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国内外13サービスから見る、オンラインチケットの柔軟性とセキュリティの両立へ向けた取り組み

国内外13サービスから見る、オンラインチケットの柔軟性とセキュリティの両立へ向けた取り組み

マーケティング
2025/10/16

国内外13サービスから見る、オンラインチケットの柔軟性とセキュリティの両立へ向けた取り組み

 

近年、音楽業界やレジャー施設、交通機関など、さまざまな分野で「チケット購入のオンライン化」が進んでいる。特にコロナ禍以降、非接触での入場やキャッシュレス決済へのニーズが急激に高まったことで、オンラインチケットは一時的な対応策から、日常的な選択肢へと変わりつつある。経済産業省によると、「チケット販売」のEC市場規模は2021年から2022年までに73.89%増加したという。一方で、紙チケット文化が根強い業界や、スマホ対応に遅れている施設が存在するのも事実である。また、海外と比較すると、再販制限や本人確認などの運用面でも違いがある。そこで今回は、国内外13のオンラインチケットサービスをピックアップ・調査し、国や業界による違いと今後の展望を読み解いていく。

 

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2025年版 オンラインチケットカオスマップ:113サービス掲載

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まずは、オンラインチケット販売を行っているサービス、プラットフォーム的にサービスを提供しているサービスなど、国内外の10サービスをピックアップしていく。(全調査対象は13サービスですが、その中の10サービスのみピックアップして解説していきます。)

 

日本のサービス

 

チケットぴあ

1972年に創刊された「ぴあ」誌を母体に、1984年に日本初のコンピュータオンラインネットワークによるチケット販売システムとして「チケットぴあ」は誕生した。以降、スポーツ、音楽、演劇、映画、レジャーなど、あらゆるエンタテインメントのチケットを日本国内向けに販売している。

1990年代後半には、ファミリーマートとの連携により、全国のコンビニ端末での発券サービスを開始。音楽やスポーツ、演劇、映画など常時約2万件のイベントを取り扱い、年間約8,000万枚のチケットを発券し、全国約4万ヶ所の提携コンビニエンスストアやオンラインプラットフォームを通じて、約2,000万人の会員にチケットを提供する国内最大級のチケットサービスだ。

現在はWeb・アプリを中心としたオンライン販売を軸に、イベント主催者へのシステム提供やプロモーション支援、CRM分析などソリューション型プラットフォームとしても進化。オリンピックや万博など国際的規模の大型イベントのチケッティング実績も豊富で、電子チケット・QRコード対応やアラート機能など、ユーザー体験を重視した機能を多数展開している。ホスピタリティプログラム(スポーツ観戦に上質な食事やエンタテイメントを組み合わせたスポーツ観戦のスタイル)の提供にも関与している。

 

株式会社グッドフェローズ

株式会社グッドフェローズは、2014年にサービスを開始した、観光・レジャー施設向けにチケット発券や販売管理、顧客管理などを包括的にサポートするICTソリューションを提供する国内向けチケット流通プラットフォーム。JTBとの合弁会社「グッドフェローズJTB」を通じて、観光業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。

同社のサービスは、チケットの事前販売から入場・退場管理、売上集計、さらにBIツールによるデータ分析までを一元化し、施設運営者の営業管理業務全体を支援している。主なプロダクトには、チケット流通ネットワーク「チケットHUB」、販売ページの作成や顧客管理を担うWebチケットストア「Webket」、団体予約管理システム「YOYAQueen」、ゲート改札との連携システムなどがあり、販促活動の効率化にも寄与している。

海遊館、金沢21世紀美術館、長島スパーランド、横浜・八景島シーパラダイス、よみうりランドなど、全国の主要集客施設に導入されている。

 

