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大手小売に負けないための商品ページ最適化の9つのベストプラクティス

大手小売に負けないための商品ページ最適化の9つのベストプラクティス

ノウハウ・ツール
2019/08/09

自社サイトの商品ページへのオンライントラフィックを増加させることに成功しているのであれば、それは素晴らしいことである。それでは、サイトを訪れている顧客が、実際に「カートに入れる」をクリックしない理由は何だろうか?

 

eコマースにおいて、コンバージョンを効果的に獲得し、サイト訪問者に実際に商品を購入してもらうことは、容易なことではない。しかし、これらを効率的、かつ正確に実行するための専門知識を習得することは、長期的な成長への鍵である。そして、たとえ自社の提供するソリューション(製品)が高い競争力を持っている場合でも、自社の基盤を固め維持するのが困難であるこの分野は、極めて重要な意味を持っている。

最も多大な影響をもたらすタスクの一つであり、企業が全力で取り組むべきことは、自社サイトのコンテンツとデザインの開発・改良である。以下に、それらを行う際に覚えておくべきいくつかの基本事項を挙げたい。

 

  1. サイトの「購入」ボタンは、最も重要な要素である。

eコマースサイト全体の最終的な目標は、顧客が商品を購入することであるため、「購入」または 「カートに入れる」ボタンは、極めて重要である。しかし多くの場合、これらは見落とされがちである。購入するためのボタンをどのような言葉で表示しても構わないが、顧客が、確実に容易に見つけられるように表示しなければならない。

「購入」ボタンは、商品ページに到達してからすぐに目に付くところに表示されるべきであり、「購入」ボタンを探すために顧客にスクロールや検索をさせてはならない。

そして、ボタンの周囲には、十分な余白を取る必要がある。

また、購入ボタンは、単体のテキスト表示ではなく、実際のボタンとして設置しているかを確認しよう。

ボタンの色は、目立ち、かつ、ブランドと調和する適切なものを使用する。

 

  1. モバイル顧客へ対応する。

モバイルコマース(mコマース)が、eコマース全体よりも急速に成長していることを認識しているだろうか?mコマースは今年、米国のオンライン総売上の約44.7%を占め、2021年までには、全世界のeコマースの約75%を占めると予測されている。この傾向をうまく活用し、モバイルデバイス用にWebサイトを最適化しなければならない。

小さい画面でも見やすく簡単に操作できるような、モバイル向けコンテンツを制作する。

ショッピングアプリを開発する際は、機能的でブランドの品質を反映するアプリでなければならない。顧客が使用しないアプリを制作することは、まさに「新人」が犯しがちな間違いである。

モバイル顧客向けの特別オファーや割引を提供する。限定サービスは、売上増加につながるのである。そして、限定サービスを提供することにより、モバイルオーディエンスは、誰でも利用できるわけではない特別なサービスを受けていると感じることができるのだ。

モバイルプロセスは、最初から最後まで完璧にしなければならない。買い物客をイライラさせてしまうと、商品を購入しないだけでなく、ネガティブな体験や不快感を他の消費者と共有する可能性が高くなる。

 

  1. 商品に対する顧客の第一印象は、写真で決まる。

高品質のプレミアム写真の重要性は、誇張しすぎることはない。顧客は、オンラインで販売する商品に物理的に触れたり操作したりすることができないので、代わりに、写真がその役割を“実質的に”果たす必要がある。

写真は複数のアングルから撮影され、拡大機能を持った高品質のものでなければならない。そして、白を背景に撮影された、明るい商品写真が望ましい。

360度ビュー、または、商品に関連したライフスタイル画像(およびビデオ)も効果的である。

複数のカラーオプションがある場合は、それぞれのカラーの商品写真を表示する必要がある。

すべての商品ページにおいて、写真スタイルを統一させることも重要である。

また、実際に購入した顧客が、実生活で商品を使用または着用している写真をアップロードできるようにするべきである。

 

  1. コピーを整理する。

商品ページに関しては、構造と内容の両方が重要である。情報が表示されるフォーマットは、実際のコピー内容と同じくらい重要なのである。

まず、人気商品のタイトルから取り掛かるのがいい。

見出し、小見出し、箇条書きを使用して、読み取りやすいコンテンツを開発する。

顧客が探している情報をすぐに見つけられるようにする。

価格、機能、材料、お手入れ方法、サイズの詳細についての情報を表示する。

表示する情報が、サイト全体で一貫していることを確認する必要がある。つまり、すべてのページのすべての商品について、同じ詳細情報を提供するということだ。

 

