Kristopher Jones氏は、ユーザーエンゲージメントは検索エンジンのランキングに影響を与えると考える。これは「ユーザーにとってより魅力的なコンテンツを提供するために活用できる8つのヒント」について書かれた寄稿文である。
ユーザーはネットサーフィンをするたびに大量のコンテンツにさらされる。それはまるでテレビコマーシャルのようだ。コンテンツの数は圧倒的であり、マーケティング担当者は、自社のコンテンツに注目を集め、目立たせる方法を見つけようと苦労している。
彼らは、良いコンテンツを制作するために広範囲な研究を行う必要があるだけでなく、コンテンツやウェブページをユーザーが発見できるよう宣伝し、さらにユーザーのエンゲージメントを獲得する必要がある。
コンテンツマーケティングキャンペーンの一環として、積極的にGoogleのウェブページのアクセス解析サービスGoogle Analyticsで分析することは、コンテンツ開発やユーザーエンゲージメントもしくは「ユーザーシグナル」のあらゆる面で役立つ。これはユーザー体験が、ランキングに影響する一つの要素であると長い間考えられているため、非常に重要なことだ。どのようなユーザーが自社のコンテンツにエンゲージしているかを理解することは、今後のコンテンツキャンペーンや経営判断に役立つだろう。
自社のコンテンツを利用しているユーザーのアクションを積極的に追跡するメリットを、次に挙げる。
・リードとコンバージョンの増加
・ユーザーの再訪を促す機会の増加
・関連キーワードにおける検索エンジンランキングへの間接的な影響
・ブランドロイヤルティの構築
・ウェブ上での存在感と可視性の確立
・コンバージョンとブランドについてのネットでのやりとりの増加
魅力的なコンテンツを提供することは、ブランディングの面でもとても重要だ。目立つためには、他とは違うことを考える必要がある。それには非常に多くの選択肢があるが、ビジネスを成功させる最も良い方法の一つは、面白く洞察力に富んだコンテンツの制作し、宣伝することだろう。
ユーザーエンゲージメントが検索エンジンランキングに与える影響と、コンテンツをより魅力的にするための8つのステップを見てみよう。
ユーザーエンゲージメント指標
コンテンツの関連性と品質に相関するユーザーエンゲージメント指標の最も一般的なものは、次の通り。
・クリック率
・1セッションの閲覧ページ数
・ウェブサイトの平均滞在時間
・顧客獲得
・コンバージョン率(定期購読、電話番号表示オプションの“Click to call”など)
・直帰率
・ユーザーごとのセッション数
・ソーシャルシグナル(ソーシャルメディア上でのユーザーアクティビティ)
また、ユーザーがコメント欄にコメントを残したり、コンテンツを評価したりするなど、よりわかりやすいシグナルもある。
Google Analyticsを利用したり、Google検索結果でのサイトパフォーマンスを監視したり、また、管理サービスのGoogle Search ConsoleやBing利用者用のBing Webmaster Toolsによって提供される詳細なページレベルの分析結果などを活用すれば、ユーザー視点でのコンテンツの関連性と品質を分析し、評価することが可能だ。
例えば、下の図はGoogle Analyticsによるページビュー(月間トラフィック)、ユーザーが各ページに費やした平均時間、直帰率、ページごとにセグメント化されたその他の重要なシグナルなど重要なユーザーデータである。
ページレベルの指標、またはユーザーがページをどのように閲覧したかというデータは、コンテンツがユーザーの意図にどの程度適合しているか把握するのに役立つだろう。
ランキングへの影響
Googleは、ランキングシグナルに関しての情報を公開したがらないが、「検索ユーザーは多くの場合、コンテンツの関連性を最も的確に判断する」ということは公然と述べている。ユーザーシグナルとソーシャルシグナルが直接的でない場合であっても、検索結果に大きな影響を与えるようだ。理論的観点から言えば、Googleは「ユーザーに可能な限り最高の体験を提供したい」と考えている。Googleはクリックデータの追跡によって、特定のキーワードクエリ対し、最も効果的なコンテンツを広範囲に渡り確定することができる。
とはいうものの、行動データの影響を測定するのはかなり難しいものだ。たとえば、クリック率(CTR)は、次のようなさまざまな要因によって影響を受ける可能性がある。
・ブランドへの偏見
・キーワード検索結果のランキング表示ポシション
・検索結果ページ(SERPs)のアンサーボックス(Googleの自然検索結果の上部に表示される枠)、広告、ローカル検索の複合要因
SERPsの上位にあるページがクリックを獲得する可能性が高いのは当然である。Googleが単独のランキングシグナルとしてCTRを検索結果にどのように反映させているのかは完全には分かっていないが、間接的に低度の影響があるのは間違いない。その影響の大小は、Googleが採用しているラーニングシステム次第であり、関連性や意図などをいかにうまく処理できるかによってのみ決まる。
検索エンジンは、ページの検索結果の表示順を確定する際に、キーワードの意図や曜日、リンク、再訪回数など、さまざまな要素を考慮する。しかし、8番目に表示されるページが1番目のページよりも多くクリックされており、セッション時間も長い場合、Googleがそのページを最終的に上位のポジションに移行する可能性があることは明らかだ。
