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グローバル視点で見る、コロナ禍を越えた先にあるeコマースビジネスの未来

グローバル視点で見る、コロナ禍を越えた先にあるeコマースビジネスの未来

トレンド
2022/07/08

オンライン市場を席巻するトレンドを理解し、変化する顧客のニーズや期待にどのように対応していけばいいのか

eコマースアクティビティは過去2年間で大幅な成長を遂げた。オンラインショッピングは、今後10年間の健全な成長に向けた準備がすでに整っていたが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックは、過去のあらゆる予測を加速させた。

 

世界的にみて、eコマース売上は2021年を通して27.6%の成長率を記録した。この成長率により、Insider Intelligence(デジタルトランスフォーメーションに焦点を当てた米国の調査会社)は、世界のeコマース市場が2022年に5兆ドルに達し、わずか2年後の2024年には6兆ドルに達すると予測している。これは主に、オンライン販売が成長し続けているという事実が要因となっている。

 

店舗が再開しても、オンラインショッピングを選択する顧客の割合は増え続けている。多くの業界リーダーは、特にオンライン売上において、前年比での増加が予測されることを考慮すると、こうしたオンラインショッピングの習慣は定着していくと考えているという。

 

加速したeコマースの成長が小売業者に与える影響

常時接続していて、世界中のどこにいても何でも購入できる環境下において、顧客は、パーソナライズされた、ダイナミックで便利なショッピング体験を望んでいる。その結果、多くの企業は自らを改革し、新しいビジネスモデルとテクノロジーに適応し、消費者の新しい期待に応え、競合他社に後れを取らないよう努めている。

 

小売業者がビジネスモデルをオンラインにピボットしなければならなかったことを考えると(まだオンラインでなかった場合)、競争環境はナビゲートするのがさらに難しいものとなっている。また、市場の細分化や、不満があれば消費者は代替ブランドを簡単に見つけることができるようになったことで、消費者の間でブランドロイヤルティの「死」が顕著なものとなっている。そのため、小売業者は、厳しい市場で差別化を図り、競争力を維持するための課題に直面しているのだ。

 

2022年にeコマース業界を形成するトレンドと課題

 

eコマースセクター全体の成長

多くのeコマース企業が身をもって体験したように、COVID-19はオンラインショッピングブームを引き起こした。世界が、規制、社会規範、顧客のニーズの変化に適応したことで、すでに急成長を遂げていた業界が超高速な成長期に突入したのだ。世界のeコマース市場とeコマースカテゴリ全体での急成長は、最終的にはパンデミック前の数値に落ち着くと予測されているが、その時期はまだ先である。2022年以降、今後2〜3年の間に、世界中でeコマースは大きく成長し続けるだろう。

 

eコマースマーケティングの動向

1.ゼロパーティおよびファーストパーティのデータの重要性の高まり:

  • データは、意思決定を行い、企業が目標を達成するのに利用されるが、2022年のデータ収集方法は以前の方法とは大きく異なる。ゼロパーティおよびファーストパーティデータの重要性が高まるにつれ、eコマース企業による消費者からの情報収集方法が変化している。
  • 顧客が、日々企業に提供しているデータ量を認識するようになったことや、Apple、Facebookなどが開始したデータプライバシーの劇的な変化に伴い、データ収集はますます困難になってきている。
  • オンラインビジネスにとって、サードパーティデータは、近年、マーケティングデータ戦略の重要な要素となっている。今後マーケターは、ゼロパーティおよびファーストパーティデータに頼らざるを得なくなる。

 

注目する理由  eコマース企業は、成功に必要なマーケティング活動を維持するため、ゼロパーティおよびファーストパーティデータの収集を優先する必要がある。また、マーケターは、これまでとは異なる指標にシフトして、注視する必要がある。

 

2.Cookieのない世界でのパーソナライゼーション:

  • 規制によりデータ追跡が困難になるにつれ、消費者はデータのプライバシーと、高度にパーソナライズされたブランド体験を要求し続けるだろう。eコマース企業は、これらのパーソナライズされたブランド体験を促進するために必要な消費者データを、どのように収集し続けるかを決定する必要がある。
  • ブランドにとって最も重要なことは、「消費者が特定のデータインタラクションをどのように感じるかは、ブランドとの関係性に大きく依存している」ということだ。それはどういうことか?消費者は、関連するコンテンツやパーソナライズされた顧客体験を提供するために情報が使用されるとわかっていれば、ブランドと自分の情報を交換することをいとわないだろう。それは、何よりも顧客の信頼を優先することに帰結する。

 

注目する理由 ブランドは、データ収集の取り組みについて透明性を確保し、データ交換に共通の価値があることを示さなければ、Cookieのない世界で生き残ることはできない。

 

3.ソーシャルコマース:

