消費者がオンラインショッピングのニーズを満たすためにAmazonに集まっていることは周知の事実だ。昨年、このeコマース大手の売上は、デジタル全体の40%以上を占め、同社全体の売上も年々増加している。

しかし、多くのブランドは、Amazonでの販売に非現実的な期待を抱いている。また、Amazonで検索される商品の大半はノーブランドのものであるにもかかわらず、同社の売上がウェブサイトの売上と共食いすると考える非常に悲観的な人もいる。

対照的に、Amazonは簡単に成長し、すぐに売上が上がるチャネルだと思い込んでいるブランドもある。残念ながら、それも事実ではない。Amazonでの販売は大きな利益をもたらすが、成功には時間がかかる。Amazonが自社にとって適切な投資であるかどうか、踏み出す前に慎重に検討する必要がある。

ここでは、Amazonでの販売が進むべき道であるかどうかを判断するために、すべてのブランドが考慮すべき3つの質問を見ていこう。

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1. 製品が確立され、品質が良く、価格が適正であるか？

無名のブランドや商品をAmazonで立ち上げるのは、非常に難しいことだ。むしろ、市場の需要が証明されている確立された製品から始め、Amazonで勝つ方法を学ぶことに集中する方がはるかに簡単だ。

重要なのは、商品の価格を正しく設定することだ。Amazonの買い物客は、他のウェブサイトの買い物客よりも価格を比較している。ブランドは、市場よりも劇的に高い価格を設定することはできない。

20ドルを超える価格帯の商品で、サイズが小さく重量が軽いものは、Amazonでの販売に向いている。2ポンドで10ドルの商品を発送するために、Amazonに5ドル支払うとなると、価格が50%アップすることになる。価格帯の低い商品で実店舗と競争するのは難しい。特に、送料が上乗せされる場合はそうである。

また、品質も重要だ。レビューが星4つ以下だと、Amazonのプラットフォームで成功するのは難しい。レビューの悪い商品に顧客を誘導するために資金投資すると、広告コストが増え、利幅が圧迫される。

 2. 広告や商品ページのコンテンツは充実しているか？

高品質な製品と適切な価格帯であっても、広告とコンテンツは非常に重要だ。

コンテンツを商品としてとらえ、できるだけ安く手に入れようとするブランドがあまりにも多いのだ。しかし、商品ページこそが、顧客を引きつけ、類似品や代替品、競合販売者から差別化することができるのである。

鮮明なイメージの写真が複数あるか？商品の有用性や品質を箇条書きで説明するのはどうか？リスティングとストアフロントは適切に設定されているか？Amazonは競争が激しく、間違えればアルゴリズムが不利に働く。成功の可能性を高めるために、すべてのボックスにチェックを入れる必要がある。

特に、Amazonに自社商品のことをよく知ってもらうためには、ローンチ時のコンテンツが非常に重要になる。Amazonでローンチするはじめの期間は、「ハネムーン期間」と呼ばれ、Amazonはあなたのコンテンツをクロールし、関連するキーワードの1ページ目に自動的に表示される。これにより、Amazonは、あなたの商品のパフォーマンスを確認し、既存商品と比較することができる。

ここで良いパフォーマンスができれば、アルゴリズムが早期にブーストを与えるように設定されているため、ブランドはそこに留まる可能性が高くなる。コンテンツに手を抜いて、高い売上高を期待することはやめた方がいい。

 3. 十分な資金があるか？

これまで述べてきたことはすべて、金銭的な投資を必要とする。研究開発からコンテンツまでの費用に加え、ブランドには十分な在庫が必要だ。

特にAmazonの場合、在庫の一部をAmazonの倉庫に出荷するFBA（Fulfillment by Amazon）を利用することが望ましいとされている。これによって、リーズナブルな配送費を実現し、Amazonプライムを提供することができるというメリットもある。一方デメリットは、在庫のかなりの部分がAmazonチャネルに割り当てられるため、他のチャネルでの在庫が圧迫される可能性があるということだ。

資金繰りが厳しい場合、FBAを利用できるだけの在庫を持つことは困難だ。また、FBAの在庫がなくなれば、Amazonの検索順位に大きな打撃を与え、在庫が補充されてもランキング回復が困難になる可能性がある。

要するに、Amazonで販売することは非常に大きな可能性を秘めているが、簡単なことではないということである。成功への近道はないのだ。もし、ブランドがAmazonで販売することを決めたら、戦略的な数年間の投資が必要となることを覚悟しよう。すでに地位を確立しているブランドであれば、通常1〜3年で軌道に乗せることができる。

Amazonは大きな市場かもしれないが、決して簡単に成果を生み出せるわけではない。Amazonには、どんな商品にも何百もの競合が存在する。ブランドは、長期的にコミットし、ランキングの上位を維持するために必要な資金を投資することをいとわない場合にのみ成功するのだ。

Amazonに参入する前に、Amazonがあなたのブランドにとって適切なチャネルであるかどうかをよく検討することが大切なのである。

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」4/11の公開の記事を翻訳・補足したものです。