となるため、LINEヤフー株式会社が発表している2023年度通期の値とは異なる。また、「LINEショッピング」は2024年8月20日から「LINEブランドカタログ」にサービス名称が変更されている。
ecbeing 流通総額:1兆2,405億円(推測)
ecbeingはの公式サイトの記事によると、2023年の流通総額が1兆2,405億円となっており、2024年の流通総額については記載されていない。ecclabではこれまでの大幅な流通総額の増加を踏まえて、2024年も前年と同程度の流通総額であると推測し、2024年の流通総額も1兆2,405億円と推測した。
メルカリ 流通総額:1兆992億円
フリマアプリ、メルカリの決算説明会資料によると、国内の2024年のメルカリの流通総額は1兆992億円となった。2023年の国内の流通総額が1兆361億円のため、前年比6.1%増と昨年の約11%の成長率と比較すると下回りながらも成長を続けている。なお、eccLabの集計は2023年1月~12月の値となるため、メルカリ公式発表の2023年度通期の値とは異なっている。
ヤフオク! 流通総額:9,840億円(ZOZOUSED、Yahoo!フリマ等含む)
LINEヤフー株式会社の決算説明会資料によると、2024年のヤフオク!の国内流通総額は9,840億円と前年比1.2%減(昨年分の金額が1億円異なっていた為、増加率の計算も修正している)だった。この流通総額にはヤフオク!以外にもYahoo!フリマ、ZOZOUSEDが含まれている。また、ヤフオク!の流通総額が伸び悩み、Yahoo!フリマが堅調に推移しながらも国内リユース事業は停滞する結果となった。なお、eccLabの集計は2024年1月~12月の値となるため、LINEヤフー株式会社の公式発表の2023年度通期の値とは異なる。
ZOZOTOWN 流通総額:6,084億円
ZOZOTOWNを運営する株式会社ZOZOの決算報告資料によると、2024年のZOZOTOWNの流通総額は6,084億円であった。2023年の流通総額が5,650億円のため、前年比7.7%増となる。また、この金額には受託販売、USED販売、BtoB事業、買取・製造販売、LINEヤフーコマース、その他が含まれている。
MakeShop 流通総額:3,428億円
MakeShopの発表によると2024年のMakeShopの流通額は過去最高の3,428億円で、2023年の流通総額は3,153億円のため、前年比8.7%増となった。この金額は国内のECサイト構築SaaS業界において13年連続流通総額No.1となっている。この背景について、昨年に続き越境ECの活性化が挙げられるほか、近年の企業には欠かすことのできない課題となっている顧客体験向上を支援するための鍵として、パーソナライゼーションを実現するツールをEC事業者向けに提供したこと等が挙げられる。
Qoo10 流通総額:2,790億円(推測)
Qoo10は、ここ数年で大きく運営母体が変わっていることもあり、流通総額は断片的な情報を組み合わせて推測するしかない状況が続いている。eccLabでは今回もQoo10の流通総額の推測を行う。2023年は「2023年も流通総額は2桁成長を実現している」という記事の記述や、「2022年から注力しているファッションECサイト「MOVE」も2023年は大きく成長し、流通総額は前年比4~5倍に伸びている」という記述を元に2,536億円と考察した。2024年は、「前年比で2桁以上の成長率となっている」との記事の記述があることから、前年比10.0%増の2,790億円と予測する。
futureshop 流通総額:2,043億円
株式会社コマースOneホールディングスの決算報告によると、2024年のfutureshopの流通総額は、2,043億円となる。2023年の流通総額は1,979億円となるため、前年比3.2%増となる。また、2023年の流通総額を1,929億円と報告していたが、昨年記事に誤りがあり本記事では1,979億円に訂正している。なお、eccLabの集計は2023年1月~12月の値となるため、株式会社コマースOneホールディングスが発表している2023年度通期の値とは異なる。
カラーミーショップ 流通総額:2,000億円
GMOペパボ株式会社の決算資料によると、2024年のカラーミーショップの流通額は2,000億円となった。2023年の流通額は1,935億円であったため、前年比3.4%増となった。また2023年決算資料公表時点ではカラーミーショップのみの流通総額は公表されておらず、EC関連サービスの流通額推移(カラーミーショップ/SUZURI/minne含む)から「minnne」と「SUZURI」の年間流通額を引いて算出していたため、前年集計データの1,931億円とは異なっている。
BASE 流通総額:1,542億円