Rezio

Rezioは、KKdayグループが開発・運営する、観光施設やアクティビティ事業者向けのオンライン予約・チケット販売のためのSaaS型基幹システムである

2021年から本格展開を開始し、旭山動物園、あしかがフラワーパーク、琉球村、よこはま動物園ズーラシアなど、上半期までに日本国内1,000施設以上、世界で3,500社超の旅ナカ事業者に導入されている。

「テクノロジーによる旅行の革新」を掲げ、直販予約サイトの作成、在庫管理、予約台帳、オンライン決済、チャネルマネージャー、B2B専用予約サイト、二次元コード認証など、観光DXを推進するための機能をオールインワンで提供している。Rezioを通じて販売される体験・ツアーは全世界700カ所・1万5,000種類以上に及び、延べ600万人以上に利用されている

他社と異なる点として、日本語、英語、中国語(簡体・繁体)、韓国語、タイ語、ベトナム語の7言語に対応し、23種類の通貨表示に対応するなど、インバウンド対応力に優れていることが特徴である。さらに、KKdayの他に、Viator、GetYourGuide、Google Things to do など複数のOTAと連携し、さまざまな販売チャネルからの予約を一元管理できる柔軟な仕組みを提供している。

 

えきねっと

えきねっとは、JR東日本が提供するオンライン予約サービスで、2019年から国内の新幹線や在来線特急列車のチケットをインターネット上で予約・購入できるプラットフォームである

サービスには、交通系ICカードやモバイルSuicaを改札機にタッチするだけで乗車可能なチケットレス乗車機能のほか、指定席特急料金が一律200円割引になる「トクだ値」などの割引特典、乗車券の購入でJRE POINTが貯まるポイント還元制度が整備されている。また、ビューカードでの決済ではさらにポイントが加算され、貯まったJRE POINTは新幹線チケットの購入や座席のアップグレードにも利用可能である。

さらに、QRコードを改札機にかざすことで乗車できる「えきねっとQチケ」や、在来線特急列車の指定席特急券にも対応した在来線チケットレス特急券サービスなど、多様なチケットレス乗車の手段を提供している。こうした利便性の高さから、えきねっとは東日本エリアを中心に幅広い層に利用されている。

 

 

海外のサービス

 

Today Tix(アメリカ・イギリス・オーストラリア)

Today Tixは、ブロードウェイのプロデューサーによって考案された、劇場チケットの購入に特化したアプリである。2013年にニューヨークでサービスを開始して以来、「ブロードウェイのUber」とも称される革新的な予約プラットフォームとして注目を集めている。

このアプリは、ニューヨークから、ロンドンのウェストエンド、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ボストン、ワシントンD.C.、トロント、シアトル、フィラデルフィア、コネチカット、ヒューストン、ダラス・フォートワース、メルボルンなど、主にアメリカ、イギリス、オーストラリア向けに、450以上の劇場と提携して、ブルーマンなどの有名ショーのチケットを最大30日前から、公演の直前でも格安で提供している。

特徴的な機能として、売り切れた公演に空席が出た際に通知するアラートシステム、抽選券や当日ディスカウントチケットの新着情報の配信などがあり、話題の作品や最安値がわかりやすい。ブローカーを一切介さず、劇場と直接チケットを取引することで、信頼性と価格の透明性を実現している。また、購入はアプリ経由だが、劇場の入口付近で赤い制服を着たスタッフから紙チケットを受け取るブロードウェイの名物は残されており、特にミレニアル世代の観劇層に支持されている。

近年では、独自のライブイベントの企画・運営にも乗り出しており、従来の枠にとらわれない組み合わせのショーが人気を博している。

 

Tixbase(元NFT-TIX)(アメリカ)

Tixbaseは、イベント主催者向けにブロックチェーン技術を活用した包括的なチケット発券・管理ソリューションを提供するプラットフォームで、2021年にアメリカ・ニュージャージー州で設立され、現在はニューヨークを拠点に世の米国、欧州中心のイベントに対応している。

