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インフルエンサーマーケティングを機能させ、影響力を維持させ続けるために

インフルエンサーマーケティングを機能させ、影響力を維持させ続けるために

マーケティング
2019/04/15

急成長するソーシャルメディア分野から発生した「インフルエンサーマーケティング」は、今や最も急成長しているメッセージ発信方法の一つだ。多くのフォロワーと広いリーチを持つ「インフルエンサー」と呼ばれる人々の人気を利用し、商品を宣伝し、消費者の評価に影響を及ぼす。これは、まさにソーシャルメディア時代のマーケティング戦略である。

デジタルマーケティングコンサルタントのShane Barker氏も「インフルエンサーマーケティングは、現在最も成長著しいマーケティングチャネルの一つだ」と語る。「ソーシャルメディアのインフルエンサーや主要なリーダーを活用し、より多くの人に対してブランドへの信用度を高めることができる」。

インフルエンサーマーケティングは、従来のメッセージングが起源である。現代のコミュニケーションの形やそれを可能にする技術を構成するためにだけ更新されている。

米国のインフルエンサーマーケティング会社ObviouslyのCEO、Mae Karwowski氏は「インフルエンサーマーケティングは、単純に、早く広まる新しい口コミのようなものだ」と語る。「自分の属するコミュニティに、自分が愛するものをシェアしているものである」。

 

機能する理由

効果的なインフルエンサーマーケティングにおいて、信頼が全てだ。バナー広告をクリックさせることは、時には非常に難しいことである。しかし、インフルエンサーのおすすめに従うということは、自身が認知している関係から生まれる行為なので、自然で広告に影響されてはいないと感じる。

インフルエンサーマーケティングは、消費者の評価を変えさせたり、購入を決定させたりする際、従来の方法よりも効果的である。特に若いユーザーに対して、その効果は高い。

英国のマーケティングリソースInfluencer Marketing Hubの創設者Werner Geyser氏は以下のように語った。「インフルエンサーは通常、ソーシャルメディアやブログで多くのフォロワーを有している。そして、フォロワーはインフルエンサーのおすすめを信頼し、彼らの発言やおすすめに注目している」。

インフルエンサーは、ブランドと協業する前から、しっかりと確立された優れたフレームワークを持っている。

さらに同氏は「インフルエンサーは、もはや困難な仕事をやり終えている」と語る。「すでにオーディエンスを虜にし、注目を集めている。ほとんどの場合、インフルエンサーはブランドよりもはるかに多くのフォロワーを持つことになる」。

 

良い影響

他のマーケティングでも同じであるが、インフルエンサーを効果的に利用するにはオーディエンスを理解しなければならない。そして同様に、インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーについても理解しなければならない。非常に多くのフォロワーがいるからといって、そのインフルエンサーが必ずしも特定のブランドに適しているとは限らないのだ。

Geyser氏は「企業が犯す最も大きな間違いは、販売する商品とは全く関連性がない有名人を選んでしまうことだ」と言う。さらに「有名人の起用は、全ての消費者層をターゲットとするマスマーケット商品でのみ、有効である。ほとんどの企業は、その数は少ないかもしれないが、真のエンゲージメントの高いフォロワーを獲得している可能性がより高い、“マイクロインフルエンサー(あるカテゴリに特化したインフルエンサー)”と協業するほうが良いだろう」とも。

従って、自社に適したインフルエンサーを選ぶことがカギになるのだ。

Barker氏はまた、「間違ったインフルエンサーとの協業を選ぶと、大きな打撃となる可能性がある。それは、時間やお金、努力の単なる無駄遣いになるかもしれない。それどころか間違ったインフルエンサーを採用することにより、ネガティブな評判をつながることもある。これを避けるためには、協業するインフルエンサーを慎重に選ばなければならないのだ。その影響力が本物であるか、ブランドと、また、そのブランドの分野と関連性が高いかどうかを確認する必要がある。インフルエンサーが作成するコンテンツが、ブランドの価値観やメッセージ、キャンペーンの目標と一致していなければならない」と述べた。

インフルエンサーが、自身について語っている通りの人物なのか、そのフォロワーはボットではなく本物の人間なのかを念入りに確認することも重要だ。

カナダのインフルエンサーマーケティング代理店Viral Nation のJoe Gagliese氏によると、「ブランドにとって、インフルエンサーの虚偽性と不確実性は不安材料であり、難しい問題である」とのこと。

