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2022年に向けて、企業はモバイルアプリをどのように成功に導いていけばいいのか

2022年に向けて、企業はモバイルアプリをどのように成功に導いていけばいいのか

マーケティング
2021/12/23

アプリエクスペリエンスプラットフォームであるAirshipのカスタマーフォーラム「Elevate2021」では、世界中の市場をリードするアナリストや専門家によるインサイトとイノベーションを特集した。

Disneyland ParisShell(エネルギ―・石油化学企業)、BBC(英国放送協会)、Chipotle(メキシコ料理レストランチェーン)、Allstate(米国の保険相互会社)などのモバイル担当者が、各社のモバイルアプリを通じてビジネスの成功をどのように推進してきたかについて講演。すべてのセッションはここから閲覧することが可能。以下に主なハイライトを紹介する。

 

COVID-19がデジタルトランスフォーメーションを加速

講演者らは、パンデミックとそれに伴うロックダウンが、ほとんどすべてのものについてモバイルアプリが積極的に使用されるという状況を加速させ、ブランドはモバイルアプリ・エクスペリエンスの機能を強化する必要性に迫られていると指摘した。

 

CEOのBrett Caine氏を含むAirshipの講演者は、モバイルアプリが日常生活で果たす役割は、ますます重要になっていることを強調した。Caine氏は、世界中のクライアントのモバイルアプリのオーディエンスが2020年に前年比で31%増加したというAirshipの調査結果を引用した。これは、2019年の成長のほぼ2倍の速さだ。

 

著名な技術アナリストであるBenedict Evans氏は、パンデミックがeコマースファネルにおけるインターネットのポジションにどのような変化をもたらしたかを説明した。「人々は今、何を買うかを決めるためにインターネットを利用している。インターネットは、単なる価格比較エンジンではなくなった。今や、インターネットは購入ジャーニーのより基本的な部分となっている」。

 

Apptopia(アプリインテリジェンスプロバイダー)のCEOであるJonathan Kay氏は、増え続ける顧客の期待に応えるためにモバイルアプリ・エクスペリエンスに投資することのメリットと、投資しない場合のデメリットを比較した特別なデータを紹介した

 

消費者データの利用には誠実さが求められる

消費者は、自分のデータがどのように利用されているかについて、これまで以上に意識している。Benedict Evans氏や、Airshipの技術担当SVPである Mike HerrickBBCのデジタルプロダクトマネージャーであるCarolyn Letts氏ら講演者は、AppleとAndroidのオペレーティングシステム全体におけるプライバシーを中心とした変更によって、ユーザーが自分の好みを簡単にカスタマイズできるようにすることの重要性を明確に示している。これはトリッキーな状況といえる。というのも、消費者は自分たちのニーズを予測する、関連性のあるカスタマイズされたオファーを望んでいる。そのために、企業はデータを収集する必要があるが、消費者はデータを共有することにはますます消極的だ。では、この複雑さをどのように乗り越えればよいだろうか?

 

Disneyland ParisのYasmin Kouchouk氏は、この問題に対処するために、同社アプリでユーザーが特定の許諾をすることによって、ユーザーのエクスペリエンスにどのようなメリットをもたらすかを、わかりやすく、明確に、利用しやすい方法で明示するために、多くのリソースと画面スペースを費やしたと述べている。

Carolyn Letts氏は、「モバイルプラットフォームの変化を先取りし、可能な限り先手を打つ」ことの必要性を強調した。20以上のBBCアプリを担当している同氏は、ユーザーを圧倒せず、ブランドとしてのコントロールの一部を維持するため、ユーザーの権限を細かく設定するアプローチを行うようアドバイスした。

 

OneFootball(モバイルサッカーアプリ)のプロダクトマネージャーであるInga Teserskyte氏は、ユーザーのプライバシーとデータ共有の重要性がパートナー企業の大きな関心事であり、顧客データを利用しエクスペリエンスをパーソナライズすることと、顧客に過度にメッセージを送り続けないことのバランスが非常に重要であると述べた。

 

適切な状況下では、パーソナライズされ、かつ丁寧なメッセージが実際の収益増加を促進する可能性がある。McKinsey & Company(大手コンサルティング企業)の最近の調査では、パーソナライゼーションによって、収益が10%以上増加しマーケティング支出効率が10〜30%向上することがわかっている。ブランドがそのために投資を行うことは確かに理にかなっているが、その方法は機転のきいたものでなければならない。

 

