EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」

【2025年最新】国内EC市場規模データの6つの商品ジャンル別分析と、その読み解き方

【2025年最新】国内EC市場規模データの6つの商品ジャンル別分析と、その読み解き方

トレンド
2025/09/25

【2025年最新】国内EC市場規模データの6つの商品ジャンル別分析と、その読み解き方

 

2024年、国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円にまで拡大している。中でも物販系分野のBtoC-EC市場規模は年々増加を維持しており、2024年には15兆2,194億円となり、昨年比3.70%増となっている。そして、全年代でのインターネット利用の伸長や、オンラインでの購入が更に一般的になってきていることにより、EC化率は2024年には9.78%となっている。そこで今回は、上記数値の出所にもなっている、EC業界の国内市場規模の総本山的位置付けの、経済産業省が2025年8月に公表した「令和6年電子商取引に関する市場調査」をベースに、BtoCにおけるEC市場規模・EC化率・全体市場規模について、そのデータを読み解きつつ、経済産業省やその他の各業界団体・調査会社が発表している同種のデータを用いて、各商品ジャンル毎に分析を行い、読み解いていく。なお、今回取り上げたのは、「①食品・飲料・酒類」「②生活家電・AV機器・PC・周辺機器」「③書籍・映像・音楽ソフト」「④化粧品・医薬品」「⑤生活雑貨・家具・インテリア」「⑥衣類・服飾雑貨等」の6分野となっている。

※ログインして頂くと当記事でまとめたデータ(エクセル版)と図表(PDF)をダウンロードすることが出来ます。
※アカウント作成する方は、作成後再度このページへアクセスしてダウンロードしてください。

 

 

①食品・飲料・酒類

 

全体市場規模 68兆9,447億円 / EC市場規模 3兆1,163億円 / EC化率 4.52%

経産省の「国内電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の「食品・飲料・酒類」のEC市場規模は3兆1,163億円となり、全体市場規模68兆9,447億円のうちEC化率は4.52%となっている。

※この図表もダウンロードデータに含まれます。

食品・飲料・酒類の小カテゴリ別市場規模を、「栄養補給食品」、「主食・主菜食品」、「嗜好品」、「外食」、「中食」、「特定用途食品」の6つに分類し、各業界団体・調査会社が発表している最新データを組み合わせて読み解いていく。各カテゴリの市場規模内訳は以下の通りとなっている。

  • 栄養補給食品:2兆8,550億円
  • 主食・主菜食品:6兆7,786億円
  • 嗜好品:13兆4,347億円
  • 外食:32兆1,423億円
  • 中食:11兆2,882億円
  • 特定用途食品:1兆7,553億円

「栄養補給食品」はサプリメントや機能性表示食品などの健康志向食品を示し、富士経済の調査によると、市場規模は2兆8,550億円となった。「主食・主菜食品」は米やパン、魚、肉、野菜などの主食や主菜に農畜水産物やその加工品を含めたカテゴリとなっており、富士経済の主食・主菜対象調査農畜水産加工品対象調査をまとめると、市場規模は6兆7,786億円となった。「嗜好品」は菓子類やスナック、アルコールを含み、富士経済の飲料対象調査菓子類対象調査をまとめると、市場規模は13兆4,347億円となった。「外食」ではファミリーレストランやカフェを含む飲食店での市場規模を示し、店内飲食または持ち帰りを主体として専門店舗を展開する業態に限る。矢野経済の調査によると、市場規模は32兆1,423億円となった。「中食」は主に惣菜を対象とし、総菜専門店や百貨店、スーパー、CVSでの市場規模を示す。日本惣菜協会が発表する2025年版惣菜白書によると、市場規模は11兆2,882億円となった。「特定用途食品」は介護食や病院食などを含み、矢野経済の調査によると、市場規模は1兆7,553億円となった。

「栄養補給食品」、「主食・主菜食品」、「嗜好品」、「外食」の市場規模については2024年公開のデータソースを採用したため2024年市場規模は見込み値として公開されており、また「特定用途食品」は2023年市場規模を掲載している。

これら6つの小カテゴリは店頭やEC・通販を含めた販売チャネル全体市場規模である。6つのカテゴリの市場規模を合算すると68兆2,541億円となり、経産省から発表されている全体市場規模と限りなく近い値が得られるため、比較的網羅性の高いカテゴリ分けができているといえるだろう。2024年市場規模が公開されている「中食」については、2023年市場規模と比較すると2024年市場規模は増加している。また、2024年市場規模見込み値が公開されている「栄養補給食品」、「主食・主菜食品」、「嗜好品」、「外食」の4カテゴリでも、2023年市場規模と比較すると市場規模は増加傾向にあることが確認できる。新鮮さが重視されることでEC化発展途上にある食品・飲料・酒類は以下に記載する他の5分野と比較すると低いEC化率であるものの、年々右肩上がりを維持している。

