SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を提供するフューチャーショップは「futureshop」シリーズの2021年4月～6月の流通額、業種調査の結果と、同時期に行った生活者のEC利用状況調査の結果を公開した。

まず、「futureshop」シリーズの2021年4月〜6月の流通額は465億円（昨対比106.52%）となっており、順調に成長を続けている。それでは、それ以外のEC利用状況調査の結果を見ていこう。

業種調査

1年以上継続利用いただいた店舗に限定して流通額を調査し、上位5業種の昨対比をまとめたのが表1で、昨年に比べ流通額は大きく上回っていることがわかる。また、「ゲーム・おもちゃ・ホビー」「医薬品・コンタクト・介護」「水・ソフトドリンク」など、前回までの調査でもEC利用が多いものは継続して購入される一方、「ゴルフ用品」「ギフト」など、利用が進んだ商材もあった。

業種調査以外にも、2020年・2021年4月〜6月、各月の注文件数が100件以上の店舗の中から500店舗を無作為に抽出し、注文件数の変化、購入単価の変化、新規顧客利用状況、決済手段の変化について調べた。

注文件数の変化

デバイス全体、スマートフォン経由での注文数は期間通して昨年同月より増加したが、PC経由では5月と6月は注文数は減少した。

また、4月のPC経由の購入が増加していることから、昨年の5月〜6月はPCメインで情報収集やEC利用を行う方が一時的に増加した姿が推測できる。一方、スマートフォン利用は増加傾向にあり、スマートフォンユーザーに対するECサイトへの流入手段や、ECサイト内の導線設計が今後より重要になっていくと考えられる。

2.購入単価の変化

購入単価の変化としては、両デバイスとも増加したが、特にPCは2割ほど購入単価が高い結果となった。

昨年同時期の調査内容では、同規模の自社ECでは購買単価が減少したが、一般的に既存会員と新規購入者を比較すると購入単価は既存会員が高い傾向にある。このことから、本調査期間では昨年度と比べて既存会員が占める割合が高かったことが推測される。

新規顧客利用状況

上記の表は会員機能を利用していた494店舗が調査対象とし、対象店舗の新規会員増加率平均を表している。昨年度のように新規会員が2倍〜3倍ほど増加する状況ではないが、4月は131%増など自社ECの新規利用も堅調に拡大し続けている。

新規顧客獲得費用は既存顧客へのリテンションに比べ、一般的に高コストになりやすい。堅調な成長フェーズに移行した今後は、自社ECの財産となる顧客台帳を基にしたコミュニケーション施策の実施、そしていかにリピート購入を促進できるかが重要になってくる。

決済手段の変化

利用された決済方法を「クレジットカード」「ID・QR決済（Amazon Pay、楽天ペイのオンライン決済、Apple Pay、PayPay、d払いのキャリア決済など）」「現金・その他決済（店頭払いや後払い、銀行振込やコンビニ払いなど）」の3つに分け、各月の総注文件数を1とした結果が上記のグラフである。

調査の結果、「ID・QR決済」の利用が増加し、「クレジットカード」や「現金・その他」の利用は同水準もしくは減少したが大きな変動は無かった。
「ID・QR決済」の利用が増加した背景には、この一年、「PayPay」や「d払い」がfutureshopシリーズでも導入可能になったこと、「楽天ペイ（オンライン決済）」がfutureshopシリーズ全店舗で導入可能になったことが挙げられる。これにより、自社ECでも「ID・QR決済」導入のハードルが下がったことで利用できるECサイトが増加し、本調査結果になったことが考えられる。

一方、生活者の利用状況について決済方法を3種類とも提供している店舗に限定し、調査したところ、「クレジットカード」の利用状況は変化せず、「現金・その他」の利用がわずかに「ID・QR決済」に流れている様子が分かった。