Blisの調査によると、消費者が新商品を見つけるタイミングは、実店舗への来店時が最も多い
ロケーションインテリジェンスプロバイダーであるBlisが最近実施した米国の2,000人の消費者を対象とした調査結果は、マーケターの認識とは異なるものとなった。というのも、消費者は従来型の小売店舗への来店時に、最も頻繁に新製品を発見しているというのだ。調査では同時に、今日のショッピング体験は複雑なマルチチャネルで成り立ち、また、商品カテゴリ分類が重要となる”カテゴリ依存”であるという性質が裏付けられた。
「新製品の情報をどこで知るか?」という質問に対しての回答結果は以下の通り。最も多くの回答者が、「実店舗を見て回るとき」と答えている。
- 店舗内で商品を見て回るとき
- ターゲティング広告
- テレビ
- フォローしているブランドからの情報発信
- 友人や家族
- 上記のどれでもない
Blisのレポートによると、2013年に実施されたマーケティング・リサーチ会社Ipsosの調査では、回答者の大多数(58%)は、新製品情報の主要なソースが「テレビ」であると回答し「友人と家族」が僅差で続いたと指摘している。今回のBlisの調査では、「友人と家族」は最下位に近く、テレビは3位にとどまっている。
Blisの調査では、買い物客がオンラインではなく「店舗で購入したい」と考える商品についての質問も実施。下図の通り挙げられた6つのカテゴリのうち、食料品、家具、衣服については、実店舗での購入を好む消費者が大多数を占めた。今年初めに発表された米国PR会社であるWalker Sands(ダウンロードフォーム)の調査結果は、Blisの今回の調査とは無関係に独自に実施されたものであるが、調査結果は同じ方向性を示している。
また、Blisの調査対象者は、オンラインで購入するよりも実店舗で商品を購入する際に、20〜50%多く出費することが度々あると回答した。このことは小売業者がかなり前から理解していることではあるが、実店舗でのショッピングの重要性や、また、オンライン買い物客に対しオフライン買い物客の方に極めて高い価値があると一般的にされている理由を、改めて示唆している。
もう1つの興味深い調査結果は、購入以前の「リサーチ目的」でのショッピングサイトアクセス回数、または実店舗への来店回数である。250ドル〜750ドルの価格帯の商品を購入する場合、最も一般的な回答は2〜3回であった。商品カテゴリを特定して調査していれば、カテゴリ毎に調査結果にばらつきが出たと思われる。
「購入前に何回実店舗やオンラインショップを訪れますか?」という質問に対して、二番目に多かった回答は、「実店舗に来店した場合は、その際に購入することが多い」という(やや曖昧な)回答であった。
この調査結果は、実際に欲しい商品を目の前にした店舗体験の購買へと結びつく影響力の大きさと即時性を示しているだろう。しかし、店舗での購入が行われたのが購買プロセスの初期段階なのか最終段階なのかという点は不明である。
今回のBlisの調査は、他の多くのショッピング研究と同様に、マルチチャンネルなマーケティングアプローチの重要性を示している。一方で、他研究と異なり、買い物客を説得する過程での「実店舗が持つ極めて重要な役割」について強調している。今こそ従来型小売業者は、デジタルとオフラインチャネルを効果的に融合させる必要があるのだろう。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の6/28公開の記事を翻訳・補足したものです。