毎分およそ380ものウェブサイトが作成されているなか、eコマース店舗の構築は、依然として困難な仕事だ。既存の成功例の全てに注目して「自分には同じように成功するほどの幸運はないだろう」と考えてしまうのは簡単だ。
しかし、eコマースの成長機会は、決して鈍化していない。統計調査プラットフォームであるStatistaのレポートによると、eコマースの売上高は、2022年までに、2019年の総額から85%成長すると予測されている。これほどの財務上の勝算があるため、多くの知識、正しい労働倫理、そして、熱い情熱を持ち合わせたオンライン起業家が、今日の市場で成功する可能性があることは確実である。
すべての偉大なビジネスは、偉大なアイデアから始まる。 しかし、よく知られているように、完璧なアイデアであっても、慎重な計画がなければ成功することはない。自身が投資家の立場で行動することが、有益なエクササイズになるかもしれない。念密なリサーチ、スマートな目標、そして、投資金を取り戻し、最終的に利益を生み出す方法を確認するまでは、その会社に1円も投資してはならない。まずは、最初に知るべきいくつかのヒントを紹介しよう。
1. ビッグネームは、必ずしも効果的ではない
eコマースに参入する多くの起業家は、成功するためには、自社商品の販売を促進する巨大な小売サイトが必要だと考えている。最終的に、大手ブランドと販売契約を締結することは、売上をあげるための優れた方法であろう。しかし、起業当初からAmazonやEtsy、eBayに頼る必要はない。ほとんどの場合、これら一流大手は、新規参入事業者のためにマーケティングを行うことはない。ただ、商品売り上げから手数料を取るだけである。
起業家が自身のアイデアを販売するために、既存プラットフォームを利用することが適切なケースもある。しかし、やるべきことはある。自社プラットフォームを構築するための無料および低コストのツールが非常に多くあるため、大手企業と提携し、助けてもらう必要はない。何らかの方法で、自社でマーケティングを行い、自社製品へトラフィックを誘導しているのであれば、販売利益を維持するべきである。
2. キーとなる差別化
現在、ブティック製品が脚光を浴びている。課題は、ファーストウェーブの際に、人々に、すでに買おうとしているものではなく、自社製品を購入すべきであると説得することである。顧客は、最新の流行のブランドや商品を見つけて、友達に紹介したいと思っている。自社製品が、新しい最高のものであることをアピールすべきである。
自社製品は競合他社と、何が異なるのか?既成概念にとらわれずに考えることが大切である。自社製品は、より環境に優しいだろうか?自社顧客とともに成長できるのか?宇宙飛行士が、月面で自社製品を使ってくれるだろうか?それらが100%真実であり検証可能であれば、大胆な主張をすることを恐れてはいけない 。
おそらく、自社のニッチを見つけるための優れた方法は、理想的な顧客を真に知ることである。彼らが、最も望んでいることを一つ挙げるとするとなんだろうか?どのようにその顧客の願いを叶えることができるだろうか?それに答えることができれば、新規顧客を惹きつけるための強力なフックを得ることになるだろう。
3. マーケティング、そして、さらなるマーケティング
優れたマーケティングはすべてのeコマースビジネスにとって、成功するか失敗するかを決めるリソースである。最高のアイデアと明確な差別化メッセージがあったとしても、商品の存在を知らせなければ、誰もその商品を買うことはできない。ビジネスオーナーは多忙である。そのため、マーケティング分野においては、確実に正しく実行するサードパーティを雇うことを検討してもいいかもしれない。
外部の会社と提携するにしろ、マーケティングのすべてを自社で実行するにしろ、自社のターゲット顧客を明確に定義していることを確認し、ターゲット顧客のいる場所に出向くべきである。明確で一貫性のあるメッセージを発信し、自社ブランドが一体何であるかと伝えなければならない。
自社製品について、友達にシェアするのが楽しくなる方法を考えなければならない。自社の顧客に広告の役割を果たしてもらうことできれば、限られた予算でも、リーチは指数関数的に増加する。
4. 創造性で競う
「ワールド・ワイド・ウェブ」と呼ばれるには、理由がある。何十億ものウェブサイトがあるが、そのほとんどはインターネットのノイズの中で迷子となっている。どの業界にいても、おそらく、巨大なブランドと競合することになるだろう。マーケティングにおいて、巨大企業の予算と張り合うことはできないが、独自の視点を持っていれば、それを有効活用することができる。
理想の顧客について、理解しているだろうか?彼らについて、より深く知るべきである。彼はどこにいるのか?彼らのオンライン習慣はどのようなものか?自社製品以外で、彼らが興味を持っているものは何だろうか?私は、複数のブランドが、通常では考えないような場所でオーディエンスを獲得し、驚くほどの成功を収めているのを見てきている。