インスタントECを提供するBASEの決算説明会資料によると、2024年のBASEの流通総額は1,542億円で、2023年の流通総額が1,359億円で前年比13.5%増となっていた。この背景として、とくに2024年Q4では新規コホート及び既存コホートともに年末商戦に合わせた販売促進が功を奏し、想定以上の売上を達成したことが挙げられる。また月間売店数や1ショップ当たり月間平均GMVも前年同様に成長を続けている。
Creema 流通総額:154.5億円
ハンドメイドサイトCreema(クリーマ)を運営する株式会社クリーマの決算説明会資料によると、2024年のCreemaの流通総額は154.5億円で、2023年の流通総額が165.8億円のため前年比6.8%減となった。また、Creemaは2月期のため2024年の3月~2025年の2月の分を計上している。
minne 流通総額:115.5億円
ハンドメイドサイトminne(ミンネ)を運営するGMOペパボ株式会社の決算説明会資料のp55によると、2024年のminneの流通総額は115.5億円。2023年の流通総額が129.0億円のため、前年比10.5%減となった。流通総額は前期比で減少していたが、サブスクリプション型プランの機能拡充や認知拡大、また国内最大のハンドメイドマーケット「ハンドマーケット2024」を開催など事業展開を続けている。
推測困難なその他のサービス
ここ数年伸長著しいLINEギフトだが、当記事内では、Yahoo!ショッピングの流通総額内に含む形で記載を行っている。しかし、LINEギフト単体での流通総額については、2024年3月期流通総額が前期比29%増が公表されていることに加え、2024年ではユーザー数が伸長したことで前年比130%成長を見込むとされているものの、2024年通年での値は見当たらない。
また、昨年は掲載していたEC-CUBEについては、2100億円の流通総額が公表された後の動向を把握できる情報が無く、2024年の流通総額について推測困難とした。Commerble EC PaaSについても同様に2024年の動向が不明であり本記事では推測困難とした。
加えて、これまで値を掲載していたau PAY マーケット、楽天ラクマ、Eストアーショップサーブ、STORES、リピスト、おちゃのこネットについては、公開されている情報が全く無く、推測することも難しい状況のため、値の掲載を2024年については取りやめた。
海外26のECモール・カートの流通総額ランキング
続いては、海外の26の主力モール・カートサービスなどの2024年(1月~12月)の流通総額を見ていく。こちらも公表データだけでなく、eコマースコンバージョンラボ編集部による推測値も掲載し、流通総額が多い順に紹介していく。
Pinduoduo(拼多多/ピンドゥドゥ)流通総額:95兆716億円(推測)
中国の上海に本拠地を置く共同購入システムのeコマースプラットフォームPinduoduoの流通総額は非公開となっているため、eccLabでは最新資料から推測を行う。中国のニュースサイトでは「拼多多(Pinduoduo)の約5兆2,000億元」といった記事や、Global Top Onlineの資料に「拼多多はGMVで約10億米ドルを稼ぎ」といった記載があったことから前年比16%増、2024年の流通総額は4兆5,884億元、2024年の平均為替レートを20.72円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降、中国元に対しては全てこの値を使用)、日本円換算で95兆716億円と推測する。2023年から勢いは停滞しているものの増減率は右肩上がりを維持し、推測値ではあるがAmazonを上回るほどの規模に成長している。
JD.com(京東商城/ジンドン) 流通総額:93兆2,400億円(推測)
中国大手ショッピングモール京東商城(JD.com)や京東全球購(JD Worldwide)などを運営するJD.comは、2021年の発表から流通総額の記載が無くなったため、資料を合わせた推測を行う。記事によると、「2024年の JD.com のGMVは約4兆5000億元になります」との記載があり、この数値をそのまま推測値として使用すると、JD.comの2024年度の流通総額は4兆5000億元となり、日本円換算で93兆2,400億円と推測する。2023年の流通総額は3兆6,038億人民元と推測していたため、前年比は24.9%増となった。
Amazonグローバル 流通総額:89兆1,399億円(推測)
米Amazon.comが公開している年次報告書の24ページによると、2024年のグローバルにおける売上高は6,379億4,900万ドルで前年比11.0%増となった。この値はEC事業以外も含む。EC事業のみで見ると(年次報告書37ページ)、2,723億1,100万ドルで前年比6.4%増となっている。