また、「ソーシャルプラットフォームは、偽物のフォロワーやオーディエンスを減らすための手段を講じているが、オーガニックなフォロワーの増加がこのアルゴリズムの影響を受けないように考慮する必要がある」。「非常に多いフォロワー数を申告していても、実際にはその多くがボットであったというインフルエンサーは、エンゲージメント率が非常に低く、実際には効果がほとんどない」と語った。

最終的に、インフルエンサーを採用する際には、関連する規制や基準のすべてを遵守することが重要だ。特に、ブランドはインフルエンサーを利用しているという事実を、透明性をもって明確に開示する必要がある。

 

Gagliese氏は「アメリカのFTC(連邦取引委員会)の基準ではインフルエンサーによる宣伝は、例えば#adのようなタグ、もしくは『この動画のスポンサーは、…(ブランド名)』というような文面での開示によって、オーディエンスにはっきりと知らせることを義務付けている」と説明した。さらに「FacebookやInstagramのようなソーシャルプラットフォームは『ブランドパートナータグ』をプラットフォームに導入することにより対応している」とのこと。

そこまで開示しなければならないのは負担に感じるかもしれないが、オーディエンスは自分たちの好きなインフルエンサーがどのブランドと提携しているのか知りたがっているのも事実だ。

同氏は「オーディエンスに広告であることを積極的に公開したがらないブランドもあるが、クリエイターがブランドと提携していることをフォロワーがわかっていれば、通常はそのメッセージを受け入れる」と語った。

さらに「ブランドはスクリプトを提供しないように、インフルエンサーへの指示プロセスに気を配らなければならない。ブランドにとってベストな方法で表現されることを確実にするために、キーメッセージは常に重要になってくる。しかし、オーディエンスは、広告コンテンツを素早く簡単に識別することができる」。「適切なオーディエンスを持つ適切なインフルエンサーを選択すれば、インフルエンサーにメッセージをわざわざ指示せずに済むだろう」と指摘した。

あらゆるビジネス上の関係と同様に、相互理解はインフルエンサーマーケティングを円滑に進めるためのカギであるようだ。

Karwowski氏は、「明確な契約を締結し、提携している相手を理解している必要がある。それはインフルエンサーとブランドの双方に言えることだ」と述べた。また「インフルエンサーは信頼性の高い宣伝を行うこと、そしてブランドは、提携について適正な注意を払うことが非常に重要だ」と加える。

 

影響力の進化

比較的新しいインフルエンサーマーケティングという戦略は、ソーシャルメディアプラットフォームや、対象となるオーディエンスとともに、未だ進化を続けている。しかし、この分野には明るい未来が見えている。

Barker氏は「この急速に進化しているマーケティング戦略によって、ブランドをターゲットオーディエンスにリーチでき、彼らを魅了することができるだろう」と語る。そして「インフルエンサーマーケティングは、双方に有益な関係を築き、育てることに他ならない。強力な関係が構築できなければキャンペーンを成功させることはできないのだ」と続けた。

ソーシャルメディアプラットフォームは、常に変化し、進化している。そして、インフルエンサーマーケティングも同様である。

Geyser氏は「インフルエンサーの選択とそのマーケティング手法を専門とするツールへのニーズが明らかになり、ここ数年で、インフルエンサーに関連するプラットフォームや代理店が急増している。そして、この状況がすぐに変化する兆候はない」と述べた。

限定されたオーディエンスにフォーカスした、インフルエンサーマーケティングのニッチマーケットも開発されている。

「インフルエンサーについての定義は広がり始めている。最近では、非常に限定された、マイクロニッチなフォロワーしかいない重要な人物や、企業の従業員さえ、インフルエンサーの定義に含むようになった」とGeyser氏。さらに「従業員による発信は、インフルエンサーマーケティングの真に専門的なバリエーションである」とのこと。

 

インフルエンサーマーケティングをソーシャルメディアとマーケティングの独特な交点と考えると、その活用は、多様かつ変化し続けるオーディエンスにメッセージを届けるための最善策の一つになり得よう。

「インフルエンサーマーケティングは、今後数年間でさらに進化を続けるだろう」とGagliese氏。「インフルエンサーは、他のメディアでは大々的に真似することが難しい“ブランドと顧客との分離”という重要な役割を果たすことが可能だ。インフルエンサーマーケティング業界が進化するにつれて、戦術も進化する。そしてそれが、世界中のブランドの標準的なマーケティングチャネルになると確信している」。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の4/5公開の記事を翻訳・補足したものです。