Barclays Corporate Bankingのレポートによると、既存メディアからの転換に伴い、2019年の英国におけるデジタル広告支出は2桁成長を遂げ、その額が150億ポンド(約2.2兆円)を超えるとのこと。
Barclays Corporate Bankingは、OOH(アウトオブホーム/家の外で表示される)広告の成長を強調。2018年に初めてデジタルOOH広告が従来型屋外広告を上回ったことから、2019年のデジタル広告の成長に大きく貢献する分野となると指摘している。今回のレポートでは、デジタル看板の可用性の向上と、企業が特定のロケーションにリンクしたパーソナライズされたターゲティングを提供するのに、スマートデータがどのように役立つかを示している。
さらに同レポートでは、人工知能、拡張現実、機械学習などの次世代テクノロジーについても考察しており、2019年以降、これらのテクノロジーがいかに活用され広告に変革をもたらすかを論じている。
また、マーケティングサービス業界のリーダー達からの話を基に、「調査全体的には楽観的な見通しだが、広告代理店とFAANGs (Facebook、Apple、Amazon、Netflix、Google)間の関係についての懸念が存在する」と指摘。専門家によると、広告代理店はFAANGsと適切な距離を置き、「客観性と裁量」を確実に維持するべきだと警告した。
FAANGsの中では、GoogleとFacebookが、1,110億ドル規模の全世界デジタル広告市場の58%を占めている。一方、オーガニック成長を遂げているのはNetflixのみで、他の4社は2007年以来、400件以上のM&Aを行なっている。Barclaysは、未公開株式投資会社が同主要ハイテク銘柄セクター、及び「様々なチャンスを提供する」世界最大広告代理店WPPといった企業の再編に対し引き続き関心を示しているため、M&Aの増加傾向は続くと予測している。
Barclays Corporate BankingのTMT責任者であるSean Duffy氏は、次のように述べた。「Fintech(フィンテック)が、常にマスコミの大きな注目を集めている。これは、多数のFintechが素晴らしい取り組みをし、目覚ましい結果を出している事実を考えると驚くことではない。それゆえに、広告テクノロジーに対する注目が薄れているように感じられる。しかし、それは間違いである。なぜなら、広告テクノロジーは広告を劇的に変化させており、実際に英国経済のもう一つの成長エンジンになり得るからだ。広告テクノロジーによって、英国企業は世界で通用する競争力を手にし、さらに進歩した技術を活用することにより、ブランドはより効率的に自社を売り込むことが可能となる」。
「マーケティング業界のリーダー達と話したところ、広告分野については非常に楽観的な見通しである。一方、顧客のニーズを満たすためには、絶えず進化し続ける必要性を広告代理店が明確に認識していることが明らかになった。ブランドは、現在何に対して広告費を支払っているのかを把握し、自社キャンペーンが誰にリーチしているのかを理解し、キャンペーンの有効性に関する信頼できるパフォーマンスデータにアクセスしたいと考えている」。
「広告代理店とその顧客にとっての優先事項は、さらに強まるプライバシーの適切な保護と適度なパーソナライゼーションに対する消費者からの要望と規制だ。それらに対応しつつ、デジタルの台頭がもたらした費用対効果の高いチャンスと、データ主導型ターゲティングの可能性というバランスをうまく取ることである」。
※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の3/5公開の記事を翻訳・補足したものです。