2024年の平均為替レートを150.58円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降、米国ドルに対しては全てこの値を使用)、日本円にして41兆46億円となる。この値も第三者が売主になるものが手数料10%程度しか計上されていないため、eccLabでは海外のマーケットプレイス割合は国内よりも多いことから60%と推定。このことから、グローバルでの2024年の流通総額は89兆1,399億円、前年比14.8%増と推測する。
また、2024年の売上高を地域別に見ると、アメリカが4,380億1,500万ドル、ドイツが408億5,600万ドル、イギリスが378億5,500万ドル、日本が274億100万ドル、その他の地域が938億3,200万ドルとなっており、昨年と同様、日本は世界で4番目の売上高を誇る規模になっている。また、本国米国の売上高は68.7%を占めている。
Taobao(淘宝网/タオバオ) 流通総額:85兆7,951億円(2024年4月から2025年3月までの値・推測)
Alibabaグループは事業全体や売上高メインの情報公開となり、Taobao単体の流通総額が掲載されていないため、これまでの数値と最新資料を合わせた推測を行う。また、例年4月から3月までの数値しか公開されていないことから、同期間での値となる。中国のニュースサイトによると「2024年、アリババの年間GMVは8兆1,190億元に達し、歴史的記録を樹立」との記載があることや、2024年に公開された記事に「タオバオは、2024年のGMVが7,238億ドルになると予想され、最大のオンラインマーケットプレイスのリストのトップ」や「同じく中国に拠点を置くTmallが続き、6,827億ドル相当のサードパーティ商品を販売すると予測」との内容が記載されている。これらを踏まえると前年のecclabでの推測比率は2024年も大きく変化しないと予測し、ecclabではアリババ年間流通総額のうちTaobao占める流通総額の内訳はわずかにTmallを上回る51%程度と推測。ここから逆算し、Taobaoの2024年度の流通総額はおよそ4兆1,407億人民元、日本円換算で85兆7,951億円と推測する。前年比は15.3%増となった。
Tmall(天猫) 流通総額:82兆4,306億円(2024年4月から2025年3月までの値・推測)
Taobaoと同じ根拠から、アリババ年間流通総額のうち中国大手ショッピングモールTmall(天猫)の占める流通総額の内訳は49%程度と推測。ここから逆算し、Tmallの2024年度の流通総額は3兆9,783億人民元、日本円換算で82兆4,306億円と推測する。前年比は11.8%増となった。
TikTok Shop 流通総額:72兆5,200億円
TikTok Shopは、2023年9月に正式にリリースされたサービスで、TikTokと同じく、中国のByteDance社が運営を行っている。公式に記載はなかったが、記事によると「抖音(Douyin)の2024年流通取引総額が、前年比30%増の約3兆5,000億元と発表した」と記載があり、日本円で72兆5,200億円となった。また2023年の流通総額は171.57億米ドルと推測していたが、同記事によると前年比は30.0%増となり中国EC市場3位となった。
Shopify 流通総額:44兆130億円
北米大手ショッピングカートサービスShopifyが発表した年次報告書によると、Shopifyの2024年の年間流通総額は2,923億ドルとなり、日本円にすると44兆130億円、前年比23.9%増となっている。また、総収益は2023年と比較して25%増加して89億ドルとなっており、2024年のGMVの伸びは四半期ごとに加速し続け、3年間で最高のGMVの伸びを記録している。Shopify社長のハーレー・フィンケルスタイン氏は「2025 年に向けて、私たちは起業家精神をより一般的にし、Shopify をあらゆる規模の企業にとって頼りになるコマース プラットフォームとしてさらに確立することに取り組んでいます。」とコメントしている。
Adobe Commerce(旧Magento) 流通総額:23兆3,399億円(推測)
米国ショッピングカートサービスMagentoの2024年の年間流通総額は、記事によると2023年と同じ金額が記載されていたため、2024年の流通総額も変わらず1,550億ドル、日本円にすると23兆3,399億円と推測した。また、Magentoは2008年にサービスを開始したのち2010年にeBayによって、2018年にはAdobeに買収されたことで提供元が2度変更になっている。
Shopee 流通総額:15兆1,333億円