  1. 説得力のあるコンテンツも重要な要素である。

買い物客を退屈させてはならない。現在および将来の両方の顧客にアピールするため、商品説明に力を入れて、ブランドからのメッセージをつくり出すべきである。オンライン上には、大量の騒音があふれている。その中で注目を集めるためには、信憑性が高く、大胆、そして明確でなければならないのだ。

顧客に、“実際に商品を使っている自分”を想像できるコンテンツを提供すべきである。

特に、高価格商品を販売する場合は、そのより高い価格を裏付けるための十分な詳細情報を提供しなければならない。独自の歴史、高品質な材料、またはその他の高度な機能を説明して、その商品価値を明確に示すべきである。

さらに、過去問われた質問に答えることを忘れてはいけない。なぜ、顧客は他の商品ではなく、あなたの商品を選ぶべきなのだろうか?顧客が、その答えを知っていると思い込んではいけない。その理由を説明するのは、売り手の仕事である。

 

  1. すべてのページを、適切にブランディングすべきである。

ブランドメッセージを、ホーム画面に限定せず、すべての商品ページに適用すべきである。一貫性を持たせることにより、消費者にプロフェッショナリズム、確立されたブランド、そして高品質であることを感じさせることができるのだ。それら全ては、売上につながる主要な要素である。

顧客が、初めてホーム画面を訪問していると仮定しよう。

商品ページを表示するとすぐに、自社ブランドが強調されるようにする。

操作しやすいレイアウトを作成する。

デザインを、清潔感があり、明瞭にし、一貫性を保つ。

一貫した色、フォント、および言葉を使用する。

 

  1. クロスセルやアップセルに注力する。

商品ページは、熱心な販売員の役割を果たすものにするべきである。洋服を試着している時に、完璧にマッチするアクセサリを勧める販売員に出会ったことがあるはずだ。嫌とはいわせないが、強引でもない接客。このバランスが、eコマースでの商品を売るゴールドスタンダードである。

どの商品ページにおいても、その商品と一緒に購入すべき追加商品をおすすめすることで、より多くの商品を販売するチャンスが生まれる。

どの商品についても、一緒に使用するアクセサリ、異なるスタイル、または同じカラーまたは主要デザインの追加アイテムを紹介すべきである。

 

  1. ソーシャル・プルーフ(社会的信用)を追加する。

今日のハイテクに精通した顧客にとっては、オンラインレビューが、見込み客に対し実際に商品を購入するように説得する役割を果たしている。

カスタマーレビュー、評価、Instagramの写真、個人的なお客様の声なども取り入れるべきである。

この要素の開発をサポートするために、商品を購入した顧客に、eメールとアンケートを送付し、商品レビューを依頼するのがいいだろう。レビューを容易に投稿できるようにすればするほど、より多くの人がレビューを投稿してくれる。

確実に購入した顧客からのレビュー投稿には、特典を提供すべきである。次回購入時に使用できるクーポンコードの提供、または、誰もが利用できるわけではない限定的にアクセスできるサービスを提供する。

 

  1. スピードが重要である。

時間がない人もいる。そして、急いでいないとしても、人は“ただ待つこと”を望まない。自社サイトで、買い物客に時間を取らせてはいけない。我々はすぐに欲しいものを手に入れられるデジタル時代に生きているので、スピードという側面を売り手の魅力として強調することは、コンバージョン達成に役立つだろう。

商品ページのロードタイムを短縮する。

忙しい顧客が、迅速かつ簡単に配送情報にアクセスできるようする。

チェックアウトプロセスを不要な要素で複雑化させない。なるべく、少ないステップで完了するのが、より望ましい。

切迫感を生み出す。すなわち「明日で販売終了する商品」を提供する。そうすることで、 顧客に今すぐに「購入」ボタンをクリックするよう促すことができる。

 

