欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)が14ヶ月前に発効して以来、欧州のeコマースウェブサイトはページ閲覧数、サイト閲覧数、および収益の低下を記録した。一般データ保護規則とは、EU市民を保護するためのデータ保護とプライバシーに関する規則で、2016年4月14日に採択され、2018年5月25日から施行されている。
一般データ保護規則によって収益が8.3%悪化
「オンライン上のプライバシー規制:欧州のウェブトラフィックとeコマースにおけるGDPRの初期的影響」という研究が示すところによると、本規則が施行されて以来、すべてのサイトのページ閲覧数は9.7%減少し、ウェブサイト訪問数は9.9%減少している。欧州の“eコマースの”ウェブサイトにおいては、すべてのサイトに比べるとダメージは小さく、サイト訪問数は5.6%低下、収益は8.3%減少と記録された。
GDPRのページ閲覧、サイト訪問数および収益への影響
同調査のリサーチャーは、Adobe Analyticsのデータを使用して、GDPRがさまざまな企業の重要な経済的成果に与える影響を数値化した。彼らによるとこの調査は、その規模と適用範囲によって多くの企業に何百万ユーロというコンプライアンスコストを生じさせているGDPRの、初めての調査の一つであるという。
電子メールとオンラインディスプレイ広告はGDPRに影響を受けている
欧州におけるeコマースウェブサイトのトラフィックと収益が減少を見せていることについて、考えられる理由の一つは、GDPRが電子メールとオンラインディスプレイ広告に伴うリスクを増大させたことであろう。研究レポート(PDF)は、以下のように記している。
「個人情報の取り扱いに際するコスト上昇は、オンライントラフィックを促進するパーソナライズドマーケティングチャネルに影響を与える可能性がある。電子メールとオンラインディスプレイ広告はいずれもcookieや電子メールリストの形式の個人データに依存している。そのため、これらのチャネルを通じた広告の質と量は低下する可能性があるだろう」。
今回の調査リサーチャーは、電子メールとディスプレイ広告からのeコマースウェブサイトへの訪問数はそれぞれ7%と3%を占めており、(GDPR以前に施行されていた)EUデータ保護指令によっては広告の有効性が65%も減少したという他の調査研究についても指摘している。
ユーザーは情報がどのように使われているかに気づき始めている
研究者はまた、GDPRによってユーザーが自身の情報がどのように使用されているかを気にするようになるため、ウェブサイト全体のトラフィックが変化する可能性があると指摘。「GDPRの施行により、EUユーザーが利用するウェブサイトの至る所で、プライバシーノーティス(通知)が表示されるようになった。プライバシーに関する懸念を増長するようなこうした通知は、ユーザーがオンラインで過ごす時間の長さや、よく訪れるサイトについての好みを変えてしまったのかもしれない。
※当記事は欧州メディア「Ecommerce News 」の7/29公開の記事を翻訳・補足したものです。