EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」

Zalando等、欧州の主要eコマース企業、EUのハイテク企業規制に対し「アクティブなエンドユーザー」の再定義を求める

Zalando等、欧州の主要eコマース企業、EUのハイテク企業規制に対し「アクティブなエンドユーザー」の再定義を求める

トレンド
2021/11/10

Booking.comZalandoBol.comなど、欧州を代表する8つのeコマース・プラットフォームは、欧州連合(EU)に対し、自社サービスの「アクティブなエンドユーザー」の定義を再考するよう求めている。彼らは、大手ハイテク企業を規制することを目的としたデジタル市場法(DMA)の提案に関して、EUに宛てた公式文書の中でこのように記している。

 

この公式文書は、欧州のeコマース企業8社が数日前に送ったものである。送り主は、旅行大手のBooking.com、大手マーケットプレイスのZalandoBol.comAllegroeMagVintedのほか、食事宅配サービスのDelivery HeroWoltなどである。

 

最大手ハイテク企業の新ルール

これらの企業は、デジタルゲートキーパーを規制することを目的とした新たなルール「デジタルマーケット法(DMA)」の策定に取り組むEUの閣僚宛てに、公式文書を作成した。このDMAは、GoogleFacebookといったデジタルゲートキーパーを規制するための新規則である。例えば、DMAには、自社の製品を他の製品よりも優遇するようなプラットフォームに対するルールが盛り込まれる予定である。

 

8つのEC事業者は、「訪問者」は「エンドユーザー」とは異なるものだと記述

 

現在行われている交渉では、DMAに該当する最大のオンラインプレーヤーをどのように特定するかが重要なポイントとなる。これは、売上高と「アクティブなエンドユーザー」の数に基づいて行われる。しかし、8つのeコマース事業者によれば、「訪問者」と「エンドユーザー」は同じものではないという。

 

訪問者と顧客

「ウェブサイトやアプリの 『訪問者』を 『アクティブなエンドユーザー』の数を数える基準として使用することは、関連するユーザー数を劇的に歪めることになる」とeコマース企業は公式文書に記載。その結果、当初想定していたよりも多くの企業がDMAの規制対象となることを懸念している。

 

すべての訪問者が注文をするわけではなく、購入ごとにプラットフォームが受け取る報酬が収益の最大の割合を占めていると、8つの企業は述べている。

 

世界のeコマースのコンバージョン率は2〜3%

欧州のオンラインビジネスが警告を発しているのも無理はない。世界のeコマースの平均コンバージョン率は2〜3%だからだ。これは、100人の訪問者のうち、注文をするのは3人程度ということである。

 

Bol.comのコンバージョン率は、翌日配達の場合、最大で8%

 

この数字は、文書の送り主のような、最大手のオンラインブランドの方が高くなるだろう。さらに、衣料品店は一般的にコンバージョン率が低いのに対し、常連客のいるマーケットプレイスははるかに高いコンバージョン率を示している。この文書の連帯保証人であるBol.comは、ホワイトペーパーの中で、翌日配達の場合のコンバージョン率は最大8%、3日以内の配達の場合のコンバージョン率は約4%であることを明らかにしている。

 

DMAを2023年に法制化へ

ZalandoやBooking.comをはじめとする各社は、EUに対し、eコマースにおける最大のオンラインプレーヤーを特定するために、トランザクションベースのアプローチを検討するよう求めている。「その他のオンライン仲介業者については、『訪問者』や『ログインしたユーザー』の方が、その報酬モデルをより適切に捉えられるかもしれない」と、公式文書には記されている。EUは現在、2023年に法制化を予定しているDMAの策定作業を続けている。

 

※当記事は英国メディア「E-commerce News」の11/1公開の記事を翻訳・補足したものです。