データをフル活用したベンチマーク手法でECモールの競合店舗を分析する4つの方法
ECサイトの店舗数は右肩上がりに増え続けており、270万店舗を超えるとも言われている。そのような熾烈な競争の中で自社の売上を上げていくためには、経験や勘による運用に頼らず、競合店舗の状況を的確に分析する必要がある。そこで今回は、データをフル活用したベンチマーク手法で競合店舗を分析する方法を考えていきたい。
※当記事はECモール市場・競合の売上を見える化するNintを提供する株式会社NintからEC推計データ提供を受け企画・作成した。
ECモールで入手可能なデータだけでは不十分
ECモールは低コストで気軽に出店できるのがメリットだが、原則として自社サイトのように使えるデータが多くなく、適切な分析が行いづらいデメリットがある。モールでもアクセス解析などの一部データが利用可能だが、提供されるデータも十分とは言いにくい。価格やランキングなど一般的に入手可能なデータも丹念に調査すれば確認することは可能だが、こちらも市場調査にかかる工数に見合った示唆を得るのは難しいだろう。
そもそも競合分析に適した「理想的なデータ」とは、どのようなものを指すのだろうか。
理想的なデータと4つの分析手法
競合店舗を分析するための理想的なデータは、売れている商品とそのカテゴリ、商品が売れている時期、そして競合の価格戦略を知ることができる情報を指す。これらのデータをECモール向けの分析・リサーチサービスを通じて入手し適切な分析を行うことで、自社の売上増加につながる示唆を得られるようになるのだ。ここでは、そのような理想的なデータを活用した、アクションに結び付けやすい鉄板の分析手法4つを紹介していく。
最も売れている「商品」を知る
ECサイト、とりわけモールにおいては、ヒット商品が店舗全体の売上を牽引していくという性質がある。そのため、競合店舗の売れ筋商品が何なのかを知り、それが店舗全体の売上でどの程度のシェアを占めているかについて把握することが重要になってくる。
上図は、商品の売り上げ指数とランキングをグラフ化したものである。このようなデータから売れ筋商品やトレンド商品の販売実績を知ることで、それらを自社の売上や利益のシミュレーションに活かすことが可能になる。また、その商品が当該モール内でどの程度のシェアを持っているかも把握できれば、さらなる分析精度の向上が期待できるだろう。
最も売れている「商品カテゴリ」を知る
商品単位だけでなく、商品カテゴリ単位での分析も重要だ。競合店舗で最も売れている商品カテゴリは何か、そしてその売上はどの程度で、それがどの程度のシェアをモール内で占めているか、について把握しておくことも非常に重要である。
上図は、各商品カテゴリのモール全体での流通総額の時間推移をグラフ化したものである。また、それぞれの時期でのカテゴリ・サブカテゴリレベルでの流通総額をグラフ化したものである。ECモール内のカテゴリ別売上やトレンドは事業戦略に必要なものだが、一般的に入手可能なデータでは掴みづらく、人手で調査を行うとかなりの手間がかかってしまう。そのため、これらの情報収集がスピーディーに行えることは、業務効率化という視点でも価値があるといえる。
最も売れている「時期」を知る
ECモールでは、シーズナルイベントやモール固有の定期イベントなどが頻繁に開催されている。そして、そのようなイベントにしっかり乗っていくことが売上を作るうえでは欠かせない施策になってくる。そのような中で、競合店舗がどのようなイベントをどのように活用し、どんな商品がどの程度の売上を上げているかについて知るのは、戦略的なEC運用のために不可欠な要素だ。
上図は、商品単位の広告出稿状況を定期イベントとあわせて一覧化したものと、デイリーでどのような広告施策を行っているのかを表したものである。このような分析を行う際は、競合店舗のイベント売上に加えそれが年間売上のうちどの程度の割合を占めているかを把握できると、広告制作や価格設定の精度向上につなげやすい。
「価格戦略」を知る
競合店舗の価格変動データには、モール内で売上を作るために必要なヒントが隠れている。イベント時に値下げをしているのか、それとも独自のセール時期を設けているのか、その際にポイントなどの施策を絡めているのか、そしてその結果それらの商品がどのようなランキングになっているのか等、競合店舗の価格コントロールから得られる示唆は多い。
上図は、商品の価格変動やランキング推移をグラフ化したものである。イベント時も定常時も価格を変動させずにポイントなどで誘引している店舗もあれば、価格を変動させることで大きな売上を作っているケースもあるだろう。競合店舗や類似商品のそのような価格戦略をしっかりトラッキングし分析することで、自社の価格戦略のインプットに繋がる。慣例や経験でなく数値的な根拠を持つことはECでは欠かせないものであり、それによる価格変更の精度向上がモールにおける今後の売上へとつながっていく。
効果的な事業戦略は競合と市場を知ることから始まる
ひとつの企業が複数のECに展開することが当たり前になり、それに伴いECサイトの店舗数、そしてオンライン上で販売されている商品数は大きく増加している。消費者が買いたい商品をいつでもどこでも購入できるのがECの利点だが、ただそのまま商品を並べておくだけでは埋もれてしまう。有用なデータをもとに分析を行い競合や市場の動きを知り、自社にフィードバックすることが、ECで売上を上げていくために欠かせないものとなっているのだ。
しかしながら、売れている商品とそのカテゴリ、売れている時期と競合の価格戦略について把握することは、一般的には入手可能なデータでは不十分な場合がほとんである。必要に応じてECモール向けの分析・リサーチサービスを活用し、理想的なデータの取得・分析を行うことが、モールで売上を伸ばしていくための近道となるだろう。
市場・競合の売上を見える化するECリサーチツール「Nint」とは
Nintは、モール向けのECリサーチクラウドを複数展開する同名の企業Nintによるデータ分析ツールである。
Nintは競合店舗の動向、売れ筋商品、市場トレンドなどをタイムリーに把握できることが特徴で、そのために必要な各種データや分析機能が一通り備わっている。代表的な機能は、事業戦略に必要な情報収集がスピーディーに行える「業種分析」、売れ筋商品検索で効率的な商品企画に役立つ「商品分析」、競合店舗や類似商品を定点観測できる「ショップ分析」の3つで、調査したい情報を過去数年にわたり申し込み完了後すぐに閲覧することが可能だ。ECモール大手のAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの3社に対応しており、これひとつで事足りる企業も多いだろう。
分析結果は直感的で分かりやすいグラフを用いて表示され、推移なども一目で把握できるようになっている。無料トライアルが用意されているので、データをもとにした戦略的なEC運用を考えている企業は一度試してみてはいかがだろうか。
※当記事はECモール市場・競合の売上を見える化するNintを提供する株式会社NintからEC推計データ提供を受け企画・作成した。