業界アナリストの間では、今ホリデーシーズンの売上高は22%増加する可能性があると言われている。調査会社Statistaの見積もりによれば、米国の小売eコマース売上高は2017年の1,061億4,000万ドルから、2018年シーズンは1,234億ドルに達すると予測されているのだ。
小規模な小売業者にとって、これらの数字は間違いなく魅力的なものだろう。しかし、この予想を上回るシェアを獲得したい場合は、より強く気持ちを高める必要がある。競争相手としては、手ごわいAmazon社のような絶対的な権力がふるっており、少しでも売り上げシェアを獲得したいと望む多数の大手小売業者は取り残されたままだ。
Amazonマーケットプレイスが、オンライン小売店と実店舗の双方に影響を及ぼしていることは否定できない。1年前Amazonの売上は、Walmart、Target、BestBuy、Macy’s、Kohl’s、Sears、JCPenneyの売上の合計を上回っており、Amazonやこれらのブランドの競合他社の成長の終焉はまだ見えない。
しかし、こうした大規模なオンライン小売業者の驚異的な成長の一方で、小規模なeコマース業者がこれらの巨大企業を出し抜き、忠実な顧客基盤を築くことができる十分なチャンスがあるのだ。
来るべき巨大企業とのホリデーシーズンの戦いにあたり、取り入れるべき6つの戦術は以下の通りである。
1.基礎知識を深める
顧客は、小規模小売業者が「自社製品をよく知っている」ことを期待している。あなたがAmazonでない場合は、Amazonのサポートよりも自社製品をよく知る必要があるのだ。
Amazonの売り手は、たいてい最低限の情報を提供するだけで、その提供価値(Value proposition)は主に価格だ。つまり小売業者は、顧客に豊富な「商品明細」を提供するサイトを作るべきなのだ。その知識を動画で共有し、購入者のフィードバックとレビューを促すのである。
深い知識によってコンバージョンに変え、より密接なエンゲージメントを持つ忠実な顧客を獲得しよう。
2.強力なコミュニティを作成する
大量の商品を販売している典型的な大手小売業者を上回りたい場合、後発品では勝てない。 つまり、ニッチ市場をターゲットとする商品や、それを構築できるコミュニティに注目するのである。
ニッチ・マーケティングは、売上を達成するために市場セグメントへの一点集中と投資を制御できるなどといった多くの理由により、あらゆる業界カテゴリにおいて実証された有効な戦術である。小規模小売業者の予算は、大企業のそれよりも限られている。照準を合わせるほど、合理的なマージンを得るチャンスが増えるということだ。
3.社交的になろう
ソーシャルチャネルは、自社のニッチ市場とコミュニティを発展させるために不可欠である。というのも、顧客との積極的なつながりを作り、活発なソーシャルメディアの存在を通じてこの絆を着実に育むことで、関係が強化され、忠誠心が育つからだ。ソーシャルメディアは小売業者にとって開発のトレンドを教えてくれるものだけでなく、自身のeコマースサイトにソーシャルメディアを直接リンクさせることもできるものだ。
現在、ソーシャルメディアとそのeコマースへの影響について研究が進められている。制御されていないコミュニケーションにはリスクがあるが、研究の総意は明確である。つまり、ソーシャルメディアはeコマースに大きな影響を与えるものだ。
世界的調査会社Nielsenの調査を参照したある研究によると、「ソーシャルネットワークとeコマースのつながりは明らか。83%以上が友人や家族のおすすめを信頼していると回答し、66%がソーシャルネットワークに掲載された消費者の意見を信頼した」とのこと。
ソーシャルメディアは今や欠かせないものである。 Facebook、Twitter、Instagramなどのメディアにおける自社の存在感を調査し、それらのソーシャルメディアが顧客の忠誠心を獲得し、コミュニティを強化し、その影響力を効果的に活用できているかどうかを評価するべきなのである。
4.商品ラインを束ねる
「カミソリとカミソリの刃」のビジネス戦略(本体の価格は抑え、消耗品で利益を上げる戦略)は素晴らしいビジネス界の伝説であり、そこには知恵がある。消費者は、利便性と良い取引を得るという意味で、フルパッケージを好むのだ。
この戦略に基づき、自社サイトの手直しをしよう。自社のシリーズ商品を作り出すか、高品質の派生商品や拡張機能の隙間商品(ニッチ)などを見つけることで、自社の独自性をさらに高め、競争上の優位性をもたらすだろう。
Amazonやその他の大規模な競争相手は、良い研究材料だ。どの商品がうまくいっているのか、また主要な商品と一緒に提示している補足品目を確認しよう。その後、自社の商品一覧をかえりみて、どこに主要製品を補完する商品が追加できるか、そして、販売を拡大できるかを探るのだ。
5.自社データを活用する
自社のオンラインストアから取得した在庫管理とレポートデータを活用することで、販売効率を高め、無駄を削減しよう。
専門家の一般的な総意では、例えば、Amazonに組み込まれているレポーティング機能は、ベンダーやアイテムの種類ごとに商品をグループ化できないなどの問題があるため、バックエンド管理を最適化するためには、さらに第三者のツールが必要になることが多いと言われている。
6.販売動向を先取りする
顧客の「忠誠心」は素晴らしいことだが、在庫管理に際しては、彼らによる購入が保証されているときにこそ柔軟に考えていく必要がある。つまり、今日うまくいっている商品を信頼しすぎてはいけないということだ。自社最高と思われる商品は、時間とともに変化するものである。商品(の売り上げ状況)を監視し、結果に適宜対応していこう。
商品に対する深い知識と、顧客やユーザーとの(ソーシャルおよびコミュニティチャネルを通じた)頻繁な接触は、次の商品動向の予測に役立つ。そして、巨大なマーケットプレイスが多くのシェアを獲得する前に、自社にてそうした商品の販売を先立って開始しよう。
例えば、「athleisure trend(ワークアウトや運動のための衣類が日常生活においても着用されるファッショントレンド)」は、競合が追い付く前に一番先にそこに到達し、売り上げを伸ばした完璧な例だ。
競争の激しい市場において、ユニークで魅力的な隙間商品を育てようと考えている小規模事業者であれば、例えば「ハイエンドのレジャーウェアブランド」に対する顧客の要望を聞くなどといったヒアリング作業をすれば、早い段階で強い商品傾向をつかむことができるだろう。その商品ラインを追加して、早期販売を促すことで、売り上げを得ることができるのだ。
靴やガーデニング用品、キャットフードについても同じことが言える。つまり、販売する商品は、消費者の嗜好の変化に左右されるべきなのだ。その点に注意しながら、売り上げを獲得していこう。
自社のパワーを奮い起こそう!
結論:小規模な小売業者としてeコマース市場のシェアを獲得したいならば、より明確な市場を持ち、魅力的な商品群を取りそろえ、顧客の関心をさらに引きつけ、早期市場動向をより迅速に把握していく必要がある。
モバイルショッピングユーザーやソーシャルメディアの影響が大きいこの時代、自社サイトの力を強化するためには、あらゆるツールを自由に活用していく必要がある。これには、サイト分析やSEO、ソーシャルチャネル、顧客が定期的に訪問するサイトコミュニティ活動が含まれる。
やるべきことは沢山あるが、その中でも、自社の販売目標を新年に合わせていくことは絶対に不可欠だ。以上に挙げた6つのプラクティスを実践しながら、巨大企業たちの戦いが始まろうとしている場所に、自身も立っているということを自覚しよう。
※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の10/23公開の記事を翻訳・補足したものです。