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「開封率が全てではない」実際に効果のあるeメールマーケティングとは?

「開封率が全てではない」実際に効果のあるeメールマーケティングとは?

マーケティング
2018/07/18

eメールマーケティングで取得したデータを活用し、長期的に顧客像を描くことによって有意義な成果を生み出す方法を、寄稿者Ryan Phelan氏が説明する

eメールのパフォーマンスにおいて何が重要か、多くを学んだ今日でさえ、「開封率が全てだ」という意見を、依然として耳にする。最近出席したカンファレンスで同じセリフを聞いた時、登壇者に反論するのを自制するのに必死になってしまった。マーケターにとって、開封率が全てではない。重要なのは、クリック率なのだ。顧客はeメールのどの部分をクリックしているのだろうか?顧客によるクリックを解析し、そのデータを有効利用しているだろうか?

確かにeメールの「件名」について言えば、メールを開封させることが目的になるだろう。開封されなければ、何の意味もないからだ。しかし、開封されただけでは、効果があったとは言えないのである。

つまり、開封率は重要なパフォーマンス指標ではない。クライアントや上司は、開封ではなくコンバージョンを求めている。そして、コンバージョンを獲得するには、顧客にeメール内のリンクをクリックさせる必要がある。さらに、顧客のクリックから、セグメント化、ターゲティング、トリガー戦略で活用できるデータを取得することができ、顧客にとって最も関連性の高いコンテンツを提供することが可能になるのだ。

メールが開封されたとしても、関連性を高めことはできない。しかし現在のeメールマーケティングにおいては、関連性が大きな違いを生む。

 

クリック率向上のために、どのような戦略を講じているか?

どうすればeメールを開封させることができるかということを、長い時間をかけて検討しているマーケターは多いだろう。

「件名」は開封させるための戦略の重要な部分であり(明確で分かりやすい送信名をつけることも同様)、ほとんどのマーケターが「件名」の実証検証を行う。現在は、ほぼ全てのeメールサービスプロバイダがテストツールを提供しており、実施するのは容易なことだ。

こうした「件名」の検討はもちろんだが、クリック率向上のための戦略を練ることこそ難しく、重要なことである。顧客がeメール内のリンクをクリックした時に、顧客を満足させる対応をするための戦略が必要なのだ。

当然、顧客のクリックをコンバージョン獲得につなげたいだろう。しかし、それだけではない。顧客がeメール内でクリックしているリンクが他にあるかどうかである。それぞれのリンクにタグ付けし、まずはそれがクリックされているかどうか、次に、どのリンクをクリックしているかを把握できているだろうか。

 

 

 

 

クリック戦略とオンボーディングeメール

考え抜かれたクリック率向上戦略の実行に着手するには、オンボーディング、またはウェルカムメールの送信フェーズからスタートするのが良い。

オンボーディングまたはウェルカムメールは、新規購読者との関係構築を始める(初期の)フェーズで送信されるもの。(これらを利用すれば)関連性の高いコンテンツをeメールで送信するために、新規購読者が何に興味があるかを把握することができるだろう。

購読者がサインアップしたときに、興味対象について質問をしている場合もあるかもしれない。しかし90%の小売業eメール担当者がそうであるように、ただ取得したアドレス宛にeメールを送信しただけではないだろうか。その場合、オンボーディングまたはウェルカムメールは、データストーリーを描くのに有効な役割を担うのである。

これは単に「購読していただきありがとうございました」というメッセージだけでなく、複数のメールを連続して送信するべきだとする大きな理由だ。連続したメールのそれぞれにデータストーリーを組み立てられれば、オンボーディングeメールから豊富なデータを取得することが可能になるからだ。

 

オンボーディングにおける段階的クリック戦略

 

オンボーディングeメールにおける“クリック戦略”の一環として、連続して送信する各メッセージには特定の目的を持たせるべきである。メール内に魅力的な特典と、クリックを促進する明確なCTA(行動喚起)ボタンを設置して、購読者にクリックさせるのはもちろん、セグメント化およびターゲティングプランに利用できるようなより多くのデータを取得するべきだ。