このプラットフォームでは、イベント主催者がチケットの計画、販売、再販までを一元的に管理可能で、特に「Smart Tickets」により、ボットによる購入や不正転売を防ぎ、KYC(本人確認)と連携させることで、ファンによってのみ購入および再販される、一意で改ざん不可能なものであることを保証している。また、正確な入場者管理や、柔軟な再販条件を備えた二次市場、即時の支払い決済とチケット譲渡により、チケット販売事業を強化している。さらに、イベント主催者が公式に管理できる再販マーケットプレイスを提供しており、チケットの転売価格や再販条件を制御でき、再販時にはロイヤリティ収益を得られる仕組みになっている。

また、「Avalancheブロックチェーン」を活用したTixChainにより、チケットの発行から再販までの全履歴を改ざん不可能な形で記録し、透明性とセキュリティを保証。さらに、ブランドごとにカスタマイズ可能なモバイルアプリSpotliteを通じて、キャッシュレス決済、プッシュ通知、ファンエンゲージメント機能を提供し、TixIDによって参加者ごとのチケット管理を統合。TixAIでは、AIアシスタントがイベントプロモーション文の自動生成やカスタマーサポートの効率化を支援している

導入実績としては、セルビアのEXIT Festivalと連携したNFTチケット導入により2022年UK Festival Awardsでイノベーション賞を受賞。また、アルバニアのUnum Festivalとは2023年に複数年契約を締結し、手数料ゼロ・安全な再販環境の提供を実現。さらに2024年には、トルコ最大のチケット販売会社Passoと年間2,500万枚超を対象とした5年間の独占パートナーシップを結び、TixChainをPassoのシステムに統合。これにより、グローバルなスケールでチケット流通の透明性と信頼性を再定義する革新的な事業を展開している。

 

TrustDecision(中国)

TrustDecisionは、中国発のAIベースのリスク管理ソリューションプロバイダーであり、特にオンラインチケット販売における不正行為の防止と信頼性の向上に注力している。世界各国の事業者が抱えるスキャルパーによる不正転売(スキャルピング)や価格操作といった問題に対し、先進的なAI技術を用いて対処している。

同社のシステムは、自動化されたボットやスクリプトによる大量購入をリアルタイムで検出・阻止する機能を備えており、これまでに2,800万件以上の不正行為をブロックし、約1,400万米ドル(約21億円)以上の損失を防止してきた

提供される主な技術・機能には以下のようなものがある。

・デバイスフィンガープリント:ユーザーの端末情報を詳細に解析し、不正アクセスを高精度で検出

・IPアドレスおよび行動パターン分析:異常なアクセスや挙動をリアルタイムで監視し、攻撃的な購入行為を未然に遮断

・SMS認証の強化:大量のSIMカードを用いたなりすまし登録や架空アカウントの作成を抑制

・動的価格設定モデル:需要に応じてチケット価格を柔軟に調整し、転売による利益を抑制

・モバイル限定チケット:ユーザーアカウントに紐づけられ、譲渡・転売ができないデジタルチケットを導入

・段階的販売なチケット販売:販売を段階的に行うことで、大量購入を難しくし、不正購入を分散・抑制

TrustDecisionは、テクノロジーを駆使してチケット販売の透明性と信頼性を担保し、ユーザー体験の向上と主催者側の損失回避を同時に実現している。コンサート、スポーツ、演劇など多様なチケット流通現場での導入が進んでおり、チケット業界における“守り”のインフラとして存在感を高めている。

 

Tomorrowland(ベルギー)

Tomorrowlandは、世界最大級のエレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)フェスティバルとして知られ、単なる音楽イベントにとどまらず、参加者に“フェスティバルを中心とした総合的な体験”を提供している。