最適化は継続的なプロセスである。そして、終わりはない。

紹介した9つのベストプラクティスをバランスよく実行し、商品ページを最適化することにより、コンバージョン率が向上し、最終的には利益を増加させることができるだろう。

高品質な商品ページのコンテンツが、どのような要素で構成されているかについては、上記の基本原則で説明してきた。これらをもう一段掘り下げて、コンバージョンに結びつく商品説明について検討する必要がある。

 

つながりを求めるオーディエンス

信頼性が重要である。明確なコピーを作成することが難しいと感じる事業者は、一度立ち返り、自社のターゲット市場と対象ユーザーを再度特定するのも良いかもしれない。誰に語りかけているのかを理解すれば、何を伝えるべきかを考えるのがより容易になるだろう。そのため、商品説明を作成するときは、自社サイトを閲覧しているデモグラフィックと、そのオーディエンス層に対してどのような問題を解決しているのかを確実に把握する必要がある。

また、オーディエンスとの関係は、どのような言葉を使用するかが影響する。流行語で話し、安っぽいフレーズを使用している車のセールスマンから購入したいと思う人はいないだろう。説得力のある言葉を使い、それが自然に聞こえるということが重要なのである。それは信頼性が高く、明確である必要がある。自身の友人が気に入りそうなかっこいい新商品について、まるでその友人に説明するように説明文章を作ることは、高品質のコンテンツを作成するために効果的な練習となるだろう。

 

キーワード、SEO、ブランド

長年にわたり、多くのブランドは、自社ブランドを目立たせようとして、“過剰にユニークな”コンテンツアプローチをしている。その結果として、キーワード、ディスクリプタ、さらにはコピーからも、自社コンテンツが検索不可能となっている。

ユニークなのは良いことである。しかし、検索可能であることがより重要である。オンラインで商品を探す際に、潜在顧客が検索エンジンに入力するキーワードと、自社サイトのキーワードが一致していることを確認すべきであるのだ。

オンラインでの商品検索に関していえば、消費者はほとんどの検索を、自分が経験している問題に対する解決策を探す目的で行う。商品説明をレイアウトするとき、自社商品の利点と、購入者のどのような問題を解決できるのかに重点をおくべきである。この点についての説明を取り入れることにより、提供している解決策が非常に明確になるからだ。

 

情報過多

商品説明に対するアプローチでは、“各訪問者はこのページをこれまで見たことがない”という前提が大切だ。以下の3つの要素を満たす限り、より多くの情報を提供することが望ましい。

 

  • 関連性がある
  • 有益である
  • 魅力的である

 

買い物客は、商品の詳細全てを知りたいと思っている。しかし、売り手の仕事は、購入までの全ての過程において買い物客の注意を引き続けながら、商品情報を提供することである。良いコピーとは、面白く、独特で、明確で、一貫性がなくてはならない。売り手が販売しているソリューションについての情報を提供し、購入まで一貫して関係性が高いものでなくてはならないのである。

 

大手小売事業者の利点

より多くの起業家や中小規模のブランドが、大規模小売業者と競合している。そのため、大規模小売業者の利点を認識し、そのギャップを最小限に抑えるように取り組むことが重要である。大規模小売業者は、ライティング、市場テスト、完璧なコンテンツおよび商品説明の作成に専念するそれぞれのチームを持っているだろう。競合する小規模ブランドは、同等のレベルで各業務に対してフォーカスすることは難しく、また同等のリソースを持っていることも一般的ではない。

ただし、より小規模なブランドほど、より素早くチャンスを捕らえるための機敏性に優れている。どの事業者もが同じeコマースエコシステムで競合しているため、格差のギャップが存在する。多くの点で、これは良いことである。他の健全なエコシステムと同じように、大きい魚と小さい魚の両方がエコシステムの全体的な成長に貢献していることが望ましいからである。

 

バランスと競争への貢献

一般的には、eコマースの全体的なバランス維持に貢献しながら、事業者規模によるギャップを最小限に抑えるための最善の方法は、どの分野にフォーカスすれば最も多大な影響を生み出すことができるかについて新興ブランドが学ぶことであろう。

コンバージョン数とリピート顧客、そして、実際に事業者の言葉と商品につながりを感じるオーディエンスからの評価の高いレビューを増加させる裏方的手法は、商品ページと商品説明を最適化することなのである。

 

 

※当記事は英国メディア「E-commerce Times」の/7/30公開の記事を翻訳・補足したものです。