株式会社Emotion Techは、アパレルECサイト8社を対象に顧客ロイヤルティ(顧客からの信頼・愛着度)を高めることが企業にどのようなメリットがあるのかを検証、アパレルEC業界調査レポートを公開した。
調査の結果、ロイヤルティが高い顧客は、利用時間・利用頻度・購入単価がいずれも高く、調査対象の中で最もロイヤルティが高かったECサイトはZOZOTOWNであった。
さらに、ロイヤルティを向上させるためには、「商品を探すときの体験」「購入時の体験」「TVやインターネット上などの広告」の順に影響力が高いことが判明した。
顧客ロイヤルティを可視化する指標、NPS(Net Promoter Score)
NPSは職場に対する推奨度を質問し、顧客のロイヤルティを可視化する指標だ。NPSを算出するために、NPS調査対象をどの程度親しい友人や家族にすすめたいと思うか質問し、0~10点で評価してもらう。つけた点数に応じて「批判者」「中立者」「推奨者」に分けて判断する。
また、NPSは満足度と異なり、推奨度を尋ねていることから、高得点をつけるハードルが比較的高く、推奨度を数値化することで口コミが発生する可能性を評価できるという特徴をもつ。
アパレルECサイトでもNPSは収益性と連動することが示される
アパレルECサイトの収益において重要な要素である「ECサイト利用期間」「1回当たりの購入額」「年間利用回数」と推奨度との相関関係を検出。相関の強弱はあるものの、いずれの要素も推奨度が高いほど数値が向上する傾向にある。
さらに、年間利用金額と推奨度の相関関係からは、推奨度が1点上昇するごとに、年間購入金額は約4,072円上がる傾向が示された。
NPS1位のZOZOTOWNは「商品を探すとき」「購入時」の体験が最も優れている
今回調査対象であったアパレルEC8社(ZOZOTOWN、[.st]、SHOPLIST、&mall、CAN、MIX.Tokyo、丸井ウェブチャンネル、フェリシモ)のNPS平均は-56.1で、1位はZOZOTOWN、2位は[.st]、3位は丸井ウェブチャンネルであった。
さらに、アパレルECサイト利用時の段階別顧客体験がどのようにNPSに影響するか調査した。この結果、「商品を探すときの体験」「購入時の体験」「TVや雑誌、インターネット上の広告」はNPSに強い影響を与えていることが明確となった。
また、最も評価が高かったZOZOTOWNの「商品を探す時の体験」での具体的要素として、絞り込み機能や、ブランドや商品の種類の豊富さの重要度が高かった。
「購入時の体験」における具体的な構成要素としては、「在庫・品ぞろえの充実度」が最も影響度が大きかった。
「TVや雑誌、インターネット上の広告」に関して最も評価されたのは、SHOPLIST。広告の評価を決めるにあたり、重要な項目は「TVCM」であることが示され、SHOPLISTが人気モデルや歌手を起用した印象的なCM配信により、ロイヤルティを向上させていることが考えられる。
今回の調査より、アパレルECサイトにおける収益性とNPSは連動することが明示され、持続的な成長を達成するうえでNPSは考慮すべき指標であることがわかる。また、NPS向上に大きく関係するという「商品を探すときの体験」「購入時の体験」「TVや雑誌、インターネット上の広告」を充実させることの重要性を伺うことができる。