シンガポールに本拠地を置くSeaが運営する、東南アジア地域を中心に普及しているC2CモールのShopeeの2024年の流通総額は、Seaの決算発表によると1005億ドルであった。これは日本円に換算すると15兆1,333億円で、2023年の流通総額が785億ドルのため、前年比28.0%増となる。
eBay 流通総額:11兆2,483億円
米国eBay Inc. が発表した投資家向けリリースによると、eBayの2024年の流通総額は747億ドルで、日本円にして11兆2,483億円であった。昨年の流通総額が732億ドルのため、前年比2.05%増となっている。この背景として、2024年はフォーカスカテゴリーや国別の投資、横断的なイニシアチブを含む戦略を実行することでGMVが成長したと報告している。
AliExpress 流通総額:7兆8,000億円(推測)
アリババグループである越境ECプラットフォームのAliExpressの2024年流通総額は、記事によると、518億米ドルとなっており、その数値をそのまま推測値として使用すると日本円に換算して7兆8,000億円となった。昨年の流通総額が285億米ドルのため、前年比82%増となった。
Coupang 流通総額:7兆7,653億円(推測)
2010年に韓国で誕生した大手ECモールCoupangの2024年度の流通総額は、記事によると515億6,930万米ドルとなっており、その数値をそのまま推測値として使用すると、日本円換算で7兆7,653億円、前年比3.89%増となった。Coupangは韓国におけるAmazonのようなECサイトで、最短翌日に届くロケット配送を特徴としており、2021年6月には日本にも進出。ただし、2023年3月10日をもって日本国内でのサービスを終了している。
Mercado Libre 流通総額:7兆7,504億円
アルゼンチンに本拠地を置き、中南米向けにECモールを展開するMercadoLibreの2024年の流通総額は、年次報告書によると514億7000万ドルであった。これは日本円にすると7兆7,504億円となる。また、昨年の流通総額が447億5,000万ドルだったため、前年比15.0%増となっている。昨年より流通額自体も高くはなっているが、円安の影響でさらに金額が大きくなっているようだ。
Lazada 流通総額:4兆9,237億円(推測)
シンガポールに拠点を置き、東南アジア各国で展開するアリババ傘下のモールLazadaの流通総額は、記事によると326億9,800万ドルとなっており、その数値をそのまま推測値として使用すると、2024年の流通総額は日本円で4兆9,237億円であった。昨年の流通総額が322億ドルのため、前年比1.47%増となる。
GoTo(旧:Tokopedia) 流通総額:4兆5,290億円
インドネシアのスーパーアプリ「GoTo」を提供するGoTo Groupは、2021年5月にTokopediaとGoJekが経営統合し設立された企業だ。年次報告書によると、2024年におけるGoTo Groupの流通総額は538兆ルピアであった。2024年の平均為替レートを0.0084円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合(以降、インドネシアルピアに対しては全てこの値を使用)、日本円に換算して4兆5,290億円であった。また、GoToグループは、オンダマンドサービスのGTV定義を見直し、 tollやチップなどの追加料金を含めることを考慮したとして昨年2023年の流通総額が607兆ルピアに訂正されている。これを踏まえると2024年の流通総額は前年比11.4%減となる。
VIP唯品会 流通総額:4兆3,367億円
VIP唯品会の投資家向け情報によると、中国大手のECモールであるVIP唯品会の2024年の流通総額は2,093億人民元、日本円に換算すると4兆3,367億円だった。昨年の流通総額が2,080億人民元のため、前年比0.63%増となる。
Flipkart 流通総額:3兆7,193億円(推測)
2018年にWalmartに買収されたインド最大手のECサイトでありインドのAmazonとも言われるFlipkartの2024年度の流通総額は、記事によると247億ドルと推測され、日本円で3兆7,193億円となった。昨年の流通総額が290億ドルのため、前年比14.8%減となる。
蘇寧易購 流通総額:3兆3,214億円(推測)
中国大手のECモールである蘇寧易購の2024年の流通総額は、公式ではGMVについての記載がなくなっているものの、決算の文章には「中央政府による買い替え奨励政策によって家電製品の消費が加速し、家電製品の全品目の小売販売額は2024年第3四半期に前年同期比7.3%増加と第4四半期には前年同期比24.4%増加」との記載や、ニュースサイトでは「4年ぶり黒字」とあることから、前年比20%増の1,603億人民元と推測。日本円に換算すると3兆3,214億円となった。
Zalando 流通総額:2兆4,849億円
