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eメールマーケティングは、トレンドの波に乗るより、地道に顧客の良い体験の創出に目を向けるべき

eメールマーケティングは、トレンドの波に乗るより、地道に顧客の良い体験の創出に目を向けるべき

トレンド
2022/03/04

マーケティングのトレンドが、本当のチャンスをもたらすものか、それとも目的から外れるものかを判断することが重要だ。

 

マーケターとして、自社のメールプログラムを計画し最適化するために、何を自社のコレクティブレーダーに映し出すべきかを把握する必要がある。毎年恒例となっている来年のトレンドに関する一連の記事は、まさにその助けとなるものだ。

 

しかし、書き手が読者に対して、読者自身の最も重要な課題について考え、それを解決するための戦略を立て、そして、その後に(その後にだけ!)、その戦略を実行するための戦術(「トレンド」と呼ばれる)を検討するようアドバイスすることは稀である。

 

その結果、どうなるか。我々は、問題を見つけるためのソリューションに終始することになる。そして、マーケターは、魅力的なおもちゃを追い求め、常識からかけ離れたメールプログラムを実行することになり、実際に効果があるソリューションに時間、お金と注意を向けることができなくなっている。

 

最近経験した二つのシナリオをご紹介しよう。

 

1. 過度なセグメント化

メールプログラムは、セグメント化され、ターゲットが絞られ、トリガーを設定したメッセージに基づいて構築することで、より価値を生み出すことが分かっている。セグメントやトリガーに合致するすべての顧客は、彼らの行動、好みや興味を反映した内容のメッセージを受信する。

 

このことは、メールの送信前に購読者の同意と許可を取得することを主張するのと同じくらい、メールのベストプラクティスに近いものだ。

 

しかし、トリガー化、あるいは高度にセグメント化されたメールキャンペーンのみを実行するとしたら、セグメントに当てはまらない、あるいはトリガー基準に合致しない顧客や購読者は何を受け取るのだろうか。もし彼らが、頻繁にメールの開封、クリックや購入を行わない、あるいは閲覧の履歴データを残さないとしたら?彼らがメールを受信することがなければ、開封、クリックやコンバージョンをもたらすことはできない。

 

ここ数年、善意のマーケターがそのベストプラクティスを真に受けすぎたことで、この傾向が強まっているのを目の当たりにしてきた。最近では、最も基本的なメールプラットフォームでさえ、高度にターゲット化されたトリガーキャンペーンを簡単に作成できるため、容易にこのような状況が起こりやすくなっている。

 

これは、いつでも好きなときに顧客にコンタクトできるという、メールの強力な能力の一つを無駄にしている。メールメッセージは、顧客の行動を促すことができる。顧客が自分から、あるいは検索であなたを見つけるのを待つ必要はないのだ。

 

この問題を解決するには、高度にパーソナライズされたメッセージが届かないすべての人に送信される「一括送信キャンペーン」を行うことだ。ブランドは、彼らの受信トレイに表示され続け、適切なタイミングで関心を引くことができる。

 

2. 「最高」のメールを作成する

最新の先進的なメール機能を駆使したメールがある。これらの機能を使うことで、誰も想像しなかった偉業を成し遂げ、業界の友人から羨ましがられるようなメールを作成することができる。

 

これらは、トレンドと表現され、また、エンゲージメント構築戦術の「なすべきこと」リストに挙げられることが多い。これらはすべて同じことを約束している。

 

・「動画はメールをより魅力的にする」

 

・「インタラクティブなメールは、より魅力的である」

 

・「オーバーラップする画像やコラージュ画像は、より魅力的である」

 

誰がそれに異を唱えることができるだろうか。ただし、「最高」とは、高額で、時には未だ試されていない機能を通常のメールメッセージに追加することを意味する場合もある。Oracle Marketing Consulting(マーケティングソリューションを提供するグローバルデジタルエージェンシー)のChad White氏は、「AMPメール」を「実証されていない機会」として挙げており、マーケター、そして開発者たるGoogleのいずれからの興味も薄れているように見えると警告している。この機能を開発するために時間とエネルギーを費やすべきだろうか。それとも、メールの価値をさらに高めるために、購読者に提供できる別のものがあるだろうか。

 

戦略的な目的を持たずに、トレンドに乗りたいからという理由だけで、高度なコーディングやテクノロジーをメールに詰め込むと、メールが過度に複雑になり、顧客や購読者にとって使いにくいものとなることがある。

 

メールのデザイン、コーディングや論理的根拠が複雑になればなるほど、メールを壊してしまい、あらゆるデバイスやブラウザでうまく表示されなくなる可能性が高まる。これでは、エンゲージメントを高めることはできず、低下させることになる。

 

また、イノベーションが、メールに本来の目的とは異なるものを求めている場合もある。いかなるマーケティングチャネルにも、役割と限界がある。

 

メールの主な役割は、顧客をウェブサイトに誘導し、より多くのデータを収集し、顧客をより理解するために必要なコンバージョンや興味のシグナルを生み出すことだ。メールは、レジ通路や価格表ではない。

 

バランスを取ることが真のベストプラクティス

顧客がマーケターからのメールを使って彼らの目標を達成する一方で、マーケターの目標達成に役立つような、より優れたメールプログラム作成のために、高い目標を掲げ、より良い方法を模索するのを妨げるつもりはない。また、それが問題解決や顧客にとってより良いメール体験の創出につながるのであれば、イノベーションは必要だと考えている。

 

しかし、メールマーケティングでは、人生と同じように、自分の野心と道理のバランスを取る必要がある。我々は、厳しい質問を投げかけることによって、トレンドが本当のチャンスなのか、それとも我々の目的から外れてしまうものなのかを評価する必要がある。それが、「最高のマーケター」になるための最善の方法なのだ。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の2/18公開の記事を翻訳・補足したものです。