あるページのクリック率とエンゲージメントが高いということは、検索者が自身のブラウジング体験において、「そのページが他のURLより関連性が高く役に立つ検索結果であったこと」をGoogleに示していると言える。そのデータを使用してウェブページのランク付けを判断すべきである。
行動データをより効率的に追跡する機能が利用可能になると、ユーザーシグナルが将来的には最も重要なランキングシグナルになると考えている。
ユーザーエンゲージメントの強化は、コンテンツマーケティング担当者やSEO(検索エンジン最適化)担当者にとって重要な優先事項だ。これを実現するためには8つのステップがある。
1.ユーザー理解と分析
ユーザーエンゲージメントを強化する最初のステップは、ユーザーを理解することだ。これは個人的にも最も重要であると考える。Google Search ConsoleとAnalyticsを設定して、ユーザーが特定のページにアクセスしたときの行動データを調べることで、現状行なっているSEO手法を評価することが可能だ。
ユーザーエンゲージメントを強化する戦略は以下の通り。
・クリック率を高めるためメタデータを更新する
・コンテンツを長くし、また複雑化し、サイト滞在時間を延長させる
・コンテンツ関連のリンクを追加してクリックを誘い、セッションごとのページ閲覧数を増加させる
URL毎にフィルターした場合、各コンテンツのパフォーマンスに関する対照重要業績評価指数(KPIs)を得ることができ、成功につながるチャンスを容易に見出すことが可能だ。ここでは、各既存ページの情報階層における重要性や現在獲得しているトラフィック量、およびセールスファネル(潜在顧客を受注客に絞り込んでいく手法)における全体的な重要度に応じて、各ページを最適化する必要がある。さらにそれを補助ページにも展開するべきである。
競合分析を活用して、どのページが最もトラフィックを生み出しているかを把握し、競合他社に目を光らせることも重要だ。キーワードギャップ分析を実施して、競合相手より上位に立てるチャンスを見つけ出し、競争から抜きんでるコンテンツのアイデアを集めるのだ。
ここで重要なことは、競合他社や他の検索結果ページが提供できていない、もしくはコンテンツに改善余地があるといった、具体的な弱点を明らかにすることである。
2.関心を引く
ウェブページのランキングアップに成功したら、クリックの獲得に集中することが次のステップだ。この段階では、メタデータの最適化が重要になる。Google Search Consoleを使用して、各ページのクリック率とオーガニック検索結果から最も多くのクリックを誘導しているページを確認しよう。
ここで重要なのは、クリック性を高めるためにタイトルタグとメタ記述を最適化することだ。少しの間、検索者側の気持ちになって考えてみよう。検索を行うと、検索したフレーズが、ウェブページの検索結果リストのメタ記述に太字で表示されているのに気づくだろう。
検索語句が太字表示されることによって、表示された検索結果が探しているページであることがわかる。
繰り返すが、タイトルタグとメタ記述の最適化に関するベストプラクティスのヒントは以下の通りである。
・タイトルタグとメタ記述にターゲットキーワードを挿入する
・ユーザーの意図を合致させる(商業的なメリットや、リサーチのために有益な情報を提供する)
・ユーザーに直接的に語りかける
・関心を引くのに十分な情報を提供する
・短く簡潔にする
ほとんどの非ブランド検索にはコンテンツから直接抽出した動的メタ記述が含まれているが、残念なことに、Googleは最近メタ記述文字数を減らした。それでも、タイトルとメタデータを最適化することで、購買ファネルの最初の段階のユーザーを下位に導くことが可能であるし、少なくともユーザーの興味を引くことはできる。
クリックされたら、印象的なページタイトルでユーザーの関心を引き付ける必要がある。また、ページタイトルは、フォーカスキーワードを含み、ユーザーの意図に合致し、さらに文字数の要件を満たす必要がある。
見出しはクリエイティブを発揮するのに最適な機会である。見出しに数字や「ハウツー」フレーズ、強い形容詞などを使用すると、簡素で説明的な見出しよりも強い行動喚起を促すことができる。
たとえば、「コンテンツマーケティングへの究極ガイド」は、「コンテンツマーケティング学習」よりも強力だ。これらの語句を使用することにより、記事の構造(まとめ記事か長文式)や書き方(秘訣、チュートリアル、記事広告)、フォーカスしているポイント(フォーカスキーワード語句)を示すことができる。ページタイトルやアンパサンドに「トップ」という単語を追加するなどの微調整でも、クリック数が大幅に増加する可能性がある。
3.スピードと応答性を最適化する
見事な見出しやページコピーがあったとしても、サイトが遅く反応しない場合は、直帰率が上がる。統計では、ユーザーの53%は、ページロード時間が3秒を超えるとサイトを離れてしまうという結果も。
Googleの Mobile First Indexが始まったことを考えても、ウェブサイトが、レスポンシブでなく速度が最適化されていない場合は、厳しいだろう。
4.使いやすいデザイン
