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不透明さが拭えない今年の年末商戦に向け、どのようにeコマース広告戦略を考えていくべきか

不透明さが拭えない今年の年末商戦に向け、どのようにeコマース広告戦略を考えていくべきか

トレンド
2020/09/02

2020年上半期におけるCOVID-19による影響とQ4の予測に基づいた、Q4のeコマースの広告戦略

 

2020年はeコマースにとって、かつてないほど不確実で不安定な年の一つとなった。企業が、COVID-19の初期影響からの回復を目指す中、eコマース広告主は「次に何が起こるのか」という点を考える必要がある。

 

Q4(10月から12月)は、雇用と購買の回復の遅れが予測される。さらに米国では、今年後半に再びロックダウンが実行される可能性があり、経済と eコマースに3、4月と同様の影響を及ぼす可能性がある。さらに、Amazonの最大セールであるプライムデーは、Q3(7月から9月)からQ4へと延期され、これまでに経験のないホリデーシーズンとのクロスオーバーが発生するとみられる。

 

これらは、eコマース広告戦略にどのような影響を及ぼすのだろうか?まずは、今年現時点までに、COVID-19が、どのように業界を形成してきたのか、そして今後、どのような変化が予想されるのかを見てみよう。

 

2020年前半の変化

Pacvueの2020年第2四半期CPC(クリック単価)レポートによると、Amazonでのスポンサード商品広告とスポンサードブランド広告のクリック単価は、4月、5月ともに大幅に低下。その後、平均CPCはほぼCOVID-19以前の水準にまで回復している。コンバージョン率も、3月のピークを除けばQ2(4月から6月)は低下傾向が見られた。

 

 

eコマースの広告費と消費者行動に大きな変化をもたらした要因はいくつかある。

広告主に引き続き影響を及ぼしている最大の要因は、消費者の購買行動におけるカテゴリーレベルの変化である。スポーツやアウトドア、キッチン、特に食料品のオンライン販売はすべて、ロックダウンや在宅勤務推進により、消費者が自宅で過ごしながら、料理やエクササイズを行うようになったために増加した。一方で、リモート勤務が一般的となり、外出しなくなったため、新しい服や化粧品を買う人が減少し、アパレルや美容業界は大きな打撃を受けている。

 

配送の遅れや在庫問題も、広告主の課題となっている。消費者が広告をクリックし、購入したい商品が在庫切れ、または、出荷までに長時間かかることを知り、購入を途中でやめたため、コンバージョン率も影響を受けた。

 

Q4のeコマース予測

多くの新しい購買トレンドは、年末まで続くと予想されている。特に、今年の大規模なブームとなったオンライン食料品ショッピングではそうなるだろう。過去に、オンラインで食料品を購入したことがない人の41%が、今後6ヶ月間に購入する予定だと回答。しかし、パンデミック初期の買い占めが落ち着いた現在では、Q2で生じたような出荷遅延や在庫切れの問題は起きないはずである。

 

2020年後半に注目すべき最大の不確定要素は、Amazonプライムデーである。ブランドは、年間売上目標を達成するために、高い売上が見込めるQ4とともに、Q3初めのプライムデーに依存するようになってきた。プライムデーを、Q4に延期すれば、ほぼ確実に、11月と12月の売上を食うことになる。さらに、Amazonの既存要件である「宣伝取引価格は、一定の期間内の最安値でなければならない」という要件を考慮すると、ブランドが販売可能な商品に深刻な影響を与える可能性がある。

 

プライムデーは、サイバーマンデーやホリデーショッピングシーズンに悪影響を及ぼす可能性があるが、eコマースにとっては巨大なホリデーシーズンになる可能性が高い。感謝祭で、多くの小売業者が休業し、消費者の店頭での買い物への意欲が減退すれば、ホリデーウィークエンドの支出の大部分がサイバーマンデーに移行し、それは12月まで続く可能性がある。実際、投資金融情報専門誌Barron’sは、2020年ホリデーシーズンのeコマース支出が、対2019年比で80%増加すると予測している。

 

プライムデーの延期は確定であるが、最も不確実、かつ、変化を見据えて計画するのが困難なのは、今後のCOVID-19がもたらす影響である。eコマース広告主は、引き続きの経済復興に向けて、あるいは、再度の完全ロックダウンに備えて戦略を準備する必要があるだろう。

 

Q4 eコマース広告戦略

前述の不確実性にもかかわらず、Q3とQ4の売上を最大化するために、eコマース広告主が採用できる戦略がいくつかある。ここでは、2020年残期間に向けた広告戦略を準備する際に、最も重要となる検討事項を紹介しよう。

 

  1. 需要が急増する時期と場所への投資

Q4まで広告予算を抑えるべきだと考えるブランドもあれば、Q4は極めて予測不可能なので、今すぐに多額の投資をすべきだと考えるブランドもあるだろう。それより、消費者の需要が急増する時期や場所へ投資すべきである。簡単に言えば、今、投資すべきである。

