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ECトップや商品一覧からの流入は全体の20〜30%、商品詳細からの流入は半数のユーザーが直帰

ECトップや商品一覧からの流入は全体の20〜30%、商品詳細からの流入は半数のユーザーが直帰

トレンド
2020/08/17

マーケティングのデータ分析と改善提案、効果測定といったPDCAを自動化する「AIアナリスト」など、セールス&マーケティングのDX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォームを提供する株式会社WACULは、社内研究所である「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」を通じて、B2BのサービスサイトやECにおけるユーザーの行動分析を行い、売上高向上につながる提言をまとめた。公開された「B2Bサービスサイト・ECにおけるユーザー行動調査」の一部を紹介する。

 

自社のWebサイトとなるとテキストやデザインの細部にまでこだわって作り込んでしまいがちだが、はたして丹精込めて作ったWebサイトは訪問者にどれほど見られているのだろうか。肝心なCV獲得に寄与しているのだろうか。そこで今回、WACULの提供するアクセス解析ツール「AIアナリスト」に蓄積されたGoogleアナリティクスのデータを用いて、CV獲得を目的としたWebサイト内におけるユーザー行動を定量的に調査した。

Webサイト内のユーザー行動を表す4つのデータ(直帰率・平均セッション時間・PV/セッション・全CV数のうち、入口ページ→フォーム→CVと直行したCV数の割合)を、お問い合わせや購入などCV獲得を目的としたWebサイトである「B2Bサービスサイト」、「EC」に対象を絞り、ユーザー側も自ら能動的に商品サービスを探している状況といえる自然検索に限定して調査した。

 

まず、B2Bサービスサイト内のユーザー行動データを見ていく。

具体的なイメージを湧かせるため、オフラインの商談に置き換え、これらのデータを解説する。対面であればゆっくり60分かけて相手の課題や理解度に合わせながらサービスを紹介できるが、まず約40%のユーザーは資料の1枚目をちらっと見ただけで「それ以上の説明は結構です」と即座に席を離れてしまう。留まってくれたユーザーであっても、説明に得られるチャンスはたったの3分、見てもらえる情報は資料3〜4ページ分だ。まさに展示会において立ち話でサービスを紹介するのと同等の短さである。

また、全CVの58%はトップページ→フォーム→CVという直行ルートにて獲得している。ここまで割合が高いのは、CVユーザーの多くが「このサービスに興味があるのでさらっと見て問題なさそうであればすぐに営業担当を呼びたい」という意思をあらかじめもった状態で指名検索し、Webサイトへと流入している証拠だ。つまり、B2Bサービスサイトは、営業担当の代わりにサービスを説明し興味を喚起させる役割ではなく、既に興味をもってくれているユーザーを営業担当へとつなぐ役割を担っているといっても過言ではない。

これらを踏まえると、B2BサービスサイトにおけるCVR改善のポイントは「いかに気持ちよくトップページからCVへ直行してもらえるかどうか」にある。ファーストビューにCVボタンやフォーム自体を露出させることは最優先で対応すべきだ。ファーストビューにおいてどのようなCVボタンが有効かは、研究レポート「B2Bのランディングページのベストプラクティス研究」を参考にできる。

また、Webサイト訪問前にCVにつながるかどうかの勝負が決まっているケースが多いことを踏まえると、当然ながらWebサイトを改善するだけではCV獲得施策として不十分だ。手前の接点となる比較サイトにきちんと情報を掲載する、ポジティブな紹介や口コミがもらえるようサービスを磨き抜くなどといった取り組みが欠かせない。

 

次に、EC内のユーザー行動データを見ていく。ECの場合、自然検索から入口となるページがECトップページ、EC商品一覧ページ、EC商品詳細ページの3パターンが存在するため、それぞれに対し数値を算出している。

こちらもイメージを湧かせるために、ECをとあるアパレルの路面店に置き換えて解説する。トップページや商品一覧ページから流入したユーザーは3〜5分かけてさまざまなアイテムを5〜10個手にとりチェックする。何も触れることなく引き返してしまうのは20〜30%程度であり、お店の入口から訪ねてきたユーザーの過半数はしっかりと回遊している。レジへ直行するユーザーが圧倒的に少ないことを踏まえると、そもそもこの日に購入したいわけではなく、下調べを目的としたユーザーもなかには含まれるだろう。

一方、商品詳細ページから流入した場合は、1つだけ棚に陳列された服を購入するか否か判断するところから始まる。求めているアイテムと異なれば、半数のユーザーが一瞬で店を出ていってしまう。ただしすぐ隣の棚に近しい服や人気の靴があれば、店に残りそれらを手にとってくれる可能性はある。現にアイテムを購入したユーザーのうち、最初に見たアイテムをまっすぐ購入したのは2割しかいない。

このように、ECはトップページや商品一覧ページから流入する場合と、商品詳細ページから流入する場合とで大きくユーザー行動が異なることをまず理解する必要がある。商品詳細から流入する場合、購入につながるか否かの勝負は一瞬だが、仮に最初の勝負に負けたとしても、別の商品を提案できれば購入につなげられる可能性がある。

ECのCVR改善のポイントは、ずばり回遊にある。特に商品詳細ページは、類似商品や関連商品をすかさずユーザーへ提案することがCV獲得に寄与する。Amazonのように、該当商品の口コミよりも上にレコメンドを入れるのは有効である。

また、研究レポート「ECの特集ページのベストプラクティス研究」のとおり、経由することでCVRが高まる「特集ページ」への動線をフッターに設けるのもおすすめである。クーポンなどを提示して大手ECではなく自社ECで購入してもらうための動機づけをおこなうのも1つの手だ。

 

Webサイトにおいて、ユーザーは実に自由に行動する。興味のない情報から離れるのは一瞬だ。それらを理解せずにWebサイトを作ってしまうと、CVへとつながる貴重なチャンスを逃してしまう可能性が非常に高い。

B2Bサービスの場合、Webサイトは営業担当を呼ぶ仲介役ともいえる。気持ちよくCVへ直行してもらうために、ファーストビューにCVボタンやフォーム自体を露出させるといった工夫が重要だ。

ECの場合、ユーザーが興味をもってくれそうな商品はどんどん提案し、サイト内を回遊させることがCV獲得につながる。ユーザーの目につく場所に回遊の動線がきちんとあるかどうか、今一度自社サイトを見直すのが良い。