ユーザーがコンテンツに簡単にアクセスできる経路を提供することも重要となる。広範なキーワードコンセプトに適合した、最上位のサービスページにフォーカスする自然な情報アーキテクチャを構築する。そして、中心とするサービスページの外側(もしくは下位に)は、ロングテールキーワードに対応したコンテンツも含むことで、自社のビジネス関連のサブトピックについての情報を提供する投稿をゆっくりと展開していくのだ。
簡単なナビゲーションを提供することで、ユーザー体験(UX)を合理化し、ユーザーをコンバージョンまで期待通りに導き、ユーザーの当初の意図を満たすだろう。提供する関連コンテンツへの経路が増えるほど、ユーザーにより多くの価値を提供することができる。さらにサイトをより知ってもらうことで、エンゲージメントを高めることができるのだ。
5.美的感覚に焦点を当てる
おそらくオンラインメディアで最も見落とされている要素は、ページコピーのプレゼンテーションだ。ページコピーは、読みやすさと同様に、SEO価値においても最適化する必要がある。
コンテンツ過負荷は、ウェブ上に提供されたコンテンツの容量だけではなく、ページコピーの単語数と余白スペースにも原因がある。UXのデザイナーから新聞編集者までもが、それぞれコンテンツをより魅力的で使いやすくするために、コンテンツ内のビジュアルと余白スペースの重要性を強調するだろう。
Webページをレイアウトするときは、以下をユーザーエンゲージメントを高めるヒントにしてほしい。
・三分割法に準じて、ページのフォーカルポイント(画面の中で最も注目される場所)を最適化する
・2、3段落ごとに画像を挿入し、読み易くする
・文脈を補完する視覚的に印象的な画像やグラフを使用する(ストック写真を使わない)
・画像が圧縮され、サイズ、表示速度、およびSEO設計が最適化されていることを確認する(alt属性を最適化する)
・コンテンツが、デバイスにレスポンシブで、最適化されていることを確認する
6.最適なメディアを見つける
どのような方法論に基づいてコンテンツを制作しても、重要なのは「ライバルよりも優れたものを作る」ということだ。
配信方法は、コンテンツの効果に影響する。見た目が重要なコンテンツもあれば、書かれている内容が大切なコンテンツもある。たとえば、インテリアデザインのブログは、家具やサービスを説明するのに長い文章を使用するのではなく、デザイン実績の画像を前面に押し出す傾向がある。
インフォグラフィックや動画、データチャートなどの代替メディアを使用して、新しくユニークな形式でコンテンツを表示すると良い。それらのメディアを使用し、既存のコンテンツを再利用したりアクセントをつけたりすることにより、さらにエンゲージメントを向上させることも可能である。
データチャートの例
7.第一人者になる
「訪問者に価値を提供すること」。このステップの重要性は一目瞭然だが、もう一度言わせてほしい。ユニークな視点でライバルよりも掘り下げ、量より質に焦点を当てなければならない。長い間、コンテンツの長さはランク付け要因になるのかどうか疑わしく思われてきたが、少なくともウェブページ滞在時間やリッチスニペット(検索結果ページに、各サイトの情報の一部をより多様に表示させる機能)のランク付けに影響することは確実である。
何よりも重要なのは、独自の意見を提示することだ。ブランディングの観点から“ソート・リーダーシップ”を発揮することは、ユーザーの繰り返しのサイト訪問につながる。そして、自社を、それぞれの業界他社にとって権威と位置付けることができるだろう。また、ブランドのロイヤルティを高めることにも役立つ。
8.ユーザーを魅了する
最後に、ユーザーエンゲージメントを高めるために、ブランドもユーザーに対して関心を持つ必要性を述べたい。最善の方法の1つは、自社のコンテンツが広告プラットフォームを通じて(もしくはメール形式で提供されているかどうかにかかわらず)、徹底的にコンテンツをパーソナライズすることだ。綿密な分析とA/Bテストを実施し、より活発なインタラクションとエンゲージメント向上を目指すべきである。
顧客エンゲージメント向上のためのその他のアイデアや機会を紹介しよう。
・ウェブサイトやソーシャルメディアに関するユーザーの自社に対するコメントに対応する
・関連性の高いコンテンツを提供することにより、ユーザーのリターゲティングを行う
有料プロモーションやニュースレターを通じてユーザーをリターゲティングするためのメールアドレスと連絡先情報を収集することは、ブランドをトップオブマインド(最初に思い出すブランド)に位置付けさせ続ける。これは顧客生涯価値を増加させ、ブランドロイヤルティを向上させる素晴らしい方法だ。
結論
ユーザーエンゲージメントは、ユーザー体験の観点から非常に重要であり、コンバージョン率にも大きな影響を与える。
個人的には、特に非常に競争が激しいキーワード検索のランキング表示の1ページ目や2ページ目においては、ユーザーシグナルがGoogleのランキングアルゴリズムに重要な役割を果たしているのではないかと思っている。ここで述べて来た手順に従うことで、コンテンツをより目立たせ、魅力的なものにし、ユーザーシグナルとトラフィックフローを急増させることができるだろう。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の7/26公開の記事を翻訳・補足したものです。