 

 

②生活家電・AV機器・PC・周辺機器等

 

全体市場規模 6兆3,776億円 / EC市場規模 2兆7,443億円 / EC化率 43.03%

経産省の「国内電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」のEC市場規模は2兆7,443億円となり、全体市場規模6兆3,776億円のうちEC化率は43.03%となっている。

※この図表もダウンロードデータに含まれます。

生活家電・AV機器・PC・周辺機器等の小カテゴリ別市場規模を、「家庭用電気機器」、「民生用電子機器(映像・オーディオ機器等)」、「PC」の3つに分類し、経産省・各業界団体が発表している最新データを組み合わせて読み解いていく。各カテゴリの市場規模内訳は以下の通りとなっている。

  • 家庭用電気機器:1兆9,299億円
  • 民生用電子機器(映像・オーディオ機器等):1兆474億円
  • PC:9,682億円

「家庭用電気機器」は冷蔵庫など家庭内で使用される電気機器全般を含めており、経産省の生産動態統計調査によると、市場規模は1兆9,299億円となった。「民生用電子機器(映像・オーディオ機器等)」にはテレビなどの映像機器やオーディオ関連機器、カーAVC機器の合算値が発表されており、一般社団法人電子情報技術産業協会の発表によると、市場規模は1兆474億円となった。「PC」はパーソナルコンピュータ出荷金額統計のうちデスクトップPCとノートPCの合計であり、一般社団法人電子情報技術産業協会の発表によると、市場規模は9,682億円となった。

これらの市場規模も店頭やEC・通販を含めた販売チャネル全体市場規模であり、3つのカテゴリの合計は3兆9,455億円となる。経産省により発表された全体市場規模と比較すると小さな値となっており、PC周辺機器やスマートフォンに代表される情報家電や通信機器などのカテゴリについて市場規模が考慮できていないことが要因として考えられる。さらに、引用したデータソースには生産動態統計調査や出荷金額が含まれており、海外製品の輸入が考慮されていない点や、小売金額ベースではない点が全体市場規模との相違に影響していることが推測される。

「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」について全体市場EC化率を昨年度と比較するとわずか0.15ポイント増であった。高価であり購入頻度の低い大型家電などは実店舗で確認しながら購入することが一般的であり、国内量販店の店舗網の強さもEC化が伸び悩ん一因になっていそうだ。

 

 

③書籍・映像・音楽ソフト

 

全体市場規模 3兆3,141億円 / EC市場規模 1兆8,708億円 / EC化率 56.45%

経産省の「国内電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の「書籍・映像・音楽ソフト」のEC市場規模は1兆8,708億円となり、全体市場規模3兆3,141億円のうちEC化率は56.45%となっている。

※この図表もダウンロードデータに含まれます。

書籍・映像・音楽ソフトの小カテゴリ別市場規模を、「電子書籍」「出版物」、「映像ソフト」、「音楽ソフト」、「ゲームソフト」の5つに分類し、経産省・各業界団体が発表している最新データを組み合わせて読み解いていく。各カテゴリの市場規模内訳は以下の通りとなっている。

  • 電子書籍:6,722億円
  • 出版物:1兆3,426億円
  • 出版物(インターネット販売):2,835億円
  • 映像ソフト:8,276億円
  • 映像ソフト(有料動画配信市場):6,499億円
  • 音楽ソフト:2,052億円
  • ゲームソフト:1,119億円

「電子書籍」は紙媒体として出版されず、インターネット上で購読されるデジタルデータを示し、経産省の発表によると、市場規模は6,722億円となった。これに対し「出版物」は印刷・製本を経て実体として出版された書籍を示している。日本出版販売株式会社の発表によると、全販売チャネルでの販売額を合計した市場規模は1兆3,426億円となった。「出版物(インターネット販売)」はこのうちインターネット上で購入された内訳市場規模を示しており、同調査より2,835億円となった。「映像ソフト」は、DVDやBDのセル・レンタルを示すビデオソフト市場と、ユーザーがインターネット上での購入手続きを経て視聴することができる有料動画配信市場の双方を合わせたものである。一般社団法人日本映像ソフト協会の発表によると、セル・レンタル・有料動画配信の合計を示す全体市場規模は8,276億円と推計された。「映像ソフト(有料動画配信市場)」はこのうち有料動画配信として購入された分のみの市場規模を示し、同資料により6,499億円となった。「音楽ソフト」はアナログディスクやCD、カセットテープなどを含む物理メディアを示し、一般社団法人日本レコード協会の発表によると、市場規模は2,052億円となった。「ゲームソフト」は店頭及び通信販売を通じて販売されたパッケージ版ソフトの市場規模を示しており、ダウンロード版ソフトやソフト内追加課金などデジタル決済を含まないものである。KADOKAWA Game Linkageの発表によると、市場規模は1,119億円となった。

