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マーケティングにAIはどこまで活用出来るのか、理解しておくべき7つの得意分野と苦手分野

マーケティングにAIはどこまで活用出来るのか、理解しておくべき7つの得意分野と苦手分野

トレンド
2023/02/06

マーケティングは、自身の世界におけるAIの役割を考える必要がある。本記事では、2023年以降のAIについて考えるための指針を紹介する。

 

AIは、私たちの目に見えないところで、私たちの世界を変えている。AIは、私たちを目的地までより速くナビゲートしたり、製品を手に入れたり、病気を診断したりするのに役立っているが、この記事では、AIがマーケティングで果たすことのできる役割について探ってみたい。癌の治癒を助けるほど壮大なものではないかもしれないが、マーケティングはその世界におけるAIの役割について考えなければならない。

 

特にChatGPTが流行していることもあり、これはタイムリーな記事である。もしあなたがニュースを見ていないのならお伝えするが、「ChatGPT」はビジネスの世界でAIを具体化することに取り組んでいる会社、OpenAIのプロジェクトのことである。このプロジェクトは、あらゆる種類の質問を投げかけて数秒で回答を得ることができる、チャットボットのように機能する。

 

ChatGPTの「優れている」要素は、非常に具体的な質問をすると、人間が書いたような答えが返ってくることだ。例えば、私はChatGPTに「マーケティングで最も重要な3つの要素を俳句の形で教えて欲しい」と頼んでみた。

返ってきた答えは以下の通りだ。

 

 

「マーケティングの明るい陽射しの中

際立つための三要素は

オーディエンス、ブランドとメッセージ」

 

AIに関する問題点は、ごまかしを選別することだ。私の俳句の質問のようなパーラートリック(単純な手品やかくし芸のようなもの)は、特にLinkedinではクールなものである。しかし、私たちは、AIができないことを明確にしながら、AIが提供できる価値の本質に迫る必要がある。ここでは、2023年以降のAIについて考えるためのガイドラインをいくつか紹介しよう。

 

今、AIが活躍する場所

AIはまだ初期段階だ。カンファレンスやLinkedinの投稿で見聞きすることはあっても、まだ長い道のりを歩んでいる。AIはいくつかのことを非常にうまくやることができるが、他のことではまだ苦戦している。

 

一部の人たちの記事を読んだり、フォローしたりしていると、AIがすべてを支配するSFドラマ「ブラックミラー」のエピソードのようになるまであと数カ月しかないように思えてくるだろう。

 

AIの一部のユースケース(自動運転車など)は、50年以上前から「10年先」と言われてきたことを心に留めておいてほしい。ある種の偉業を成し遂げることに疑いはないが、予想以上に時間がかかるだろう。

 

それまでの間、AIがマーケティングチームを合法的に支援できる分野を紹介しよう。

 

1.データのクリーニング

マーケティング担当者は、Googleスプレッドシートに愛憎を抱いている。使用する前にクリーニングが必要なダーティデータ(不正なデータ)に遭遇することはよくあることだ。

私は最近、あるチームが、最悪の方法で構造化された何百ものコンタクトリクエストを含むExcelファイルをクリーニングするのを手伝った。AI、そしてChatGPTは、ここで役に立つ。

現在、データを分類し、変換を適用することができるGoogleスプレッドシートの拡張機能が開発されている。使える数式を提案してくれることで、この種のショートカットがGoogleスプレッドシートに直接組み込まれる始まりさえ見受けられる。

 

2.映像の文字起こし

動画キャプションは、今日の世界では非常に重要だ。TikTokの動画を見てほしい。幸いなことに、文字起こしはAIによって簡単になりつつあり、驚くほど正確だ。

文字起こしは、動画が録画された後でも、リアルタイムでも実行することができる。字幕を追加することで、あらゆる種類の利点が得られ、もはや優れたキャプションを提供するために人間を必要とすることはなくなった。

 

3.アセットの作成

Getty Images(米国の写真画像代理店)の時代は終わったのかもしれない。AIはあらゆる種類の画像やアセットを作成できる。マーケティングに使用する人間のアバターを作成するプロジェクトを見たことがある。そのアセットはリアルに見え、複雑な使用ライセンスも必要ない。

