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優れたアジャイルマーケティングバックログの6つの重要な要素

優れたアジャイルマーケティングバックログの6つの重要な要素

マーケティング
2021/10/27

アジャイルマーケティングバックログを健全に保ち、スプリントで達成できる細かく分割された価値を中心に構築する方法

 

アジャイルマーケティングは、プロセスやツールよりも、文化や人々に関わるものである。そして、アジャイルのリズムに乗るためには、本当に優れたワークフローが必要となる。優れたアジャイルマーケティングのバックログによってチームには大きな変化がもたらされる。過去10年間、何百ものチームと仕事をする中で、優れたアジャイルマーケティングバックログを6つの重要な要素に集約することができた。

 

まず、バックログの定義と目的を設定しよう。アジャイルマーケティングのバックログとは、チームの今後の作業に優先順位をつけたリストのことだ。バックログは、チームが最も重要な作業を理解し重要でないサイドプロジェクトの作業をすることなく、チームに何が求められているかについての認識を共有し、新しい情報を得たときに柔軟に作業を追加、削除、シフトできるために作成される。

 

1) 誰もが貢献する

優れたアジャイルマーケティングのバックログは、チームメンバー全員によって作成、維持される。ブレーンストーミングで新しい情報を知ったり、アイデアが生まれたりしたら、チームメンバーは誰でもバックログに追加することができる。

 

チームメンバーの誰もがバックログに追加できるという考えによって、各個人が作業に重要な貢献をしているという投資感のあるチームを作ることができる。

 

限定したメンバーにしかツールのトレーニングを行わないチームもある。しかし、これまでに見てきた最高のチームでは、全員がツールにアクセスでき、アイデアを提供することを任されていた。すべてのバックログアイテムが実際に実行されるわけではないが、オーナーシップを共有することでより良いチームワークが生まれる。

 

2) 優先順に並べる

優れたアジャイルマーケティングのバックログは、優先順位によって並べられている。最も優先度が高いものがバックログリストの一番上にあり、それ以降の優先度は下がる。優先順位を明確にすることの利点は、チームやステークホルダーに対し、チームが次に何を達成しようとしているのかをリアルタイムで伝えることができることだ。

 

ベストプラクティスは、ビジネスの優先順位を理解するためにステークホルダーと定期的に会うマーケティングオーナーなどの単独の役割を担う人が優先順位を決めることだ。さらに、この役割の担当者は、キャンペーンのパフォーマンスを確認することに時間をかけ、より多くの情報を得たときには、バックログアイテムの追加、削除、並び替えを毎日行う。

 

優先順位付けは、恣意的なタイムラインや誰がその作業を依頼したかではなく、顧客視点とその作業がもたらす価値からの視点で行うのが最も効果的だ。

 

3) 小さく分割された価値

多くのチームは、プロダクトバックログアイテムの適切な作業量を理解するのに苦労している。多くの新しいチームは、プロジェクト、キャンペーンや主要なイニシアティブを一つのアイテムとし、作業量を大きくしすぎている。チームがコンセプトを考案しているごく初期の段階では問題ないかもしれないが、最終的には、アイテムは提供できる価値の最小単位でなければならない。

 

一方で、あまりに単位を小さくし過ぎて、「ブログを編集する」というような、非常に小さい作業量ではあるが、それだけでは何の価値も生み出さないものをバックログアイテムに置いているチームもある。

 

その中間にある「スイートスポット」を見つけよう。

 

チームが価値を高めるためにできる最も小さなことは何だろうか。ここでは、一般的に受け入れられている小さなことの例をいくつか紹介しよう(ただし、ある企業では簡単に達成できることでも、別の企業では難しくて時間がかかる場合がある)。

 

・ソーシャルメディアへの投稿

・YouTubeの動画

・ブログ記事

・ランディングページ(検索結果等を経由して訪問者が最初にアクセスするページ)

 

理想的な量は、アジャイルマーケティングチームが迅速に(通常はスプリント内で)完了でき、さらに理想的な姿は顧客にライブ配信できるものだ。

 

マーケティングバックログのアイテムを適切な量にすることは初期段階では難しいかもしれないが、少し練習すれば、チームはすぐに少量がひとまとまりとなった意味のある作業サイズを生み出せるようになるだろう。

 

4) 顧客の利益を理解する

チームの全員に顧客の利益を理解してもらうための優れた手法は、マーケティングバックログアイテムを「カスタマーストーリー」(「ユーザーストーリー」とも呼ばれる)に変えることだ。