「出版物」および「出版物(インターネット販売)」についてのデータソースは最新の発表が2023年であったため図に使用されている市場規模は2023年度のものである。

EC市場規模として扱うことのできる「電子書籍」や「出版物(インターネット販売)」、「映像ソフト(有料動画配信市場)」の市場規模の合計は1兆6,056億円であり、経産省の発表と比較しわずかに小さな値となった。この差は有料音楽配信やダウンロード版ソフトの普及が反映されていないことが一因として考えられる。また、一般社団法人日本映像ソフト協会の発表による有料動画配信の市場規模推計は6,499億円であるが、経産省の発表による「有料動画配信」の市場規模は4,873億円となっており相違がみられる。これについては一般社団法人日本映像ソフト協会の発表における市場規模が推計であることが要因として考えられる。さらに、2023年市場規模も同様に一般社団法人日本映像ソフト協会の推計値が経産省発表の市場規模より大きかったことから、経産省の調査対象よりも広い事業者やサービスを包括的に推計している可能性も考えられるだろう。全体市場規模を見てみても、「電子書籍」「出版物」、「映像ソフト」、「音楽ソフト」、「ゲームソフト」の5つのカテゴリの合計は3兆1,595億円となり、経産省により発表された全体市場規模と比較するとわずかに下回るが、比較的網羅性が高いカテゴリ分けとなっていそうだ。

また「書籍・映像・音楽ソフト」は本記事で着目した6つの分類の中で唯一、昨年から全体市場規模が縮小している。ECに適した商材とされる「書籍・映像・音楽ソフト」のEC化率は昨年から3.0ポイント増加し、6分野のうち最も大きな伸びを示したものの、経産省の発表では「2022年以降は巣ごもり需要が収束していると推測」や、「書籍を読む場所やジャンルによって紙と電子の使い分けを行うといった消費者行動の調査結果もあることから、紙の出版物と電子出版物とが一定の比率を保って共存することも考えられる」との言及もあり、今後の全体市場規模やEC化率の停滞も示唆されている。

 

 

④化粧品・医薬品

 

全体市場規模 11兆5,079億円 / EC市場規模 1兆150億円 / EC化率 8.82%

経産省の「国内電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の「化粧品・医薬品」のEC市場規模は1兆150億円となり、全体市場規模11兆5,079億円のうちEC化率は8.82%となっている。

※この図表もダウンロードデータに含まれます。

化粧品・医薬品の小カテゴリ別市場規模を、「化粧品」、「一般用医薬品」、「医療用医薬品」の3つに分類し、調査会社が発表している最新データを組み合わせて読み解いていく。各カテゴリの市場規模内訳は以下の通りとなっている。

  • 化粧品:2兆5,840億円
  • 一般用医薬品:1兆3,101億円
  • 一般用医薬品EC:904億円
  • 医療用医薬品:1兆8,948億円

「化粧品」はスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ヘアケア化粧品、フレグランス化粧品、男性用化粧品等を対象としたものである。矢野経済の調査によると、市場規模は2兆5,840億円となった。「一般用医薬品」は風邪薬や解熱鎮痛剤など医師の処方なしで購入することのできるOTC医薬品全般を対象としており、セルフメディケーションを目的とした薬の購入を示す。富士経済の調査によると、明記されているEC市場規模とEC比率から算出した全体市場規模は1兆3,191億円となった。「一般用医薬品EC」はこのうちインターネット上で購入された内訳市場規模を示しており、同資料より904億円となった。「医療用医薬品」は医師の処方箋によってのみ調剤・使用される医薬品であり、医療機関や薬局を通じて使用される医薬品市場を対象にしている。富士経済の調査によると、市場規模は1兆8,948億円となった。

「化粧品」、「医療用医薬品」の市場規模については2024年公開のデータソースを採用したため2024年市場規模は見込み値として公開されており、また「一般用医薬品」は2023年市場規模を掲載している。

