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乱立する来店ポイントアプリはECサイトのオムニチャネルを活性化することができるのか

乱立する来店ポイントアプリはECサイトのオムニチャネルを活性化することができるのか

マーケティング
2016/06/01

乱立する来店ポイントアプリはECサイトのオムニチャネルを活性化することができるのか

 

EC業界ではここ数年“O2O”や“オムニチャネル”といったキーワードで、オンラインと店頭を連携させる取り組みが増えてきている。これはECサイトでの集客や売上アップを目指すだけでなく、実店舗も含めたユーザーとのタッチポイント全てでユーザーとの関係性を深め、企業価値を高めようとするものだ。一方で実店舗への集客も、スマホの浸透に伴い新しいアプローチが可能となってきた。実店舗へ来店するだけでポイントを獲得することができる“来店ポイントアプリ”が乱立してきているのだ。今回は来店ポイントアプリを見ていき、ECサイトのオムニチャネル施策にどのように活用することができるのか探っていく。

 

そもそも来店ポイントアプリとは

 

来店ポイントアプリとは、実店舗に来店したことを認知することでポイントを付与するアプリのこと。使い方は非常に簡単なものが多い。まずアプリをダウンロードし、実際に店舗に来店した時にアプリを起動し、位置情報を認識。認識方法はGPS、超音波やWi-Fiなどを利用して場所を特定する手法が使われている。そしてアプリ上でボタンを押すことでポイントがたまるという仕組み。店舗側としてはアプリの利用により、顧客の来店頻度が上がるだけでなく、その顧客が店内にいることによって周りの顧客の集客につながることや、オンラインとの連携の可能性という様々な利点や可能性がある。また一方で消費者側は来店するだけでポイントがたまりそのポイントが商品券などに交換可能であるため、お得なのである。

それでは、現在リリースされている来店ポイントアプリを見ていこう。複数の企業にプラットフォーム的に使ってもらうタイプのものと、個別の企業が提供しているタイプのものに大別される。

 

 

店舗共通の来店ポイントアプリ

 

スマポ

スマポは日本初のO2O型来店アプリであり、来店することでスマポポイントがもらえるサービスだ。

2013年10月に楽天が買収し、現在は楽天の完全子会社である。スマポは加盟店の店内の指定エリアにてアプリを起動し、ボタンを押すだけでチェックインを完了。スマポポイントは、ギフトカードや商品券、ビックカメラのビックポイントなどにも変換可能となる。店舗は従来からチラシやダイレクトメールなどで、セールなどのイベント情報や商品の広告を行い顧客に認知を促していたが、認知だけでなくその消費者を店舗に実際に集めることが期待される。スマポは楽天の子会社ではあるが、スマポポイントは楽天ポイントとの交換は不可となっている。また地方の登録店舗が少ないという特徴もあるようだ。

 

ショプリエ

ショプリエ(SHOPlier)はリクルートが提供している来店ポイント獲得とポイントカード一括管理のためのアプリ。

ファッション・雑貨・百貨店を中心とした全国3,000店舗で利用可能であり、実際に来店することでPontaポイントがたまる。そしてこのPontaポイントは他のリクルート関連のサービスで利用可能なリクルートポイントと交換できる。またポイントが貯まるだけでなく、キャンペーンの案内やリクルートが運営するポンパレモールとの連携企画の案内も行われる。さらに各ショップが発行するポイントカードもアプリ内に一括管理できる機能も備わっている。

 

楽天チェック

楽天チェックは楽天スーパーポイントをためることができる来店ポイントアプリだ。

同じく楽天傘下の前述のスマポとは重複するサービスともいえる。「20代の女性の楽天会員」といったような利用者の属性を絞った集客施策を行い成果報酬型での費用体系を店舗事業者向けに提供。ポイントは店舗に来店してボタンを押すことで得られる“チェックポイント”と、期間限定で与えられた特定の行動をとることで得られる“ミッションポイント”の2種。ユーザーが楽天市場などで使用している楽天IDと連携しているため、たまったポイントはオンラインでももちろん利用可能となる。

