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在庫管理にもDXの波。利益率を高める品揃えと適正在庫を両立させる為に、ECや小売りはどのようにデータを活用すべきか

在庫管理にもDXの波。利益率を高める品揃えと適正在庫を両立させる為に、ECや小売りはどのようにデータを活用すべきか

物流・決済・業務
2021/01/08

在庫管理にもDXの波。利益率を高める品揃えと適正在庫を両立させる為に、ECや小売りはどのようにデータを活用すべきか

 

オンラインでの販売が加速する今、ECサイトの重要性はますます高まっている。それに合わせて、複数の実店舗を運営しながらモールも含めたECサイトを複数展開する事業者も、右肩上がりに増加しつつあるのだ。しかし、各商品における店舗ごとの在庫配分や適切な価格設定について、客観的な根拠をもとに検討できている事業者はそれほど多くないだろう。そこで今回は、ECサイトと実店舗の両方でどのような基準をもって適正在庫と適正販売価格を判断すべきか、戦略的に利益率を改善するにはどうすべきかについて考えていく。

 

※この記事は、商品の適正在庫を把握し在庫管理を効率化するサービス「zaicoban」を展開するオークファン社から情報提供を得て作成した記事である。商品在庫をより効率化するためのヒントに関する資料は以下からダウンロード下さい。

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利益率を戦略的に改善するための2つの重要なポイント

 

利益率を改善するには、まず在庫の価値を客観的に評価する必要がある。勘と経験による管理で不良在庫を抱えてしまい処分に悩まされるというのはよくあるケースだが、裏を返せば、それは在庫管理に利益率改善のチャンスが潜んでいるということでもあるのだ。

その実現のためには、「適正在庫を理解する」「適正販売価格を把握する」という2つの視点が重要になってくる。要は、利益率を高める品揃えとその購入が見込める数を的確に把握し、旬を逃さず適正価格で売り抜くということだが、この点が勘と経験任せになっている企業は決して少なくない。ECサイトの在庫管理だけでなく、実店舗との連携を踏まえてどのような根拠をもって判断すべきか、これら2つのポイントについて掘り下げて見ていこう。

 

 

適正在庫とは何か、どのように「適正化」していくべきか

 

適正在庫は、購入が見込める数に加えて、店舗ごとの適切な配分まで含めて考えるべきである。特に実店舗ではロケーションによって客層が異なるケースが多く、売れ筋商品にも差があるため、売れる見込みのある店舗に適切な数の在庫を置く必要がある。例えば、事務用品であればショッピングモール内のテナントよりもビジネス街にある店舗の方が需要が高いため、在庫を多めに配分しておくなどだ。

また、想定よりも売れ行きの芳しくない商品がある場合、早い段階でそれを見極め、売り抜くための手段を考えることも重要である。例えば、旬の商品の在庫を売れないままで放置してしまうと、時間の経過とともに需要が大きく下がってしまい、不良在庫を抱えることになりかねない。そのような場合は、早めにセールや値引きなどを行い、売れる時期のうちに処分するのが有効だ。

更に踏み込んで考えるならば、例えば、ビジネス街の実店舗で事務用品が売れる、という傾向自体は自明だが、それを1SKU単位で(例えばホッチキスも手持ちのタイプとデスクタイプとどちらが売れるか等)売れ行きを把握すると、実は直感と反する結果になることも多く、データからしっかり適正化をしていく必要があるのだ。

 

 

適正販売価格とは何か、どのように「適正化」していくべきか

 

適正販売価格というと安価であればいいと考える人もいるかもしれないが、実はそうではない。必要以上に安い価格設定や、やみくもに値引きすることは、取れるはずの利益をみすみす逃していることになる。競合を少し下回る程度の価格設定が、販売価格として適正なのだ。

また、楽天やAmazonといったショッピングモール型のECサイトを利用している場合は、利用料や手数料などがチャネルによって異なるため、原価率を考えて価格を設定することも重要。競合を基準にした価格設定は大切だが、この点を考慮しておかないと、売れば売るほど赤字になってしまうという状況に陥りかねない。

実店舗では近隣の店舗などを巡って価格調査を行うことも多いが、ECサイトで価格調査を行っている企業はそれほど多くない。利益率の向上のためにも、原価率を踏まえた上で価格調査を行い、適正価格で販売するようにしたい。

