EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」

ECサイトで利用したい決済手段がなければ62.5%のユーザーが購入せず

ECサイトで利用したい決済手段がなければ62.5%のユーザーが購入せず

物流・決済・業務
2019/08/28

ソフトバンク株式会社の子会社であるSBペイメントサービス株式会社は、ECサイト(物販、デジタルコンテンツ)における決済手段の利用実態に関するアンケート調査を実施した。その結果、利用意向の高い決済手段はクレジットカード決済が多いが、そのサイトで利用したい決済手段がなければ物販サイトでは62.5%のユーザーが購入しないという結果も明らかになった。

 

 

今回の調査対象の物販サイトとは洋服、靴などの身に付けるアクセサリー、化粧品、本、食料品、医薬品などを販売するECサイトが対象。デジタルコンテンツサイトは電子書籍、動画視聴サービス、オンラインゲーム利用料、イベント参加費、会員費などを販売するECサイトが対象となっている。

調査は2018年12月1~10日中に1年以内に物販サイトで何らかの商品を購入した10~80代の男女1,986人と1年以内にデジタルコンテンツを購入した10~80代の男女1,173人に対し、物販サイト(洋服、靴などの身に付けるアクセサリー、化粧品、本、食料品、医薬品など)やデジタルコンテンツサイト(電子書籍、動画視聴サービス、オンラインゲーム利用料、イベント参加費、会員費など)における決済手段の利用実態に関する調査を株式会社ジャストシステム「Fastask(ファストアスク)」を用いたインターネットリサーチにて行った。

ECサイトで最も利用する決済手段は、物販サイトでクレジットカード決済が79.1%、コンビニ決済が6.6%となった。ユーザーがECサイトで最も利用する決済手段は、物販サイトとデジタルコンテンツサイトのいずれにおいても「クレジットカード決済」が約80%と圧倒的に高く、次いで「コンビニ決済」が高いという結果となった。「クレジットカード決済」のユーザーへの浸透率の高さが伺える。

 

続いて、物販サイトにおける決済方法を男女別でみていくと、「クレジットカード決済」と「コンビニ決済」の割合が高いというのは男女共通だが、特徴的なのは男性が「代引き」を、女性が「後払い」を選択する割合である。男性が「代引き」を選択する割合は3.6%と女性の割合よりも1.6%高く、商品の受け取りと同時に支払いができる点が評価されている。一方で、女性が「後払い」を選択する割合は3.1%と高く、より慎重に、手元に届いた商品を確認してから安心して支払いたいという傾向があるということがわかった。

 

更に物販サイトの男女別のデータを今度は年齢別に分けていくと、10~20代のクレジットカード決済の利用率は、他の年代に比べて低いことがよくわかる。

 

一方、デジタルコンテンツサイトで最も利用する決済手段のアンケート結果を男女別に分けると、女性はコンビニ決済が10.4%、キャリア決済が5.7%と男性に比べ、クレジットカード決済以外の決済手段も高い割合で利用される傾向だった。そのため、女性ユーザーの獲得による売上拡大を狙う場合は、コンビニ決済やキャリア決済の導入検討が重要になってくる。

 

続いてデジタルコンテンツサイトのアンケート結果を年齢別で見ると、物販サイトと同じく、10代は他の年代に比べ大幅にクレジットカード決済の利用率が低く、コンビニ決済が高いことが明らかになった。ユーザーアンケートから、学生でクレジットカードを持っていない場合、コンビニ支払いが一番楽で安心ということに加えて、10代男性の特徴として、「チャージした金額の分だけ利用できるので便利」といった理由で、約10%がプリペイドカード決済を利用していることもわかった。

 

これまで、アンケート結果の割合を大まかに見てきたが、では、それぞれの決済方法を選んだのにはどのようが理由があるのだろうか。

クレジットカード決済は、ポイントを貯められる点や、カード明細を受けとって管理ができる点、手数料がかからないなどが、ユーザーに選ばれる理由となっている。

コンビニ決済の場合は、コンビニエンスストアを頻繁に利用するユーザーにとっては比較的メジャーな決済方法で、「近くにあるから手間に感じない」といった意見が多くあった。また、クレジットカード決済と比較したコメントが多く、クレジットカードを持っていない方や、クレジットカードの利用に不安を感じている方はコンビニ決済を選ぶ傾向が強くみられた。

キャリア決済に関しては、クレジットカード決済よりも簡単にPCやスマートフォン上で決済を完了できる手軽さや、携帯料金とまとめて一括で支払いができるといった利便性の高さがユーザーに選ばれる理由となっている。特にデジタルコンテンツでは、電子書籍やゲームなどのユーザーが未成年の割合も高いため、クレジットカードを持っていない、チャージした分だけ安心して利用できるという理由でプリペイドカード決済を選択するユーザーが多く見受けられた。

しかし、ユーザーが最も利用する決済手段が対応していない場合、同様もしくは類似商品が他のECサイトでも多く扱われている物販サイトでは62.5%のユーザーが購入しないことや、また、物販サイトに比べると独自の商品、サービスが多いデジタルコンテンツにおいても、51.5%のユーザーが購入しないことがわかった。いずれのユーザーもそのサイトでの購入をやめ、希望する決済手段が利用できる他のECサイトで同じ商品、サービスを検索し、購入する傾向が見られる。そうなってくると、例えば10代のクレジット所持率が低い為、若年層をターゲットにしている事業者はクレジットカード決済と同時に他の決済手段の導入検討の必要があると言える。

 

これらの結果から、ユーザーの購入率を向上するためには、自社ECサイトのターゲット層をよく理解し、必要な決済手段を見極め、適切な決済手段を導入することがポイントになるだろう。