「化粧品」、「医療用医薬品」については店頭やEC・通販を含めた販売チャネル全体市場規模である。「化粧品」「一般用医薬品」、「医療用医薬品」の3つのカテゴリの合計は5兆7,889億円となり、経産省により発表された全体市場規模より小さな値になった。この差の要因の一つには調査対象範囲の違いが挙げられる。経産省発表の市場規模には「化粧品・医薬品」市場として美容・健康関連器具も推計対象に含まれており、3つのカテゴリ分けでは網羅できていない部分だといえる。また「医療用医薬品」として扱った調査記事では「皮膚科領域」、「アレルギー疾患治療剤・呼吸器疾患治療剤」、「免疫疾患治療剤」、「消化器疾患治療剤」、「整形外科領域」の5領域の市場規模のみが得られ、これに含まれていない医薬品に関しての市場規模が不足していることが考えられる。さらに「一般用医薬品」のデータソースには検査薬が含まれているかが明記されていない。コロナ禍が拍車をかけたこともあり、数千億~1兆円規模の市場規模を誇る検査薬市場が調査対象に含まれるかは市場規模の違いに大きく影響するだろう。他の要因には統計のベースの違いが考えられる。経産省発表の市場規模が小売販売額をベースにしているのに対し、本記事で使用したデータソースにはブランドメーカー出荷額をベースにした市場規模が記載されているものが含まれる。以上の要因が経産省発表の市場規模と本記事でのカテゴリ分けの差異に影響しただろう。

 

 

⑤生活雑貨・家具・インテリア

 

全体市場規模 7兆8,625億円 / EC市場規模 2兆5,616億円 / EC化率 32.58%

経産省の「国内電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の「生活雑貨・家具・インテリア」のEC市場規模は2兆5,616億円となり、全体市場規模7兆8,625億円のうちEC化率は32.58%となっている。

※この図表もダウンロードデータに含まれます。

生活雑貨・家具・インテリアの小カテゴリ別市場規模は、調査データが存在せず、内訳に分割できず、「ホームファッション小売」だけとなっており、調査会社が発表している最新データを組み合わせて読み解いていく。

  • ホームファッション小売:3兆5,392億円

「ホームファッション小売」は「ベッドリネン・寝具」「タオル製品」「ナイトウエア・ホームウエア」「ホームファニチュア」「インテリアファブリックス」「ホームライティング」「キッチン・テーブルウエア」の7分野を対象としており、主に一般家庭用が対象だが一部法人需要も含まれている。矢野経済の調査によると、市場規模は3兆5,392億円となった。市場規模については2024年公開のデータソースを採用したため2024年市場規模は見込み値として公開されている。

経産省により発表された全体市場規模と比較するとおよそ45%程度の市場規模となった。これは、経産省発表の市場規模には矢野経済の「ホームファッション小売」の対象である7分野だけでなく、洗剤やティッシュなどの家事用消耗品も含まれており、調査対象範囲の違いが要因と考えられる。昨年の経産省による発表では、「ECの売上の内訳は、約7割が家事雑貨、家事用消耗品が占める」という記載もあり、「ホームファッション小売」では網羅できていない家事用消耗品は「生活雑貨・家具・インテリア」分野において多くを占める商材といえる。

生活雑貨・家具・インテリアのEC化率は年々右肩上がりを維持している。経産省の発表においても、「生活雑貨・家具・インテリア」の対象分野である家事用消耗品は消費サイクルが早く、電子商取引の一般化に伴うクイックコマースの拡大にも日用品分野は適した商材だと言えるため、今後のEC市場拡大にも期待できると言及されている。

「生活雑貨・家具・インテリア」の対象商材の中でも家具やインテリア商品について、経産省の発表では「拡張現実(AR)の技術を使い、家具やインテリア商品を自宅の部屋に置いたイメージをスマートフォンで確認できる機能を提供する事業者も増えている」との記載がある。また、実店舗には展示しきれない商品展開についてもEC上で確認することで消費者は自宅にいながら幅広い選択肢を比較検討できるため、ECでの購入に抵抗感を持たれがちであった商材についてもEC利用の拡大が期待できるだろう。このようなオンラインと実店舗を組み合わせた購買プロセスは、消費者の利便性を高めると同時に、販売機会の最大化によって全体市場規模の拡大やECの定着にも繋がるだろう。

 

 

⑥衣類・服飾雑貨

 

全体市場規模 11兆9,675億円 / EC市場規模 2兆7,980億円 / EC化率 23.38%

経産省の「国内電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の「衣類・服飾雑貨」のEC市場規模は2兆7,980億円となり、全体市場規模11兆9,675億円のうちEC化率は23.38%となっている。