実際の場所やイベントの写真にはまだ需要があるが、その他の芸術的な仕事は徐々にAIが生成した画像に取って代わられるだろう。

 

4.インサイトの顕在化

Google Analyticsのようなツールは、AIを使ってデータからインサイトを明らかにしている。無意味なインサイトもあれば、調査する価値のあるインサイトもある。マーケティングチームが収集するデータ量の増加を整理する方法として、このようなデータ分析が増えることが予想される。

マーケティング担当者に不足しているのは、データではなく、インサイトだ。AIは、終わりのないデータポイントの山を掘り起こすためのブレークスルーとなるのかもしれない。

 

AIが苦手とする分野

私たちは、まだAIに取って代わられてはいない。もしかしたら、詩人たちは仕事を見つけるのに苦労するかもしれないが、AIは人間の特定のスキルにはかなわないのだ。これが常にそうであるかどうかの議論は、別の記事のテーマとしたい。

 

AIはマーケティングのサポートと捉えるべきだろう。いくつかのタスクにはまだ本物の人間が必要だが、AIのおかげで、以下の3つの分野に取り組む時間を確保することができる。

 

5.創造性

AIはインサイトを顕在化させることができるが、クリエイティブはやはり人間の領域だ。どんなキャンペーンを行うか、人間の願望にどう訴えかけるか、それをどうまとめ上げるかは、人間にしかできないことだ。

米国の旅行比較サイトKayakは最近、AIによって考え出された広告「The Kayak Deniers」を実施した。ソーシャルメディアで流行している言葉や話題を調べ、それを中心に広告を作成したのだ。

これは巧みな広告だが、皆がやり始めると印象が薄れる。皆が同じアルゴリズムを使っていれば、同じ答えに行き着くだろう。だからこそ、人間のクリエイティビティ(創造性)に価値があるのだ。

 

6.独自性

AIの文章は事実に即しているかもしれないが、人間ならではの声が欠落している。私たちは、数行の文章を読むだけで、その執筆者を識別することができることを知っている。すべてのコンテンツに声の要素を取り入れることができるのだ。

AIは、単に事実を述べるだけの退屈なコンテンツを消滅させるだろう。それは、おそらく良いことだ。B2Bマーケティングに関する事実が知りたければ、Wikipediaにアクセスすればいい。問題を解決したいのであれば、人間の助けが必要なのだ。

 

7.戦略

人間はまだ戦略を考える必要がある。このような意思決定は、単にデータを見るだけでなく、様々な要素を考慮する必要がある。時には、マーケティングチームは、経験(別名、直感)を踏まえて、データに合わない選択をしなければならないこともある。

このことは、チェスの世界でも見られる。Magnus Carlsen氏のような世界的なチェスプレーヤーは、ゲームの準備やさまざまなポジションを実行するためにAIに大きく依存している。しかし、対戦中、Carlsen氏はコンピュータが推奨する動きとは逆の動きをすることで知られている。対戦相手が同じデータを見ていることを知っているため、予想外の決断を下すきっかけになるのだ。

 

今後、より多くの企業がAIを活用し、競合他社が一見「間違った」手を打ち、それが功を奏したときに驚かされることが予想される。他社がどのようなアルゴリズムを使っているか、それをどのように打ち破れるかを考慮しながら、戦略は進歩していく。

 

AIの台頭は続く

AIの台頭は今後も続くだろう。この革新的な技術が、今日どれほど多くのものに影響しているかに驚かされるはずだ。しかし、そのほとんどは舞台裏で起きている。AIは、私たちが本当に重要なことに集中できるように、日常的なタスクから私たちを解放してくれる。

 

私たちはAIを受け入れ、チーム内の収益と成長を促進するために利用しなければならない。予算が減少する一方で、期待が高まっている時代において、マーケティングはより少ない人数でより多くのリソースをクリエイティビティに注ぐ必要がある。AIは、最も効果的な無給のアシスタントの一人となることで、その橋渡しをするのだ。

 

※当記事は米国メディア「Matech」の1/19公開の記事を翻訳・補足したものです。