ドイツに本拠地を置くオンラインアパレルサイトZalandoの発表によると、Zalandoの2024年の流通総額は152億9,620万ユーロとなり、2024年の平均為替レートを162.45円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合、日本円に換算すると2兆4,849億円、前年比4.54%増となる。なお、昨年の流通総額は146億3,160万ユーロから146億3,100万ユーロへと修正がなされた。
allegro 流通総額:2兆3,605億円
ポーランドを本拠地として欧州で展開するモールallegroの2024年の流通総額は、決算報告書の28ページによると639億6,900万ズロチであった。2024年の平均為替レートを36.90円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合、日本円にして2兆3,605億円となった。昨年の流通総額が583億7,340万ズロチのため、前年比9.6%増となる。
Etsy 流通総額:1兆8,953億円
米国ハンドメイドマーケットプレイスEtsyの決算発表によると、Etsyの2024年の流通総額は125億8,695万ドルとなり、日本円にすると1兆8,953億円となった。昨年の流通総額が131億6,120万ドルのため、前年比4.36%減となる。また、この値にはEtsy以外にも「Reverb、Depop、Elo7」の3サービスが含まれている。
Vinted 流通総額:1兆8,823億円(推測)
UABグループの衣料品やアクセサリーなどの売買や交換を行うリトアニアのオンラインマーケットプレイス、Vintedの流通総額は記事によると、125億ドルを達成したとされており、その値をそのまま推測値として使用すると、2024年の流通総額は日本円で1兆8,823億円となった。昨年の推測値は107億2,000万ドルだったため、前年比16.6%増となる。
Trendyol 流通総額:1兆6,294億円(推測)
トルコを本拠地として中東地域に展開するモールTrendyolの流通総額は、記事によると108億2,100万米ドルとなっており、その数値をそのまま推測値として使用すると、2024年の流通総額は日本円換算で1兆6,294億円となった。昨年の流通総額が94億4,870万米ドルのため、前年比14.5%増となる。
Bukalapak 流通総額:1兆3,964億円(推測)
CtoCモールを筆頭にBtoBやBtoCなども展開するインドネシアの企業Bukalapakの2024年流通総額は決算報告書の6ページによると第3四半期までのみが報告されており、2024年第4四半期以降は企業方針に従い流通総額を報告しないと発表されている。よって第4四半期の流通総額は、第1四半期から第3四半期の流通総額について発表された前年比増減率をもとに推測する。第3四半期までの平均前年比は1%増程度であり、2023年度の第4四半期の流通総額をもとに計算すると、2024年第4四半期の流通総額は42兆1640億ルピアと推測できる。2024年の第3四半期までの流通総額は124兆767億ルピアであり、合計すると2024年の流通総額は166兆2411億ルピアと推測できる。日本円にすると1兆3964億円となった。
Gmarket 流通総額:9,730億円(推測)
韓国最大のショッピングモールGmaketの流通総額は、記事によると64億6,200万米ドルとなっており、その値をそのまま推測値として使用すると、2024年の流通総額は日本円にして9,730億円であり、前年比11.0%減となった。また、サービス開始時の運営会社はGmarketであったが、2009年にeBay社の子会社となり、現在の運用はeBay Korea社によって行われている。
Hepsiburada 流通総額:4,017億円
トルコを本拠地として中東で広く展開するショッピングモールであるHepusiburadaの2024年流通総額は決算報告書によると1,886億トルコリラとなり、前年比12.1%増となる。2024年の平均レートを2.13円(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)とした場合、日本円にして4,017億円だった。2023年の流通総額の値が1165億トルコリラから1683億トルコリラに遡及修正されている。流通総額自体は増えているものの、為替の影響で日本円での流通総額は減少している。
推測困難なその他のサービス
