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2019年のロシアeコマース市場規模、昨年比20.7%増の197.4億ユーロに

2019年のロシアeコマース市場規模、昨年比20.7%増の197.4億ユーロに

トレンド
2019/08/06

ロシアにおける物販のオンライン売り上げは、今年末までにおおよそ197.4億ユーロに達する見込みだという。同国のeコマース市場規模は、2023年には450億ユーロまで達するという予測だ。

 

ロシアのeコマース市場の成長サイクルは勢いを増している。複数の大手オンライン小売業者は、年間収益の成長率が50〜150%だという。こうした状況は、ロシアのeコマースにおける市場動向、主要企業、および投資案件についてのレポートを行うEWDN(East-West Digital News)が明らかにしたものである。

 

2018年は163.5億ユーロ

2018年、ロシアのeコマース市場規模は1.15兆ルーブル(163.5億ユーロ)で、2017年と比較して19%増加。これらの統計は、ITコンサルティング会社Data Insightによるもので、クロスボーダー取引による売上や、サービス、デジタル商品の売上は含まれていない。ロシアのクロスボーダー取引を除いた物販のeコマース売上高は、小売売上高全体の約5%を占めている。この値と比較すると2019年は20.7%増という成長率となっている。

 

ロシアのeコマース (2011-2018)

リーダーシップを目指すeコマース・ジョイントベンチャー

ロシアには多くの大手小売業者が存在するが、独占的な支配力を有する企業はまだ存在しない。15億ユーロ超の収益を上げるオンラインファッション小売業者Wildberriesがロシアで最大の小売業者であるのと同様に、電子機器に特化したECサイトのCitilink、“ロシアのAmazon”と呼ばれるECサイトOzon 、 若い女性に人気のファッションサイトLamodaもまた、ロシアの主要な企業といえる。そして近い将来、世界的な主要取引プラットフォームのAlibaba、ロシア最大の無料電子メールサービスを行うMail.ru、ロシア大手の携帯電話会社Megafon、そしてAIを活用した製品とサービスを構築するテクノロジーを提供するYandex Marketグループ(Yandex.Market、Bery、Bringly)といった巨大なeコマース・ジョイントベンチャーが、競争を変化させる可能性があるのだ。

 

トルコがロシアeコマース市場に参入

クロスボーダー取引に関しては、依然として中国のオンライン小売業者がロシア市場を独占している。しかし、西側諸国のオンライン小売業者の人気が徐々に高まり、トルコなどから新たな業者がロシア市場に参入しつつある。

ロシアのクロス・ボーダーeコマース

 

ロシアでの一般的な支払い方法

ロシアの消費者がオンラインで商品を購入する際の支払いに関しては、イーウォレットが最も一般的な支払い方法だ。ロシアのマーケットリサーチ会社Mediascopeが2018年に行った調査によれば、ロシアの都市部に住む18歳から55歳のオンライン買い物客のうち71%は、オンライン購入の際に実際イーウォレットを利用しているという。ロシアで人気のあるイーウォレットはいくつかあり、最もポピュラーなのはYandex.Money(2017年は33%)、その後に続くのがWebMoney(28.4%)、QIWI(24.1%)、そして日本でも馴染のあるPayPal(28.1%)といったサービスだ。

 

ロシアでの一般的な支払い方法

 

「留意すべきロシアの個人情報保護法」

EWDNは、「ロシアにおいては、国際的な企業が成功を阻害する大きな障害はないが、海外のeコマースおよびオンライン決済サービス会社は、同国の個人情報保護法に特に注意を払うべきである」と警告している。「ロシア個人情報保護法は、欧州のGDPR(EU一般データ保護規則)とは異なり、データの収集、処理、保管において大幅な同国むけ調整が必要になる可能性がある」とのことである。

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News europe」の7/26公開の記事を翻訳・補足したものです。