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ショッパブル動画広告は、マーケティングツールの1つとしてどのように活用していくべきか

ショッパブル動画広告は、マーケティングツールの1つとしてどのように活用していくべきか

マーケティング
2022/10/31

eコマース関係者の中には、ライブショッピングの拡大傾向は、おそらく米国の顧客にはアジア太平洋(APAC)市場ほど広範にはならないだろうと予測する人もいる。それでも、販売業者はライブショッピングがeコマースの売上拡大にもたらす可能性を軽視してはならない。

 

TikTokFacebookなどのプラットフォームは、ライブショッピングは米国では普及しないと結論付けていると言われている。しかし、多くの食品や消費財(CPG)のマーケティング担当者は、ライブコマースに投資を続けており、これが拡大を後押しする可能性もある。

 

顧客はQVCHome Shopping Networkなどの生放送のテレビショッピングがきっかけとなり、「今見たものがほしい」という意識が芽生え、欧米市場では、オンラインショップが少なくともいくつかのライブコマースを導入することが予想される。

 

マーケティング担当者が現在ショッパブル動画広告と呼んでいるものは、ソーシャルメディア・プラットフォームとそのインフルエンサー参加者の人気に新しい風を吹き込むものだ。ソーシャル、エンターテインメント、ショッピングの要素を持つこのアプローチを真似ることで、オンライン販売業者は消費者のための新しいショッピング・メディア・チャネルを作ることができる。

 

CPGデジタルマーケティング企業SmartCommerceのCEO、Jennifer Silverberg氏は、ライブコマースの未来は、小売業者が主導するモデルではなく、分散型ブランドと消費者が主導するモデルになると主張している。このような動画コマースのアプローチは、CPGのような購買志向の強いカテゴリよりも、ファッションやジュエリーのようなショッピング志向の強いカテゴリにおいて、より適している。

 

ブランドは、ライブショッピングのパラダイムを用いずに、エンターテイメントにコマースを統合することを計画している。その代わりに、ブランドは、消費者中心の商品発見という一般的な傾向と一致する、動画とコマースを融合させたより本格的な分散型モデル(マイクロインフルエンサーを想定)に焦点を当てていると、彼女は付け加えている。

 

「動画をショッパブル(購入可能)にすることは、他のリンクをショッパブルにすることほど複雑ではない。バナー広告、ソーシャルポスト、QRコード、何でもいい。クライアントブランドのリンクを作成するのに数分かかるが、どこでも使えるようになる」と、Silverberg氏は語っている。

 

調査に基づく考察

デジタル広告会社Kerv Interactiveの研究者は7月、消費者がインタラクティブ・ビデオ広告にどのように関わっているかを明らかにする、初の「インタラクティブ・ショッパブル・ビデオ・インサイト・レポート」を発表した。このレポートは、経済的に困難な時期であっても、ブランド認知と販売を促進するためにこの革新的なフォーマットを使用する新しい視点をマーチャントに提供している。

 

このレポートでは、コマースまたはインタラクティブ機能を持つ動画広告を目にした9,000万人のKervおよび/またはSmartCommerceのユーザー(米国のデジタルバイヤーの40%以上)の半数が、6カ月以内に同社のプラットフォームから配信された動画広告に関与したことが明らかにされている。さらに、最も魅力的なコンテンツのカテゴリは、スタイルとファッション、食品と飲料、家庭と園芸などであることが示された。

 

「昨年は、消費者がショッパブルな動画広告を実際に目にした最初の年だった。すべてのブランドとエージェンシーは、コンテンツとコマースを結び付ける没入型の動画体験を通じて、これまで以上に多くの人々と関わる大きなチャンスがあることに早くも気づき始めている」と、KervのCOOであるMarika Roque氏は語っている。

 

彼女は、インタラクティブでショッパブルな動画は、エージェンシーのメディア購入のごく一部からマストバイ(必ず購入すべきもの)になりつつあり、特に今後の景気後退で予算が制約される可能性があると指摘した。

 

レポートの調査結果は、2021年10月1日から2022年3月31日までのKervプラットフォームから収集されたデータに基づいている。これは、ショッパブル動画に対する消費者の関心を理解するためにKervプラットフォーム上で実行された100以上のブランドと代理店のための500以上のビデオ広告キャンペーンについて収集されたデータである。

 

リサーチで見えてきた、広告の新たな現実

ショッパブル広告の利用者は、25~54歳が多い。平均エンゲージメントは5%以上、最大50%まで幅がある。50歳以上の人が最もインタラクション率(広告の表示後にユーザーがその広告を操作した頻度)が高く、平均で30%以上だった。

 

Roque氏は、インタラクションが最も優れている上位3つの業種は、スタイルとファッション、食品と飲料、家庭と園芸であると指摘する。CPGや食品・飲料のカテゴリでは、購買行動がスタイルやファッションと異なることもあり、Add-to-Cart(カートへの追加)技術が中心となっている。

