2023年、欧州のB2Cのeコマース名目売上高は8,870億ユーロ(約147兆円)に達した。これは、前年の売上高8,640億ユーロと比較して、3%の微増である。しかし、地域によって大きな違いがあるという。
近年、欧州のeコマースは成長を続けてきたが、新型コロナウイルス感染症の流行以降、その成長は大幅に鈍化している。Ecommerce Europe(ベルギーに本部を置く欧州のデジタルコマース部門を代表する非営利団体)およびEuroCommerce(ベルギーに本部を置く小売および卸売部門を代表する欧州の主要組織)が発表した最新の「European E-commerce Report(欧州電子商取引レポート)」によると、欧州のB2Cのeコマース部門における名目売上高は2022年の8,640億ユーロから2023年には8,870億ユーロに増加した。
出典:Ecommerce EuropeおよびEuroCommerceによる「European E-commerce Report 2024」
地域差について
同レポートは、欧州内の個別の地域についても調査している。西欧では、B2Cのeコマース市場における売上高は前年比1%減の5,960億ユーロだった。一方、南欧は14%、東欧は15%とそれぞれ大幅な成長率となった。売上高はそれぞれ、1,660億ユーロと170億ユーロに達した。
南欧および東欧のeコマース売上高が最も高い成長率
また、中欧のB2Cオンライン売上高は790億ユーロで、8%増だった。北欧の売上高は減少が見られ、5%減となった。同地域の売上高は、2023年末までに560億ユーロに達した。
インフレの安定化
研究者によると、インフレによってeコマースの売上高は3%減少した。しかし、インフレ率は低下していると見られる。2022年から2023年にかけて、インフレ率は8.5%から6.1%に低下した。
2024年、欧州のB2Cのeコマース売上高は8%増となる見込み
さらに、2024年のインフレ率はさらに低下し、より正常な2.7%に達すると予想されている。結果として、欧州での消費者景気信頼感や消費支出がより高まるだろう。そのため、研究者は欧州全体でB2Cのeコマース売上高が8%成長すると予測している。
「eコマースは依然として活気がある」
「我々のレポートによって、eコマースは依然として活気に満ちており、技術の進歩と持続可能性を求める消費者の強力な需要によって、成長機会が顕著であることがわかった」と、EuroCommerceの事務局長であるChristel Delberghe氏は語った。「eコマースは、国際競争、技術導入レベルの違い、EU新法への取り組みなど、多くの課題にも直面している。欧州当局がEUの消費者に販売するすべての企業に対してEU新法を公正に執行することと同様に、このような状況の変化を受け入れ、改革していく企業の能力は、競争激化の状況で成功するのに重要となるだろう」。
※当記事は欧州メディア「Ecommerce News」の10/22公開の記事を翻訳・補足したものです。