シンガポールに本社を構えるECサイト構築サービスSHOPLINE、インドの大手ECサイトでありソフトバンクやアリババが出資していることでも知られるSnapdeal、トルコを本拠地として中東地域に展開するモールのn11、はいずれも流通総額を公表しておらず、推測するための情報も存在していない。Amazonが親会社となっているアラブ世界最大のECモールSouqは今年は推測するための情報が見つからず掲載を見送った。また昨年まで掲載していた米国ショッピングカートサービスSquarespaceは2024年10月17日にPermiraに買収されたことが発表されており、2024年の年間流通総額に関する情報が見当たらなかった。
国内14・海外26の各主力プレイヤーの流通総額ランキングから見る市場トレンド
国内14サービス、海外26サービスの流通総額を紹介してきたが、ここで全てのサービスを流通総額順に並べてみる。
※ダウンロードファイルに上記の高解像度グラフ画像も含まれます。
昨年(2023年データ)から、PinduoduoとJD.comがいずれも前年から流通総額を20兆円以上伸ばした90兆円越えを記録したことで、例年首位の座を守り続けてきたAmazonも安定した成長を続けているにもかかわらず逆転した。Amazonは3番手となり、アリババグループのTaobao・Tmallは昨年に続き4・5番手に位置した。またAmazonは、後方につけるTaobaoやTmallとの流通総額の差も徐々に縮まりつつあり、これまで明確だった主要モール間の序列はいまや揺らぎ始めている。さらに、これら5つの主要モールに加え、2024年にはリリースからわずか数年のTikTok Shopが72兆円越えを記録し、一気に第6位の流通総額にまで成長している。後に続くモール群とは大きな差が開いており、その規模からも、新たな主要モールの一角として拡大していくのではないだろうか。
また、世界的にサービスを展開しているカート・PKGサービスのShopify、Adobe Commerceが40兆円、20兆円台で7・8番手に続いている。そして、マーケットプレイスの雄であるShopee、eBayが9・10番手になっており、ここまでの10サービスが10兆円をクリアしている状況だ。
次がAmazon Japanとなるわけだが、これに次ぐグローバルマーケットプレイスであるAliExpressや韓国のマーケットプレイスCoupang、南米のモールMercadoLibreとの差はすでに数千万円程度にまで縮まっている。また、日本市場でAmazon Japanに次ぐポジションにある楽天市場がマイナス成長を記録していることからも、国内EC市場そのものの伸び悩みや衰退傾向が懸念材料として挙げられる。
続いてサービス形態別に見てみよう。
世界のマーケットプレイス(C2C)型の流通総額ランキング
まずは、マーケットプレイス(C2C)型の流通総額を見ていく。
※ダウンロードファイルに上記の高解像度グラフ画像も含まれます。
マーケットプレイス型のサービスは、昨年(2023年データ)と比較し、今年(2024年データ)において大きく成長したサービスがいくつかある。昨年はマイナス成長となっていたTaobaoはおよそ15%の成長率を記録し、続くモールとの差を広げる結果となった。しかしTaobaoの一強体制とはならず、新たな巨大マーケットプレイスとしてTikTok Shopが第2位の座に躍り出た。TikTok Shopの流通総額はその後を追う第3位のShopeeのおよそ5倍に達しており、2024年時点では、マーケットプレイス型サービスにおいてこの二大サービスが他を大きく引き離す構図が明瞭化されている。また、昨年まで3年連続で低迷していたeBayは今年はわずかながら成長傾向に回復が見られている。一方で昨年に比べ成長が低迷しているサービスもある。マイナス成長の要因については昨年に続き、各地域での市場環境やサービス展開方法など多岐にわたるため一概に原因を特定することは難しそうだ。Goto、Etsyは昨年から低迷が続いており、また昨年まで成長率が下がりながらも右肩上がりを続けていたヤフオク!が2019年以来のマイナス成長となった。
数字上では、変わらず中国のTaobaoが一位を堅守したが、急成長を続けるTikTok Shopが迫っている状況だ。昨年同様にAmazonは流通総額の6割がマーケットプレイス型によるものとして計算すると約53兆円となり、昨年の2位から3位に順位が下がることになる。高い成長率により2位に浮上したTiktok Shopが今後もこの急成長を維持できるのかどうかが市場全体を考えるうえでの重要な論点となるだろう。また。揺らがない1位とされていたTaobaoに対し、Tikitok Shopの登場がどのような影響を与えるのか、力関係の変化も追っていきたい。
世界のECモールの流通総額ランキング
次にモール型サービスの流通総額を見ていく。
※ダウンロードファイルに上記の高解像度グラフ画像も含まれます。