 

「消費者の感情や行動を把握するためには、高パフォーマンスの既知の広告プレースメントを利用することが重要だ」とCint(スウェーデンのソフトウェア企業)傘下のデジタル測定インサイト会社Lucidの測定担当副社長、Laura Manning氏は述べた。「パートナー企業との研究全体において、Lucidは、Kervのインタラクティブ・メディアが我々のベンチマークに対して17倍のリフトを実現したことを確認した」と続けた。

 

インタラクティブ・テクノロジーは、商品の在庫状況やフレーバー、小売店の場所によって、インタラクションの機会を動的に調整する。インタラクティブでショッパブルな動画により、測定可能なカートへの追加率や売上が増加した。

 

インタラクティブな体験では、製品をより深く見る必要がある。そのようなアプローチにより、デジタルでの対話と差別化の必要性が買い手の検討材料となるのだ。

 

カート機能の追加

インタラクティブ・ビデオの魅力の一つは「カートに入れる」機能であり、食品・飲料カテゴリで最も大きな効果を上げている。Kervとそのパートナー、SmartCommerceからのデータは、オフサイトのカート転送の10%以上が実際の購入に結び付くことを示唆している。インタラクティブ・ビデオやショッパブルな動画からのクリック数は、標準的な広告よりもかなり高く、その結果、カート内の商品数が増え、より多くの購買を促すことにつながる。

 

 

「私たちはカートまで、つまりクリックの先まで計測しているため、代理店が消費者の意図的なクリックを強く促していることがわかる。また、消費者の取消率が高い場合は、その逆の測定も可能だ」とSilverberg氏は述べた。

 

クリックからカートに入れるまでのベンチマークは90%だ。Kervのインタラクティブでショッパブルな動画の結果は、一貫して96-99%の間で完了率を示している。これはつまり、エンゲージメントに基づく動画内のクリックが、購買意欲の高い優良顧客を引き寄せていることを意味している、」と彼女は付け加えた。

 

顧客の賛同は普遍的ではない

ショッパブルな動画は、多くのフォーマット、特にソーシャルテレビやコネクテッドテレビ(CTV)で勢いを増しているとRoque氏は述べている。eMarketerによると、ソーシャルコマースの購入者数は、今年末までに1億260万人に達する見込みだ。

 

InstagramやTikTokなどのプラットフォームは、クリエイターが動画で紹介された商品に直接リンクすることを可能にし、リードする役割を担っている」と彼女は話す。「ソーシャルメディアを発見の段階だけに使うのではなく、ブランドは消費者がアプリを離れることなく、購入に至るまで導くことができる」と続けた。

 

実際、TikTokユーザーの71%が、動画フィードやストーリーで気に入った商品を見て、買い物に立ち寄ると回答しているとRoque氏は述べている。さらに、より多くのブランドが収益を上げるためにソーシャルコマースに目を向けるようになるだろうと、彼女は補足した。

 

例えば、多くのブランドがQRコード技術を活用して、静止画の動画広告をCTV広告のようなインタラクティブな体験に変えている。ほとんどの消費者は、テレビを見るときにすでに携帯電話を手にしている。

 

「広告にQRコードを掲載することで、ブランドは消費者に、広告で紹介されている製品をすばやく簡単に見つける方法を与えることができる」とRoque氏は説明する。

 

SmartCommerceのSilverberg氏は、「信頼できるソースという要素も大事だ」と述べている。インフルエンサーやブランドが重要で、プラットフォームはあまり重要ではないのだ。

 

「プラットフォームは、単なるイネーブラーだ。重要なのは、消費者がいつでも発見することに前向きであることで、動画はそれを可能にする素晴らしいツールだ」とSilverberg氏は述べている。

 

さらなる進化へ

Roque氏によれば、大手テクノロジー企業やコンテンツ企業は、ショッパブル動画を作成し、コンテンツとコマースの橋渡しをサイロで行っているという。各社は、戦略やロードマップの中核に消費者を据えて構築していると主張している。しかし、ユーザー体験を真に最適化するためのインサイトが欠けている。

 

「消費者に真に寄り添い、どのような特異な行動を教えれば、よりシームレスで複雑でない導入が可能になるのか、真のインサイトに基づいた基準を確立し、すべての組織で採用する必要がある」と彼女は述べている。

 

Silverberg氏は、最も大きな障壁は私たちの習慣と期待だと考えている。また、多くの広告代理店は、いまだにリーチとフリークエンシーを成功の重要な尺度として事業を行っている。

 

「しかし、最終的には、消費者が購買につながる行動を選択することだけが、本当に重要なポイントなのだ」と、Silverberg氏は語っている。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の10/18公開の記事を翻訳・補足したものです。