  • eコマースアクティビティは、ブランドマーケティングからカスタマーサービス、ショッパブル広告まで、ソーシャルメディアプラットフォームに移行している。
  • 1年以上にわたる在宅勤務を経て、世界中の人々がソーシャルフィードをスクロールするのにさらに多くの時間を費やしている。典型的なソーシャルメディアユーザーは現在、起きている時間の約15%をソーシャルプラットフォームに費やしている。
  • 世界中のソーシャルメディアチャネルを介した売上は、2025年までにほぼ3倍になると予想されている。

 

注目する理由 ソーシャルメディアプラットフォームは、eコマース企業が顧客と関わり、ユニークな体験を生み出すための新しい方法を提示している。まだ提示していないeコマース企業は、ソーシャルコマースを理解し、このタッチポイントを全体的な戦略に統合する方法を把握する必要がある。

 

4.データレポーティングツール:

  • eコマース企業は、データの分析に非常に多くの時間を費やしている。オンラインストアのパフォーマンスから広告の費用対効果まで、すべてを追跡するには、eコマース企業のビジネスパフォーマンスについてのさまざまな指標を収集し、分析するための各種ツールが必要である。
  • 今日、eコマース企業は、デジタルパフォーマンスを分析するための大量のデータレポーティングツールとソフトウェアを利用することができる。非常に多くのオプションがあることは企業にとってプラスに思えるかもしれないが、実際には、利用可能なツールの大半が、選択的なレポート機能しか有していない。すべての情報を一元化して取り込む機能を備えたレポーティングツールがなければ、真実を語る唯一の情報源を取得して正確な結論と最適化を行うことは不可能だ。

 

注目する理由 すべてのツールのすべてのメトリックを1つの場所に一元化するデータレポーティングソフトウェア/パートナーは、データ分析プロセスを簡素化し、より正確なインサイトをもたらし、eコマース企業がより適切で、より詳細な情報に基づいた意思決定を行うのに役立つ。

 

5.配達への期待

オンラインショッピングが増加し続けるにつれて、消費者の配達に対する希望や期待も高まっている。無料配達は当たり前となり、配達を2日以上待つことは、ほとんどの消費者にとってありえない話だ。今日のオンライン配送体験に欠かせないのは以下の通りである。

  • スピード
  • 低コストあるいは無料での返品
  • 簡便な返品手続き
  • 出荷プロセスにおける透明性と柔軟性

 

注目する理由 消費者は小売業者のすぐ目の前で進化を続けている。彼らの行動と期待を理解してタイムリーに対処し、喜んでもらうために十分な機敏さと熱心さを備えることは、オンライン小売業者が今後数年間で際立つために必要な差別化要因となるだろう。

 

配送に対する消費者の期待が高まるにつれて、eコマースビジネスにおける配送およびロジスティクスプロセスはより複雑で高コストとなってきている。そのため、適切な配送プラットフォームとパートナーを選択することは、eコマース企業にとってこれまで以上に重要となっている。

 

要点:急速に進化するこの領域で成功を収める

過去数年間の出来事は、消費者が期待するものや、オンラインでのエンゲージメントと購入方法から、複雑さが増したことなど、eコマースの購買過程のあらゆる部分への変化をもたらした。eコマースの成長への道は、新規顧客や社会の期待に応えるため、迅速にピボットすることを意味する。

 

eコマースビジネスが2022年に成功を収めるには、以下の3つのポイントが重要となる。

  • Cookieのない世界での消費者データ収集とパーソナライズに関して適切なバランスをとること。ゼロパーティとファーストパーティデータの交換を、消費者にとってより価値あるものにする方法を見つけ出すことで、顧客との関係が強化され、ビジネスの成功につながる。
  • 高速、無料、シームレス、透明性のある配送体験を提供することで、eコマースブランドは消費者の目から見て他ブランドとは一線を画するものとなる。従来のモデルから進化し、可能な限り多くのステップをデジタル化し、適切な配送エコシステムパートナーを見つけることが、企業が注力すべきことである。
  • 適切な種類の新しいテクノロジーを採用することで、eコマースリーダーは急速に進化するオンライン小売の世界を管理し、消費者が期待する方法でそれらが確実に表示されるようにし、ポジティブなバイヤージャーニーのタッチポイントとエクスペリエンスを促進することができる。

より優れたオンラインエクスペリエンスを提供するための競争において、マーケティング、配送、物流、および優れた顧客エクスペリエンスを提供するためのテクノロジーの適切なバランスをとることは、気持ちがくじかれるように感じるかもしれない。それらを理解した小売業者は、競争上の優位性を確立し、消費者の心をつかみ、ウォレットシェアを獲得することができるのだ。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の6/14公開の記事を翻訳・補足したものです。