EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」

米国デジタルコマースの満足度、従来型小売事業者を上回る結果に

米国デジタルコマースの満足度、従来型小売事業者を上回る結果に

トレンド
2020/03/16

ただし、調査対象となった多くの「インターネット小売業者」は実店舗も運営。

先週、米国全体の顧客満足度の指標であるAmerican Customer Satisfaction Index(ACSI)から、最新のRetail and Consumer Shipping Report(小売および消費者出荷レポート)が発表された。今回のレポートでは、85,000人以上の消費者調査に基づき、デパート、ディスカウントストア、専門小売店、ドラッグストア、スーパーマーケット、インターネット小売店、そしてガソリンスタンドといった実にさまざまな小売りカテゴリーの「満足度」に着目している。

 

CostcoとAmazonが同評価 

 Amazon と会員制倉庫型店のCostcoは、同点の最高満足度スコアを獲得し、リストに含まれる全他企業を上回っている。しかし、カテゴリーとしての「インターネット小売り」(デジタルコマース)は全体的な顧客満足度において従来型小売業を凌いだ結果となった。これは、オンラインの利便性と質の低い実店舗小売体験によって、消費者がほとんどの買い物をオンラインにシフトしていると仮定でき、直感的に納得できるだろう。

 

この調査は、「実店舗カテゴリーでの満足度の改善は見られなかった」が、「従来型小売業における顧客満足度の低下は落ち着いた」ことを示している。それと比較して、デジタルコマースでは、「全体的に、はるかに顧客満足度が向上した」という結果となり、前年比での改善が見られた。

ACSI による小売および消費者出荷レポート(2019-2020)

 

多くのオンライン小売業者も実店舗を運営 

ACSIのリストにある上位10のデジタル小売業者は次の通り。

  • Amazon (83)
  • Etsy (ハンドメイドやビンテージ、オーダーメイド商品の販売)(82)
  • Nordstrom (大型百貨店チェーン)(82)
  • Costco (81)
  • HP Store(コンピュータ関連製品の開発から製造・販売・サポート) (81)
  • Newegg(コンピューターハードウエアや家電アイテムの販売) (81)
  • Nike(スポーツ用品の卸売り販売) (81)
  • Wayfair(家具や家庭用品の販売) (80)

 

リスト全体をみても、企業の多くは、eコマースと従来型店舗の両方を持つオムニチャネル販売者である。実際、調査対象となった小売業者のうち、デジタルコマースのみを行う事業者は、わずか1/3だ。なお、この調査ではDTC(Direct to customer:ネット直販)ブランドは含まれない。

 

好まれるモバイル小売りアプリ 

eコマースの買い物客がデジタルコマースエクスペリエンスにおいて好むものの上位2つは、「わかりやすいチェックアウト機能と支払いプロセス」、そして「モバイルアプリのクオリティ」だ。従来型デパートやディスカウントストアにおいて最も好まれるのは、「利便性の高い営業時間」、「モバイルアプリのクオリティ」、そして「モバイルアプリの信頼性」であった。後者の二つは、店内での体験にほとんど関係がない「ストアモード」(実店舗で利用するための独自機能モード)を備えている場合を除く)。専門小売カテゴリーでは、消費者は「利便性の高い営業時間」と「スタッフの礼儀正しさと手助け」、そして「店舗のレイアウトと清潔感」を最も高く評価した。

 

留意すべき理由 

現在のよく知られたeコマース事業者と、従来型小売のストーリー(レポート内に載録)の対決結果は、ほぼ当然の成り行きといえよう。実際、小売業は3つの主要な「層」で構成されている。それは、オンラインストアのみを展開する企業、オンラインやオムニチャネルをより重視する従来型小売業者、オンラインのみの展開から実店舗運営へと移行しているDTC(Direct to customer。例:米国のマットレスブランドであるユニコーン企業Casperを参照)だ。

 

小売業界は、デジタルまたは従来型小売という型にはまったレンズを通して小売業について検討したい考えだが、消費者が最も関心を寄せているのは、利便性、価格、そしてサービスである。オンラインとオフラインのどちらで購入するかではなく、自信を持って商品を選択でき、商品が気に入らなかった場合は簡単に返品できるプロセスが整っているかどうかを重要視している。これは、長期的に生き残れるオンラインのみを手掛ける小売業者が非常に少ないことを意味している。同様に、消費者の期待に沿えない従来型小売業者(オンラインと実店舗)も、それほど長く生き残ることないだろう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の3/2公開の記事を翻訳・補足したものです。