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2023年、世界の広告費はデジタル減速の影響を受け、900億ドル減少の見込み

2023年、世界の広告費はデジタル減速の影響を受け、900億ドル減少の見込み

トレンド
2023/01/25

世界広告研究センター(WARC)は、「The Marketer’s Toolkit 2023: Future of Media」と題するレポートのデータを発表した。このレポートでは、デジタル広告費が900億ドル減少すると予測している。

 

同レポートは、1,700人以上のマーケティング担当者を対象としたグローバルな調査結果と、EY(英国に本拠を置くコンサルティング企業大手)、FramePlay(ビデオゲーム広告のソリューションを提供する米国企業)、GroupM(米国のメディア投資企業)、Publicis Media(フランスの大手広告企業Publicis Groupe傘下の広告代理店)などの専門家へのインタビューから得られたWARC Mediaのデータに基づいて作成されたものだ。それによると、広告費は増加しているが、そのペースは遅いことが明らかとなった。WARCの最新の広告費予測は8,809億ドルで、2022年と2023年は900億ドルの減少が見込まれている。これは、デジタルメディアの所有者が広告収入の成長のためにより激しく戦わなければならなくなり、ますます広告費をめぐって互いに競争するようになることを意味する。

 

Metaはメタバースを推進し、Snapは拡張現実に多額の投資を行っているなど、大手ソーシャルプラットフォームが事業拡大に努めているにもかかわらず、WARCは、今年のピュアプレーヤー(インターネット専業でビジネスを展開する企業)のインターネット広告の成長率が2021年の42%からわずか5.5%にまで減少すると予測している。

 

この減速に反して、リテールメディアは広告主からますます支持を得ていることが、このレポートで明らかとなった。GroupMによると、2022年の世界投資額が1,107億ドル、2023年には1,219億ドルに達すると予想され、現在広告費で第4位のメディアであるリテールメディアは、2025年には広告主にとってリニアTVよりも価値が高くなる方向にある。

 

本レポートでは、デジタル広告への投資は、成長が鈍化する新時代の入り口に到達したと結論づけている。この数年間、広告費は急速に増加し、マーケティング担当者はより慎重な計画を立てている。これは、より大きな経済的懸念、ビッグテック(巨大IT企業)におけるダイナミックな変化、そして消費者行動の変化を反映している。

 

WARCのMarketer’s Toolkit の回答者の約3分の1が、2023年のマーケティング予算は2022年より減少すると予想しており、その結果、WARCの世界広告投資予想は8,809億ドルに下方修正された。

 

マーケティング担当者は広告予算のバランスを見直し、オフラインチャネルへの投資を減らし、オンライン動画、ソーシャルメディア、ゲームへの支出を増やしている。WARCのToolkit調査によると、マーケターの76%が2023年に投資を増やす選択肢としてTikTokをトップに挙げているという。

 

また、同レポートでは、メディア効果の実現が難しくなっていることも明らかにしている。リニアTVのリーチは減少を続け、デジタル消費は新しいソーシャルアプリからプロト・メタバースのゲーム環境まで、プラットフォームやテクノロジーによって細分化されつつある。適応力のある、革新的なメディアプランニングの必要性がかつてないほど高まっているのだ。

 

調査回答者の3分の1以上(34%)が、2023年の計画を策定する際の最大の懸念事項として、メディアとオーディエンスの分断を挙げている。WARCは、このような状況から、広告主はメディアプランニングとブランディングに、より流動的なアプローチを採用し、セグメンテーションにおいては基本的な人口統計よりもコミュニティの重要性を強調することが必要であると述べている。

Marketer’s Toolkitの調査参加者の半数以上(52%)が、ソーシャルメディア上のインフルエンサーやクリエイターへの投資を全体として増やす考えである一方で、3分の2(65%)は、コンテンツクリエイターと協力して「ブランドと真に結びついた特定の関心に沿った」コミュニティとつながることを計画している。

 

広告が気候変動に与える影響の評価、多様性・公平性・包括性を支援するメディア投資の役割、拡大する人材危機に対処する必要性など、メディア業界は、改革への圧力が高まっている。

 

Marketer’s Toolkitの調査に回答した米国の回答者の半数以上(54%)が、2023年のメディアプランニングの推奨事項に多様なパブリッシャーを含めると答えており、これは同市場における少数派のオーディエンスの重要性を反映している。

 

しかし、2023年のメディアプランに低炭素の代替手段をより多く含めることを計画している広告主は3分の1(34%)に過ぎず、気候変動対策におけるマーケターの役割を説得するためにさらなる取り組みが必要であることは明らかである。

本レポート「Future of Media」は、The Marketer’s Toolkit 2023を構成する4つのレポートのうちの3番目のレポート。無料サンプルはこちらで入手できる。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の1/5公開の記事を翻訳・補足したものです。