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次世代のソーシャルメディアアプリは、我々の生活に浸透していくのか

次世代のソーシャルメディアアプリは、我々の生活に浸透していくのか

マーケティング
2023/05/22

アラビア語ユーザーをターゲットに作られた、音声による仮想世界のエンターテイメントコミュニティを実現するアプリの提供企業WOLF(The World’s Online Festival)のCEOであるGary Knight氏によると、マーケターは第2世代のソーシャルメディアアプリに備える必要があるという。

 

ソーシャルメディアは、世界中の人々にとって日常生活の大きな部分を占めている。SNSの動向やデータを公表するオンラインリファレンスライブラリのDatareportalによると、現在、世界中で48億人以上の人々がさまざまなソーシャルネットワークサイトを利用しているという。しかし、その状況は変わりつつある。プラットフォームの利用方法や関わり方は進化していることから、ブランドは、注目を集めるには、第2世代のアプリの高まりに備えなければならないのだ。

 

テレビの進化と同じように、ソーシャルメディアも、我々により多くのチャネルを提供している。写真を共有するにせよ、同じ趣味を持つコミュニティと交流するにせよ、オンラインエンターテインメントを楽しむにせよ、あるいはネットワークとリコネクトするにせよ、ソーシャルメディアのエコシステムは我々の生活を変えてきた。

 

TikTokは自らをエンターテインメントアプリと位置づけているが、数多くのソーシャルメディアアプリがある中で、企業にとっては、どのプラットフォームがターゲットとするオーディエンスのエンゲージメントやブランド構築、そして最終的には収益獲得に最も効果的であるかを理解することが重要となる。企業は、ユーザーのニーズや要望を満たすプラットフォームを使って、ニッチなオーディエンスをターゲットにする必要がある。そして、重要なのは、オーディエンスは非常に目が肥えていることを忘れてはならないということだ。

 

Blueskyは今話題のアプリだ。Twitterの共同創設者であるJack Dorsey氏によって作られたこの新しいプラットフォームは、ユーザーが自分の見るものを決定するためのアルゴリズムを選択できる機会を提供することを目的としている。このアプリはTwitterに非常に似ているという話だが、おそらくBeReal(リアルな日常をシェアするフランス生まれのSNSアプリ)がInstagramのより進化したバージョンになったのと同じように、フィルターなし、フォトショップの画像不使用(編集・加工なし)というアイデアが採用されているのだろう。BeRealは、毎日ランダムな時間に、アプリが全ユーザーに「リアルになろう」という通知を送ることを前提としている。すると、各々のユーザーはそれから2分以内に、その時にしていることを何でも良いので写真に撮る。このコンセプトは人気を博した。アプリ業界におけるB2Bメディアのbusinessofapps.comよると、2022年のBeRealの利用者数は312%増、ダウンロード数は前年比1,000%増となったという。

 

では、この第2世代のソーシャルメディアアプリの人気上昇と期待される成長を考慮すると、2023年のビジネスチャンスを促進するためにマーケターは何を意識すべきだろうか。また、別の観点からは、初代のソーシャルアプリはユーザーを維持すべく進化する時が来たことをどのように認識すべきだろうか。

 

まず、ライブストリームであれ、静的な投稿であれ、ソーシャルメディアはeコマースの未来になりそうだということだ。HubSpot(マーケティング、セールス、カスタマーサービス向けのソフトウェア製品を提供する米国企業)によると、18歳から54歳の消費者にとって、新しい商品を見つけ、購入するためのチャネルとしてソーシャルメディアが選ばれており、ショッピング体験のためのアプリとしてはInstagramが選ばれているという。

 

そして、eコマース体験を完結させるために、ダイレクトメッセージがユーザーにとって好ましいカスタマーサービスチャネルとなるだろう。HubSpotのデータによると、ソーシャルメディアマーケターの76%が、現在自社はソーシャル経由でカスタマーサービスを提供していると回答しており、ブランドはすでにこの準備を進めているようだ。

 

しかし、eコマースや商品探しが始まる前に、2023年にはエンゲージされたソーシャルメディアコミュニティを持つブランドが勝者となるだろう。ターゲットとするオーディエンスとつながり、彼らを惹きつけることが最も重要となる。ソーシャルコマースは、早急にブランドのマーケティング戦略の一部となるべきだ。オーディエンスを動かしているのは何か、そして明日彼らの興味を引くものは何かを理解し、彼らの関心を引き続けるために、継続的に注力する必要があるのだ。

 

興味深いことに、ソーシャルメディアアプリも検索エンジンの利用が減少するきっかけとなりうる。2022年、Googleの知識・情報部門担当上級副社長は次のように語った。「若者のほぼ40%は、ランチの場所を検索する際、Googleマップや検索を利用せず、TikTokやInstagramを見に行く」。若者は文字ではなく、ビジュアルに富んだ内容を好むようで、これが今後のトレンドとなりそうだ。リールや動画は、必要なデータを短く、楽しく、魅力的に捉えた、ユーザーが見たいものなのだ。

 

また、有名人によるエンドースメント(推奨)の時代は、マイクロインフルエンサーによるユーザー生成コンテンツの作成が主流となることで、取って代わられる可能性がある。有名人から離れる利点は、この戦略がより安価で、より長期的なパートナーシップを確立し、熱心でニッチで結びつきの強いオーディエンスにアクセスできることだ。ビジネステクノロジーニュースを提供するtech.coよると、89%ものマーケターが、インフルエンサーマーケティングのROIは他のマーケティングチャネルと同等(41%)かそれ以上(48%)であると答えているという。

 

さらに、短編動画は最も高いROIをもたらし、2023年には大きな成長が見込まれるだろう。そして、当然のことながら、TikTokは今後も優位に立つだろう。TikTokが支持される10分未満の短編動画は今年、多くのソーシャルメディアプラットフォームで見られるようになるだろう。とはいえ、注目を引くために手早く簡単に視聴できる15秒から60秒の長さの動画が、今後も最も高い人気を得るだろう。

 

また、当然のことながら、仮想現実と拡張現実も成長を続けており、InstagramやSnapchat、Googleは、広告収入を増やすべくAR(拡張現実)のさらなる活用を計画し、マーケティングサービスを刷新しているとの報告もある。

 

特定のターゲットを絞ったコンテンツでニッチなオーディエンスに焦点を当てることで、第2世代のアプリは今後ユーザーを増やし、維持し、Metaのような企業からこれまで以上に市場シェアを奪っていくだろう。おそらく第1世代のアプリが学ぶべきことは、現在と未来のオーディエンスが何を求めているかを理解し、それを迅速に提供できるように進化・改善することかもしれない。

 

WOLFは、上述のようなアプローチで、特にアラビア語ユーザー向けに作られた、没入感のある音声と仮想世界のエンターテインメントコミュニティを提供している。TikTokと同様に、WOLFはソーシャルメディアの型にはまることなく、素晴らしい選択肢を備えたニッチなエンターテインメントプラットフォームを提供している。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の5/12公開の記事を翻訳・補足したものです。