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いかにしてCarParts.comはCDP技術を活用し顧客中心の体験を生み出したか

いかにしてCarParts.comはCDP技術を活用し顧客中心の体験を生み出したか

マーケティング
2020/11/13

CDPプラットフォームを提供するBlueshiftのCDPを採用することで、顧客のニーズや特性に応じた1対1のメッセージング作成が可能に。

 

CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)を導入前、自動車部品オンライン販売を行うCarParts.comは、膨大な顧客行動データセットを保有していたが、スケーリングに問題があり活用できていなかった。それに加え、リアルタイムシグナルからインサイトを希望通りには収集できていなかった。

 

CarParts.comのCMO、Houman Akhavan氏は、最近開催されたMarTechバーチャルカンファレンスのセッションで、次のように述べていた。「1対1のパーソナライゼーションを実現できておらず、不十分だと感じていた。CDPのあらゆる進歩により、顧客の声を正確に理解し、非常に関連性の高いパーソナライズされた方法で、顧客に対するマーケティング実行する重要性を認識した」。

マーケティングの新ルール:SmartHub CDPを活用した、顧客のいる場所に合ったエクスペリエンスの提供方法」と題したセッションでは、Blueshiftの共同設立者でありCEOのVijay Chittoor氏とAkhavan氏が、常時接続型世界におけるカスタマージャーニーの細分化と、マーケターが作成するすべてのデータを通して顧客を理解することがいかに重要かについて議論した。CarParts.comは、BlueshiftのSmartHubCDPを採用し、直面している課題に取り組んだのだ。

 

25億通のパーソナライズされたメッセージ送信

「SmartHub CDPを統合し、今年だけで25億件以上のパーソナライズされた1対1のメッセージを作成した」と述べたAkhavan氏は、CDPを使用しパーソナライズを実現する方法を決定するためには、自社顧客の独自の属性を理解することが重要であると付け加えた。

 

Akhavan氏によると、例えば自動車部品業界においては、最も明確な属性は個人が運転する車である。Chevy のトラックを所有する人もいれば、Ford Taurusに乗っている人もいる。運転する車に関連するマーケティングを実行することにより、彼らの個々の特性に訴えかけることができる。

 

「しかし、同じことが他の多くの異業種にも当てはまる。それは、顧客を真に理解し、個々の好みや動機付けとなる要因に対応したプロファイルを作成すことに立ち帰る」とAkhavan氏。「そして、それができて初めて、戦略を考案し、高度にパーソナライズされた方法で、個人としての顧客に語りかけるためのテクノロジーを採用することができる」と語る。

同氏は、CarParts.comがプラットフォームに求めていた具体的な特徴を、詳しく示している。

 

  • スケーラビリティ -日々生成されるeコマースの買い物客の全データを含む、何百万もの顧客情報の記録を容易に取り込む機能
  • UX – マーケティング担当者が多くの作業をマニュアルで行う必要がなく、セグメントを構築し、キャンペーンを調整することが可能なユーザーフレンドリーなインターフェース
  • リアルタイムのユーザーシグナルの組み込み – 非常に多くのデータが継続的に生成され、顧客は迅速に購買意思決定を行うため、マーケティング担当者は、データが古くなる前に活用することが不可欠である。
  • 予測モデリング – すべてのデータが利用可能になるとすぐに、データを利用し既存顧客や潜在的顧客に関するインサイトを収集しなければならない。その顧客の生涯価値は高いのか、それとも、離れる可能性が高いのか?その答えによって、マーケティングのアプローチ方法は変わってくる。

 

上記すべてを具現化するプラットフォーム、セントラルハブがあれば、「非常に様々な異なるオーディエンスにたいして、高度にカスタムメイドされたアプローチが可能となる」と、Akhavan氏。「もし導入しなければ、1対1のパーソナライゼーションを達成することはできない」。

 

Chittoor氏は、マーケティング担当者と話す際、アイデアや、顧客へのフォーカスが不足しているという事態に直面したことはないと言う。「他の多くのマーケティング担当者の障害となっているのは、自分たちのアイデアを、繰り返しスピード感をもって体験として提供するのに役立つ、適切なテクノロジープラットフォームが不足していることである」。

 

マルチタッチポイント時代のオムニチャネル戦略

5年、10年前は、各マーケティングチャネルは、サイロ化し管理されていて、各チャネルで働く人はカスタマージャーニー全体の全体像を把握していなかった。そのため、オムニチャネル・マーケティング戦略といったものは存在しなかった。

 

「今日、消費者行動は変化している。消費者は、1つのタッチポイントや1つのマーケティングチャネルだけで、事業者と関わっている訳ではない」と、Akhavan氏。「平均すると、コンバージョンイベントが発生するまでに、異なるチャネル間にわたり、少なくとも5~10回のインタラクションが起こる。つまり、複数のタッチポイントやマーケティングチャネルにまたがる消費者に関するインサイトをすべて収集し、取り込むセントラルハブを持つことで、異なる複数のチャネル全体において、真に統一されたエクスペリエンスを実現することが可能になるのだ」。

 

「結局のところ、『時は金なり』であり、シームレスなエクスペリエンスを構築し、時間を短縮することが重要である。そして、顧客はそれを高く評価する」と同氏。

 

そして、実際に、顧客は、そうした顧客体験を非常に望んでいることを示す結果がでている。Akhavan氏によると、メッセージをパーソナライズした結果、クリックスルー率が最大400%も上昇したとのこと。「誰が万人向けのメッセージを受け取りたいと思うだろうか?本当に自分のニーズや動機に訴えかけない汎用的な何かを目にしても、おそらく無視するだけだろう」。CarParts.comは、CDPを採用することで、さらにeメール経由の収益を倍増させることができた。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の11/3公開の記事を翻訳・補足したものです。