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B2Bマーケティングが、B2C戦術を採用する必要がある理由

B2Bマーケティングが、B2C戦術を採用する必要がある理由

BtoB EC
2024/11/13

クリエイティブな戦術とB2Bの基本をバランスよく取り入れながら、消費者スタイルのマーケティングで、デジタルファーストのバイヤーを引き付けよう。


デジタルネイティブは、特殊である。彼らは全く新しい行動パターンをB2Bの購買プロセスに持ち込んでおり、ベテランのマーケターやセラーは、危険を冒してまでこれを無視している。

これを「B2Bの消費者化」と呼ぶ。私たちは、バイヤーを個人生活における消費者のように扱い、消費者の国で機能しがちなメディア・チャネルやメッセージに関する新たな専門知識を開発しなければならない。

そのためには、スピードやフィード、特徴やメリットといった退屈で旧態依然としたB2Bのメッセージから脱却し、通常の業界紙やビジネス・メディア以外のアウトリーチ・チャネルを拡大することが急務となる。


バイヤーはデジタルファーストとモバイルファーストのコミュニケーションを期待している

購買部門に入るデジタルネイティブは、従来のマーケティングのやり方を気にしない。彼らはデジタルファーストとモバイルファーストのコミュニケーションを期待している。営業担当者には、ほとんど忍耐力がない。彼らはAmazonで購入するのと同じ方法で購入することを好んでいるのだ。

彼らは動画を望んでいる。彼らは関わり、楽しみたいと思っている。彼らはビジネス環境以外で楽しんでいるのと同じレベルの、直感的なデジタル顧客体験を期待しており、どんな愚か者が他の方法で設計するのか想像すらできない。

確かに、彼らは会社に代わって購入しているが、自分自身のために購入する場合と同じように反応する。

この傾向には、個人的な自分と仕事上の自分との境界線を曖昧にするソーシャルメディアの普及など、多くの要因がある。この境界線は、他の方法でも曖昧になっている。個人と仕事のデータ記録のリンクや、自宅のソファで個々のビジネスマンと話ができるCTV広告の利用について考えてみてほしい。

この傾向のもう1つの推進要因は、代理店である。代理店は、クリエイティブな成果を増やし、ビジネスメッセージに感情を注入する機会に興奮している。「Business buyers are still people(ビジネスバイヤーもやはり人間である)」という古い格言は、今でも当てはまるものだ。


どのような新しいツールや戦術が登場したのか?

コンシューマライゼーションの流れに沿ったB2Bマーケターは、以下のようなエキサイティングな新しいリソースやアプローチから選択することができる。


究極のクリエイティビティ

クリオ賞(クリエイティブビジネスを対象とした国際的な広告コンクール)の関係者が称賛したこのMailchimp(メールマーケティングやメール配信を効率よく行うためのメール配信ツール)の広告を見てほしい。Mailchimpは当初から風変わりで目立つ存在だったので、これは彼らにとって目新しいものではない。しかし、これはヒット作であり、ビジネスの購買状況によっては消費者のような訴求が魅力的であることを明確に示している。


高度にパーソナライズされたオムニチャネル・コミュニケーション

米国のB2BマーケティングとデータソリューションのグローバルフルファネルプロバイダーAnteriad の「2024 B2B Marketing Outlook(B2Bマーケティングの展望 2024年版)」によると、最大63%のマーケティング担当者が、3から6個のデータ要素を使用して、見込み客に対応することに抵抗を感じていない。これは、1人のオーディエンスに対するメッセージのカスタマイズとしては、驚くべきレベルである。


どこでもAI

さて、テキスト用のジェネレーティブAIについてはすっかりお馴染みになったので、次は動画ジェネレーターとしてのAIを探ってみよう。おすすめの新しいツールのひとつはShuffllで、Webサイトのコンテンツを使ってオンデマンドであらゆる種類のビデオを生成できると謳っている。


やり過ぎに注意

消費者的なメッセージ戦略はバイヤーの注目を集めるが、それだけでは販売には結びつかない。これらの若いバイヤーは、なおも会社を代表しており、拡大し続ける社内ビジネス購買グループの一員である。そこは、今すぐ資金が必要なものについて異なる優先順位と異なる考えを持つ人々で一杯の部屋である。

CFO(最高財務責任者)に貴社のソリューションを売り込むために必要なホワイトペーパー、調査報告書、ケーススタディで、デジタルネイティブを武装させる必要がある。購買グループの他のメンバーに影響を与えるために必要な連絡先や購買担当者の情報を収集することに注力することも忘れてはならない。マーケティング担当者が、新しいデジタルツールによって購買グループのメンバーを特定し、その役割を推測する上で大きな進歩を遂げたことは、心強い飛躍である。


コンシューマライゼーションは新しいが、基本は依然として重要である

このような変化の渦中にいると、気が散って集中力を失いがちである。ここでは、基本的なことを実現するためのいくつかの提案を紹介しよう。


信頼性と透明性を保つ

バイヤーは何が起きているかを知っている。もうフォームに記入させるのはやめよう。最近では、誰が何をしているのかを見分ける他の方法がある。見せかけのコンテンツも作らないでほしい。重要なのは、信頼関係を築くことではないだろうか?それを台無しにしてはいけない。


テコ入れポイントの優先順位付け

ダイレクト・レスポンスの成果を左右する3つの要因の相対的な影響力を覚えておこう。あまり思い出したくはないが、クリエイティブ(メッセージのアート、コピー、フォーマットなど、代理店が最も時間を費やす部分)は第3位である。ターゲティングとデータの正確さ(第1位)をおろそかにしてはならない。現代のマーケティング界では「リードマグネット」と呼ばれる、動機づけとなるオファーには十分な注意を払おう。ターゲットオーディエンスとリードマグネットを合わせると、成果の80%を占める。優先順位をつけて、時間と労力をこの2つの方向に注ごう。


より多くのテストを行う

私の経験では、B2Bマーケターはテストを避けることが多い。キャンペーンのボリュームが少ないなどの正当な理由の場合もあるが、怠慢の場合もある。しかし、今日の低コストなデジタルメディアでは、適切なテストを行わない理由はない。オーディエンスの選択、オファー、クリエイティブの処理をテストしてみよう。効果的なことを積極的に行い、効果的でないことを減らしてみよう。

この最後のポイントは、B2Bのコンシューマライゼーションにとって予想外の歓迎すべきプラス面であることが判明するかもしれない。もしかしたら、私たちB2Bマーケターは、消費者マーケティング担当者と同じように、最終的にテストについて規律正しくなるかもしれない。それは良い結果だといえまいか。


※当記事は米国メディア「Martech」の11/4公開の記事を翻訳・補足したものです。