 

 

データの分析と反映が肝

 

利益率の戦略的な改善のためには、データをもとに分析を行い、それらをECサイトや実店舗で適切に反映させる必要がある。その際は、自社サイトに蓄積されているデータだけでなく、社外のデータも含めて分析を行うことが肝要だ。例えば、自社サイトとモール全体での売れ筋商品の比較や自社と競合の在庫数・販売価格の比較などから、自社データオンリーの分析にはなかった気付きが得られ、より客観的な視点での評価が可能になるのだ。

また、分析結果から得られた示唆の反映は、即時性も非常に重要である。ECサイトや実店舗に素早く反映させるため、あらかじめフローを作成しておくようにしたい。

 

 

利益率改善の例

 

この項目では、在庫と販売価格の適正化により改善が見込める具体例をいくつか紹介する。

 

滞留在庫の適正化

実店舗に配置した在庫の売れ行きが思わしくない場合に、その一部をECサイトに陳列して滞留在庫のキャッシュ化を図るケース。「ECサイトでは売り切れだが、在庫のある実店舗が遠方のためECサイトの再入荷を待っている」という消費者が多い場合などは、特に有効である。

同様に、「そもそもECサイトの方が需要が大きい」という商品も無視できない量存在する。例えば、「耐震用の突っ張り棒」は、地震のニュースなどを目にした消費者がすぐにオンラインで買い求めるため、実店舗よりもECの方がよく売れるという。また、最近ではCD/DVDも実店舗よりオンラインの方が需要が多い商品となっている。そのような商品の見極めも利益率改善には非常に効果的となる。

品揃えと価格の適正化

主に競合の多いモール型自社サイトにおいて品揃えと価格を見直し、利益率の改善を図るケース。工具や部品など、劣化しにくい商品を扱うゆえに管理が煩雑になりやすいホームセンターのような店舗の場合は、大きな効果が期待できるだろう。

また、オンライン上での取り扱い事業者が多いNB商品についても、気が付いたら市場価格と自社の販売価格が乖離していて滞留気味だった、ということが非常に起こりやすい商品と言える。そのため、このような商品の価格の見直しも定期的にしっかり行う必要がある。

 

 

データとシステムの活用が利益率を改善し、ECを活性化させる

 

これまで実店舗が主力だった企業も、ニューノーマルの到来が後押しとなり、EC事業に本格的に進出するようになってきた。しかし、実店舗での長い経験もECサイトでは通用せず、参入したはいいが思うように売れないというケースは決して珍しくない。実店舗とECサイトを連携させた上での利益率改善となれば、さらに敷居が高く感じてしまうのも無理はないだろう。

非対面ビジネス主体の環境ではECサイトに注力することが前提となるが、これからの小売業で生き残っていくためには、オンライン・オフラインを問わず戦略的なマーケティングが必須となる。以前は人の手で行われていた在庫管理をシステムで行い、その人的コストを店作りや商品開発といったヒトの想像力が活きる領域に回すことは、利益率の改善だけでなく、ECや店舗の活性化にも繋がっていくのだ。

ヒトとAIの適切な分業がもたらす、さらなるECの進歩に期待したい。

 

 

戦略的な在庫管理で利益を生み出す「zaicoban」とは

 

zaicobanは、ショッピング・オークションの相場検索サイトで知られる株式会社オークファンが提供する、小売業のための在庫管理サービスだ。


zaicobanは、その名が示す通り在庫によって引き起こされる経営課題にフォーカスしたAIソリューションで、欠品による売り逃しや廃棄ロス、不必要な値引きなどの問題を可視化し、利益率を戦略的に改善することを目的としている。社内外データの分析結果をもとに在庫が持つ今の価値を把握し、「セールの適正化」「利益率を高める品揃えの最適化」「販売価格の最適化」を行うことができる。全在庫の想定利益をリアルタイムで確認できるほか、売り方や価格を変えるべき商品の可視化に加え、zaicobanによる在庫の買い取りや委託販売も可能だ。実店舗とECサイトを横断して在庫管理ができるため、実店舗・EC両方の効率的な運用を目指す企業にとっては、特に活用しやすいサービスといえるだろう。

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