1つのメッセージに絞ることが不可能な場合は、メールをいくつかの“ゾーン”に分け、それぞれの“ゾーン”に明確な機能を備えればいい。その後、最初に送信したメールのある“ゾーン”で顧客が何かをクリックすると、そのクリックが顧客の主に興味を持っているカテゴリを示していると考えることができる。2通目のメールにおいても同じ“ゾーン”のリンクをクリックした場合、また、同じカテゴリ(一般的な小売業者の場合はアパレル、ジュエリー、スポーツ用品など)に関するリンクをクリックした場合、1通目のクリックが顧客の主要な興味分野を示していることを再確認できる。

もし、2通目のメールにおいては、他のカテゴリ(例えば、最初のメールでアパレル、2通目のメールでは家庭用品)のリンクをクリックしていれば、2番目の興味分野を示していると考えられる。これらすべてのデータは、将来のeメールマーケティングでのセグメンテーションとターゲティング戦略に役立つのだ。

また、取得したデータを使用して、顧客のアクションを予測するのに役立つツールとなるシンプルなマーケティングモデルを構築することも可能だ。すでに送信済みのeメールのクリックされた“ゾーン”についてのデータを利用し、最初の2つのメッセージでクリックしたカテゴリにフォーカスし、3通目のeメールを設計することができる。

これは非常に単純なことであり、さっそく取り組むべきである。

 

KPIの重要性

言うまでもなく、KPI(主要業績評価指標)は重要である。KPIについては、上司に報告できなければならない。どのように報告するかは、報告内容と同じくらい重要なのだ。

長期的なエンゲージメントを促進するための成果を最大化することに焦点を当てるべきである。購読者がクリックしたカテゴリ、それぞれのカテゴリごとのクリック人数、あるメールとその次のメールでのクリックされたカテゴリに変化があるかどうか、コンバージョンへつながったクリック数、完了したコンバージョンがマイクロコンバージョン(製品情報の閲覧する、情報のダウンロード、アポイントメント予約)なのか、それとも、マクロコンバージョン(購入、イベントへの参加登録、キャンペーンの主要目標達成)なのかをトラッキングできなければならない。

長期的にクリックを追跡して、効果的な変化を促しているかどうかを測定し、カテゴリと顧客別のクリックとコンバージョンの有無も考察するクリック戦略を立てるべきだ。

1通のeメールで複数タイプのコンバージョンを促進することを避ける必要はない。複数のマイクロコンバージョンの積み重ねが、マクロなイベントにつながる可能性があるからだ。

 

クリック戦略がもたらす効果

これでクリック戦略の準備はできた。しかし、先走ってはいけない。ここから先が、さらに興味深いのだ。

特定のeメールのゾーンや興味分野での1回のクリックが、単に購読者の好みを示していると考えてはいけない。その瞬間に、購読者が興味を持ったオファーやアクションを示している。

戦略を開発したことに満足するのではなく、顧客に関する理解を深め、そのマーケティングモデルを過去の購買事例や顧客の嗜好、疎遠になった顧客や失った顧客、または全体的なプロモーション戦略に適応させるべきなのである。

1回のクリックから学び、可能性を広げることが出来れば、より深いレベルに到達し、メールを購読する買い物客にさらなる情報を提供できるようになるだろう。初めて購入した顧客だろうか?ディスカウント商品やインセンティブ付きの商品のみを購入しているのか?火曜日にネットで商品を見て、金曜日にeメールを読んで、クリックし購入しているのか?

クリック戦略とモデルから収集したデータを活用すれば、顧客データベースを細分化し、カスタマイズしたメッセージを買い物客へ送信することが可能となる。

 

まとめ

本物のマーケターになるためには、非常にシンプルなことから始めるべきである。例えば、送信するオンボーディングメールに、購読者がクリックするに値すると考えるリンクを用意し、クリック追跡して分析するということだ。

eメールの開封率からある程度のデータを得ることはできるが、クリックを分析することにより導き出される興味深いデータパスや、より顧客に関連が高く価値があるeメールを送信するために有効な情報を取得することはできないのである。

開封率から必要なデータを抽出したら、あとは放っておけばよい。必要なデータさえ取得できれば良いということだ。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の7/10公開の記事を翻訳・補足したものです。