ECモールの流通総額は昨年に続き、Amazonグローバル、Pinduoduo、JD.com、Tmallの4強が、それ以下を10倍以上引き離している。しかしこの4強内での順位に変化があり、PinduoduoとJD.comがAmazonグローバルを抜き形勢を覆した。また2024年にはこれら4つのモールでいずれも10%超えの成長率を記録し、各モールが昨年と比較して10兆円以上流通総額を伸ばしていることから、主要ECモール全体として市場拡大と活性化が進んでいる様子がうかがえる。
一方で日本市場では、流通総額第2位を誇る楽天市場がマイナス成長に転じたことで、昨年から指摘していた国内市場の低迷傾向はより明確なかたちで浮き彫りになった。
また、5位以下モールについて成長率に着目すると、2023年には6つのモールが20%以上の成長率を発表したが、2024年には流通総額を推測した蘇寧易購のみが20%以上の成長率となった。主要モールの拡大と中堅・小規模モールの縮小が同時に進んだ結果、モール間の規模格差はますます大きくなっている。流通総額1兆円を超えるサービスは11サービスとなり今年もまた昨年に引き続いて過去最多を記録している。
世界のショッピングカート・PKGの流通総額ランキング
次にショッピングカートASPサービス、及びECパッケージ(PKG)の流通総額を見ていく。
※ダウンロードファイルに上記の高解像度グラフ画像も含まれます。
自社サイトを展開する際に利用されるこれらのカートやパッケージ、クラウドサービスのカテゴリでは、依然としてShopifyが1位、次いでAdobe Commerceとなっており、3位以降のサービスに大きく差をつけている状態だ。ただ、世界的にシェアを伸ばしているSHOPLINEや、Salesforce Commerce Cloudなどの流通総額が大きいと予想されるサービスのデータが不明なため、このランキングには入っていないため、それらのサービスが入るとこのランキングも大きく変わってくるだろう。
日本のサービスでは昨年高い成長率を誇っていたecbeingは2024年には停滞し、主要2サービスとの差は縮まらないまま順位を維持している。一方で小規模ながらも後に続くMakeshop、futureshop、カラーミーショップ、BASEはいずれも成長傾向にあり、成長率自体は依然として低水準なものの緩やかな拡大の兆しがうかがえる。また、Shopifyは日本市場のみのデータが公開されていないため詳細は不明だが、2024年のecbeingの停滞の伴い、日本国内最高の流通総額を既に獲得しているものと推測している。
2024年のECモール・カート・アプリの流通総額の総括
2024年も複数ののランキング変更が起こった。昨年の調査では低迷していると思われていた中国市場が回復を見せ、Pinduoduo、JD.comが遂に連続首位のAmazonグローバルを越え海外主力モールに躍り出る結果となった。また昨年から調査を開始したTikTok Shopは新たな調査結果により大幅な逆転があり、Amazonに次ぐグローバルモールとして急浮上した。同じくグローバル向けに展開されているパッケージであるAliExpressは高い成長率により一気に7モールの流通総額を逆転した。加えて、低い成長率ながらも拡大を続けるLazadaが昨年からマイナス成長が続いていたGoToを上回り、東南アジアではShopeeに次ぐモールとなった。ランキング上位ではないものの近年拡大を見せる中東地域のモールでは、Trendyolがプラス成長を記録し、東南アジアで展開するBukalapakをわずかに超える結果となった。
国内では大きな順位変動はなかったが、楽天市場は調査開始以来初のマイナス成長を発表した。また、カラーミーショップは昨年のマイナス成長から立て直したものの、近年連続成長を維持しているfutureshopに抜かれ逆転となった。
そして、市場には新しい形態のサービスが続々登場してきている。リリース後2年しか経っていないTikTok Shopは急激な拡大を見せ、モール別流通総額ランキングの大幅な変動により例年の勢力図は大きく崩される結果となった。国内でも主要モール間での差が広がり序列の明確化が進んでいることや、LINEギフトなど流通総額が不明な新たな勢力についての懸念は絶えないだろう。
東南アジアや南米など世界各地域でのEC拡大が進む一方で、一時は停滞傾向と思われた中国市場の回復も見受けられる。こうした環境変化が、浸透を続け高い成長率を見せていた一部地域の新興サービスにどのような影響を及ぼすのか、また各サービスの位置づけや市場構造がどのように変化するかにも注目し、引き続き調査を行っていきたい。
当記事で使用した全データ(エクセル版、及び高解像度グラフ画像)はこちらからダウンロードできます。ご利用に際してデータ出典元を明記頂いた上で、ご自由にお使いください。
※ログインして頂くとデータをダウンロードすることが出来ます。
※アカウント作成する方は、作成後再度このページへアクセスしてダウンロードしてください。
※資料ダウンロードURLをメールにて送信するため、モバイル端末からでもダウンロード出来ます。