ロイヤルティは大きな利益をもたらす

今回のフォーラムでは、Chipotle、Allstate、ACE Hardware(世界最大のハードウェア小売協同組合)、GetPlus(マルチブランドのロイヤリティプログラムを提供するアプリ)などが、ブランドの魅力的な成功事例やケーススタディを紹介し、ロイヤルティプログラムが大きな注目を浴びた。ブランドと顧客の間の価値方程式を適切に保つことのメリットには確かな根拠がある。顧客のロイヤリティに対し意味のある報酬を提供すれば、ブランドは利益を得ることができるだろう。ここでいくつかのハイライトを紹介しよう。

 

GetPlusのCOO(最高執行責任者)兼CMO(最高マーケティング責任者)のAdrian Hoon氏は、豊富で関連性の高い顧客データがいかにGetPlusの驚異的な成長を促進しているかを説明し、インドネシアのマルチブランドである同社のロイヤルティプログラムが、カスタマイズされた報酬とインセンティブを提供することで顧客のエンゲージメント、高い満足度とロイヤルティを維持できていると述べた。Hoon氏は、「今日の消費者は、大好きなブランドとは喜んで個人データを共有するが、その見返りとして、それらのブランドが自分たちに報酬を与え、カスタマイズされたオファーを提供してくれることを期待している」と説明。誠実な価値交換の認識は、GetPlusの戦略の核心である。自動化されたデータ駆動型のパーソナライズされたメッセージングと、あらゆるタッチポイントでのカスタマイズオファーと報酬により、GetPlusは、オンラインとオフラインの両方で、数百のマーチャントパートナーとのコネクションを構築し収益を増やしている。

 

ACE HardwareのCRMマーケティングマネージャーであるKristen Reinke氏は、モバイルがロイヤルティメンバーのために果たす重要な役割について概説した。ACEは、モバイルで、熱心で価値のある顧客に対し、重要な価値を提供できるように設計された独自のオファー、プロモーション、有益なハウツーコンテンツをモバイルによって提供している。

 

高く評価されているChipotleのロイヤルティプログラムは、このイベントで何度も紹介されたが、それはChipotleとの懇談会の時だけではない。ApptopiaのJonathan Kay氏は、Chipotleのロイヤルティプログラムが、いかに業界をリードするアプリエンゲージメントを促進させているかを示すデータを紹介した。それは、同社の新しい限定報酬と機能の宣伝期間には、明確で測定可能なスパイクを伴うことを示すものであった。

 

より広義には、Apptopiaのデータは、ロイヤリティへの投資がどのように収益の増加につながるかを示しており、ロイヤリティプログラムを提供しているだけでは不十分であることを繰り返し述べている。顧客(特に最もロイヤリティの高い顧客)のアプリエクスペリエンスに投資するブランドは、顧客の成長、アプリの利用時間、保持率の50%以上の向上および収益の大幅な増加を期待できる。

 

プライバシーとプラットフォームの変更により、アプリが中心的な存在に。

Benedict Evans氏、AirshipのMike Herrick氏とBrett Caine氏、Fox Corporation(米国拠点のマスメディア企業)のLindsay Silvers氏ら講演者は、iOSとAndroidのオペレーティングシステムにおける最近のプライバシー関連の変更により、モバイルアプリやその他の顧客向けサービスにおいて、顧客の好みを明確かつ容易に反映させる方法を提供することの重要性が引き続き高まっていると説明した。

 

FoxのCommercialData&Engineeringの担当SVPであるLindsay Silver氏は、Foxのモバイルアプリシリーズが、ファーストパーティデータの収集と活用から得られたリアルタイム分析に基づき、キュレーション、パーソナライズ、コンテキスト化された魅力的なビデオコンテンツを提供する方法について語った。

 

AirshipのAndra Robinson氏とRamsey Kails氏は、今日、大陸や国を超えて存在する複雑で絶えず変化するプライバシー規制シナリオについて深く掘り下げた。また、iOS15やAndroid12における変更がブランドに与える影響や、ユーザーがデータ共有の設定をコントロールする世界において、ブランドがアプリを活用して優れたユーザーエクスペリエンスを提供し続ける方法についても説明した。

 

Kail氏によれば、ユーザーの教育と選択は、ポストiOS15戦略を成功させるための2つの重要な要素であるという。ブランドは、データを共有することによって得られる価値と、ユーザーの好みを形作るのに役立つ複数のオプションについてユーザーを教育し、好みのエクスペリエンスを選択してもらう必要がある。

 

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※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の12/6の記事を翻訳・補足したものです。