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いかにして27歳の若者が、東南アジアで伝統的な小売業者を復活させ、eコマース・ユニコーン企業を築き上げたのか

いかにして27歳の若者が、東南アジアで伝統的な小売業者を復活させ、eコマース・ユニコーン企業を築き上げたのか

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2019/02/26

Ankiti Bose氏が設立したZilingoは、設立後わずか3年半で評価額3億ドル以上に成長した。

きっかけは2014年にさかのぼる。Ankiti Bose氏は、バンコクの観光客が皆そうするように、4人の友人らと一緒に人気のショッピングスポットであるチャトチャック市場で掘り出し物を探していた。そこで、Bose氏はおかしなことに気づいた。250件以上の小中規模の店舗の市場で販売している商品が、どれ1つとしてオンラインで販売されていないのだ。そこで彼女は、あるアイデアを思いついた。

 

Bose氏と友人のDhruv Kapoor氏は1万ドルを共同出資し、ファッション・eコマース・プラットフォームであるZilingoを設立した。Zilingoはシンガポールやバンコク、ジャカルタの小規模ファッション小売業者を1つのプラットフォームに集約。これらの小規模小売業者は、大きな市場を持っているにも拘わらずデジタルプラットフォームへアクセスする術をほとんど、もしくは、全く持っていなかったのだ。また、ビジネスをデジタル化して世界中の顧客にアクセスできるようにサポートする人材もいなかった。Bose氏は「小規模小売業者の話を聞くうちに、さらに深く関わっていきたいと考えるようになった」と言う。同氏は、Sequoia CapitalMcKinsey and Companyのベンチャーキャピタルおよび経営コンサルティングで、3年間の勤務経験があった。

 

急激な拡大

Zilingoは設立から3年間の間に、驚くべき資金を調達。その額は8,200万ドル近くに達した。Zilingoは、2017年9月のSequoia Capital IndiaBurda Principal InvestmentsにてシリーズBとして1,800万ドルの資金調達を実施。さらに昨年4月には、新規投資家であるAmadeus Capitalから、シリーズCでの5,200万ドルの資金調達を発表し、事業の成長を加速させた。昨年初め、同社はB2Bセグメントを拡張し、米国、欧州向けZilingo Asia Mallをスタートさせている。

 

この12ヶ月間で、Zilingoの収益は11倍以上に増加している。2月の第3週初めには、シリーズDラウンドでの2億2,600万ドル相当の資金を調達し、現在までの資金調達総額は3億8000万ドルに達したと発表。なおシリーズDにおける資金は、既存の投資家Sequoia India、シンガポールTemasek、ドイツBurdaおよびSofinaによって提供されたもの。そして、シンガポールの経済開発委員会の企業投資部門であるEDBIが今回初めて投資に参加した。

現在Zilingoは、東南アジア全域のB2BおよびB2Cセグメントにおいて、アパレル、アクセサリー、バッグ、靴、ライフスタイル製品を取り扱う2万以上の販売業者、および小売店にサービスを提供している。Zilingoのビジネスの大半を占めているのがB2Bソリューションであり、加盟店向けにB2Bマーケットプレイスや彼らのビジネスをデジタル化するためのファイナンシャルサービス、また技術ツールを提供している。

 

加盟店をサポートするための技術

Bose氏は、「ファッション、ビューティー、ライフスタイルを取り扱う加盟店にとって“フルスタック・コマース・プラットフォーム(一貫したコマース・プラットフォーム)”である点が、他社と差別化できた要因であり、東南アジアで50万人のアクティブユーザーを抱えている理由である」と述べている。買い物客は、ボタンをクリックするだけでインドブランドの商品を購入することができるのである。

「Zilingoのコアとなる専門分野は、ファッションと美容のサプライチェーンを結びつけて統合するテクノロジー製品とサービスを開発することであり、加盟店は、オンラインに進出するために必要な全てのツールを利用することができるため、ビジネスを簡単に拡大することができる」とBose氏。

ZillingoはたとえばAI(人工知能)を導入し、パーソナライズされたおすすめ商品の紹介、画像検索サービスを提供、および、各顧客に最適なパーソナライズされたランディングページ表示を可能にしている。また、AIや機械学習を活用し、ファッショントレンドの予測も行う。「最も興味深いAI活用方法の1つは、自社の製品を適切にデジタル化し、オンラインで販売できるように加盟店をサポートをすることである」と、Bose氏は述べている。

 

今後の展開

Bose氏のこれまでの道のりは、決して容易なものではなかった。お手本をとすべきモデルを見つけられなかったこと、固定観念と戦うこと、そして、対等な出資者として認識されなかったことなど様々な経験をしてきた。「しかし、確実にやりがいがあった」と、Bose氏。なお、Zilingoのシニアマネジメントの50%は女性であり、組織全体において女性が代表権を持っている。

またZilingoは、小規模な企業経営者や意欲的な起業家に対し、今日のデジタル、グローバル経済において必要なスキルを身につけるチャンスを提供するために、インドネシアの加盟店向けの奨学金提供も始めた。

Bose氏は今後のビジネス拡大について、「現時点では、フィリピンに目を向けている」とのこと。

「新しい市場への参入と同時に、さらなるブランドと販売店を取り込み、Zilingoエコシステムをサポートする主要ビジネス分野を立ち上げたい。そのために加盟店プラットフォームを拡大することを目指している」と語った。

 

※当記事は米国メディア「Enterpreneur」の2/15公開の記事を翻訳・補足したものです。