カスタマーストーリーでは生み出す成果が重要であるが、作業内容を簡潔な文章で表し、「顧客は誰か」や「この作業は顧客にとってどのような利益があるか」という問いに答えるのに役立つ。

 

このフォーマットは、チームメンバー全員が参加できる簡単な手法だ。余計な手間のように感じるかもしれないが、アジャイルにはチームワークと理解の共有が重要であり、優れたアジャイルマーケティングチームには時間が必要である。

 

カスタマーストーリーのフォーマットは次のようなものだ。

 

{顧客の役割}として、{顧客の利益}のために{必要となる作業}をしたい。

 

いくつか例を挙げてみよう。

 

「母親として、セールの時にはメールで通知してもらい、クーポンを集める必要がないようにしたい」

 

「この地域の新しい住民として、新規の患者を受け入れている小児科のリストをメールで受け取り、インターネットで探し続ける必要がないようにしたい」

 

「ジムの会員として、通うたびに商品と交換できるポイントをもらって、続けるためのモチベーションを上げたい」

 

カスタマーストーリーは、実際には顧客が目にするものではなく、マーケティングチームが作業について話し合うためのものだ。したがって、完璧な文章であるかを気にする必要はなく、作業について有意義な話し合いをすることのほうが重要だ。

 

5) 明確な承認基準

アジャイルマーケティングチームでは、チームの革新能力を制限するような詳細な指示を避けるのがベストプラクティスである。しかし、バックログアイテムに何が必要かについての指示は、非常に役に立つ可能性がある。

 

「受け入れ基準」とは、作業のオーナーがストーリーを「満たす」ために確認する必要のある項目を表す用語である。チームの誰もが受け入れ基準に貢献できるが、マーケティングオーナーやプロダクトオーナーの役割を担う人がいる場合は、彼らが責任者となる。

 

受け入れ基準は、カスタマーストーリーにさらなる詳細を加えるだけだ。以下のストーリーの例を使って、受け入れ基準について説明しよう。

 

カスタマーストーリー

 

「ジムの会員として、通うたびに商品と交換できるポイントをもらって、続けるためのモチベーションを上げたい」

 

受け入れ基準:

 

・交換できるのは企業ブランドの商品のみ。

 

・100ドルを超えない商品であること。

 

すべてのバックログアイテムが受け入れ基準を必要とするわけではないため、受け入れ基準を満たしたか否かを確認するためにチェックボックスに印をつける必要はない。だが、チームが理解すべき重要なポイントや、チームを間違った方向に導く可能性のある事柄を考えてみよう。そうしたものが存在するなら、受け入れ基準は役に立つだろう。

 

6) 作業量の把握

作業量を決定することは、そもそも作業を行うことのコストと利益を理解するために重要である。チームで小さなストーリーを3つ作るのは、大きなストーリーを1つ作るよりも、はるかに多くの価値を実現できる可能性がある。

 

また、作業量の決定は労力の良い指標にもなり、ストーリーが大きすぎてスプリントで完成できない場合には、認識された価値を早期に得るために小さなストーリーに分割する必要があるかもしれない。

 

最後に、作業量の決定は、長期的な計画やチームがどれだけの作業をやり遂げることができるかを理解するのに役立つ。

 

見積もりの過度な分析や、個々のタスクの時間を心配するのを避けるべく、ストーリーポイントの見積もりは、チーム全体を全作業量に適応させるための素晴らしいテクニックだ。ストーリーポイントの見積もりとは、ある種類の作業を、労力、複雑さ、不確実性を考慮に入れ、別の種類の作業と比較することだ。

 

ほとんどのチームが使用しているスケールは以下のものだ。

 

1、2、3、5、8、13

 

チームで協力することで、作業量が決定される。ソーシャルメディアへの投稿を1ポイントとする場合、ブログはもっと手間がかかるので、3ポイントという話になる。

 

ストーリーポイント付けは、チームが作業を計画する前に早い段階で行うべきであり、そうすることで、スプリントでどれだけの作業を行うことができるかを素早く認識することができる。

 

バックログのリファインメント

マーケティングバックログは新しい情報が得られるたびに進化するため、チームのバックログを定期的にリファインメント(改善)することで、バックログの健全性を保つことができる。新しいチームの場合、これは毎週行う必要があるだろう。

 

目標は、チームが現在取り組んでいるものよりも2、3スプリント先にバックログを準備することだ。そうすれば、チームがスプリントを計画するにあたり有意義な話し合いができるようになるだろう。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の10/15公開の記事を翻訳・補足したものです。