ある美容ブランドは、一般的には、男性ゲーマーが圧倒的に多いと考えられている動画プラットフォームTwitch上で、動画を公開した。Twitchサービスを利用する女性の間で、同ブランドのニッチなオーディエンスを見つけることで、他のプラットフォームでも注目を集めるためのより多額な広告費投資を可能にするのに十分な資金を獲得した。創造的な思考によって、自社独自のメッセージを適切な消費者に伝え、自社製品を軌道に載せることができる。
5. 信頼できるサプライヤーを探す
自社独自製品を製造する場合でも、ドロップシッピングを検討している場合でも、自社ビジネスに適したサプライチェーンが必要である。サプライヤーとの関係を成功させるには、サプライヤーを検討する際に、適切な質問をすることから始まる。
ほとんどの製品は、規制ガイドラインに適合する必要があることを覚えておかなければならない。そして、製造業者が、参入する業界のガイドラインを遵守しているかを確認する必要がある。卸売製品を発注する場合は、製造元が、製造から自社への納品までの過程で、どのような品質管理を行っているか知っておくべきだろう。
大きな問題になることがある納期については、明確なコミュニケーションラインを常にオープンにし、最初の契約における予期せぬ事態に備えて行動計画を立てておくべきである。
6. スケーラビリティを考える
ビジネスプランのあらゆる側面において、将来を考慮する必要がある。サプライヤーとの最初の交渉から雇用の決定に至るまで、必ず、スケーラビリティを最重要視すべきだろう。
高いスケーラビリティを備えた製造、もしくは、卸売事業者と協業する必要がある。自社の取り扱う物理的製品だけでなく、より大量の注文にも失速することなく対応できる、ウェブサイトのプラットフォームを選択しなければならない。
ウェブサイトがロードされないときに顧客が感じるフラストレーションは、そのサイトの直帰率と直接的な相関関係にある。自社ビジネスが成長するにつれて、おそらくグローバルなオーディエンスにリーチする可能性が高いだろう。そのため、すべての通貨への対応、国際配送、そして、様々な外国の規制や税法を把握するための計画をあらかじめ準備しておくべきである。
7. 卓越したパッケージング(包装)エクスペリエンスを創造する
ロイヤルティの高い顧客は、愛するブランドに夢中になりたいと思っている。彼らは、よく訪れる地元の趣のあるお店に入り、香りを嗅いだり、完璧な装飾に感心したり、面白い背景の前で写真を撮ったり、親切な店員に出迎えられたりしながら、商品を見て回りたいと思っている。
それこそが、エクスペリエンスである。実店舗はeコマースブランドの一部ではないが、触って感じることのできる多感覚的な体験は、eコマースでも確実に実現可能であり、そうすべきである。これをうまく実行するには、優れたサービスと適切なパッケージングが必要となる。
単に機能的なだけではないパッケージ(包装)のアイデアを模索するeコマース起業家は、成功するだろう。パッケージは、買い物客が自分の友人とそのエクスペリエンスを共有したいと思うような、その中に入っている購入商品についての全ストーリーを伝えるものであるべきだ。
フェルトの箱、パーソナライズされたちょっとした手紙、香り付きのライニング、生分解性のボックスやバッグといったトレンドを知っておく必要がる。そして、何よりも、自社の商品の背後にあるミッション全体にあっているパッケージを選択することが重要である。
パッケージの箱を開ける瞬間は、実店舗の壁に美しい画と同じくらい、シェアしたいと思えるようにすべきである。美しいパッケージへの少しの投資を先行して行うことで、予算をかけるだけでは実現できない一種のバイラルマーケティングを行うことができる。
8. 前進し続ける
優れたことをやることは、いつでも難しいものだ。ビジネスを構築することは最も難しいことの一つかもしれない。自社ローンチが、すぐ順調に行かなかったり、トラフィックが停滞したりすると、フラストレーションが溜まり簡単に行き詰まってしまうだろう。しかし、努力し続けなければ、確実に失敗する。
一つのアイデアがうまくいかなければ、頭を切り替える時かもしれない。可能な限り、リーチしたい人々についてのデータを獲得し活かすべきである。顧客調査は、長期的にみると、ポジティブな結果を再現し、それに基づいてビジネスを構築するのに非常に役立つだろう。
顧客調査からの情報をもとに、起業家およびそのチームは、常に、測定可能な目標を設定した堅実な計画を維持する必要がある。そして、いつも、次の素晴らしいアイデアを模索し続け、決して諦めてはいけない。ブティックブランドは、常に百万ドルといった価格で売買されている。あなたのブランドがそうならない理由はないのだ。
eコマースは、新しいことを始めたいと考えている起業家にとって、間違いなく絶好の分野である。比較的少ない資本で、アイデアを、ほぼ一晩で実際のビジネスにすることが可能であるのだ。基本的なことにこだわることが重要である。自社に合ったプラットフォームをリサーチし、メッセージングとマーケティング計画を具体化すること。そしてストーリーを伝える新しく興味深い方法を生み出し、確実に協業できると確信できるサプライヤーを見つけ、驚くべき顧客体験を提供することである。それは、実現可能なことなのだ。
※当記事は米国メディア「E-commerce Times」の4/20公開の記事を翻訳・補足したものです。