その代表的なサービスのひとつが「Global Journeyである

これは、Tomorrowland本体のチケットに加え、宿泊施設(キャンプサイト「DreamVille」やテーマ・コンセプトホテル)、交通手段(バス、電車、飛行機)、グッズがセットになったオールインクルーシブ型の旅行パッケージである。DJ付きのバス移動や、DJつきParty Flight、フェス到着前のプレパーティー、さらに業界エキスパートによるトークセッションやネットワーキングイベントなど、移動中から帰路までエンターテインメントが詰まっている。自転車でのアクセスを楽しめるパッケージもあり、参加者のスタイルや好みに応じたプランが見つかるだろう。

また、Tomorrowlandは「Tomorrowland Around the World」という形で、2020年に完全デジタルのオンラインフェスティバルを開催した。

世界中のファンが自宅からバーチャルで参加でき、最先端の3D空間設計やビデオプロダクション、特殊効果を活用し、まるでリアルなフェスティバルにいるかのような没入感を提供。これにより、音楽フェスティバルのデジタル化における可能性を世界に示した取り組みとして高く評価された。

Tomorrowlandはこのように、現地でのプレミアム体験と、オンラインでの革新的なアプローチの両面から、グローバルな音楽ファンに向けた新たなフェスティバル体験を切り開いている。

 

OVpay(オランダ)

OVpayは、2023年頃から開始した、オランダ全土の公共交通機関(鉄道・バス・トラム・メトロ)で利用できる非接触型の決済システムである。

乗客は自身のクレジットカードやデビットカード、スマートフォン、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイス、またはOVpayカードを使って改札にタッチイン&アウトするだけで、運賃が自動的に決済される。

特徴的なのは、特別な登録なしに即座に利用できる利便性と、支払い手段の多様性(物理カード・モバイル・ウェアラブル)である。また、年齢割引(例:65歳以上・12歳未満に対する34%の割引)をカードに簡単に設定することもできる。

これにより、OVpayはオランダ国内での通勤・観光の効率化を支えるスマートなモビリティ基盤となっており、交通機関のデジタル化を牽引している。

 

BudapestGO(ハンガリー)

BudapestGOは、ブダペスト交通センター(BKK)が提供する、ブダペスト市内の公共交通機関向けの公式スマートモビリティアプリである。

リアルタイムのルート検索や運行情報の提供に加え、アプリ上でのデジタルチケットや定期券の購入・管理が可能であり、交通利用を効率的にサポートしている。

特徴的なのは、NFC機能を活用した非接触型のチケット検証(アプリを開かずに端末をタッチするだけで認証が完了)や、ホーム画面にウィジェットとしてチケットを表示できる機能であるが、日本のPASMOなどと変わらない。また、運行遅延やチケットの有効期限に関するパーソナライズされたプッシュ通知機能も備えており、通勤・通学・観光など多様な利用シーンで利便性を高めている。

BudapestGOは、ブダペスト市における公共交通のデジタル利用を加速するプラットフォームとして、ユーザー中心の体験を実現している。

 

 

事業者目線かユーザー目線か

 

各サービスを見てみると、そのプラットフォームの形態にもよるが、「事業者の運用効率を優先するか」「ユーザーの利便性を重視するか」という設計の指向性が読み取れる。

 

事業者目線

事業者にとっては、販売管理系の機能の充実や、運営管理系の機能の充実が非常に重要になってくる。また、不正対策や対応言語数も重要となってくる。

※上記図表もダウンロード資料に含まれます。

これらの事業者向けの目線での機能の充足度をスコア化しスコア順にソートして見ると、上記のようになる。BtoB向けにサービスを提供しているRezioやTrustDecisionや、欧米のプラットフォームサービスであるSee TicketsやTixbaseが上位に来ている。やはり幅広いユーザーにサービスを展開することを想定しているサービスが強い結果となる。

 

ユーザー目線

一方、ユーザーにとっては、購入や利用のしやすさ、安心感、柔軟な再販機能といった要素が求められるため、再販や転売のしやすさ、譲渡のしやすさ、更には紙での発券や、ウェアラブルデバイスでの入場などの柔軟性が重要になってくる。