※この図表もダウンロードデータに含まれます。

衣類・服飾雑貨の小カテゴリ別市場規模を、「アパレル(紳士服・洋品、婦人服・洋品、ベビー子供服・洋品)」、「靴・履物」、「宝飾品(ジュエリー)」、「鞄・袋物小売」の4つに分類し、調査会社が発表している最新データを組み合わせて読み解いていく。各カテゴリの市場規模内訳は以下の通りとなっている

  • アパレル(紳士服・洋品、婦人服・洋品、ベビー子供服・洋品):8兆3,564億円
  • 靴・履物:1兆2,354億円
  • 宝飾品(ジュエリー):1兆1,306億円
  • 鞄・袋物小売:1兆9,855億円

「アパレル(紳士服・洋品、婦人服・洋品、ベビー子供服・洋品)」はメンズアパレル、レディスアパレル、ベビー・子供アパレルなどのアパレル関連企業で販売されたものを対象にしており、矢野経済の調査によると、市場規模は8兆3,564億円となった。「靴・履物」は紳士靴や婦人靴に加えスニーカーやスポーツ用靴なども含めたすべての靴・履物を示しており、矢野経済の調査によると、市場規模は1兆2,354億円となった。「宝飾品(ジュエリー)」は主に金やプラチナを素材に、ダイヤモンド、貴石、真珠などを使用した宝飾品を対象にしたものを示し、矢野経済の調査によると、市場規模は1兆1,306億円となった。「鞄・袋物小売」は主に男性仕様の大型の鞄、また女性仕様のハンドバッグや小物入れを示しており、旅行用鞄やハンドバッグなど多様な鞄のほか財布など革小物も含まれている。矢野経済の調査によると、市場規模は1兆9,855億円となった。

「靴・履物」、「鞄・袋物小売」の市場規模については2024年公開のデータソースを採用したため2024年市場規模は見込み値として公開されており、また「アパレル(紳士服・洋品、婦人服・洋品、ベビー子供服・洋品)」は2023年市場規模を掲載している。

これら4つの小カテゴリは店頭やEC・通販を含めた販売チャネル全体市場規模である。4つのカテゴリの市場規模を合算すると12兆7,079億円となり、経産省から発表されている全体市場規模よりも大きな値になっている。この要因としては、伸びの鈍化が見込まれていた「靴・履物」、「鞄・袋物小売」の市場規模が、今回使用したデータソースに記載された2024年見込み市場規模を下回った可能性が示唆される。記事には2024年市場規模見込みについて「商品価格の値上げや物価高による買い控えの進行などが想定される」との記載もあり、2024年市場規模縮小の懸念はあったものの想定以上の下回りが起きたことも考えられる。また2024年市場規模について明記されたデータソースが見つからなかった「アパレル(紳士服・洋品、婦人服・洋品、ベビー子供服・洋品)」についても、プラスを維持しながらも2021年ごろから伸び悩んでいた市場規模が2024年には衰退した可能性も挙げられる。

 

 

6つの商品ジャンル別の国内EC市場規模データの分析

 

今回は経産省発表の令和6年電子商取引に関する市場調査の、BtoC-EC市場規模のうち物販系分野についてジャンル毎の細かな内訳について分析し、各業界団体や調査会社のデータを活用して読み解いていった。前年と比較すると6分野すべてでEC化率は増加を維持しているものの、商品特性が不確実な「食品・飲料・酒類」や、買い替えのサイクルが長く単価の高い「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」などはEC取引で扱う商材として未だ浸透できずEC化率が伸び悩んでいた。

一方で、「生活雑貨・家具・インテリア」や「衣類・服飾雑貨」など実店舗での購入が根付いた分野においては、VRやシミュレーションの活用により購入前の不安を軽減することでEC利用拡大が今後も継続的に伸びていきそうだ。ECにおける購買体験の幅が拡大し、実店舗にはない利便性や楽しさなど新たな付加価値を与えることで単に購入のハードルを下げるだけでなく、実店舗とECとの役割分担や差別化による顧客体験の創造も可能になっているのだ。

これらを踏まえると、今後の市場拡大には、EC取引に適した商材の選択はもちろん、ECだからこそ提供できる購買体験や新たな価値を打ち出すことが大きな鍵となるだろう。ECが単なる販売チャネルの一つではなく、実店舗と相互補完しながら消費者に多様な選択肢を提示する存在へと進化することで、BtoC-EC市場全体の拡大にも繋がるだろう。