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読み手にしっかり届くために、eメールコンテンツはどのようにパーソナライズしていくべきか

読み手にしっかり届くために、eメールコンテンツはどのようにパーソナライズしていくべきか

マーケティング
2022/03/22

「親愛なるX様」を超えるパーソナライズを、特に企業規模で行うことは非常に困難な挑戦である。

 

パーソナライズされたメールは、数多くの受信メールの中でも際立ち、読み手の注目を集めることができる。それは簡単なことに思える。「今日に至るまで、完璧にパーソナライゼーションの真の解決策を見出した人はいない」と、John Hendricks氏は語る。「パーソナライゼーションといえば、メールに『親愛なるKIM様』や『楽しい水曜日を(Happy Wednesday)』を追加することであると考えているだろう」。

 

Hendricks氏は、米国に本社を置きマーケティングを行うErgoの創業者兼CEOである。同社は、大規模なパーソナライゼーションを実現するためのeメールのコンテンツ自動化プラットフォームを提供している。同氏はメール分野での長いキャリアがあり、1990年代末に初期のメールサービスプロバイダの一つであるBigfootを共同で創業(米国のデータ管理会社のEpsilonに買収された)した。「私のDNAは常にメールと共にある」と同氏は言う。「高度なメールマーケターが、よりクールなことを実行できるようにもう少し掘り下げるサポートをするために、この会社を始めた」。それは、長期的な進化するプロセスであることがわかった。

 

コンテンツではなくコンテナ

「特にマーケティングオートメーションが登場した時期に、我々が気付いた大きなギャップの一つは、何かを送信する際、実際には、誰もが入れ物であるコンテナに焦点を移しているということである。また、多くのエンジニアリング、データ、技術、運用リソース、マーケティング帯域がそこに費やされ、コンテンツに関連性がなかったという点である」。

 

その結果、それはアンバランスであるということが示された。「このように過剰に設計されたインフラがあったとしても、オプトアウトが増加し、顧客は敬遠し、幽霊のようなアドレスが増加する」とHendricks氏。「コンテナの中身に誰も注意を払わない、という事実をはっきりと認識した。それが私たちの仕事の本質である」。

 

エンタープライズレベルのブランドは、数十万から数百万人の顧客を有し、数千から数万のコンテンツモジュールを持つ。それらを大規模にマッチングさせるのは非常に困難である。

 

「コンテンツの自動化を考える時、コンテンツを担当する人と、顧客を担当する人がいる」とHendricks氏は言う。「この2つが相互作用することによって、我々はひらめきを得た」。

 

コンテンツモジュールと顧客のプロフィール

Ergo Content Automation Servicesは、CSVファイル、API、htmlからクライアントのあらゆる情報を取り込み、コンテンツの一部として表示することができる、とHendricks氏は語った。データを取りこんで、コンテンツモジュールに変えるのだ。「これらのモジュールは、顧客レベルの膨大なライブラリに格納され、私たちやクライアントが顧客について気付いたことをベースにターゲット化する。シグナルを受け取り、それをモデル化し、それがターゲティングロジックになる。それは、非常に好循環となる」。機械学習とは、アルゴリズムが実行されればされるだけ、より賢くなることを意味する。「アルゴリズムは通常、クリックエンゲージメントのために最適化されている」とHendricks氏は語った。

 

これが本当に、個人、つまり、マンツーマンレベルで対応しているといえるだろうか。Hendricks氏は「それは、次善のメッセージ、次善のコンテンツという概念を軸にしている」と説明した。「例えば、5つのコホートまたは顧客ライフステージがあり、顧客に伝えたい7つの異なるトピックがあるとする。その中で、顧客が最も求めているものは何か、ということだ」。

 

メールマーケティング専門家のRyan Phelan氏は、Ergoがやろうとしていることは、非常に大きな挑戦であると強調した。「ページを閲覧する、または、インテントを示すということの意味をアルゴリズムに伝えなければならない。このプロセスは非常に集中的であり、企業とそのターゲット市場および顧客アーキタイプに特有のものだ」。彼はまた、クリックの最適化で十分かどうか疑問を呈し、アイテム別、カテゴリ別の購入意図を把握することが、より価値のあることだと示唆した。

 

最新のメールマガジン

Ergo Content Automationはメールの形式を問わないが、Hendricks氏によると、主にメールマガジンを対象としているとのこと。「すべてに取り組んでいるが、最新のメールマガジンに注力したい」と同氏。「最新メールマガジンは、どんな定期的なプログラムにも有効だ。1回限りのメールの場合は利用できないが、21世紀にもなって、単発のメール送信をするべきではない。毎週月曜日や毎月1日に配信されるメールマガジンのような固定化した配信でも構わないし、どんな計画的な配信でも機能する」。

 

Ergoは最近、Salesforce AppExchangeでのContent Automation Servicesの開始を発表した。「Salesforce(米国に本社を置く顧客関係管理ソリューション提供企業)は、多くのことをうまく実施しており、ゴールドスタンダードである」とHendricks氏は語る。「しかし、Forrester(米国に本社を置くリサーチ会社)の最新の企業評価レポートでは、堅牢な動的コンテンツを持っていないと評価されるなど、高度なマーケターには物足りないと思われていた。我々が協力することで、彼らに大きなチャンスをもたらすことができると考えた」。

 

結局のところ、ブランドは、メール経由で顧客に何かを伝えようとしている。「私たちが言いたいのは、思いつく限り最も関連性の高いコンテンツを用意し、それについて顧客に話をするべき、ということだ」。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の3/9公開の記事を翻訳・補足したものです。