 

Pacvueレポートによると、Q2のブランドのAmazon広告の1日平均支出額は、2019年のQ4よりも高かった。広告支出は、Q1から14%増加し、2019年Q2から23%の増加を示した。

 

 

従来では、Q4ほど重要ではない月、つまり 3 月や 4 月に、eコマースが急増し続けるのであれば、ブランドはこれらの機会を活用すべきである。これは、ブランドの競合他社が、eコマース分野でアクティブな場合、特に重要である。変化の激しい時期に、迅速にピボットしなければ、遅れをとりシェアを失うリスクがあるからだ。

 

  1. Q3でのシェア・オブ・ボイスを優先する

Q3にプライムデーが開催されない場合、ブランドが今できる最善のことは、注力商品やプライムデー期間中にプロモーションを予定していた商品だけでなく、カタログ全体の関連性構築と売上向上に投資することである。この関連性の構築には時間がかかるため、ブランドは、Q4で成功を収めるためには、今この作業を行う必要がある。これには、ブランドの新規顧客とロイヤルティの高い顧客をリターゲティングするためのAmazonや他のマーケットプレイスでの有料検索や、Amazon DSP(広告主サイドのプラットフォーム)などのディスプレイメディアキャンペーンの両方が含まれる。

 

広告主は、現時点で、検索広告とディスプレイ広告の確実な戦略が立てられていることを確認し、Q4のスタートを待つべきではない。そうすることにより、キャンペーンの関連性スコアを構築するだけでなく、どのように最適化し、効率を最大化するかを学習することが可能となる。

 

このことは、大幅に拡大しているeコマース食料品業界にとっては、特に重要となる。最も成長を遂げているオンライン食料品マーケットプレイスはWalmartInstacartであり、Instacartは、25,000店舗にまで成長し、米国の85%の世帯にサービスを提供している。ブランドが、これらのマーケットプレイスでシェア・オブ・ボイス(広告投入量シェア)を獲得し、顧客基盤の構築を開始するためには、2020年後半が非常に重要となる。食料品業界の広告主は、類似キーワードと補完キーワードの両方で商品のクロスプロモーションを実行し、「オールウェイズ・オン」戦略を採用する必要がある。

 

アパレルなどの成長が止まっている産業にとっては、Q3は、顧客ロイヤルティを維持するために防御的な広告戦略を採用する時期である。広告費を削減し、ブランド名を入札して自社製品をターゲットにすることに失敗したブランドには、競合他社がそれらのワードで入札し、顧客を奪われるリスクがある。Amazonでのスポンサードブランド広告などのブランドレベルのキャンペーンは、これらのワードを所有し、シェア・オブ・ボイスを維持するための良い方法である。これにより、二次的な商品を宣伝し、変化する消費者の需要に適応することができる。

 

実際、Q2には、スポンサードブランド広告のROAS(Return on Ad Spend/投資した広告費用の回収率)がスポンサードプロダクト広告のROASを初めて上回った。スポンサードブランド広告のROASは、Q1から22%の伸びを示している。

 

  1. オンライン・メガホリデーへの準備

2020年上半期の売上に、マイナスの影響が及んだブランドにとって、オンラインホリデーシーズンはこれまで以上に重要となるだろう。今年は、過去最大のオンラインショッピングシーズンになると予想されている。Barron’sは、今年のホリデーシーズンのオンライン売上高を511億ドルと予想しており、2019年の284億ドルからはるかに増加している。

 

アパレルとビューティーは、COVID-19のパンデミック当初は、ほとんどの人が家にこもっていて、これらのアイテムを購入していなかったため、どちらも大幅に落ち込んだ。このホリデーシーズンは、消費者に、2021年に使用するアイテムをより多く購入させる機会として活用すべきである。そうすることにより、不況業界の業績が改善する可能性がある。

 

すべての業界において、サイバーマンデーの売上はこれまで以上に増加すると予想される。3月と4月に在庫切れの問題を経験した企業は、十分な在庫を確保するために前もって計画を立てる必要がある。また、従来は店頭でアパレルやギフト商品を購入していた消費者がオンラインショッピングに移行しているため、オンライン小売業者は、平均よりもはるかに高い返品率に対応しなければないない可能性もあるだろう。

 

2020年後半の状況を予測することは、ほぼ不可能である。eコマース広告主には、不確実なQ4に対処する必要が生じる可能性がある一方で、業界全体としては、今年、非常に大きな成長を遂げることは明らかである。より多くの消費者がオンラインでの購買行動にシフトし、Q4にはショッピングの復活に期待が持てるようになると、eコマースに広告費を費やすことはこれまで以上に重要となるだろう。

 

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の8/18公開の記事を翻訳・補足したものです。