※上記図表もダウンロード資料に含まれます。

これらのユーザー向けの目線での機能の充足度をスコア化しスコア順にソートして見ると、上記のようになる。こちらは更に顕著な結果となっており、BtoB向けやプラットフォームサービスが上位を独占している。自社向けのオンラインチケットサービスはコアなファンがいるため、そこまでユーザーの利便性を改善しなくてもユーザーが離反していかないのだろう。

事業者目線、ユーザー目線共に高いレベルでサービスを提供しているのは、See TicketsとReizoとなっており、サービスの完成度は非常に高い。

 

 

業界毎に異なる不正対策の強度と再販・転売可否のトレードオフ

 

デジタル化が進む中で、オンラインチケットを購入する際に気になるのは、不正対策がしっかり行われている安全なサービスであるかどうかと、予定が合わなくなった時に再販や転売ができるかどうかの2点だ。この2点は実は相反する考え方となっており、それらを両面から実現したサービスは存在しない。

※上記図表(高解像度版)もダウンロード資料に含まれます。

これは、再販機能を設計すること自体が、チケットの流通経路を複雑にし、不正を完全に防ぐ仕組みと両立しにくいためである。転売を前提としたシステム上で厳格な本人確認や不正対策を実装するには、技術的にも運用的にも高いハードルがあることが、その背景にある。

サービス別にもう少し細かく見ていこう。Rezio、グッドフェローズなどのレジャー系BtoBサービスは、再販や公式リセールを容認するが、不正対策は主催者依存や最低限のアカウント認証にとどまり、本人確認の厳格さは低い。これは、イベント規模が限定的であり、主催者ごとに運用が異なるため、不正対策をプラットフォーム側で統一しにくいことが影響している。

一方で、チケットぴあ、tixbaseなどのイベントチケット販売プラットフォームは再販可能で、不正対策も比較的強い。しかし、同じイベントチケット販売プラットフォームでもeventWorldやSee Tickets、Today tixはどちらも弱く、本人確認やリセールのUIに力を入れていないことがわかる。

えきねっと、BudapestGO、OVPayなどの交通系サービスは不正対策が弱く、再販機能もない。これは、交通系チケットにおいて、例えばえきねっとでは購入したチケットのキャンセルが可能であるため、再販の機能が必要でないことが背景にある。また、BudapestGOやOVPayはクレジットカードなどで簡単に決済できることを重要視しているため、本人確認機能を設けることは難しい。逆に、そこに顔認証などの本人確認が瞬時にできるシステムを導入することで他の交通系サービスと差別化できるといえる。

このように、各業界はチケットの性質や利用文脈によって、再販と本人確認のバランスを異なる地点に置いている。イベント性が高い業界ほど再販ニーズは強まり、結果として本人確認の厳格化が課題となる。一方、日常的利用が中心の交通系では、再販ニーズが低く、本人確認は利便性を損なわない範囲にとどまっているのだ。

 

 

オンラインチケットの柔軟性とセキュリティの両立へ向けた取り組み

 

このように国内外の多くのオンラインチケットサービスを読み解いてみると、事業者向けとユーザー向けの機能のバランスや、柔軟性とセキュリティのバランスには多種多様の要素が絡み合っていることが分かる。

BtoB向けやプラットフォーム的なサービスは基本的には事業者・ユーザー向けの機能の拡充度合いが高い。また、イベント性が高い業界ほど再販ニーズは強まり、結果として本人確認の厳格化が課題となる。一方、日常的利用が中心の交通系等では、再販ニーズが低く、本人確認は利便性を損なわない範囲にとどまるようだ。

オンラインチケットサービスは、地域性・業界特性・目的などを考慮し、機能設計や不正対策、再販方針が定義されていると言える。今後もオンラインチケットサービスの進展に注目していきたい。