 

nearly

nearlyは来店ごとにウォークインやショップタッチ、ゲームでコインを集めることができるアプリ。

LUMINE、アトレ、髙島屋などの大手の百貨店を網羅しており、4大都市圏のターミナル駅周辺で買い物をする20代~40代の女性をターゲットとしている。また他のアプリよりも商品情報、お得な情報などの提供に力を入れているため、商業施設や店舗にとっては、チラシの代替として活用しているケースも多い。2014年にリリースされて以来、登録店舗数が1万店舗を突破した。

 

 

店舗独自の来店ポイントアプリ

 

イトーヨーカドーアプリ

イトーヨーカドーアプリは、30万ダウンロードを突破した店舗独自のアプリである。

店舗に来店しWi-Fiサービス「7SPOT」に接続したり、チラシを見ることでイトーヨーカドーアプリポイントをためることができる。このポイントはnanacoポイントに変換することができる。またこのアプリでは、ポイントをためるだけではなく、近辺の店舗の検索や写真を利用したランドセルのお試しなどといったお楽しみサービスも追加されている。

 

アリオアプリ

アリオアプリは、イトーヨーカドー系列のショッピングセンターであるアリオの来店ポイントを獲得するアプリ。

来店してWi-Fiに繋ぐことで“ありぽ”というポイントがたまる。また、お気に入り店舗からのクーポンの受け取り、チラシのクリップなども可能。

 

MUJI passport

無印良品が提供しているMUJI passportは、店舗チェックイン機能以外にも様々な無印良品関連のサービスと連携することができるオムニチャネル型アプリだ。

このMUJI passportは、無印良品の店舗にGPS機能を使ってチェックインすると、MUJIマイルが貯まるだけでなく、他のアプリとは少し趣が異なる機能が提供されている。オンライン会員IDなど無印良品関連の全てのIDとの連携が可能となっており、近隣店舗における商品在庫検索や口コミの確認も可能。オンラインと実店舗のシームレスな連携を実現している。

 

ポケットパルコ

ポケットパルコは、PARCOのオムニチャネルアプリだ。

GPSによるチェックインや、館内のWi-Fi「atPARCO」に接続または商品をクリップ、購入するとコインが貯まり、POCKET PARCOご優待券などの特典に交換することができる。またこのアプリでは、全国約3,000店舗の取り扱い商品から気になった商品をタップでクリッピングし、購入も可能。カエルパルコと連動した取り置きサービスも利用することができる。

 

 

ECサイトのオムニチャネルを活性化することができるのか

 

前半に紹介した店舗共通の来店アプリの場合は、細かい位置情報を特定する必要があるため、超音波や特定商品のバーコードスキャンなどを活用している。そして一般に流通しているPontaや楽天スーパーポイントなどを特典として付与するか、変換可能としているケースが多い。一方で後半に紹介した店舗独自の来店アプリの場合は、ある程度広範なエリアを認識できれば問題ないためWi-FiやGPSなどを活用した位置情報の特定を行っている。逆に獲得できるポイントは店舗独自のポイントとなる。

ECサイト事業者が店舗独自のアプリを開発・導入するには非常に大きな投資が必要となる。そのため店舗共通型のアプリの導入をすることで店舗誘導を促進していきたいところだ。しかし、店舗共通アプリでは各店舗の会員情報との紐付けが出来ないため、会員情報を統合した上での各種のオムニチャネル施策を現状で打つことができない。

来店ポイントアプリは、ユーザーが購買しなくても来店頻度を把握できるだけでなく、来店を仕向ける効果も一定量期待できる。そのためオムニチャネル施策の有力な選択肢には成り得る。ただ来店時にポイントを付与するだけでなく、店舗共通アプリにおいてもPontaIDや楽天IDなどの外部IDとの紐付けを行うことでECサイトと連携し、会員情報や商品情報の連携を実現し活用することができると、ECサイト事業者にとってより可能性が広がるのではないだろうか。既に全国に万単位で普及している来店ポイントアプリのさらなる進化に期待したい。